COLUMN不動産に関する記事

不動産を売却する場合には、仲介を不動産業者に依頼をして、買主を探してもらうということが必要になります。

その契約のことを媒介契約というのですが、媒介契約は売主だけではなく買主も不動産の仲介を不動産業者にしてもらうための契約で、売買が成立すると仲介手数料を支払うという取り決めになっています。

今回は、どうして不動産会社は専任媒介契約の締結を望むのかを解説し、専任媒介契約のメリットとデメリット、どういうお客様が専任媒介契約を結ぶべきなのかということを解説していきます。

媒介契約には3種類ある

不動産の売却等を依頼した場合には媒介契約をお客様は不動産会社と締結する必要があります。

その場合に媒介契約には3種類あります。

それは次の3つです。

• ・専属専任媒介契約
• ・専任媒介契約
• ・一般媒介契約

です。

実際にどのような契約なのか、表にまとめました。

★3つの媒介契約の相違点

以上3つの媒介契約について解説をしましたが、 以下は専任媒介契約についてもう少し詳しくご説明します。

業者目線で専任媒介契約を締結したい理由とは

一般的に、今までご案内したように専属専任媒介契約ですと不動産業者とお客様とのしばりが厳しいですし、一般媒介契約ですと、しばりがなさすぎるというところが特徴でもあるのですが、通常不動産会社は専任媒介契約の締結を望みます。

その理由は「両手」の仕事が出来るからです。

両手の仕事とは

両手の仕事とはどういうことかを解説します。

不動産仲介会社のビジネスモデルは、仲介をして売主か買主から仲介手数料をもらうということです。

たとえば、売主AさんにXという不動産会社が媒介契約をして、買主BさんにYという不動産媒介契約をしておくと、売買が成立すると売主Aさんは不動産会社Xに仲介手数料を支払い、買主Bさんは不動産会社Yに仲介手数料を支払います。

これを「片手」の仕事と言います。

両手の仕事というのは、不動産会社Xが売主と買主双方から仲介手数料をもらうことを言います。

不動産会社が両手の仕事をしたがる理由

売却の専任媒介契約を締結すると、売主は不動産会社が完全に把握しているので、売主として買主を探すということはそれほど難しいことではありません。

買主を見つければ、買主からも手数料がもらえる両手の仕事ができます。

そうしますと仲介手数料も2倍になり、その分収益も2倍に上がりますので、不動産会社は両手の仕事をしやすい専任媒介契約の締結を望むわけです。

専任媒介契約のメリットは大きく2点

次に不動産会社と専任媒介契約を締結した場合にはどういうメリットがあるのかというと、一つは専任媒介契約を締結すると、不動産会社は2週間に1度売主に営業の進捗報告をする義務があるため、売主は現状どういう営業の状態今どうなっているのかということを把握しやすくなります。

このようにしっかり不動産会社とのコミュニケーションを取ることが出来るので、基本的には売却活動を全面的におまかせできるという安心感もあります。

もう一つのメリットとしては、不動産会社が広告費用をかけた積極的な営業展開をしてくれるということです。

一般媒介契約の場合ですと、複数の不動産会社に声をかけることが出来るので、仮に買い手をB社が見つけたとしても、もうA社が決めてくれましたということになると、B社には仲介手数料は支払ってもらえません。

ところが専任媒介契約の場合では、専任媒介契約を締結した不動産会社以外に売主は売却を依頼することができませんので、不動産会社は営業に専念することが出来ることになります。

そのため、別途広告展開をすれば、買い手に営業することが出来るので、両手の仕事の可能性も高くなります。

両手の仕事の可能性が高くなれば、インターネット広告などを使っても、それほど大きなココストにはならないということもあり、積極的に営業をしてくれるので、できるだけ早い時期に成約することも可能になります。

専任媒介契約のデメリットも解説

では、専任媒介契約のデメリットはどういうものがあるのでしょうか。

こちらも2つほどあります。

まず、専任媒介契約をデメリットの一つというと、専任媒介契約のメリットでもある他社には媒介契約を締結することができないということもあって、依頼した不動産会社の力量によっては、売却活動に時間がかかってしまったりします。

