固定資産税がかからない家の要件とは?具体例や税金の計算方法も紹介
この記事でわかること
- 固定資産税がかからない家の要件がわかる
- 固定資産税がかからない家などの具体例がわかる
- 固定資産税の計算方法がわかる
固定資産税は、1月1日現在の固定資産や償却資産の所有者に課税されます。
建物は固定資産に該当しますが、一定条件を満たしていない場合には固定資産税が課税されないことがあります。
本記事では、固定資産税が課税されない家の要件や固定資産税が課税されない家の具体例、固定資産税の計算方法などを解説します。
記事を最後まで読み進めていただければ、固定資産税が課税されない条件を理解でき、固定資産税につての知識がより深く得られることでしょう。
目次
固定資産税がかからない家の要件
家に固定資産税が課税されるためには、一定条件を満たしている必要があります。
逆に言えば、一定条件を1つでも満たしていない家だと固定資産税は課税されません。
本章では、固定資産税がかからない家の要件を解説します。
外気分断性がない
外気分断性のない家には固定資産税が課税されません。
外気分断性とは、屋根と3方向以上の壁があり、外気と内気を分断する性能があることを言います。
通常、家は屋根と4方向の壁を有しているため、固定資産税が課税されます。
同じ理由でサンルームや小屋、ガレージなどは外気分断性があるため、固定資産税課税対象建物です。
一方、家ではありませんがカーポートのように屋根と柱だけしかないものは、外気分断性がないと判断されるため、固定資産税は課税されません。
土地定着性がない
土地定着性のない家には固定資産税が課税されません。
土地定着性とは、基礎などで土地と家が結合しており、簡単に移動できない状態になっていることを言います。
家は通常基礎で固定するため、固定資産税が課税されます。
同じ理由で、基礎付の物置小屋や家の増築部分などは土地定着性があるため、固定資産税の課税対象となります。
用途性がない
用途性のない家には固定資産税が課税されません。
用途性とは、家を建築した目的で利用できる広さがあることを言います。
たとえば、居住用に建築した場合は住める広さがあるかどうかで判断され、物置小屋であれば物を置けるスペースがあるかどうかで判断されます。
用途性はあくまで建築目的が達成できる広さかどうかを見るだけのため、実際家の中が使える状態かどうかは関係ありません。
家を長らく空き家にして人が住める状態でなくても、住める広さがあれば用途性を満たしていると判断されます。
免税点以下である
免税点以下である家には固定資産税が課税されません。
免税点とは、税金が課税されるか、課税されないかの境目のことです。
建物固定資産税の免税点は、同一自治体内で同一人物が所有する建物の固定資産税課税標準額20万円未満を指します。
たとえば、AさんがB市に固定資産税課税標準額15万円の小屋と、C市に固定資産税課税標準額15万円の小屋を所有していても、各市の免税点は20万円以下のため、固定資産税は各市ともに課税されません。
しかし、AさんがB市に固定資産税課税標準額15万円の小屋と、同じくB市に固定資産税課税標準額10万円の小屋を所有していると、固定資産税課税標準額の合計が25万円になり、免税点を超えます。
そのため、この場合はB市の固定資産税が課税されます。
なお、固定資産税課税標準額とは、固定資産税評価額に補正をかけた数値のことです。
また、免税点は固定資産税の年税額だと思っている方が多くいます。
しかし、免税点は年税額ではなく固定資産税課税標準額で判断します。
1月1日に存在しない建物
固定資産税は1月1日に存在していない建物には課税されません。
前述したように、固定資産税は1月1日現在の固定資産や、償却資産を所有している人に課税されます。
1月1日現在に建物が存在しなければ固定資産税は課税されないため、1月2日に建物が完成したとしても完成した年の固定資産税は課税されません。
逆に12月31日に建物が完成した場合、翌日の1月1日には建物が存在しているため、翌年の固定資産税が課税されます。
また、建物を解体したときも同様のことが言えます。
たとえば1月2日に建物を解体しても1月1日には建物が存在していたことになり、その年の建物固定資産税は課税されますので注意が必要です。
固定資産税がかからない家の具体例
前章では、固定資産税がかからない家の要件を紹介しました。
それでは具体的にどのような家であれば、固定資産税は課税されないのでしょうか。
本章では、固定資産税がかからない家の具体例を紹介します。
トレーラーハウス
トレーラーハウスは車輪が付いており、牽引することで移動が容易にできるため、土地定着性がありません。
土地定着性がない家は固定資産税が課税されないため、トレーラーハウスには固定資産税が課税されません。
ただし、トレーラーハウスを基礎で固定した場合は土地定着性があると判断され、固定資産税が課税されます。
評価の低い小屋
固定資産税課税標準額が免税点以下になる小屋は、固定資産税が課税されません。
ただし、固定資産税課税標準額の免税点未満になる小屋は非常に小さい家であるため、物置小屋などのある程度の広さを有する建物は固定資産税が課税されると思ったほうがよいでしょう。
壁が2方向しかない小屋
壁が2方向しかない場合は外気分断性がないと判断されるため、固定資産税は課税されません。
雨や風に吹きさらしになっていてよい自転車などを置く小屋の場合は、壁を2方向だけ建築する方法であれば固定資産税の課税はされません。
固定資産税の計算方法
どの建物に固定資産税が課税され、どの建物に固定資産税が課税されないか解説したところで、次は固定資産税の計算方法を紹介します。
建物の固定資産税を計算するには、次の計算式を用います。
参考として建物の固定資産税がいくらになるのか計算してみましょう。
【シミュレーション例1】
- ①建物の固定資産税課税標準額1,000万円
- ②税率1.4%
①1,000万円 × ②1.4% = 14万円
このシミュレーション例の建物固定資産税は年額14万円です。
なお、固定資産税の税率は、各自治体により異なります。
シミュレーションは標準税率で計算しましたが、自治体によっては税率1.3%であることや1.5%のこともあるため、固定資産税を計算するときには税率が何%なのか、納税する自治体に確認してください。
まとめ
固定資産税は、1月1日現在の固定資産や償却資産の所有者に課税されます。
すべての固定資産に固定資産税は課税されるわけではなく、一定条件を満たしていない固定資産には課税されません。
固定資産税が課税されないケースとして、外気分断性がない家や土地定着性がない家、用途性がない家、免税点以下の家などが挙げられます。
ただし、これら固定資産税が課税されない条件を満たすような家は、トレーラーハウスなど一部しかありません。
そのため、家を建築したときには固定資産税が課税されると考え、どの程度課税されるかを知っておくとよいでしょう。
課税される固定資産税の金額が家の建築前に分かれば、支払いが厳しくなる可能性は低くなり、ゆとりある生活を送ることができるでしょう。