住宅リフォームは固定資産税に影響する!上がるケース・下がるケースを解説
この記事でわかること
- 住宅のリフォームで固定資産税に影響する理由が理解できる
- リフォームで固定資産税増額されるケースがわかる
- リフォームで固定資産税減額されるケースがわかる
固定資産税は固定資産や償却資産を所有していると課税される税金で、課税対象の資産価値によって税額が変わります。
資産価値が高くなれば固定資産税が増額され、資産価値が低くなれば固定資産税が減額されます。
それでは住宅の価値が上がるリフォームをしたときには、固定資産税にどのような影響を与えるのでしょうか。
本記事では、住宅リフォームが固定資産税に影響する理由、固定資産税が増えてしまうリフォームは何か、固定資産税が減るリフォームは何かを解説します。
記事を最後まで読み進めて頂ければ、固定資産税に影響するリフォーム内容が分かり、リフォームをするときに固定資産税対策ができます。
目次
住宅のリフォームは固定資産税に影響する
住宅をリフォームすると、固定資産税に影響します。
固定資産税は不動産などの固定資産や償却資産に課税される税金です。
そして、課税される固定資産や償却資産の価値が上昇すると、固定資産税額も増加します。
リフォームを行うと住宅の価値が上がるため、固定資産税も上がる可能性があります。
可能性と表現しているのは、リフォームで住宅の価値を上げても固定資産税が増額しない場合もあれば、固定資産税が減額される場合すらあるからです。
リフォームで固定資産税が上がるケース
リフォームを行い、固定資産税額が上がるケースは限られます。
ここでは、どのようなリフォームを行うと固定資産税額が上がるケースを紹介します。
一度骨組みだけにするリフォームの場合
一度骨組みだけにするリフォームを行うと、固定資産税が上昇します。
固定資産税は、土地定着性・外気分断性・用途性の3要素のいずれかが失われたとき、建物が解体されたとみなします。
そして、再び3要素が揃ったときには、固定資産評価をし直さなければならないと法律に定められています。
一度内装を全て撤去し、骨組みだけになってしまうと3要素がなくなるため、建物が解体されたと判断されます。
そして、骨組みだけにした後にリフォームをすると、建物が再建築されたとみなされて固定資産が再評価されます。
そのため、このような場合は固定資産評価がリフォームした後の評価になり、固定資産税が上がります。
なお、3要素の詳細内容は次の表のとおりです。
名称 | 詳細内容 |
---|---|
土地定着性 | 基礎などで建物と土地が定着しているかどうか |
外気分断性 | 屋根があり3方向以上に壁があるかどうか |
用途性 | 建物の大きさが確保してあり建築した用途に利用できるかどうか |
面積が大きくなるリフォームをする場合
固定資産税は固定資産の面積に応じて課税されるため、面積が大きくなれば固定資産税も上昇します。
リフォームで増築工事をする場合、建物面積が大きくなるため、課税額も上がります。
そして、一定面積以上増築するときには、建築確認申請をしなければなりません。
建築確認申請をすることにより、面積を増やしたことが自治体に分かるため、確実に固定資産税が上がります。
また、住宅を増築しなくてもサンルームやガレージを建築したときにも、増築とみなされる場合があります。
先述の通り、土地定着性・外気分断性・用途性があれば家屋と判断され、固定資産税が課税されるからです。
事業用に変更する場合
事業用に変更する建物に、必要なリフォームを行うと、固定資産税が上昇します。
事業用に変更した場合は建物の固定資産税ではなく、土地の固定資産税が増加します。
住宅を事業用に変更して固定資産税が上がる理由は、土地の固定資産税減税の減税措置が受けられなくなるからです。
土地の固定資産税は、土地上に住宅があるだけで減税措置を受けることができます。
土地の固定資産税減税措置の減税額率は、次の表のとおりです。
住宅の敷地面積 | 固定資産税評価額の軽減率 |
---|---|
小規模用土地(200㎡以下) | 評価額 × 1/6 |
一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 評価額 × 1/3 |
参考:東京都主税局
