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生活保護受給中に不動産を売却する場合の注意点とは?

「生活保護受給中に不動産を相続したから売却しようと考えているけれど、生活保護への影響や注意点について知りたい。」

生活保護受給中であっても、相続などによって不動産を入手して売却を検討しなければならないケースはあります。

生活保護受給中に不動産を売却することによって一定の利益が出た場合には、生活保護が停止・廃止されるなどの影響が出ることがあり、注意が必要です。

この記事では、生活保護受給中に不動産を売却する場合の注意点などについて解説しています。

この記事を読むことで、生活保護受給中に不動産を売却することの影響や注意点、売却しなければならないケースなどについて知ることができます。

目次

生活保護とは

生活保護とは、資産や能力などを活用しても生活が経済的に苦しく困窮する人に対して、必要な保護を行うことで、憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活を実現するとともに、自立ができるように手助けをする制度です。

生活保護を受けるためには生活保護法に定められた要件を満たす必要があります。

生活保護を受けるための要件を満たし、収入が最低生活費に満たない場合には、最低生活費と収入との差額を保護費として受け取ることができます。

生活保護を受けるための要件

生活保護を受けるための要件は、生活保護法4条に規定されています。

生活保護を受けるには、すでに保有している資産等を最大限活用してもなお最低限の生活費に足りないことなどが必要とされています。

資産の活用

すでに保有している資産があれば、まずはそれを生活費に充てる必要があります。

生活費に充てる資産は、現金・預貯金に限られません。例えば、生活に利用していない土地・建物があれば、それを売却してお金に換えて生活費に充てることも必要とされています。

能力の活用

能力とは、働いてお金を稼ぐことができる能力のことです。

例えば、健康に何ら問題がなく、働くことに支障がなければ、まずは働いてお金を稼いで生活費に充てることが求められます。

その他のあらゆるものの活用

生活保護に優先して、資産や能力だけでなくその他のあらゆるものを活用しなければなりません。

例えば、年金や手当など、他の制度に基づく給付を受けることができる場合には、まずはそれらを生活費に充てなければなりません。

年金などを生活費に充ててもなお足りない部分がある場合に初めて、生活保護を受けることができます。

扶養義務者の扶養の優先

生活保護法4条2項では、民法に定める扶養義務者の扶養などは、生活保護に優先して行われなければならないことが定められています。

民法では、一定の親族関係にある者が扶養義務者として他の親族を扶養しなければならないことが規定されています(民法752条、877条)。

民法752条では、配偶者がお互いに扶養義務を負うことが規定されています。

また、民法877条1項では、直系血族および兄弟姉妹が互いに扶養をする義務を負うことと定められています。
直系血族とは、父母・祖父母や子・孫などのことです。

例えば、姉が生活に困窮しており、困窮していない妹がいる場合には、民法上は妹が姉を扶養する義務を負います。

扶養義務をどの程度果たさなければならないかについて、一般的には、2種類あるとされています。

親の未成熟子に対する扶養や配偶者間の扶養については、自分の生活水準を切り下げてでも自分と同じ水準の生活を与えなければならないという「生活保持義務」があるとされます。
一方、それ以外の関係については、被扶養者が最低限の生活をできず、扶養者に余力がある場合に限ってその限度で助ければ足りるという「生活扶助義務」があるとされます。

このような民法および生活保護法の規定を受けて、生活保護を受けようとする際には、一定の親族に対して扶養できないかを確認する「扶養照会」が行われます。

扶養照会の対象は原則として3親等以内の親族であり、基本的には必ず行われます。

もっとも、扶養照会により生活保護を受けようとしていることが親族に知られることにもつながるため、扶養照会をしてほしくない場合には必ず生活保護申請の際に担当者に事情を話して相談するようにしましょう。

生活保護を受けつつ所有し続けられる不動産

生活保護を受けるにあたっては、全ての資産を活用しなければならないため、不動産については原則として売却して生活費に充てなければなりません。

もっとも、例外的に次のような場合には、不動産を所有し続けることが許されます。

  • ・現実に最低限度の生活維持のために活用されており、所有しているほうが生活の維持や自立の助けになるケース
  • ・現時点で活用されていないものの近く活用される予定があり、売却しないほうが生活の助けになるケース
  • ・売却ができないか、または著しく難しいケース
  • ・売却にかかる費用が売却して得られる代金を上回るケース
  • ・社会通念上、売却させることが適切ではないケース

