【不動産売却】家を売るのに必要な書類一覧まとめ【入手方法や費用・注意点も解説】
この記事でわかること
- 不動産売買契約をするにあたり売主が集めるべき必要な書類がわかる
- 集めるべき必要な書類について、取得方法とかかる時間がわかる
- 不動産売買にかかる費用の目安がわかる
不動産を売却する場合、売主は単に家を引き渡すだけでやることが終わりではありません。
そもそも不動産自体がどういったものであるかを証明するために、売主はいくつかの書類を集める必要があるのです。
また、所有権を移転したり抵当権を抹消したりと、登記に関しても様々な書類が必要です。
そこで、ここでは家を売るのに必要な書類について簡単に解説をしていきます。
目次
家を売るのに必要な書類一覧
不動産を売却する場合、売主は単に家を引き渡すだけでやることが終わりではありません。
そもそも不動産自体がどういったものであるかを証明するために、売主はいくつかの書類を集める必要があるのです。
また、所有権を移転したり抵当権を抹消したりと、登記に関しても様々な書類が必要です。
そこで、ここでは家を売るのに必要な書類について簡単に解説をしていきます。
家を売るのに必要な書類の分類について
自宅を売却する時に、売主は時期に応じて3種類の書類を用意する必要があります。
まず一つは不動産そのものに関する書類です。
次に、二つ目は税金や住宅ローンなどのお金に関する書類です。
そして、三つ目は不動産登記の所有権を移転するために必要な書類です。
不動産そのものの情報に関しての書類について
不動産は大きく動かすことができないので、その内容を把握するためには必ず書類が必要です。
そして、実際に住んでいる人と所有者が違うことも当たり前にあるので、誰が所有者なのか、どのくらいの大きさなのか、住宅ローンは設定されているのか、などの重要な情報は登記事項証明書でしか確認することができないのです。
登記事項証明書(登記簿謄本)とは何か
登記事項証明書とは、不動産に関する所在や面積、権利関係がすべて記された公的な証明書です。
この登記事項証明書は、昔は登記簿謄本と名前だったので、年配の方は「登記簿(とうきぼ)」や「謄本(とうほん)」と呼ぶ方も多いですが、意味しているものは同じです。
税金や住宅ローンなどのお金についての不動産の書類
不動産は金額が大きいため、税金や諸経費なども金額が大きくなります。
そこで、売主はお金に関する書類を集め、正確な情報を不動産業者、買主に提供することで不動産売買契約をスムーズに進めることができるのです。
代表的な書類は、税金に関する書類、住宅ローンに関する書類、そしてマンションの管理費、修繕費の積立金に関する書類です。
固定資産税納税通知書(課税明細書)とは何か
不動産の所有者は、毎年固定資産税を納税しなければなりません。
固定資産税納税通知書は毎年4月から6月にかけて、登記上の所有者に郵送されてきます。
そして、課税明細書も同封されています。
この課税明細書には、不動産の評価額や課税標準額などが記載されています。
この不動産の評価額がわかれば納税しなければならない固定資産税の金額と、登録免許税の税額を計算することができます。
(住宅ローンがある場合は)住宅ローン残高証明書とは何か
これから売却するつもりの不動産が、住宅ローンを返済中の場合は、残りの残高がわかる書類が必要です。
返済計画通りに返済している場合は、返済予定表でも足りる場合もありますが、一番確実な書類は、銀行から発行される残高証明書です。
(マンションの場合は)マンション管理組合の管理費、修繕費積立計算書とは何か
売却しようとしている不動産がマンションの場合には、買主は管理組合に入らなければなりません。
そして、買主にとってどんなマンション管理組合なのか、管理費・修繕費はどのくらい積み立てられているのかは非常に重要な関心ごとになります。
そのため。
売却しようとしている不動産がマンションの場合は、マンションに管理費、修繕費の積立金がわかる書類が必要です。
不動産の所有権移転登記をするのに必要な書類について
不動産を売るために契約を結んだ後は、売主には「買主に所有権を移転させる義務」が発生します。
所有権を移転させるためには、売主しか取得できない書類を用意して、買主に渡すことが必要になります。
具体的には、登記識別情報、印鑑証明書、相続関係書類などです。
これらの書類を集めるには時間もかかり、中には再発行できないものも含まれているので、事前に書類を集めておくことをおすすめします。
登記識別情報(権利証)とは何か
登記識別情報とは、売主が本当に不動産の所有者であることを証明するために通知された秘密の12桁の番号のことです。
