不動産の無料査定はトラブルが多い?事例と無料査定を見つけるための3つの判断基準
この記事でわかること
- なぜ不動産査定サービスが無料なのかわかる
- 不動産査定サービスのトラブルを知ることができる
- 上手な不動産査定サービスの選び方がわかる
不動産売却を検討している人向けに、無料で不動産を査定してくれるサービスが多くあります。
しかし、無料査定を利用してトラブルになるケースもあるため、過度な営業や不十分な査定結果を提示する悪徳会社には注意しなければなりません。
この記事では、不動産の無料査定が可能な理由やトラブルを防ぐための方法を、よくあるトラブル事例とともに解説します。
安全な無料査定を見つけるポイントや無料査定サービスの使い方も紹介するので、不動産売却の予定がある人は事前に確認しておきましょう。
目次
なぜ不動産査定が無料で受けられるの?不動産会社のカラクリ
不動産の売却について調べると「不動産の無料査定を行います!」という広告やページを目にしますが、不動産査定はそんなに簡単なことなのでしょうか。
ここでは不動産会社の運営の仕組みをみていきます。
不動産鑑定の費用はいくらなのか
不動産価格を調べる方法として不動産鑑定という業務があります。
この不動産鑑定というのは、国の公示価格や不動産の競売などをする際に裁判所が不動産鑑定士という不動産の価格を算出する専門家に依頼して価格を算出するものです。
ある不動産鑑定事務所の価格表を調査してみると次のような費用となります。
項目 | 規模 | 価格 |
---|---|---|
土地のみ | 戸建住宅地程度 | 180,000円(税抜)~ |
大規模地等 | 300,000円(税抜)~ | |
借地権 | 240,000円(税抜)~ | |
建物のみ | 戸建住宅 | 180,000円(税抜)~ |
事務所ビル、共同住宅等 | 個別見積 | |
土地と建物 | 戸建住宅 | 240,000円(税抜)~ |
共同住宅、事務所等 | 個別見積 | |
特殊物件 | 個別見積 | |
マンション | 一室の所有権 | 300,000円~ |
賃料 | 家賃 | 300,000円~ |
地代 | 240,000円~ |
このように不動産鑑定士に価格の算出を依頼すると、20〜30万円の費用が発生します。
不動産鑑定は様々な要因を分析しながら算出するほか、人的なコストがかかるということもあり、決して安価ではありません。
どうして不動産の無料査定サービスが可能なのか
不動産鑑定は、多額の費用が発生するにもかかわらず、なぜ不動産の査定を依頼すると無料で行ってくれるのでしょうか。
その理由は実はとても簡単で、将来不動産を売却する際に売却の依頼をしてくれるきっかけとして、無料査定というサービスをお客様に提供しているためです。
不動産会社のビジネスは仲介手数料が主であることから、売却成功時に獲得できる仲介手数料を重視します。
無料査定をする不動産会社は、いわゆる顧客開拓の手段として実施しているので、サービスを無料にしているのです。
もちろん、無料だからといっていい加減な数字を出せば、顧客からの信頼を失います。
顧客を確保するために無料で精度の高いサービスを提供して、顧客の信頼を得なければなりません。
そして最終的には売却の依頼を受けるということが、不動産会社の目的となります。
仲介手数料の相場が気になる方は、不動産売買の仲介手数料の相場を紹介【売主・買主別に支払うタイミングも解説】の記事を参考にしてください。
不動産の無料査定サービスを利用する際に重要なこと
不動産は買い手・売り手ともに大きな金額が動くので、特に売却する場合には慎重な行動が必要です。
しかし、不動産の価格査定サービスを受ける際に1社だけにしか声をかけない人がとても多いのです。
不動産会社には、それぞれ独自の査定方法があります。
そのため1社だけに査定を依頼しても、査定が適切か、相場通りの価格かがわかりません。
具体的にはA社では3,000万円と査定したマンションがB社だと2,500万円、C社だと3,200万円、D社だとA社同様3,000万円で査定というケースはよくあることです。
不動産を売却する側としては、なぜ価格差が出たのか、なぜ価格の違いがあるのかを具体的に知っておくべきです。
健全に運営をしている不動産会社は、算出根拠を明らかにしてくれます。
本気で売却を検討しているのであれば、詳細な内訳を提示してくれる不動産会社に依頼したほうがいいでしょう。
ところが、1社だけの査定だと他と比較することができないので、実際にどの査定価格が正しいのかわかりません。
実はもっと高く売れたのに…という後悔が起こることも十分あり得るので、自分なりに納得するためには複数の不動産会社に声をかけて、価格を査定してもらうということが重要になります。
こちらのやり方については後ほど詳しく説明します。
また、初めて不動産売却を行う方は、事前に知っておいてほしい知識が数多くあります。
気付かぬうちにトラブルに巻き込まれることのないよう、はじめての不動産売却で知っておくべき基礎知識と売却の流れの記事に目を通しておいてください。
無料査定のよくあるトラブル事例
不動産の無料サービスは、インターネットでも多く提供されていて、トラブルも散見されます。
そこで、実際に不動産の無料査定サービスにどのようなトラブルがあるのかを知っておきましょう。