まず、現在居住しており、生活に必要不可欠である土地・建物は、所有しているほうが生活の維持や自立の助けになると判断されて所有し続けることが許されやすいです。

また、自営業者などで生活のためのお金を稼ぐ事業を維持するために必要な限度の土地・建物も、所有し続けられることがあります。
例えば、金属加工業を営む者が住宅の敷地内に個人で作業をするためのごく小さな工場建物を所有している場合などが考えられます。

このほか、不動産を売却させることが酷である事情がある場合には、社会通念上売却が適切でないと判断されて所有し続けられることがあるため、不動産を売却せずに所有し続けたいと希望する場合には個別の事情を役所の担当者に相談することが大切です。

生活保護を受ける場合に売却するよう指導される不動産

ここまでにご説明した生活保護受給中の所有が許される不動産以外の不動産は、売却して生活費に充てるように指導される可能性が高いです。

次のような不動産は、売却するよう指導される傾向にあります。

賃貸に出して収益を上げている不動産

賃貸マンション・賃貸アパートなど、他人に賃貸して利益を上げるための収益不動産は、売却して生活費に充てるように指導されます。

自分自身で居住しているわけではないなど所有し続けなければならない事情に乏しく、また不動産の活用方法は売却して換価することが原則だからです。

住宅ローンが残っている不動産

居住用の土地・建物であっても、住宅ローンが残っている場合には、基本的には所有が認められません。

これは、住宅ローンが残っているのに生活保護費を支給してしまうと、生活保護費で住宅ローンの返済をしていることと同じになってしまうからです。
住宅ローンを返済し終えれば土地・建物は所有者の資産となるので、生活保護費で資産形成を手助けしているのと同じこととなり、最低限度の生活費を保障するという生活保護の趣旨から外れることになり、適切ではありません。

もっとも、例外的に次の基準をいずれも満たす場合には、住宅ローンが残っていても不動産を所有し続けることが認められる運用となっています。

  • ・住宅ローン残高が300万円以下であること
  • ・住宅ローンの支払いが5年以内に終わる見込みであること

なお、この基準はあくまでも目安であり、個別の事情や地域によっても異なることがあります。

原則2,000万円以上の価値がある不動産

不動産を売却して得られる価値が利用して得られる価値に比べて著しく高い場合には、その不動産は売却するように指導されます。

具体的には、原則として約2,000万円以上の価値がある不動産であれば、売却すべき不動産であるとされます。
この約2,000万円という数字は、「標準3人世帯の生活扶助基準額に同住宅扶助特別基準額を加えた額の概ね10年分」という目安から算出されたものであり、厚生労働省の考え方として示されているものです。

約2,000万円以上の価値がある不動産であれば、住むなどして利用するよりも売却して得られたお金を生活費に充てたほうがよいと判断されるということです。

なお、個別の事情によってはこの基準は変わり得るので、売却したくない事情がある場合には必ず役所の担当者に詳しく相談するようにしましょう。

生活保護の受給中に不動産を売却する場合の影響と注意点

生活保護の受給中に不動産を売却した場合の影響は、大きく3つに分けられます。

生活保護の受給中に不動産を売却する場合の影響や注意点についてご説明します。

注意点1:売却で生活保護費以下の利益が出たら利益分の返還が必要になる

生活保護受給中に不動産を売却し、最低生活費1か月分未満の額の利益が出た場合には、その利益の分だけ生活保護費を返還しなければなりません。

先ほどもご説明したとおり、生活保護では、資産その他あらゆるものを活用してもなお足りない分の生活費に限って支給されることとなっています。
不動産を売却して利益が出た場合には、その利益は生活費に充てるべきものであるため、その利益に相当する額の生活保護費をすでに受け取っている場合にはその分を返還しなければならないのです。

例えば、1か月分の最低生活費としてすでに月15万円を受け取っていたところ、不動産を売却したことでその月に10万円の利益が出た場合には、利益分の10万円を返還することとなります。

注意点2:売却で少し大きな利益が出たら生活保護が停止されることがある

生活保護受給中に不動産を売却し、少し大きな利益が出たら、生活保護が停止されることがあります。

生活保護の停止とは、生活保護自体は打ち切らないものの、一時的に生活保護費の支給を止めることをいいます。
生活保護の停止は、おおむね6か月以内に再び生活保護が必要になる状態に陥ることが予想される場合などに取られる措置です。