実物はA4サイズの用紙に12桁の英数字が印刷されていて、それが目隠しシールで隠されています。
2005年以前に不動産を取得した人は申請書類の副本を「権利証」という形で持っているかと思いますが、呼び方は違っても効力は登記識別情報と同じです。
なお、この書類がなくても所有権移転登記自体はできますが、追加で司法書士に支払う費用がかかる可能性があるためご注意ください。
実印と印鑑証明書とは何か
不動産売買の場合、所有権移転登記の手続きは司法書士に委任することが一般的です。
この際に売主は司法書士に委任する委任状には実印を押印しなければなりません。
そのため、売主は所有権を移転する際には印鑑証明証が必要です。
印鑑証明証の仕組みは、まず印鑑の陰影を市役所に届け出ることが必要です。
この時に市役所に登録した印鑑のことを、実印と呼び、その陰影を証明する書類を印鑑証明書と呼ぶのです。
(相続があれば)相続人との関係性を証明する書類
不動産の所有者の名義が亡くなった方のままになっている場合は、亡くなった方と売主との関係を証明する書類が必要です。
具体的には、亡くなった方の除籍個人事項証明書(除籍抄本)や売主の戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)などが必要です。
委任状とは何か
売買契約後は、不動産の所有権を売主から買主に移転する手続きが必要です。
不動産売買の場合、司法書士に移転を委任するので、その手続きに委任状が必要です。
この書類は、通常の場合、売主ではなくて司法書士が用意します。
書類名 | マンション | 戸建て | 土地 | 備考欄 |
---|---|---|---|---|
登記事項証明書 | 要 | 要 | 要 | |
固定資産税納税通知書・課税明細書 | 要 | 要 | 要 | |
住宅ローン残高証明書 | 残高あれば必要 | 残高あれば必要 | 残高あれば必要 | 残高がなければ不要 |
マンション管理組合規約・管理費・修繕費積立一覧 | 要 | 対象外 | 対象外 | |
登記識別情報 | 要 | 要 | 要 | ない場合は必ず不動産業者に相談 |
印鑑証明書 | 要 | 要 | 要 | |
相続関連書類 | 相続あれば必要 | 相続あれば必要 | 相続あれば必要 | ない場合は必ず不動産業者に相談 |
不動産を売るのに必要な書類の入手方法
不動産を売却する時に必要な書類は、マンションや戸建てによって違いはありますが、ほとんどが共通しています。
そこで、マンションの場合も含めて、不動産を売却するのに必要な書類の入手方法についてご説明していきます。
家を売るのに必要な書類の入手の仕方と費用について
売主が用意する書類は、基本的には売主しか手に入れることができない書類ばかりです。
大部分の書類は区役所・市役所などの役所に行けば手に入るものばかりで、費用も安価なものが多いです。
ここでは、書類の種類に応じて入手方法と費用、入手にかかる時間の目安を解説していきます。
登記事項証明書はどうやって取得するか
登記事項証明書は法務局で取得できる書類です。
登記事項証明書を取得する方法は大きく分けて、法務局の窓口で取得する方法、インターネットで申請して法務局の窓口で取得する方法、インターネットで申請して郵送で受け取る方法の3つに分けることできます。
インターネットでの請求方法は、専用ソフトのダウンロードも不要で手数料はインターネットバンキングで支払うこともできるので、最も簡単でおすすめの方法です。
登記事項証明書を入手するための費用は、窓口で取得する場合は600円、インターネットで請求して窓口で受け取る場合は480円、インターネットで請求して郵送で受け取る場合は500円です。
かかる時間は、窓口だと即日、インターネットを使った請求でも平日2、3日あれば手に入れることができます。
固定資産税納税通知書(課税明細書)はどうやって取得するか
固定資産税納税通知書と課税明細書は毎年郵送で送られてくるので、新たに取得する必要はありません。
最新のものを自宅から探しましょう。
しかし、万が一捨ててしまった場合は、同じ内容の評価証明書という書類を取得すれば問題ありません。
評価証明書は、東京都23区の場合は都税事務所、その他の場所の場合は市役所の税務課に行き手数料を支払えば取得できます。
費用は、場所によって異なりますが23区の場合は400円です。
かかる時間は、基本的に即日発行してくれるため、平日ならばいつでも取得できます。
住宅ローン残高証明書はどうやって取得するか
住宅ローンの残高証明書は、住宅ローンを組んでいる金融機関に連絡をして取り寄せましょう。
