不動産を購入・売却・譲渡・相続などをする際にかかる税金一覧を種類別に解説!
この記事でわかること
- 不動産の購入や譲渡、相続などにかかる税金の種類がわかる
- 不動産の購入や譲渡、相続などにかかる税金の割合がわかる
- 不動産の購入や譲渡、相続などにかかる税金の特例・控除がわかる
不動産に関係する税金にはどのようなものがあるのかご存知でしょうか?
不動産に関する税金は、不動産の保有状態や処分方法などによって課税される税金が異なります。
例えば、不動産の購入時や売却時に正しく税金を理解しておかないと、予想していた以上の税金を支払うことになり、場合によっては超過課税の処分を受ける恐れもあります。
今回は、不動産にかかる税金について、不動産の購入・保有・賃貸・譲渡・相続(贈与)の5つのパターン別に解説します。
目次
不動産の購入にかかる税金とは?
不動産の購入にかかる税金には、【印紙税】【登録免許税】【不動産取得税】があります。
これらについて以下に見ていきましょう。
印紙税
売買契約書、不動産譲渡契約書などの各種法的文書に対して課税され、主に契約金額に応じて税金が大きくなる仕組みとなっています。
特例措置も用意されているため、少しでも印紙税を安くする方法を知りたい方は、専門家に一度確認してみましょう。
登録免許税
登録免許税は、法務局に登記を申請したときに課税される税金です。
例えば、売買による所有権移転の登記や所有権保存の登記などがあります。
なお、所有権保存の登記の税率は、通常4/1000となっていますが、建物の所有権保存登記の場合、令和6年3月31日までは特例措置により1.5/1000に軽減されています。
また、土地の所有権移転登記については、通常20/1000の税率がかかりますが、令和8年3月31日までは特例措置により15/1000の税率に軽減されています。
詳しい税率については、登録免許税法を確認するか、登記の専門家である司法書士に聞いてみるといいでしょう。
不動産取得税
不動産取得税は不動産を取得したときにかかる税金で、通常40/1000の税率がかかります。
ただし、令和6年3月31日までは30/1000に軽減されています。
なお、宅地を取得した場合には更に控除が用意されているので、別途確認してみてください。
不動産を保有しているときにかかる税金とは?
不動産を保有しているときにかかる税金としては、【固定資産税】【都市計画税】があります。
どのような特徴があるのか確認していきましょう。
固定資産税
固定資産税は、不動産を保有している状態に対して課税される税金です。
通常は14/1000の税率がかかり、住宅用地または新築住宅のための軽減措置を利用できます。
ここで「不動産を保有している」の基準は、毎年1月1日時点で所有している者に対して課税されることになっており、対象者には納税通知書が送付されます。
都市計画税
都市計画税は市街化区域に不動産を所有していることに対して課税される税金です。
通常は0.3%程度(お住まいの地域によって変動します)かかりますが、住宅用地のための減税制度を利用できます。
都市計画税についても固定資産税と同様に、1月1日時点において所有対象者に対して、税金が課税される扱いとなっています。
不動産を賃貸するときにかかる税金とは?
不動産を賃貸するときにかかる税金としては、【法人税等(法人税・法人住民税・法人事業税)】【所得税(住民税)】【個人事業税】があります。
それぞれについてポイントを見てみましょう。
法人税等(法人税・法人住民税・法人事業税)
法人税等は、法人の不動産賃貸事業における収益に応じて課税されます。
2023年9月現在、東京の実効税率は30.62%です。
実行税率とは、事業者が所得に対して実質的に負担する税率であり、表面税率とは違います。
法人税には、法人住民税や法人事業税がありますが、課税される税率は各税金を合算したものではありません。
そのため、実効税率というものがあり、法人税の納税額を算出するときに使います。
事業者の所在地により税率が異なるため、お住まいの地域の税率の確認が必要です。
なお、中小法人特例を利用できる場合があるので確認をしてみましょう。
所得税(住民税)
個人で不動産所得を手にしている人は所得税を支払わなければなりません。
不動産によって得た収益を確定申告することになります。
個人事業税
個人で不動産を運用することが事業的になった場合には、個人事業税を納めることになります。
この場合は、収益に対して5%の税率をかけて確定申告の手続きをします。
不動産を譲渡・売却するときにかかる税金とは?
不動産を譲渡・売却するときにかかる税金としては、【法人税等(法人税・法人住民税・法人事業税)】【所得税(住民税)】があります。
これらについて簡単に内容を見ていきましょう。
法人税等(法人税・法人住民税・法人事業税)
不動産を譲渡するときにも法人税等がかかります。
賃貸の時と同様に、2023年9月現在における実行税率は30%前後となっており、事業年度末日より2ヶ月以内に申告をすることになっています。
なお、軽減措置として、交換・収用・特定資産の買換えの特例が用意されています。
所得税(住民税)
不動産を譲渡することによって収益が発生した場合には、所得税(住民税)を支払わなければなりません。
なお、この場合短期で譲渡を行った場合には39.63%の税金が、長期で譲渡を行った場合には20.315%の税金がそれぞれかかります。
また、軽減措置として、居住用、居住用・事業用の買い換え、居住用譲渡損失の繰越しという特例が設けられています。
不動産を相続・贈与するときにかかる税金とは?
不動産を相続・贈与するときにかかる税金としては、【相続税】【贈与税】があります。
それぞれについてどのような特徴があるか見ていきます。
相続税
不動産を相続により取得したときには、相続税がかかります。
相続税には基礎控除が設けられており、3,000万円に600万円×相続人の数を加えた金額の超過分において、累進課税の方式により課税されることになっています。
相続税については、確定申告期間の前であっても相続が開始された日の翌日より10か月以内に行う必要があるので注意が必要です。
また、相続税の配偶者控除や小規模宅地等の特例の利用も検討してみましょう。
相続税については、執筆現在時点において法制度改正の準備が進められているので、今後の変更点等についても注視しておく必要があります。
贈与税
不動産を贈与により取得した場合は贈与税がかかります。
贈与税には年間110万円の非課税枠が設けられています。
また、税率は贈与により取得する金額が大きいほど納める税金も大きくなる累進課税になっています。
贈与税には、相続税と関連して相続時精算課税制度が用意されており、これを利用すると2,500万円までは贈与税がかかりません。
利用の可否については、一度専門家に相談をしてみることをおすすめします。
申告期限は、2月1日から3月15日までとなりますが、配偶者の非課税枠・住宅取得等資金の非課税制度など特例もあるので、併せてご検討ください。
まとめ
不動産に関する税金についてどのようなものがかかるのかご理解頂けましたでしょうか。
今回はどのような税金がかかるのか整理をしてきましたが、個人なのか法人なのかによっても違いがあるため、どのくらい税金を納めるかについては専門家からアドバイスをもらうといいでしょう。