売主が不動産売却に必要な書類は?家・マンション合わせて一覧でチェック
この記事でわかること
- 不動産売却に必要な書類について理解できる
- 不動産売却に必要な書類の準備が自分でできる
- 家やマンションの各々の必要書類の違いがわかる
不動産の売却を決めたら、円滑に売却が進められるように、売却に必要な書類を確認しましょう。
書類に不備があると、その分、結果的に売却完了までの時間が長引いてしまいます。
不動産という金額の大きい取引では、物件に関する書類は極めて重要です。
登記関係の書類は、法務局で発行してもらわないと取得できません。
事前に確認し、準備しましょう。
目次
不動産の売却の流れ
不動産の売却を決めたら、次の手順で手続きを進めます。
- (1) 不動産業者に売却の依頼
- (2) 不動産業者と売却代金などの条件を決め、売り出す
- (3) 販売活動を行い、買主が見つかったら売買契約を結ぶ
まず(1)の時点で必要になる書類は、売却不動産に関する書類です。
売却不動産に関するもの、権利や売主自身の身分に関するものなどが必要となります。
買主が見つかったら、最終的には物件を引き渡しますが、その際にも必要な書類があります。
不動産売却のために必要書類のチェックリスト表
ここでは、戸建て・マンションの売却において、ほぼ共通している必要書類について見ていきます。
書類名 | 提出目的 | 取得場所 |
---|---|---|
(1)登記済権利証(登記識別情報) | 不動産の所有権を有することを証明するための書類。 売買契約後、買主に所有者を変更する際にも必要 | 不動産の登記を完了したときに、法務局から発行される。 |
(2)登記簿謄本または登記事項証明書 | 不動産の登記事項を証明するための書類。 | 法務局 |
(3)売買契約書・重要事項説明書 | 前の持ち主と交わした売買契約書。 付帯する特約などを示すために用いられる書類。 | 前所有者・不動産業者等 |
(4)固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書 | 固定資産税の確認、登録免許税の算出に用いられる。 | 市町村から毎年送られて来るもの。 |
(5)間取り図・測量図面 | 間取りの確認、建物の広さなどを提示するために用いられる。 | 土地家屋調査士などに依頼する等 |
(6)地積測量図・境界確認書 | 土地の面積や隣地との境界を示すために用いる。 | 土地家屋調査士等 |
(1)登記済権利証(登記識別情報)
登記済権利証は、不動産の権利を証明するための書類です。
いわゆる『権利証』と呼ばれるものです。
もともとは、登記をすると登記済権利証が発行されていましたが、近年『不動産登記法』の改正により、登記識別情報という書類に代わりました。
不動産を購入するなどして、その権利を法務局で登記すると発行されます。
所有権の登記をした場合には、所有権を証明するために用います。
登記済権利証の再発行はしてもらえませんので、大切に保管しておきましょう。
登記済権利証を紛失しまった場合には、『事前通知』または『司法書士などの資格者の代理人に本人確認情報の提供』を行うことで、所有権などの登記事項を証明することが可能です。
〈事前通知〉
事前通知とは、売買契約などの前に法務局に本人確認のため、郵送によって問い合わせを行なって『事前通知』を受け取る制度です。
- (1)法務局に不動産を売却するにあたり、登記済権利証を提示できない旨の相談を行う。
- (2)法務局から登記名義人の住所に『事前通知』が届く
(本人限定受取郵便で実印を押印して受け取る)。 - (3)事前通知が法務局から発送されてから2週間以内に申し出を行えば、登記名義人であると認められる。
という流れで進められます。
<司法書士などの資格者の代理人に本人情報の提供>
司法書士や土地家屋調査士などの有資格者に本人確認を行ってもらいます。
しかし、事前通知の場合と異なり、司法書士などに手数料を支払う必要があります。
登記識別情報は、書面ではなく、12桁のアルファベットや数字で構成されたものになりますので、この12桁を法務局に提示することで、本人証明ができます。
(2)登記簿謄本または登記事項証明書
登記簿謄本とは、『登記簿の写し』です。
登記事項証明書とは、コンピューター処理をしている登記所から提供される登記事項の証明書です。
どちらの書類も不動産の登記事項が証明され、内容は同じになります。
法務局にて申請を行い、発行してもらえます。
(3)売買契約書・重要事項説明書
以前の不動産所有者から物件を購入した際の売買契約書が必要となります。