金融機関の担当者に、不動産を売却しようと考えているので残りの住宅ローンの残高がわかる書類が欲しいと伝えれば取得できます。
費用は銀行によって発行手数料が異なりますが、一般的には500円前後の金融機関が多いでしょう。
かかる時間も金融機関によって異なりますが、大体1週間から2週間程度で取得できるところが多いでしょう。
マンション管理組合の管理費、修繕費積立金明細書はどうやって取得するか
マンション管理組合の管理費、修繕積立金明細書は、マンションの管理組合に連絡をして取得しましょう。
規模が大きなマンションの場合は、管理人室が管理組合の窓口を兼ねている場合も多いと思います。
売主であれば組合員なので、ついでにマンションの管理組合に連絡して規約を取得することをおすすめします。
費用は基本的にはかからないと思いますが、大規模な管理組合だと何億円単位で積み立てされていることも多く、明細書き取り得に時間がかかることもあるため、早めに依頼しましょう。
登記識別情報はどうやって取得するか
登記識別情報は、新たに取得する書類ではなく、不動産を取得した時点ですでに持っているはずの書類です。
不動産を購入した時の重要書類一式か司法書士から受け取った書類の中に入っていることも多いので、ファイルを探してみましょう。
ちなみにこの登記識別情報は色々な書類の中で唯一再発行できない書類です。
しかも、この登記識別情報は、買主に所有権を移転する際に必須なので、見当たらない方は決済までの間に必ず探しておくようにしましょう。
万が一、見つからなくても他の方法で所有権を移転する方法はありますが、手続きや費用が変わってくるので、見つからない場合は早めに不動産業者に連絡したほうが良いでしょう。
印鑑証明書はどうやって取得するか
印鑑証明書は、印鑑登録をしている区役所・市役所の窓口や出張所などで取得できます。
また、最近はコンビニなどで気軽に取得できる地方自治体も多いので、区や市のホームページを参照してください。
費用は地方自治体によって異なりますが、23区の場合は300円です。
かかる時間もほとんどなく、即日発行される書類です。
相続人との関係性を証明する書類はどうやって取得するか
除籍個人事項証明書(除籍抄本)や売主の戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)などは、基本的には区役所・市役所の市民課で取得します。
かかる費用は印鑑証明証と同じく地方自治体によって異なりますが、23区の場合、除籍個人事項証明書は750円、戸籍個人事項証明書は450円です。
これらの書類も即日発行されます。
必要な書類ではあるが司法書士が用意してくれるもの
所有権移転に必要な書類のうち、司法書士への委任状、登記原因情報、登記申請書などの書類は司法書士が作成してくれます。
そのため、売主が用意する必要はありません。
ただし、これらの書類には署名と実印で押印する必要があるので、実印は忘れずに用意しましょう。
必要書類を用意するときの注意点
必要な書類や入手方法がわかった上で、次はいつまでに必要なのかという点をご紹介していきます。
基本的には、書類は早ければ早いほど良いのですが、印鑑証明証のように取得してから3ヶ月以内というような有効期限がある書類もあるので注意が必要です。
不動産会社と媒介契約を結んだ段階で書類を用意しておく
不動産売買契約には思っているよりも多くの書類が必要になります。
一つ一つはたいして手間はかからないのですが、まとまると多くなるので、平日に休んでまとめて集めようと考えている方はかなり骨の折れる作業になります。
よくあるケースとして、契約が決まってから探し始めてあると思っていた書類がない、で焦るパターンです。
時間がかかるということを念頭において不動産会社と媒介契約を結んだ時点で、書類の一覧表を不動産業者からもらって、用意を早めにすることをおすすめします。
平日にしか空いていない役所関連はなるべく郵送で取り寄せる
入手方法の部分で説明した通り、市役所や都税事務所、法務局で取得できる書類がいくつかあります。
これらの公的機関は平日しか開いていないので、書類を取得するには平日日中に行くしかありません。
慣れている方であれば、どこでどの書類が取得できる、待ち時間はどのくらいとわかるのですが、初めてだと予想外に待たされたり、窓口が違っていたりと、トラブルに直面することも多いです。
そのため、時間はかかりますが、郵送で取り寄せることをおすすめします。
用意する時期について
全ての書類が一気に必要なわけではなく、時期に応じて必要な書類は異なります。
