土地売却時に活用したい税金控除11種類まとめと計算例【売った後の手取りを増やす方法とは?】
この記事でわかること
- この記事で網羅できる!土地の売却時に使える11種類の特例控除
- 自宅の土地売却に使える税金控除や特例
- 相続した土地などの売却に使える特例や控除
- 土地を売って売却損が出た場合に使える特例や控除
- 自宅以外の土地売却に使える特例
- 手取り額を多くする土地の売り方
土地は税金の塊ともいわれ、所有しているだけで固定資産税などが発生し、相続の際にも相続税の課税対象になってしまいます。
また、近年では継ぎ手のいない不動産も増えており、所有者が亡くなった後、そのまま放置されてしまう土地や家屋も問題になっています。
不要な土地については、相続前であれば納税資金用に売却し、相続後であれば売却益をマイホーム資金や生活費に充てるなど、処分を検討してもよいでしょう。
しかし土地を売却すると譲渡所得税もかかり、売り方次第では手取り金額も大幅に変わってきます。
なるべく税金を低く抑え、手取りを増やすためには、特例や控除を上手に活用し、仲介業者の選定も重要になってきます。
今回は土地を売る際に使える税金の特例や、手取りを増やせる方法を紹介しますので、土地売却を検討しておられる方はぜひ参考にしてください。
目次
これさえ見ればOK!土地を売却したときに使える|税金特例は11種類
土地の売却には、以下のような11種類の特例を適用することができます。
売却時の条件などによって以下の特例や控除を利用できるため、納税額がゼロ円になることもあり得ます。
条件 | 活用できる特例や控除 |
---|---|
1 居住用の建物を解体して売却 | 3,000万円の特別控除 > 居住用財産の3000万円控除の特例とは?相続空き家の控除との違いも解説 |
2 解体した建物や土地の所有期間が10年超 | 軽減税率の適用 > 10年超所有軽減税率の特例とは?居住用財産の3000万円控除とも併用可能 |
3 自宅の買い換え | 特定の居住用財産の買い換え特例 > 特定の居住用財産の買い換え特例をわかりやすく解説【3000万控除とどちらがお得?】 |
4 相続した実家などを売却 | 3,000万円特別控除 > 相続空き家の譲渡所得3000万円特別控除とは?併用可能な特例も紹介 |
5 住宅ローンに残債があり、売却によって譲渡損失が出た場合 | 譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例 > マイホーム売却で損したときに使える譲渡損失控除の特例とは?計算例や適用要件まとめ |
6 自宅の買い換えで譲渡損失が出た場合 | 譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例 > マイホームの買い換えで損したときに使える譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは? |
7 平成21年、22年に取得した土地を5年以上保有して売却 | 1,000万円控除 > 平成21年・22年に取得した土地等の売却時に受けられる1000万円の控除について |
8 公共事業用に売却 | 5,000万円の特別控除 > 公共事業のため土地建物を譲渡したら5000万円の控除が受けられる特例について |
9 特定土地区画整理事業用に売却 | 2,000万円の特別控除 > 2000万円の特別控除?区画整理で土地売却時に受けられる特例とは |
10 特定住宅地造成事業用に売却 | 1,500万円の特別控除 > 【特定住宅地造成事業のための土地売却】最大1500万円の特別控除を詳しく解説 |
11 農地保有の合理化として売却 | 800万円の特別控除 > 農地売却時に使える800万円の特別控除とは?1500万・5000万までの控除の特例もあるの? |
では各特例や控除の具体的条件などを詳しく解説します。
自宅の土地売却時に使える税金控除・特例
一定の条件を満たしている場合は、自宅の土地を売却した際の税金が大幅に安くなります。
特に居住年数や土地の状態が重要になるため、条件にマッチすれば有利な売却が可能です。
■1 居住用財産の3,000万円特別控除
自宅を売却する場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できます。
所有期間が短くても利用できる控除であり、以下のように計算します。
居住用財産の3,000万円特別控除の計算
- ・居住用財産の3,000万円特別控除:譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円
- ・計算の一例:6,000万円(譲渡価額)-4,000万円(取得費)-250万円(譲渡費用)-3,000万円=譲渡所得0円
控除がなければ33%の税率が適用されるので、かなり大きな節税になります。