住宅を事業用に変更すると、表にある軽減率が受けられなくなります。
そのため、固定資産税評価額が最大6倍になってしまいます。
リフォームで固定資産税が下がるケース
リフォームをすることで固定資産税が減額されるケースもあります。
減額できる理由は、住宅性能が上がるリフォームを行った場合、固定資産税の減税措置を受けられるからです。
ここでは、リフォームで固定資産税が下がるケースを紹介します。
省エネリフォーム
一定条件を満たす省エネ化リフォームを行うと、固定資産税が減税されます。
省エネリフォームで固定資産税を減らすための条件などは、次のとおりです。
省エネリフォーム【適用要件】
- 賃貸物件ではないこと
- 共同住宅ではないこと
- 2008年1月1日以前に建築された建物であること
- リフォーム後の延床面積が50㎡以上であること
- 省エネリフォーム工事の要件を満たしていること
- 省エネリフォームの工事費用が補助金など含まずに50万円を超えていること
【固定資産税減税期間】
1年間
【固定資産税減額率】
翌年分の建物の固定資産税が3分の1に
ただし、建物の固定資産税が減額される部分は120㎡までです。
120㎡を超える部分は固定資産税が減額されません。
耐震リフォーム
一定条件を満たす耐震リフォームを行うと、固定資産税が減税されます。
耐震リフォームで固定資産税を減らすための条件などは、次のとおりです。
耐震リフォーム【適用要件】
- 1982年1月1日以前に建築された建物であること
- 新耐震基準に適合するリフォーム工事であること
- 耐震リフォームの工事費用が50万円を超えていること
【固定資産税減税期間】
1年間
ただし、自治体が指定する道路沿いの住宅の場合2年間に延長されます。
【固定資産税減額率】
翌年分の固定資産税の2分の1に
ただし、建物の固定資産税が減額される部分は120㎡までです。
120㎡を超える部分は固定資産税が減額されません。
バリアフリーリフォーム
一定条件を満たすバリアフリーリフォームを行うと固定資産税が減税されます。
バリアフリーリフォームで固定資産税を減らすための条件などは、次のとおりです。
バリアフリーリフォーム【適用要件】
- 賃貸物件ではないこと
- 共同住宅ではないこと
- 次のいずれかの人が住んでいる住宅であること
- (1)65歳以上の人
- (2)要介護か要支援の認定を受けている人
- (3)障害がある人
- 建物の築年数が10年以上経過していること
- リフォーム後の延床面積が50㎡以上であること
- バリアリフリーリフォーム工事の内容が次の項目のいずれかに該当すること
- (1)通路の幅を広げるリフォーム工事
- (2)階段の勾配を緩やかにするリフォーム工事
- (3)浴室やトイレの入口などの改良における以下のリフォーム工事
- ・手すりを取り付ける
- ・段差をなくす
- ・滑りにくい床材に変更する
- バリアフリーリフォームの工事費用が補助金など含まずに50万円を超えていること
【固定資産税減税期間】
1年間
【固定資産税減額率】
翌年分の固定資産税の3分の1
ただし、建物の固定資産税が減額される部分は100㎡までです。
100㎡を超える部分は固定資産税が減額されません。
省エネ化リフォームや耐震リフォームの場合、建物の固定資産税が減額される部分は120㎡までですが、バリアフリーリフォームは減額される部分が100㎡までです。
減額される建物面積の上限が他と異なるため、ご注意ください。
まとめ
固定資産税は、不動産などの固定資産や償却資産に課税され、課税対象の資産価値に影響を受けます。
課税対象の資産価値が増えれば固定資産税額は上がり、価値が減れば固定資産税額は下がります。
そのため、住宅価値が高まるリフォームを行うと、基本的に固定資産税は上がります。
ただし、価値の上昇が少ないリフォームは、固定資産税に影響しません。
また、固定資産税の減税措置に該当するリフォームは、価値が大きく上がるにも関わらず、固定資産税が減額されます。
固定資産税は、リフォーム工事の内容によって影響度合いが変わります。
そのため、どのようなリフォームをすれば固定資産税にどのように影響するのかが分かっていれば対策可能です。
固定資産税に影響するリフォームの内容を理解し、固定資産税増額にならないように配慮して工事をしていきましょう。