固定資産税6倍?空き家に対するリスクを知ろう
目次
増え続ける空き家に対処するため、平成27年に空き家特別対策法が施工されました。
同法によると、空き家として放置し続けると思わぬ税負担を被る場合があるということです。
そこで、増税リスクと対応策について検証しました。
固定資産税の基本
固定資産税はいわゆる地方自治体が課税徴収する地方税の1税目であり、固定資産(家屋・土地・償却資産)を課税対象とし、その所在する市町村(東京特別区は東京都)が賦課・徴収します。
その年1月1日において固定資産を所有する者を納税義務者とし、市町村より納税義務者に対し5月前後をめどに納税通知を発行します。
原則として土地または家屋の課税標準額に1.4%を乗じた金額が課されます。
ただし、固定資産税にはさまざまな優遇措置が施されており、その1つが住宅に対する負担軽減措置です。
住宅用地に対する軽減措置とは
居住用不動産は生活に欠くことのできない資産であり、国民の社会経済的基盤安定を促す意味でさまざまな課税上の配慮がなされています。
その1つが固定資産税の軽減措置です。
小規模住宅用地(敷地面積200㎡以下の部分)に対する軽減措置
固定資産税が1/6まで軽減されます。
店舗兼住宅
店舗部分の床面積が全体の1/2以下なら、敷地全体が軽減対象です。
居住条件
その住宅に居住しているかどうかは要件とされません。
敷地の上に住宅が建っている限り軽減対象です。
一般住宅用地(敷地面積200㎡超部分)に対する軽減措置
固定資産税が1/3まで軽減されます
店舗兼住宅の取り扱いと居住条件に関しては小規模住宅用地と同じです
敷地面積上限は建物床面積の10倍までとします
つまり、空家であってもそこに住宅がある限り固定資産税が低く抑えられていたわけで、こうした税制上の優遇措置が空き家の放置を助長したとされています。
空き家対策特別措置法施行による見直し
こうした悪弊が、空き家対策特別措置法により見直されました。
具体的には一定の空き家に対しては、住宅用地に認められてきた固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。
最大1/6の軽減措置が適用されなくなる、逆を言えば固定資産税負担が最大で6倍になることを意味します。
ただし、空き家だからといって即軽減措置が外されるわけではなく、対象は「特定空き家」に限られます。
国が示している基準や地方自治体の先行事例から推察すると、以下の条件に抵触する場合、特定空き家として認定されるようです。
- ・放置を続けた場合倒壊など安全上の問題が懸念されること
(建物の傾斜・屋根や外壁の剥がれ・基礎の破損・擁壁の老朽化等) - ・放置を続けた場合に異臭や害獣など衛生上有害な事態が想定されること
(浄化槽の破損による汚物飛散・ゴミなどの放置・有害物質のたい積等) - ・周辺へ景観上の悪影響を及ぼしていること
(ゴミ・落書き・ガラスの欠損・外壁の損壊等) - ・周辺の生活環境保全に著しい悪影響を与えていること
(樹木の倒壊や枝折れや周辺への飛散・カラスやスズメバチの営巣・シロアリの大量発生・灯油や危険物などの放置等)
ご自身の営業上または生活上拠点から離れた場所に空き家を所有している場合は、特定空き家の条件に該当しないよう、ときおり確認しておいた方が賢明です。
まとめ
今のところ、空き家に対する税制上の締め付けは、増税対象とされる空き家の範囲が限られていることもあり、それほどきつくはありません。
当面は、「特定空き家」に指定されないよう、予防措置を講じておけば大丈夫でしょう。
ただし、空き家対策特別措置法は今後強化される可能性も捨てきれません。
譲渡所得税の優遇措置活用を含め、建物取り壊し・売却などの対策を今のうちに検討しておくことをお勧めします。