また、不動産の売却価格の設定がうまく行かなくなってしまうと、大幅な値下げ交渉をされる可能性もあるということです。

その価格設定がお客様主導で決めたものであれば、それはお客様にも責任がありますが、不動産会社が査定書を作成して、不動産会社の主導で売却価格を設定した場合には、不動産会社に大きな責任がありますし、不動産会社への信頼関係が壊れるという可能性もあります。

もう一つの専任媒介契約のデメリットは、専任媒介契約は売主を独占している状態になるので、他社との競争がないため、活発な営業をしない場合もあるということです。

つまり、売主を独占しているという安心感が専任媒介契約を締結した不動産会社に変な安心感があると、その分緊張が緩んでしまうということになりかねないということです。

こちらも、せっかく信頼して選んだのに、積極的に営業活動をしないのはどういう理由なのか、ということを逆に質問してもいいでしょう。

それで売主が納得できれば、専任媒介契約を継続していいと思いますが、もし、不動産会社の言い分に納得できないのであれば、専任媒介契約を解消するというのも検討してもいいかもしれません。

こういった問題を解消するには、やはり不動産会社選びは慎重に選ぶ必要があります。

依頼した不動産会社の専門性とコミュニケーション力が重要

ポイントとしては、一つはどういう不動産の取り扱いが専門であるのかということをしっかり調べることです。

マンションを売却するのであれば、マンションの売却が得意な不動産会社に売却を依頼し、一戸建て住宅を売却するのであれば、一戸建て住宅の売却が得意な不動産会社を選ぶということです。

このように不動産を売却する場合には査定をしてもらうことが最初の一歩となりますが、この査定を依頼するということ自体が不動産会社というパートナー探しにもなりますので、慎重に、かつ、丁寧に不動産会社を選ぶことがとても大切になります。

もう一つ大切なことは、専任媒介契約の場合は2週間に1度、不動産会社から様々な報告があります。

たとえば、何件問い合わせがあったとか、価格変更などです。

依頼者は、 それに対して納得行くまで話し合いをして、最終的には決断をするということが必要です。

たとえば、あと100万円価格を下げれば買い手がつくというような提案がありますので、それはどうしてなのかということを納得いくまで不動産会社と話し合いをして、納得すれば、それに対応した指示を不動産会社にしていくというのが望ましいでしょう。

専任媒介を選ぶべき人はどんな人か

では、最後に専任媒介契約を締結する場合には、どういう人が選ぶべきということを考えていきたいと思います。

前項でもご案内をしたように、不動産会社選びは不動産を売却するためにはとても大切な条件です。

そのため、しっかり慎重に不動産会社を選ぶということが大切です。

そこで、この不動産会社は優秀だなと思えるのであれば、しっかり対応してくれると思いますので、専任媒介契約を締結してもいいでしょう。

また、専任媒介契約を締結すると、一般媒介に比べると売主を独占状態になるので、通常はしっかり営業をしてくれます。

たとえばレインズの登録も法律では媒介契約をして7日以内と決まっていますが、即日登録してくれることもあります。

また、専任媒介契約は2週間に1度の報告義務が不動産会社にはありますが、広告活動をすれば色々なお客さんからも問い合わせなどがあります。

このように専任媒介契約は積極的に営業活動をしてくれるということもあり、早期に不動産を売却したいという場合には、専任媒介契約がおすすめです。

また、不動産会社によってはもし媒介契約期間中に買い手が見つからない場合には、買取もしてくれる不動産会社もありますので、買取保証のオプションがつけられるのかどうかということも事前に確認しておくと安心して売却を依頼すること出来るので、相談してみるようにしましょう。

まとめ

不動産を売却する上で、今まで専任媒介契約について考えてきました。

媒介契約に関しては専任媒介契約の他に専属専任媒介契約と一般媒介契約の2つがありますが、ご自分で決めた不動産会社に気持ちよく仕事をしてもらうということを考えた場合には、不動産会社が最も望む「両手」の仕事をしやすい専任媒介契約を締結することをおすすめします。

専任媒介契約を不動産会社が締結できれば、その分不動産会社は積極的に営業をしてくれますし、広告宣伝活動についても積極的に展開しますので、成約の確率はとても高くなります。

特に早く売却をしたいという場合には、不動産会社が気持ちよく仕事が出来る専任媒介契約を締結するのが、いいかと思います。