しつこい営業電話をされる
不動産の無料査定サービスは、不動産会社がお客様と繋がるための手段として提供していることが多いです。
そのため不動産会社は営業活動に力を入れ、なんとしても売り上げに繋げたいと考えています。
このような理由から、依頼をしていないにもかかわらず、「売却をさせてほしい」「〇〇〇万円だったら、買うお客さんがいるんですよ!」という営業電話をしてくる不動産会社が少なくありません。
無料査定サービスが不動産会社にとってお客様を確保する手段でもあるので、多少の営業電話は仕方がないかもしれませんが、注意したいところです。
悪徳不動産会社に高い査定額を提示される
査定をしてくれる会社の中には悪徳な不動産会社もあります。
特に、相場価格とはかけ離れた高い価格を提示してくる会社には注意してください。
このようなケースでは、後でいろいろな理由をつけて価格を下げたり、お客様にとって不利な交渉をしてきたりすることが多々あります。
このような顧客を釣る行為自体が法律違反なので、コンタクトを取らないようにするべきでしょう。
もしコンタクトを取って無理やりでも会いに来た場合には、やり取りを録音して証拠を残し、東京都や不動産の団体などに連絡をするという対策があります。
どのような手段でも悪徳業者は顧客をだまして儲けようとコンタクトしてきているので、怪しい部分が見つかれば絶対に関わらないようにしましょう。
地域に根付いていない不動産会社が査定する場合も
不動産価格を査定してもらう場合に困るのは、地元のことを知らない不動産会社が携わる場合です。
不動産は地域に根付いているので、しっかり地域のことをわかっている不動産会社であれば、階数・広さ・部屋の向きなどによって大体いくらで買い手が見つかるのかというのはある程度わかります。
ところが地元のことに精通していない不動産会社だと、自社で取引したというよりもインターネットで調べた価格を提示してくることがほとんどなので、価格に正確性がなくなってしまいます。
そのため、不動産の査定書で地域性が感じられない場合には、正確な価格が提出されないことになるので、こういう不動産会社とも取引をしないようにすることをおすすめします。
事前知識として、知らないと損をする!?不動産売却に注意したい5つのポイントと不動産会社の選び方の記事も参考にしてみてください。
安心できる不動産の無料査定を見つける3つのポイント
不動産の無料査定サービスにメリットはもちろんあるのですが、それに伴ってトラブルが起きているというのが実情です。
特に深刻なのは、上記でも説明したように、不動産の無料査定サービスの会社の中には悪徳な不動産会社が含まれているということです。
つまり、最初から顧客をだまして、自分の会社だけ利益をあげようとする不動産会社があるので、そういう会社とはコンタクトをとってはいけません。
トラブルの原因となります。
トラブルに遭わないために、安心できる不動産の無料査定をしてくれるサービスを見つけましょう。
そのためには次のようなポイントをしっかりチェックする必要があります。
安心できる不動産の無料査定を見つけるポイント
- 実績のある不動産会社が提供している不動産査定サービス
- 不動産査定サービス自体が不動産会社を選別しているかどうか
- 個人情報の保護を徹底している不動産査定サービス
以上3つのポイントについて、細かく説明します。
実績のある不動産会社が提供している不動産査定サービス
気分よく不動産の売却活動をするためには、まじめで誠実で、過去しっかりとした実績を持っている不動産会社と取引をすることが絶対条件です。
不動産査定サービスというのは、顧客と不動産会社のマッチングサービスのようなものなので、まさに顧客と不動産会社の出会いの場でもあります。
ただ、顧客にとっては、自分から不動産会社を選別できないというデメリットがあるので、前提条件として不動産査定サービスが優良会社をしっかり選んでいることがやはり必要です。
トラブルを事前に防ぐためには、不動産査定サービス自体があらかじめ優良不動産会社を選別して、それをしっかり謳っているところを選ぶべきでしょう。
不動産査定サービス自体が不動産会社を選別しているかどうか
信頼できる不動産査定サービスは、提携する不動産会社がしっかりした会社であるかどうかということを審査しています。
サービス内で顧客と提携している不動産会社の間にトラブルが起きてしまうと、自社のサービスのブランドが低下することになるためです。
不動産会社への審査も一度だけではなく、定期的にチェックを怠りません。
不動産査定サービスを運営する会社にとっては、会員不動産会社が適正なサービスをしないと死活問題に繋がります。
そのため、厳しくチェックしている大手や老舗の不動産査定サービスを選ぶようにしましょう。
不動産会社の選び方については、知らないと損をする!?不動産売却に注意したい5つのポイントと不動産会社の選び方の記事で詳しく解説しています。
個人情報の保護を徹底している不動産査定サービス
不動産会社とのやり取りで迷惑とされているのは、まだこちらが売ることも決めていないのに、営業活動をされることです。
冒頭でも紹介しましたが、「今、○○○万円で買う人がいるのですが、どうしますか?」というような営業をする不動産会社はたくさんあります。