居住用財産の3,000万円特別控除の適用条件
3,000万円の特別控除を利用するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- ・居住用の財産(マイホーム)であること
- ・売却先が親族や同族会社などの近親関係にないこと
- ・空き家になった日から3年後の12月31日までに売却
- ・家屋の解体日から1年以内に譲渡契約を締結し、空き家となった3年後の12月31日までに売却
- ・家屋解体日から譲渡契約の締結日まで、賃貸業などの用途に使っていないこと
なお、控除の利用だけを目的とした入居や別荘には適用されず、確定申告も必要となります。
他にも細かな条件があるため、詳細は国税庁ウェブサイトで確認してください。
■2 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
所有期間が10年を超える自宅の場合、譲渡所得税の税率が優遇されます。
まず、通常の税率について短期所得と長期所得の2種類を確認してみましょう。
所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 (所有期間5年以下) | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 (所有期間5年超) | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
所有期間が10年を超え、一定条件を満たしていると以下の軽減税率が適用されます。
所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
---|---|---|---|---|
6,000万円以下の部分 | 10% | 0.21% | 4% | 14.21% |
6,000万円超の部分 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
6,000万円以下の部分は税率が半分以下になるため、条件が合致すれば大幅な節税になります。
では次に、特例が使える条件をみてみましょう。
10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率が使える条件
軽減税率が適用される条件は以下のようになっています。
- ・売却した年の1月1日現在で居住用財産の所有期間が10年超であること
- ・売却先が親族や同族会社などの近親関係にないこと
- ・空き家になった日から3年後の12月31日までに売却
- ・家屋の解体日から1年以内に譲渡契約を締結し、空き家になって3年後の12月31日までに売却
- ・家屋解体日から譲渡契約の締結日まで、賃貸業などの用途で使っていないこと
この特例は先に解説した居住用財産の3,000万円特別控除と併せて利用できます。
さらに細かな条件は国税庁ウェブサイトで確認してください。
■3 特定の居住用財産の買換え特例
令和3年12月31日までに自宅を買い替えた場合、それまで住んでいた自宅の売却益を将来に繰延べできる特例です。
仮に2,000万円で購入した自宅を4,000万円で売却した場合、差額の2,000万円が売却益になりますが、次に購入した自宅を売るまでは売却益の課税を先送りできます。
税率が低くなるわけではありませんが、納税時期をずらしたい、所得を低くしておきたいといった場合に活用できます。
特定の居住用財産の買換え特例が使える条件
以下の条件を満たせば買い替え特例を利用できます。
- ・居住期間と所有期間が10年超であること
- ・空き家になった日から3年後の12月31日までに売却
- ・売却代金が1億円以下
- ・家屋の解体日から1年以内に譲渡契約を締結し、空き家になって3年後の12月31日までに売却
- ・家屋の解体日から譲渡契約の締結日まで、賃貸業などの用途に使っていないこと
- ・売却先が親族や同族会社などの近親関係にないこと
- ・買い換える建物の床面積は50㎡以上、土地面積は500㎡以下
- ・売却した年の前年から翌年までの3年の間に買い替えること
- ・中古住宅に買い替える場合、取得日から起算して25年以内の建築または、一定の耐震基準を満たしていること
この特例は、ここまでに解説した他の特例等と併用不可のため、まず3,000万円の特別控除が使えるかどうかを確認するとよいでしょう。
相続した住宅・土地を売却するときに使える税金控除・特例
親や祖父母から受け継いだ家が空き家になるケースもありますが、一定条件を満たせば売却時に3,000万円の特別控除を受けられます。
正式には「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」といい、以下のように計算します。
- ・相続空き家の3,000万円特別控除:譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円