不動産の売却で利益が出て生活保護が停止されるのは、おおむね最低生活費1か月分以上6か月分未満の利益が出た場合です。このような場合には、不動産売却によって得た利益で1か月以上生活できるため、一時的に生活保護の必要がなくなるものの、不動産売却により得た利益を使い切ってしまうと再び生活保護の必要が生じることが予想されるため、生活保護の停止という措置が取られます。

例えば、1か月分の最低生活費として月15万円を受け取っていたところ、不動産の売却により50万円の利益を得た場合には、最低生活費約3か月分超に相当する利益を得ていることから、基本的には生活保護が一時的に停止されます。

注意点3:売却で著しく大きな利益が出たら生活保護が廃止されることがある

生活保護受給中に不動産を売却し、著しく大きな利益が出た場合には、生活保護が廃止されることがあります。

生活保護の「廃止」とは、生活保護の支給対象外となること(生活保護が打ち切られること)であり、特別な事情が生じない限り生活保護を再開する必要がないケースや、おおむね6か月を超えて生活保護が必要ない状態が続くケースなどで生活保護が廃止されます。

生活保護の「停止」との違いは、生活保護の再開が予定されておらず、完全に生活保護の対象外となる点にあります。

不動産の売却で生活保護が廃止されるのは、おおむね最低生活費6か月分を超える利益が出た場合です。
このような場合には、不動産の売却によって得た利益で6か月以上にわたって生活でき、6か月を超えて生活保護の必要がない状態が続くことが見込まれるため、生活保護が廃止されます。

例えば、1か月分の最低生活費として月15万円を受け取っていたところ、不動産の売却により200万円の利益を得た場合には、最低生活費6か月分を超える利益を得ていることから、基本的には生活保護は廃止されます。

注意点4:売却で利益が出たら確定申告・納税が必要になる

生活保護受給中であっても、不動産の売却で利益が出たら、生活保護を受給していない人と同様に確定申告・納税の手続きが必要になります。

不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得にかかる税金(所得税・住民税)を納めなければなりません。
また、税金を納めるにあたっては、どれだけの税金を納めなければならないかを自分で計算し、申告しなければなりません(この計算・申告の手続きを確定申告といいます)。

不動産を売却して利益が出たのに申告・納税の手続きをしないままでいると、税務調査の対象となり、無申告加算税や延滞税などのペナルティとしての税金を追加で納めなければならなくなることがあります。
また、わざと売却の利益を隠して確定申告をしなかった場合などには、重加算税というより重いペナルティが課せられたり、いわゆる「脱税」として刑事罰が科せられることもあります。

生活保護受給中だから確定申告・納税の手続きを適切に行わなくても甘く見逃してもらえるということは全くありません。
不動産の売却で利益が出たら、必ず確定申告・納税の手続きを行うようにしましょう。

不動産の売却益の計算方法

不動産を売却して利益が出たかどうか(譲渡所得が発生しているかどうか)の判断は、基本的には次の計算式により行います。計算結果がプラスである場合には、譲渡所得が発生していると判断されます。

  • 譲渡所得=収入金額−取得費−譲渡費用

「収入金額」とは、不動産の売却によって得た金額(売却代金)のことです。

「取得費」とは、不動産を取得するために要した費用のことであり、不動産の購入金額・建築代金などが含まれます。

「譲渡費用」とは、不動産を売却するために直接要した費用のことです。例えば、不動産を売却するために支払った仲介手数料などがこれに含まれます。

不動産を相続によって取得した場合には、被相続人がその不動産を取得した際の購入代金等を基にして取得費を計算します。

例えば、不動産を3,000万円で売却し、その不動産の取得費(購入代金等)が2,500万円、譲渡費用(仲介手数料等)が100万円である場合には、譲渡所得の金額は「3,000万−2,500万−100万円=400万円」となります。

譲渡所得がプラスである場合には、確定申告をしなければなりません。

実際には、譲渡所得から特別控除を差し引いた金額が課税譲渡所得となり、課税譲渡所得に対して所定の税率を掛けて納税すべき額が算出されます。

  • ・課税譲渡所得=譲渡所得−特別控除
  • ・納税すべき額=課税譲渡所得×税率

もし適用できる特別控除の控除額が譲渡所得を上回っているのであれば、納める税額はゼロになります。
この場合でも、譲渡所得がプラスである以上は、確定申告を行わなければなりません。

