不動産売却にかかる費用の種類とは?仲介手数料などの費用相場と計算方法についても紹介
この記事でわかること
- 不動産売却にかかる費用について理解できる
- 物件によって異なる費用の計算が自分でできる
- それぞれの費用の内訳やかかるタイミングがわかる
不動産の売却をしようというとき、一体どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
それらの費用はどのタイミングで必要になるのでしょうか。
売却を決めたけれど、売買代金を受け取らなければ費用を捻出するのは厳しい…などと考えられている方もいるかもしれません。
そんな不動産売却前の疑問や不安を少しでも解消できるよう、ここでは、不動産売却にかかる費用について細かく見ていきます。
目次
不動産売却の流れと費用
不動産を売却すると決めたら、どんな流れで進められ、どのような費用がかかるのでしょうか。
1.情報収集・無料査定
不動産の情報サイトなどで、同じような条件の不動産がだいたいいくらで売られているかをチェックします。
無料査定サイトなどで、売却する物件がいくらくらいで売れるかを査定します。
2.不動産会社選定・媒介契約
査定した不動産会社から、売却活動を任せる業者を決めたら、媒介契約を結びます。
媒介契約には、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があり、どの媒介契約で売却を依頼するかも慎重に決める必要があります。
3. 売却に向け、販売活動
売却金額を決め、広告や不動産情報サイトに掲載、内覧などの販売活動を行います。
4.売買契約
買主を見つけたら、売買契約を結びます。
このときに、仲介手数料の半額、契約書に貼る印紙代が必要になります。
5.物件の引き渡し準備
住みながら住宅を売りに出した場合には、このタイミングになりますが、別の所に住み、売却活動をしている場合にはもっと早い段階になります。
リフォーム代やハウスクリーニング代、引っ越し費用などが必要です。
6.引き渡し
売買代金を受け取り、買主に不動産の引き渡しをします。
固定資産税の精算を行います。
また、売却代金でローンを完済し、抵当権抹消登記をする場合には抵当権抹消登記にかかる費用が必要です。
仲介手数料の半額を納めている場合には、残りの半額を支払います。
一括で支払うことになっている場合には、このタイミングで支払います。
不動産売却にかかる手数料一覧
不動産売却にかかる手数料などの費用は以下のとおりです。
費用 | おおよその目安 | 支払うタイミング |
---|---|---|
仲介手数料 | (売却額×3%+6万円)+消費税 | 売買契約時に半額、不動産引き渡し時に半額。 もしくは不動産引き渡し時に全額 |
印紙税 | 1,000円~6万円 (売却額により決まる) | 売買契約時 |
抵当権抹消登記費用 | 司法書士への報酬で5,000~2万円程度 | 不動産引き渡し時 |
ローン完済費用 | 売却代金で一括繰上返済をする際に銀行などの金融機関に払う手数料として1~3万円 | 不動産引き渡し時 |
処分費 | 状況による | その都度 |
引っ越し費用 | 15~20万円 | 引っ越し時 |
譲渡所得税・住民税・復興特別所得税 | 売却した年の1月1日での保有年数により計算 保有期間が5年以下なら譲渡所得×39.63% 保有期間が5年以上なら譲渡所得×20.315% | 売却した年に確定申告をし、支払い |
となっています。
【仲介手数料】に含まれるものと相場
売却を依頼した不動産会社に支払う仲介手数料ですが、基本的には媒介契約のときではなく、買主が見つかり売買契約が成立した後に、支払うものです。
いわゆる成功報酬的な扱いになります。
一般的な流れとしては、売買契約時に半額を支払い、残りの半額を不動産の引き渡し時に支払うというのが通常です。
不動産引き渡し時に全額という取り決めに応じてくれる不動産業者もいるので、相談してみても良いかもしれません。
仲介手数料はその上限が「宅地建物取引業法」によって規定されています。
仲介手数料はあくまで仲介業務にかかる費用ですので、別途、広告資料などによる宣伝費や買主候補が遠方であったときに出向く交通費などを請求されることがありますので、注意が必要です。
仲介手数料の計算
不動産の販売価格には消費税は含まれませんが、仲介手数料には消費税がかかります。