その際、不動産業者から受け取った重要事項説明書も必要となります。
購入時の物件の状況などを示すことができます。
(4)固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書
固定資産税の確認や支払い状況を示すとともに、法務局で所有権移転登記などを行う際の登録免許税の計算に用いられます。
固定資産税は毎年1月1日の時点の所有者に課税されるものですが、売買契約を行うと、その日を境にして売主と買主で日割り計算をして、負担を分けるのが一般的な流れとなっています。
この日割り計算をするのにも用いられる書類です。
(5)間取り図・測量図面
間取り図は買主を探すときに、物件の情報として必要です。
建物の広さなども物件の情報として提供します。
不動産を購入する際に受け取っていることが一般的ですが、もし見つからない・手元にないという場合には法務局に出向き、登記されている図面を取得しておきましょう。
(6)地積測量図・境界確認書
一戸建てや土地の売買に必要となる書類です。
地積測量図には、土地の面積や土地の境界が示されています。
土地の境界が明確でないとき、隣地の方とトラブルになることもあります。
この場合、境界確認書にサインする代わりに金銭の請求をされることや、最悪の場合には民事裁判に発展することもあり得ます。
そうならないために、境界が定まっていない場合には、隣接地の所有者と話し合いを持ち、立ち合いや了解を得て、地積測量図を作成することが必要です。
不動産引き渡しの際に必要な書類
買主が決まり、売買契約を締結し、滞りなく契約が進んだら、いよいよ代金の精算と建物の引き渡しが同時におこなわれます。
建物の引き渡し時に必要となる書類は以下の通りです。
書類名 | 提出目的 | 取得場所 |
---|---|---|
(1)住民票 | 登記上の住所と、売主の現住所が異なる場合に、現住所を示すために提出。 | 市区町村の役所 |
(2)銀行口座の通帳 | 買主が売買代金を振り込むために必要。 | 金融機関 |
(3)ローン残高証明書、ローン返済予定表など | 住宅ローンの返済が途中であるときに、必要。 | 金融機関 |
(4)本人確認書類 | 売主が本人であることの証明をするために提出。 | 免許センターなど |
(5)実印・印鑑証明書 | 売主が本人であることの証明をするために提出。 | 市区町村の役所 |
(6)物件のパンフレットなど | 物件の有効な情報となる。 | 購入時の不動産業者など |
(1)住民票
売主の現住所が、登記簿上の住所と異なる場合に必要となります。
発行後3ヶ月以内のものが有効です。
(2)銀行口座の通帳
売買代金は高額であることが多く、一般的には売買代金は銀行口座に振り込んでもらうというのが一般的です。
その際、振込を受けるために正確な口座の情報が必要となるので、銀行口座の通帳を持っていくと良いでしょう。
(3)ローン残高証明書、ローン返済予定表など
住宅ローンが残っている場合に必要となる書類です。
不動産の売買代金で住宅ローンの残りを支払い、完済して抵当権抹消登記を同時に行う場合には、住宅ローンの融資を受けた金融機関の担当者の同席をお願いするなど別の準備も必要です。
(4)本人確認書類
運転免許証などの売主の本人確認書類です。
運転免許書がない場合には、パスポートや健康保険証などを用意します。
(5)実印・印鑑証明書
印鑑証明書は、発行から3ヶ月以内のものとされています。
売却しようとする不動産の所有者が複数人いる場合には、全員の本人確認書類及び実印・印鑑証明書が必要となりますので注意が必要です。
(6)物件のパンフレットなど
もし、購入時に入手した物件のパンフレットや広告資料などが残っていれば、買主に渡してあげましょう。
戸建ての家を売却する場合の必要書類
戸建ての家を売却する場合に必要な書類についてチェックしていきましょう。
<不動産業者に売却を依頼するとき>
(1)登記済権利証または登記識別情報 |
(2)登記簿謄本または登記事項証明書 |
(3)売買契約書・重要事項説明書 |
(4)固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書 |
(5)間取り図・測量図面 |
(6)地積測量図・境界確認書 |
(7)建設確認済証・検査済証 |
(8)耐震診断報告書 |
(9)アスベスト使用調査報告書 |
(10)地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書 |