そこで取引の進行度に応じて、どんな書類が必要なのか解説していきます。
査定時期について
査定の段階では、まだ不動産業者に媒介を依頼することを決めたわけではありません。
そこで必要な書類は、不動産に関する書類だけです。
具体的には登記事項証明書さえあれば、査定を依頼することは可能です。
ただし、ここでの説明はあくまでも一般的な例なので、具体的には不動産業者の担当者に確認が必要です。
不動産業者と媒介契約を締結した時期
不動産業者に媒介を依頼する時点では、売り出し価格等を決めなければなりませんので、税金や費用に関する書類が必要になります。
具体的には、 固定資産税納税通知書・課税明細書、住宅ローン残高証明書、マンション管理組合規約・管理費・修繕費積立一覧などが必要です。
買主が見つかって売買契約を締結した時期
売り出しを始めて買主が見つかった後は、売買契約を行います。
この時点では特に特別な書類は必要ありません。
残代金の決済、所有権移転登記を行う時期
最後に、決済の時期には所有権移転に必要な書類が必要になります。
具体的には、登記識別情報、印鑑証明証などが必要になります。
万が一、必要な書類が手に入らない時にはどうすればいいか
万が一、必要な書類が必要な時期までに見つからない場合はどうすれば良いでしょうか。
たとえば、書類を集め始めると、最初はあると思っていた書類がないことに気づくかもしれませんし、書類の入手が間に合わない場合もあるでしょう。
その場合は、自己判断せずに必ず不動産業者に相談しましょう。
不動産売買契約は複雑なので、似た名前の書類だから大丈夫だろうと安易に考えると、想定外のトラブルに巻き込まれることもあるため注意しましょう。
ちなみに書類がなくても、代わりの方法を取れば不動産売買契約自体は進めることができますが、追加で費用や時間がかかることが多いです。
不動産売却にかかる費用と相場
不動産を売却するには、仲介手数料や税金など様々な費用がかかります。
そこで、具体的に誰にいくらくらい支払えば良いのか、相場や目安を含めて解説していきます。
手数料について
不動産売買はいろいろな専門家が売買に関わります。
手数料とはこれらの不動産取引に関わる様々なプロに支払う費用のことです。
不動産業者に支払う仲介手数料
売買契約をまとめた不動産業者に支払う仲介手数料です。
不動産の価格によって仲介手数料は異なりますが、上限は売買価格の3%に6万円を加えた金額の消費税10%です。
たとえば、2,000万円の取引であれば、((2,000万円×3%)+6)×消費税で、72万6,000円が仲介手数料の目安です。
司法書士登記手数料
所有権移転登記を行う司法書士に支払う手数料です。
住宅ローンがある場合はさらに抵当権抹消の手数料も追加でかかります。
この手数料は司法書士によって異なるので、契約前に必ず金額を確認しましょう。
測量費用、解体費用
他に発生する手数料としては、測量士や土地家屋調査士に支払う測量費用、解体業者に支払う解体費用などがあります。
住宅ローン繰上げ返済費用
住宅ローンが残っている場合は、売買代金によって一気に完済することになります。
この際に金融機関によっては事務手数料として返済費用を請求される場合があります。
税金について
不動産売買はタイミングに応じて様々な税金が課税されます。
ここでは、契約の時期に合わせて課税される税金と、おおよその相場について説明します。
売買契約、決済の間
売買契約締結時には契約書に貼る印紙税がかかります。
たとえば2,000万円の不動産取引であれば印紙税は5,000円です。
次に、所有権移転の前に抵当権を抹消しなければなりませんので、住宅ローンがある場合は、抵当抹消のための登録免許税がかかります。
これは1件につき1,000円と少額です。
ただし、戸建ての場合は土地1件、建物1件と別々にカウントされるため注意が必要です。
売買契約後の翌年の確定申告までの間
不動産を売却して利益が出た場合は、翌年に確定申告をする必要があります。
そして、控除金額を除いても利益が出る場合は所得税と住民税が課税されます。
これらは不動産を所有していた期間に応じて税率が変わるので、必ず専門家に確認するようにしてください。
参考までに、所有期間が5年以下と短い場合は最高で所得税30.63%、住民税9%で39.63%が税金として課税されるので注意が必要です。
まとめ
以上が、不動産売買契約をするにあたって売主が集めないといけない書類の説明と入手方法でした。
必要な書類は不動産の種類や取引内容によって変わってくるので、必ず不動産業者の担当者と相談しながら、トラブルなく売却を進めてください。