宅地建物取引業法で定められた仲介手数料の上限は以下の通りです。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
~200万円までの部分 | 売却価格×5%+消費税 |
200万円~400万円までの部分 | 売却価格×4%+消費税 |
400万円~の部分 | 売却価格×3%+消費税 |
上限だけが定められており、下限は定められていません。
だいたいの不動産業者がこの上限の金額を報酬として設定しています。
例えば、売却価格が1,000万円の場合の仲介手数料の計算は
<~200万円までの部分>
200万円×5%+消費税(10%)=11万円
<200~400万円までの部分>
200万円×4%+消費税(10%)=8万8,000円
<400万円~の部分>
600万円×3%+消費税(10%)=19万8,000円
<仲介手数料の計算>
11万+8万8,000+19万8,000=39万6,000円
というようになります。
このように、売却価格が400万円以上の場合には、分けて計算するのが面倒です。
分けなくても計算できる速算式があります。
で求められます。
仲介手数料の値引き
仲介手数料は、上限だけが法律で定められているので、値引きしてもらうこと自体は可能です。
しかし、仲介手数料は成功報酬であり、より良い条件で買主を見つけてもらいたいので、値引きの交渉はしない方がよいでしょう。
不動産の売却において、売却を依頼する不動産業者はとても重要になります。
不動産業者がどれくらい頑張って、買主を探してくれるかが不動産売却のポイントです。
もし、何らかの理由で仲介手数料を支払うのが厳しい場合には、売却代金を受け取ってから払うという約束にしてもらうなど、きちんと話し合うことが必要です。
【印紙税】は物件価格により異なる
「印紙税」とは、権利の変動を証明する書類などを作成する人に対して課せられる税金です。
印紙を契約書に貼って、消印する方法で納付します。
不動産売却では、買主との売買契約時に、売買契約書に印紙が必要になります。
印紙税の金額は、不動産の物件価格によって異なります。
不動産の物件価格 | 税額 |
---|---|
10万円~50万円まで | 200円 |
50万円~100万円まで | 500円 |
100万円~500万円まで | 1,000円 |
500万円~1,000万円まで | 5,000円 |
1,000万円~5,000万円まで | 1万円 |
5,000万円~1億円まで | 3万円 |
1億円~5億円まで | 6万円 |
5億円~10億円まで | 16万円 |
10億円~50億円まで | 32万円 |
50億円以上 | 48万円 |
これらの金額は軽減税率を受けた印紙税になります。
軽減税率は2014年4月1日~2030年3月31日までの間に締結・作成された契約書に貼り付ける印紙に適用されます。
印紙を貼るべき書類に印紙を貼らなかった場合には、過怠税でもともと納付するべき税額の3倍の額が課されます。
また、消印が既定の通りなされていなかった場合には、印紙の額と同額の税金を納めなければならないことになっているので注意が必要です。
【登記費用】目安は2~3万円
不動産登記費用は、抵当権抹消登記をする際などにかかる費用です。
住宅ローンの完済が済んでいて、抵当権抹消登記も済んでいる場合には必要ありません。
住宅ローンを組んでいて、その担保として不動産に抵当権が設定されているときには、抵当権抹消登記をしないと、いつまでも銀行などの金融機関が不動産を差し押さえる権利を持っていることになります。
その状態では、買主は不動産を購入した目的を果たせないことにつながりかねないため、基本的には売買契約の際、抵当権などの所有権に影響を及ぼす権利を抹消する必要があります。
住宅ローンを完済している場合には、売却前の準備として抵当権抹消登記をしておきましょう。
売却代金で、ローンを完済するのであれば、不動産の引き渡し時に同時に行います。
登記費用の内訳は
・登録免許税
登記をする不動産の数×1,000円
(一戸建ての場合、土地と建物で2,000円かかる)
・司法書士への報酬
抵当権抹消登記をする1物件につき5,000~10,000円程度が相場です。
・調査用登記情報料
抵当権抹消登記をする前に、その情報を確認するために登記を請求するための費用です。
登記事項証明書を法務局に請求する際にかかる費用は以下の通りです。
窓口での書面請求 | 600円 |
---|---|
オンラインで請求し、送付受取 | 500円 |
オンラインで請求し、窓口交付 | 480円 |