不動産の基本的な売却方法

不動産の基本的な売却方法には、仲介と不動産買取があります。

この2つについてご説明します。

仲介

「仲介」とは最も一般的な不動産の売却方法で、不動産会社との間で媒介契約を締結して不動産会社に買主を探してもらい、買主との間の仲介をしてもらって、不動産を売却する方法のことです。

仲介の方法で不動産を売却すれば、一般の市場で売却することになるので、不動産をおおむね市場価格のとおりに売却できます。

仲介の方法で不動産売却することができた場合には、不動産会社にあらかじめ定めた契約内容に従って仲介手数料を支払う必要があります。

仲介手数料は、宅地建物取引業法という法律で上限が定められており、例えば不動産の売買価格が400万円を超える場合には、「売買価格×3%+6万円」(+消費税)が上限額となります。

例えば、不動産の売買価格が1,200万円の場合には、「1,200万円×3%+6万円=42万円」(+消費税)が仲介手数料の上限額です。

支払う仲介手数料は、契約によって上限額のとおりに定められていることも多くあります。

不動産買取

「不動産買取」とは、不動産買取を取り扱っている不動産会社が不動産の売主から直接不動産を買い取ってくれる売却方法です。

不動産会社は、不動産買取によって不動産を仕入れ、その後に市場で売却することで差額を利益として得ることを主な目的として、不動産買取を行っています。

不動産買取は仲介と比べてより迅速に売却することができるため、できるだけ早く不動産を現金化したいという方に向いている売却方法です。

一方、不動産買取であれば不動産会社がその後に市場で不動産を売却して利益を得ることを目的としているので、仲介を利用して市場で売却するよりも安い価格で買い取られることが一般的です。

不動産買取では、仲介で売却する場合と比べると、おおむね相場の7〜8割程度となることが多いです。

なお、不動産買取の場合には、仲介手数料はかかりません。

不動産買取を利用するかどうかは、仲介で売却する場合の相場よりも低い売却価格となってしまってもいいかどうか、できるだけ早く不動産を現金に換えたいかどうかなどの観点から判断するようにしましょう。

生活保護と不動産に関してよくある質問

生活保護と不動産に関してよくある質問とその回答をご紹介します。

生活保護受給中の相続でも相続放棄はできる?

生活保護受給中に相続が発生した場合でも、ご自身の意思で相続放棄をすることは基本的には自由にできます。

もっとも、自由に相続放棄ができることと、それによって生活保護に影響が出ないかどうかということは別です。

生活保護を受けるにあたっては、あらゆるものを活用することが受給条件のひとつとされています。
もし相続によってたくさんの財産を受け継ぐことができるのに、あえて相続放棄をしてしまうと、相続財産を活用しなかったとして生活保護の継続に対して悪影響を与える可能性があります。

このように、相続によってプラスの財産を多く受け継ぐことになる場合には、生活保護の受給継続に悪影響を与える可能性がありますが、相続によってマイナスの財産を多く受け継ぐことになる場合などには、相続をしても生活の維持・改善につながらないため、生活保護を受け続けたまま相続放棄ができることもあります。

相続が発生して相続放棄をしたいと思ったら、自分だけで判断せず、まずは必ず役所の生活保護担当者にそのことを相談をするとよいでしょう。

生活保護受給中に不動産を取得したら固定資産税を支払わないといけない?

「固定資産税」とは、不動産などの固定資産を所有している人がその固定資産の評価額に応じて都・市町村に対して支払わなければならない地方税のひとつです。

固定資産税は、原則として不動産を所有していれば毎年課税されて支払わなければなりません。

もっとも、生活保護受給者については、基本的には固定資産税が免除されます。

また、生活保護を受給していなくても、生活が困窮していて一定の要件を満たす人については、固定資産税が減額されることがあります。

固定資産税の減額・免除を受けるためには、固定資産税の納付期限までに減免のための申請書を提出しなければなりません。

生活保護を受けている人で不動産を所有しており、固定資産税を納付するよう通知された場合には、必ず固定資産税の担当窓口に相談し、固定資産税の減額・免除の申請書を提出するようにしましょう。

不動産売却の利益で生活保護が廃止された後また生活保護を受けることはできる?