信頼のおける不動産査定サービスは、お客様の個人情報も厳格に取り扱っているので、自ら個人情報を伝えない限り営業活動はされません。
そのため、不動産査定サービスを選ぶ場合には、個人情報の取り扱いをどうしているのかもチェック項目に含めておきましょう。
無料一括査定サービスの使い方と売却までの流れ
最後に不動産の無料一括査定サービスというのはどのように使い、不動産を売却していくのかという流れを解説します。
実際のサービスの流れは次のとおりです。
- (1)売却する基本情報を登録する
- (2)サービスの不動産会社がピックアップされるので選択する
- (3)机上査定にするか訪問査定にするか選択する
- (4)査定価格を比較する
- (5)不動産会社を選び媒介契約を締結
- (6)不動産会社が買い手を見つけて売買契約をする
- (7)不動産の引き渡し
以上の7つの流れについて順を追って説明します。
(1)売却する基本情報を登録する
まず無料査定一括サービスを受けるためには、売却を検討している不動産の基本的な情報を登録します。
登録する情報は次のような項目です。
- ・物件種別(マンション、一戸建て住宅、その他)
- ・物件所在地
- ・マンションであれば物件名
- ・間取り
- ・築年数
- ・物件の状況(居住中、賃貸中、空室など)
- ・物件とお客様の関係(所有者、賃貸人、親族所有など)
- ・査定する理由
- ・希望する査定方法(訪問査定、机上査定)
- ・問い合わせ者の個人情報(氏名、住所、電話番号、メールアドレス、その他質問事項)
(2)サービスの不動産会社がピックアップされるので選択する
基本情報を登録すると、査定サービスの画面に自分の条件に合った不動産会社が複数表示されるので、その中から実績のある会社を選択しましょう。
通常は6社ほど紹介され、基本的にはこれから売却しようとしている不動産を得意とする不動産会社がリストアップされます。
そのため、紹介された数社に関してはすべて査定を依頼しても構いません。
ここで1社だけしか選ばないと他と比較することができないため、審査基準を把握するためにも複数社に査定を依頼することが、不動産の査定の鉄則です。
(3)査定を机上査定にするか訪問査定にするか選択する
悩ましいのは、査定手段を机上査定にするか、訪問査定にするかを選ぶ時です。
もし不動産の売却を真剣に検討しているということであれば、不動産会社を選ぶという観点からも訪問査定を選択しましょう。
訪問査定の場合は不動産会社が査定書を作成してプレゼンテーションをします。
納得できるまで説明を受けるようにしましょう。
複数の不動産会社に声をかけているのであれば、どこが自分の不動産の売却を委託するのにふさわしいのか、家族も含めて検討することをおすすめします。
ただし、ある程度の価格だけ知りたいという段階であれば、それほど正確な価格も必要ないので、机上査定でも十分です。
(4)査定価格を比較する
査定価格については、冒頭でも紹介したようにお客様を「釣る」ために不当に高い価格で査定価格を提示する場合もあるので注意してください。
複数の企業に査定依頼を出しても、通常は10%前後の価格差になります。
不動産会社としっかり話し合いをして、納得できるまで話し合いをして決めましょう。
不動産を売却する上では、いかに自分たちのために動いてくれる不動産会社かが最も大事です。
少し時間がかかっても構わないので、会社選びは慎重に行いましょう。
(5)不動産会社を選び媒介契約を締結
不動産会社を選んだら、媒介契約を締結することになります。
媒介契約とは、不動産の売却を委託して成約したら、仲介手数料を支払うという約束事が記載された契約書です。
媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任の3種類の契約方法があります。
不動産会社にとって最も有利なのは専属専任媒介契約なので、最初の3か月は1社のみで専属専任媒介契約を締結するのが一般的です。
ただ、3ヶ月経っても報告がなかったなど、不誠実だと感じることがあれば、随時変更していきましょう。
(6)不動産会社が買い手を見つけて売買契約をする
媒介契約をした不動産会社が買主を見つけ、売却側双方で価格などすべての点で納得すれば売買契約を締結します。
通常は、仲介に入った不動産会社が契約書類一式を作成します。
(7)不動産の引き渡し
最後は不動産の引き渡しです。
買主から残代金を受け取って、所有権を移転させるまでが売買の内容となります。
ただし引き渡しの手続きも仲介に入っている不動産会社が段取りをしてくれるので、売主としては必要な書類等を用意すれば、特に問題はありません。
大まかに上記の7ステップで不動産売却が進んでいきますが、さらに詳細な手順を知りたい方は初めての不動産売却…会社の選び方・依頼方法・契約時のポイントについて詳しく解説の記事を参考にしてください。
まとめ
不動産の無料査定サービスを利用すると変な営業をされるのではないかと思っている人も少なくありませんが、不動産の売却をするためには取り入れていきたいサービスです。
特に、不動産の売却をスムーズに進めるためには、自分に合った不動産会社との出会いが大事になるので、本気で売却を検討している人は積極的にこのサービスを利用しましょう。