司法書士に依頼している場合には、報酬以外に実費として請求されます。
・登記完了後の確認情報料
抵当権を抹消した後、抵当権が確かに抹消されたかを確認するためにもう一度登記事項証明書を請求して確認する費用です。
かかる費用は調査用登記情報料と同じです。
これらの登記費用は、目安としては合計2~3万円かかります。
【ローン返済費用】売却代金で住宅ローンを一括繰上返済する場合
売却する不動産の住宅ローンを、売却代金やその他の方法で一括返済する場合に、銀行に支払う費用です。
繰上返済を行う手数料は、金融機関ごと、方法(窓口・電話・ネット)によって異なります。
だいたい1万800~3万2,400円程度だと想定しておくとよいです。
【処分費】が必要なケースと目安
売却しようとする不動産の状態によって、リフォームをする必要がある場合や測量をして境界を確定しなければならない場合などがあります。
だいたいの目安としては以下の通りとなります。
項目 | 費用 |
---|---|
リフォームやハウスクリーニングにかかる費用 | 5~20万円 |
測量や解体にかかる費用 | 30~80万円 |
リフォームやハウスクリーニング費用
売却前のリフォームは、買主の趣味に合わず、売却に繋がらなくなる可能性もあるので、慎重な検討が必要です。
ただし、明らかにリフォームする必要がある場合には、リフォーム費用も念頭におかなければなりません。
フローリングの張り替え程度であれば、そんなに大金は必要ありませんが、キッチンやバスルームなど大きなリフォームをしなければならない場合、リフォームにかかる費用は100万円ほどかかると考えなければなりません。
不動産の購入者が自分の趣味に合ったリフォームをした方がよいこともあります。
売却につなげるために、キレイな状態を見せたいという理由であれば、ハウスクリーニングをするのが良いかと思います。
ハウスクリーニングの相場は、広さなどによって異なりますが5~20万円です。
測量や解体にかかる費用
売却する不動産に土地がある場合で、隣地との境界が確定していないときには測量をして、境界を確定してから売却しなければならなくなることがあります。
一般的には隣地との境界は確定していて、測量図面がありますが、昔は境界確定も測量図面がなくても売買していたので、所有期間が長いとないこともあり得ます。
境界の確定は義務ではありませんが、最近は境界が確定している土地を選ぶ買主が増えていますので、早く売却をしたいときには境界確定をしておいた方がよいでしょう。
また、これにかかる費用は売主(境界確定を申し出た人)が負担するのが慣習です。
境界確定や測量を行うために自治体も立ち会うか、隣接する土地の所有者の人数などによって異なりますが、相場としては30~80万円くらいを想定しておきましょう。
一戸建てを売却する際に、建物の建てられたのが何十年も前などという場合には、建物を解体して、更地にして販売した方が早く売却できる場合があります。
解体費用は、建物に使われている素材や構造によって異なりますが、以下が相場といわれています。
木造住宅 | 3~4万円/坪 |
---|---|
鉄筋住宅 | 4~5万円/坪 |
RC住宅 | 5~6万円/坪 |
【引っ越し費用】売却タイミングを計算すれば節約に
売却する不動産に居住している場合には、売買契約後の不動産の引き渡しまでに引っ越しを完了していなければなりません。
引っ越し費用は、引っ越し先までの距離や運ぶ荷物がどれくらいあるかによって異なるので、一概には言えませんが、通常4~5人程度の一家が引っ越しをする際の相場は15~20万円程度だといわれています。
引っ越し費用に関する注意点としては、引っ越しは1回で済ませるということです。
売却代金で新居を購入しようと考えている場合、一度仮住まいに引っ越し、あとで新居を購入する流れにしてしまうと
- 1. 売却不動産から仮住まいへの引っ越し
- 2. 仮住まいから新居への引っ越し
ということになり、かかる引っ越し費用は2倍になります。
やむを得ない場合は仕方ないですが、売却タイミングを計算し、なるべく1回の引っ越しで済むよう計画を立てることをお勧めします。
まとめ
ここまで見てきたとおり、不動産の売却には意外とお金がかかります。
不動産の売却額が、住宅ローンと同額であったとしても、結果的には赤字になってしまうこともあり得ます。
事前に何にいくらかかるのか、いつかかるのかシュミレーションし、計画的に売却を進めることをお勧めします。