不動産を売却して最低生活費6か月分超の利益が出たために生活保護が廃止された後、しばらくして生活に困窮して生活保護の支給要件を満たすに至った場合には、基本的にはあらためて申請・審査を経たうえで、再び生活保護を受けることができます。

この場合に再度の生活保護を受けるにあたっては、一から受給する場合と同様に生活保護の受給要件を満たしているかどうかの審査がなされます。過去に生活保護を受給していたから再度の生活保護申請が簡単に通るというようなことはありません。

もっとも、過去の生活保護受給中に不動産売却の利益を隠していた場合などには、そのことで生活保護の再度の申請・審査が厳しくなることはあり得ます。場合によっては、再び生活保護を受けることができないということもあります。

生活保護受給中に不動産を売却して最低生活費6か月分超の利益が出た場合には、必ずそのことを全て正直に生活保護担当窓口に申告することが大切です。

不動産売却の利益を役所の生活保護担当窓口に申告しないままでいて、そのことが発覚するとどうなる?

不動産売却の利益を役所の担当窓口に申告しないままでいても、そのことが発覚することは十分にあり得ます。
例えば、お金の使い道が派手になったり、課税状況を把握されたり、不動産の取得・売却に関する情報(登記情報等)を知られたりすることなどにより、役所に申告していない不動産の取得・売却に関する情報が把握されることは考えられます。

不動産売却によって利益を得たことを役所の担当窓口に申告しないままでいて、そのことが発覚すると、利益の内容に応じて生活保護が停止・廃止されることがあります。

また、生活保護受給者は収入の状況に変化があったことを正しく申告する義務を負っています(生活保護法61条)。

生活保護を受給しながら、相続によって不動産を取得したり不動産を売却して利益を得たりしたのにそのことを正しく申告しなかった場合には、生活保護を不正受給していると判断されることもあります。

生活保護を不正受給した場合には、生活保護法85条の刑事罰(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)または刑法246条1項の詐欺罪の刑事罰(10年以下の懲役)などが科せられることがあります。

さらに、生活保護を不正受給した場合には、生活保護が打ち切られたり生活保護を再び受給することが難しくなったりすることもあります。

不動産売却の利益を隠したままにしていることは、このような不利益が大きいため、必ず正しく収入について申告することが大切です。

確定申告の手続きを手伝ってくれる専門家とは?

不動産を売却して利益が出た場合には、確定申告の手続きをしなければなりません。

確定申告の手続きは、税の専門家である税理士に相談・依頼することで、どのようにするべきかアドバイスしてくれたり代わりに行ってくれたりします。

自分だけで確定申告の手続きができないと思ったら、税理士に相談することも検討してみましょう。

また、不動産を相続したり売却したりして生活保護の停止・廃止があった場合に、そのことがおかしいのではないかと思ったときには、弁護士に相談することで生活保護の停止・廃止などが適切かどうか、何かできる対処はないのかなどをアドバイスしてくれたりします。

必要に応じて弁護士に相談することも検討してみましょう。

まとめ:生活保護受給中に不動産を売却すると生活保護が停止・廃止になることもある

生活保護受給中に不動産を売却して多くの利益を得た場合には、その利益の額に応じて、生活保護が停止・廃止になることがあります。

生活保護が停止になった場合には一定期間後にまた再開されることがありますが、生活保護が廃された場合にはあらためて一から申請・審査を経なければ生活保護を再び受給することはできません。

また、不動産を相続などによって取得したり不動産を売却して利益を得たりしたのに、そのことを役所に申告しないままでいると、生活保護を不正受給していることになることもあります。

生活保護を不正受給すると、生活保護が廃止されたり刑事罰が科せられたりすることもあります。生活保護の不正受給は絶対にしないようにするべきです。

不動産を相続などによって取得したり、不動産を売却して利益を得た場合には、必ずそのことを役所の担当窓口に申告するようにしましょう。

生活保護受給中に不動産を売却して利益が出たことにより確定申告をしなければならないときは、税理士に相談すれば確定申告の手続きについてアドバイスをしてくれます。

また、生活保護受給中に不動産を売却したことがきっかけで生活保護の停止・廃止などに至った場合には、弁護士に相談することで、適切な対処法をアドバイスしてくれます。

生活保護受給中に不動産を売却する場合には、分からないことは放置せず、必要に応じて税理士や弁護士といった専門家に相談するようにしましょう。

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