- ・計算の一例:7,000万円(譲渡価額)-5,000万円(取得費)-300万円(譲渡費用)-3,000万円=譲渡所得0円
すでに持ち家がある場合や、相続した土地・家屋が遠隔地など、所有するメリットが少なければ活用したい特例です。
なお、特例を利用するためには次の条件を満たす必要があります。
■4 相続した住宅・土地を売却するときに使える特例等の条件
3,000万円の特例控除は以下の条件を満たしていると使えますが、確定申告は必要なので忘れないようにしてください。
- ・被相続人が居住していた土地家屋を相続し、平成28年4月1日~令和5年12月31日の間に売却
- ・相続開始日から3年後の12月31日までに売却
- ・売却代金が1億円以下
- ・売却先が親族や同族会社などの近親関係にないこと
- ・昭和56年5月31日以前に建築された家屋
- ・一定の耐震基準を満たしていること
- ・相続から譲渡までの間に、事業や貸付や居住などの用途に使用されていない
- ・家屋を解体して売却する場合、相続から譲渡までの間に、事業や貸付や居住などの用途に使用されていない
さらに詳しい条件などは国税庁ウェブサイトに掲載されています。
参考:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)
土地売却で損をしたときに使える税金控除・特例
状況やタイミングによって土地の売却には損失が出ることもありますが、一定条件に合致する場合は税金の控除や特例を受けられます。
控除・特例には次の2種類があり、いずれもマイホームの売却や買い替え時に使えます。
■5 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
住宅ローンの残債がある自宅を令和3年12月31日までに売却し、ローン残高を下回る売却額により譲渡損失が出た場合、その年の他の所得から損益通算できます。
以下のようなケースの場合、損益通算により所得税はかからず、源泉徴収からの還付も受けられます。
- ・4,800万円で購入した自宅を2,000万円で売却
- ・住宅ローンの残債は2,500万円(売却額がローンの残債を下回っている)
- ・譲渡損失は2,800万円
2,800万円の譲渡損失は、譲渡した年とその後3年間に渡って繰り越せるので、給与所得が700万円であれば4年間は所得税をゼロ円(700万円×4年)にできます。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用条件
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除について、特例を受けるためには以下の条件が必要です。
- ・現在自分が住んでいる自宅の売却(家屋、または家屋と土地)
- ・空き家になった日から3年後の12月31日までに売却
- ・売却年の1月1日時点で所有期間が5年超(解体した場合は解体年の1月1日時点)
- ・解体日から1年以内に譲渡契約を締結し、空き家になって3年後の12月31日までに売却
- ・解体日から譲渡契約の締結日まで、賃貸業などの用途に使っていないこと
- ・売買契約日の前日時点で、償還期間10年以上の住宅ローン残高が残っていること
- ・譲渡価額が上記の住宅ローン残高を下回っていること
この特例は住宅ローン控除と併用はできますが、居住用財産の3000万円特別控除などの特例とは併用できない場合があるので注意してください。
参考:特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(国税庁)
■6 マイホームを買い替えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
新たな自宅への買い替えで譲渡損失が出た場合、損失をその年の他の所得から損益通算できる制度です。
先ほどと同じ条件のケースでは損益通算により所得税はかからず、源泉徴収からの還付も受けられます。
- ・4,800万円で購入した自宅を2,000万円で売却
- ・住宅ローンの残債は2,500万円(売却額がローンの残債を下回っている)
- ・譲渡損失は2,800万円
2,800万円の譲渡損失は、譲渡した年とその後3年間に渡って繰り越せるので、給与所得が700万円であれば4年間は所得税をゼロ円(700万円×4年)にできます。
マイホームを買い換えた場合の特例の条件
譲渡損失による損益通算や繰越控除の特例は、以下の条件を満たすと使えます。
- ・現在自分が住んでいる自宅の売却(家屋、または家屋と土地)
- ・空き家になった日から3年後の12月31日までに売却
- ・売却年の1月1日時点で所有期間が5超(解体した場合は解体年の1月1日時点)
- ・解体日から1年以内に譲渡契約を締結し、空き家になって3年後の12月31日までに売却