となります。
(1)〜(6)は先ほど述べましたので、詳細は省略します。
(7)建築確認済証・検査済証
売却しようとする不動産が、建築基準法に定められる建築基準を満たしている建物であることを証明・提示するための書類です。
建築確認済証とは、建物の工事を始める前にその建物の建設計画が建設基準法に適合しているかを申請して、認められた場合に発行される書類です。
工事を始める前の申請に基づいて発行されるので、その後工事も計画通り行われたという証明ではないということに注意が必要です。
検査済証というのは、工事途中に行われる中間検査や工事完了時に行われる完了検査時に、その工事が建築基準法に適合していることを認められた場合に発行される証明書です。
建築確認済証・審査図面、検査済証は再発行してもらえない書類ですので、紛失しないようにしましょう。
(8)耐震診断報告書
売却不動産が、新耐震基準が定められるよりも前に建てられた建物の場合で、耐震診断を受けた場合には耐震診断報告書を提示しましょう。
(9)アスベスト使用調査報告書
アスベストの使用を調査した場合には、アスベスト使用調査報告書を提示しましょう。
(10)地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書
これらの書類は、売却不動産の安全性を裏付ける資料になります。
住宅性能評価書は、国土交通省に登録された第三者評価機関により、住宅の性能を評価し、その結果を書面化したものです。
この評価には、一定のルールが設けられていて、公平な評価を受けられる制度とされています。
構造だけでなく、火災時の安全性や劣化軽減、維持管理への配慮などといった建物に直接関わる項目以外に、環境や高齢者への配慮、防犯など10項目について評価が行われます。
<買主に建物を引き渡すとき>
(1)住民票 |
(2)銀行口座の通帳 |
(3)ローン残高証明書、ローン返済予定表など |
(4)本人確認書類 |
(5)実印・印鑑証明書 |
マンションを売却する場合の必要書類
次にマンションを売却する場合の必要書類を見ていきましょう。
<不動産業者に売却を依頼するとき>
(1)登記済権利証または登記識別情報 |
(2)登記簿謄本または登記事項証明書 |
(3)売買契約書・重要事項説明書 |
(4)固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書 |
(5)間取り図 |
(6)耐震診断報告書 |
(7)アスベスト使用調査報告書 |
(8)マンションの利用規約 |
(9)物件のパンフレットなど |
(10)マンションの維持費関連書類 |
(8) マンションの利用規約
基本的には、利用規約は配布されていますが、手元にない・見つからないというときには、マンション管理組合から取得できます。
ペットの飼育の可否や駐車場などの取り決めが書かれています。
マンションの利用規約も不動産購入の際、買主は判断の材料とするため、準備しておくと良いです。
(10) マンションの維持費関連書類
マンションの維持費に関する書類です。
修繕積立金など、維持費に関連することが記載されています。
(6)以降はあれば提出するというものです。
<買主に建物を引き渡すとき>
(1)住民票 |
(2)銀行口座の通帳 |
(3)ローン残高証明書、ローン返済予定表など |
(4)本人確認書類 |
(5)実印・印鑑証明書 |
土地を売却する場合の必要書類
土地を売却する場合の必要書類は
<不動産業者に売却を依頼するとき>
(1)登記済権利証または登記識別情報 |
(2)登記簿謄本または登記事項証明書 |
(3)売買契約書・重要事項説明書 |
(4)固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書 |
(5)地積測量図・境界確認書 |
<買主に建物を引き渡すとき>
(1)住民票 |
(2)銀行口座の通帳 |
(3)ローン残高証明書、ローン返済予定表など |
(4)本人確認書類 |
(5)実印・印鑑証明書 |
となっています。
まとめ
不動産の売却を滞りなく完了するために、やるべきことはたくさんありますが、事前に準備できることとして、必要書類の準備があります。
必要書類を紛失してしまっていることにも、早めに取り組んでいれば、事前に気付くことができ、別の書類で補うなどの対応もできます。
いざ売却しようと思っても売却活動に移れないということにもなりかねません。
売却を決めたら、まずできることとして、必要書類を確認し、準備し始めることをおすすめいたします。