- ・解体日から譲渡契約の締結日まで、賃貸業などの用途に使っていないこと
- ・譲渡した前年1月1日から翌年12月31日までに新たな自宅を取得し、翌年12月31日までに住み始めていること
- ・買い換え後の自宅の床面積が50㎡以上であること
- ・償還期間10年以上の住宅ローン残高があること
現在の自宅の敷地面積が500㎡超の場合など、特例の適用除外となる条件もあるため、詳しくは国税庁ウェブサイトで確認してください。
参考:マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(国税庁)
その他特別なケースで使える税金控除・特例
マイホームの売却以外にも使える特例や控除は5種類あり、条件が合えば売却時(譲渡時)の所得金額を大幅に減額できます。
今後の処分を検討する際には必ずチェックしておいてください。
■7 平成21年、22年取得の土地等の保有期間が5年超の場合の1000万円控除
土地の取得タイミングが限定されているため、一般的に知られる特例ではありませんが、当時のリーマンショックによる不動産取引の鈍化防止策となっています。
不動産売買が活性化するよう、平成21年~22年に購入した土地は5年以上保有して売却すると1,000万円の所得控除を受けられるという措置です。
土地の購入時期が限定されていることから、忘れやすい特例の1つなので注意しましょう。
■8 平成21年、22年取得の土地等の1000万円控除の利用条件
- ・平成21年1月1日から平成22年12月31日の間に取得した土地
- ・平成21年取得の土地は平成27年以降に譲渡、平成22年取得の土地は平成28年以降に譲渡する
- ・売却先が親族や同族会社などの近親関係にないこと
- ・相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済及び所有権移転外リース取引により取得した土地等ではないこと
- ・譲渡した土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど他の譲渡所得の特例を受けないこと
特例を受けるためには確定申告が必要であり、平成21年~22年の取得を証明する資料も必要になるので、登記事項証明書や売買契約書も忘れないようにしましょう。
参考:平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除(国税庁)
■9 公共事業用に土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
土地や建物を公共事業などのために売却した場合、以下の条件を満たせば5,000万円の特別控除の特例が使えます。
- ・売却した土地や建物が個人の固定資産であること(不動産業者などが販売用として所有する土地は除外)
- ・その年に公共事業のために売却した資産の全部について、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税特例を受けていないこと
- ・最初に買取りなどの申出があった日から6カ月を経過した日までに土地建物を売却していること
- ・公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者(その者の死亡に伴い相続または遺贈により当該資産を取得した者を含む)が譲渡していること
なお、同じ公共事業で2年以上にまたがって資産を売る場合、特例の適用は最初の年だけになります。
■10 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
国土交通省による市街地のまちづくり活性事業用に、個人の所有地を売却した場合は、譲渡所得から2,000万円を控除できます。
なお、他の特例や控除と同様に確定申告は必要であり、2年にまたがる譲渡の場合は最初の年しか適用されません。
■11 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
土地収用法になどに基づく特例であり、土地を売った際の譲渡所得から1,500万円を控除できる制度です。
売却先(買い手)が地方公共団体や地方住宅供給公社、航空会社などの場合や、住宅地造成のための土地買い取りの際に利用できます。
農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
個人の所有地を農地保有の合理化などのために売却した場合、800万円の所得控除が適用される特例です。
特例が適用される条件は多岐にわたりますが、主な条件としては以下の項目が挙げられます。
- ・農業委員会の斡旋等により農業振興地域内の農地を譲渡した場合
- ・農用地利用集積計画の定めにより農用地区域内の農用地等を譲渡した場合
- ・林地保有の合理化のため、地域森林計画の対象林地を譲渡した場合
耕作放棄地になる農地などがあれば、地域の農業委員会に相談してみるとよいでしょう。
土地売却で税金控除を受けるときの注意点
11種類の特例や控除を解説しましたが、実際に土地を売る際は条件に合致しているか入念なチェックが必要です。
また特例や控除は自動適用されないため、次に解説するとおり確定申告にも注意しておきましょう。
特例や控除を受ける場合は申告が必要
どの特例や控除も勝手に適用されるわけではないので、土地を売却した翌年には必ず確定申告をしてください。
確定申告の時期は2月16日~3月15日ですが、申告書に添付する書類も必要になるため、できるだけ早めに準備するとよいでしょう。
土地の取得や売却に関する書類は失くさないよう、大事に保管しておいてください。
確定申告に不慣れな人は戸惑うことも多いため、申告書の記載などに漏れがないよう、国税庁が公開しているチェックシートを活用してもよいでしょう。
併用できない土地売却の特例や控除に注意
土地を売った際の所得控除や特例には、次のように併用できるものとできないものがあります。
【併用可能な特例および控除】
- ・居住用財産の3000万円特別控除
- ・10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
上記の2つは併用可能ですが、以下の特例や控除は単独でしか使えません。
【併用できない特例および控除】
- ・特定の居住用財産の買替え特例
- ・特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- ・マイホームを買い替えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
併用可能な特例であっても、前年や前々年に使っているためその年は使えないというケースもあります。
土地の取得日など、適用条件には入念なチェックが必要です。
土地売却で手元に残るお金を増やすコツ
理想的な土地売却には減税措置の活用が重要であり、手取りを増やすためには費用の節約も必要です。
手取りを増やすコツについては、次に解説する手法を参考にしてください。
土地や建物は清掃や管理を徹底する
基本中の基本ともいえますが、手入れが行き届いていない不動産は査定額も低くなり、買い手にとっても魅力を感じない物件になります。
雑草が伸び放題にならないよう管理し、不用品の放置やゴミなどの投棄にも注意しておきましょう。
査定は複数の業者に依頼する
不動産の売値は査定する業者によって大きく変わるため、全国展開の業者や地場の不動産会社など、複数の業者へ依頼してください。
業者ごとの査定額に差がある場合は、根拠を聞いておくとよいでしょう。
媒介契約の締結を優先して高額査定を出し、その後「買い手が付かない」などの理由で値下げ交渉が始まるケースも少なくはありません。
所有地と同一または近隣エリアでの販売実績や、買い手へアピールする手法なども聞いておくとよいでしょう。
媒介契約の種類は慎重に検討する
土地などの売却は不動産会社が仲介するケースがほとんどであり、媒介契約を結んだ後に広告活動が行われます。
媒介契約には一般媒介契約と専任媒介契約があり、不動産会社が注力しやすいのは専任媒介契約ですが、どちらが高く売れるかは物件の条件にもよります。
土地の立地条件がよい場合は一般媒介契約で問題ありませんが、不利な条件の場合は専任または専属専任媒介契約がよいケースもあります。
売却額も重要ですが、どちらの契約が早く売れるかも検討しておくべきでしょう。
買い手が見つかった後に不動産会社へ仲介を依頼する
土地所有者の人脈などから買い手が見つかった場合、その後に不動産会社へ仲介を頼むと費用は安くなります。
すでに買い手がいる場合は公告費用が不要になるため、契約書の作成など事務的なコストだけが不動産会社への支払いになります。
シミュレーションサイトを利用して経費を把握する
土地を売る際は仲介手数料や抵当権抹消費用、印紙税や解体費用など様々な諸経費が必要になります。
一般的には売却価格の4~6%、マンションの場合は3.5%程度といわれますが、業者によって差が生じるため、事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。
ネット上には土地売却などのシミュレーションサイトが多数あるので、数社を比較しておくのもおすすめです。
まとめ
不動産関係には専門用語も多く、売却時に使える特例や控除も少々わかりにくい条件になっています。
高額な資金が動くため失敗のないよう売却したいところですが、初めての方には不動産会社を選ぶ基準がなく、確定申告にも不慣れです。
まずは友人・知人やネット上の口コミなどを参考に、実績の多い不動産会社を探してみましょう。
地場の業者が有利な場合もあるので、事業規模には捉われずに探してみることをおすすめします。
また税金関係は税理士がもっとも頼れる存在であり、特例などの適用条件を的確に判断し、確定申告のアドバイスも受けられます。