【2021年版】不動産価格推移まとめ!コロナやオリンピックの影響は?
この記事でわかること
- 不動産価格の推移を知る方法がわかる
- 直近の不動産価格の推移がわかる
- これからの不動産価格に影響を与えそうな要因を推測できる
不動産の売却や購入を検討中の方は、不動産価格のこれからの推移が気になるのではないでしょうか。
コロナ禍やオリンピックの影響はあるのか?
自分が住んでいたり、住みたいと思ったりする地域の不動産価格の動向は?
様々な疑問があるかもしれません。
そこで、不動産会社だけでなく一般の方も見ることができるデータがあるので、不動産価格の動向を知る方法を紹介します。
また、直近の不動産価格の推移を紹介します。
これからの不動産価格に影響を与えそうな要因にも言及しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産価格の推移を知る方法
不動産価格の推移を知る方法が分かれば、自分で2021年の不動産価格の動向をつかむことができます。
不動産価格指数を見る
直近の不動産価格の推移を知る方法として、正確かつ新しい情報を得られるのが、国土交通省が発表する不動産価格指数です。
この不動産価格指数は、次の特徴を有しています。
- ・指数のもととなる不動産の取引価格情報は年間約30万件
- ・毎月公表されている
- ・全国、ブロック別、都市圏別、都道府県別に発表されている
- ・不動産価格指数の補完のため、「不動産取引件数・面積」(毎月)も公表されている
不動産価格指数は、年間30万件もの取引価格情報をもとにしているので、データの信頼性が高いと言えるでしょう。
また、ブロック別など地域に分けた指数を公表しているので、各地域の不動産価格の推移を知ることができるのが不動産価格指数です。
ただし、発表されているのは不動産取引価格そのものではないので、指数を見ても専門的すぎて分かりづらいかもしれません。
レインズの不動産市場動向を見る
首都圏、近畿レインズ、西日本レインズ、中部レインズ、東日本レインズがあり、各ブロックの不動産会社の物件情報等を統括する組織が不動産流通機構です。
「レインズ」は、不動産流通機構の略称のことです。
レインズは、不動産会社間で物件情報が円滑に流通することを目的として、宅地建物取引業法に基づいて設立されています。
物件の情報を不動産会社が登録するだけでなく、不動産会社や一般の方に向けて不動産市場動向を分析して伝える役割も担っています。
レインズの不動産市場動向は、マンスリーレポート、年間市況レポートなど、活発に詳細な情報を提供しているのが特徴です。
成約件数や成約価格など、分かりやすい数値が発表されているので、一般の方にとっても馴染みやすいでしょう。
グラフも豊富で、少し専門的な分析もしてみたい場合も参考になるのがレインズの不動産市場動向です。
公示地価の動向を見る
毎年国土交通省から発表されるのが公示地価です。
公示地価は土地取引の指標となる価格で、全国に相当数ある「標準地」の価格を発表しています。
標準地の価格は不動産鑑定士が鑑定しますので、客観的な数値で信頼性があります。
また、国土交通省では前年度と今年度の公示地価の推移などを分析し発表しているので、不動産価格推移を知りたい方の参考になるでしょう。
公示地価と似た価格に「基準地価」というのがあります。
基準地価は都道府県が毎年発表する不動産価格です。
詳しくは後述します。
2021年の不動産価格の推移データ
2021年の不動産価格指数を紹介します。
また、2021年の公示地価をもとにして、2020年との違いも確認しましょう。
不動産価格指数によるデータ
2021年6月30日に国土交通省が発表した不動産価格指数を見てみましょう。
季節調整値では、住宅総合は前月比で 0.2%上昇しています。
商業用不動産総合の季節調整値は、前期比で 0.9%上昇の結果となりました。
次に、住宅の不動産価格指数の詳細も触れておきます。
住宅の不動産価格指数(季節調整値)
住宅地 | 戸建住宅 | マンション(区分所有) |
---|---|---|
100.0 2.1%減(対前月比) | 103.9 0.3%増(対前月比) | 160.0 0.6%増(対前月比) |
全国の公示地価動向
公示地価が反映する土地取引の価格は、前年2020年1月から1年間の取引に基づいています。
2021年に発表された公示地価の動向を、全用途・用途別・全国平均・三大都市圏・地方圏別に見ておきましょう。
全国平均で、2021年の公示地価は6年ぶりに下落しています。
つまり、新型コロナウイルスが流行した2020年に、土地価格は全国平均で下落したということです。
全国平均の用途別に見ると、住宅地と商業地はともに2020年より下落しているのが特徴です。
工業地は上昇していますが、上昇率は縮小されています。
【地域別】不動産価格の推移
直近の地域別の不動産価格の推移につき、いくつかご紹介します。
【首都圏】不動産価格の推移
東日本レインズの不動産市場動向が示した2021年5月の不動産価格動向は以下のとおりです。
平均成約価格 | 特徴 | |
---|---|---|
中古マンション | 58.59万円(㎡単価) | 前年比プラス 94.9%。3 ヶ月連続で前年同月を上回った。 |
中古戸建住宅 | 3,241万円 | 前年比プラス 83.6%。11 ヶ月連続で前年同月を上回った。 |
コロナ禍の反動で、5月の数値では東日本レインズ発足以来過去最高の上昇となったと分析されています。
【近畿】不動産価格の推移
近畿レインズの不動産市場動向が示した2021年5月の不動産価格動向は以下のとおりです。
平均成約価格 | 特徴 | |
---|---|---|
中古マンション | 35.20 万円(㎡単価) | 前年比プラス 16.1%の 2 ケタ上昇。前月比は 2.3%下落 連続で前年同月を上回る。 |
中古戸建住宅 | 2,049万円 | 前年比で 9.8%上昇し、4 ヶ月連続で前年同月を上回った。 前月比2.3%上昇。 |
近畿レインズ区域内の過半数の地域で成約価格上昇が見られた一方で、地域によっては下落したところもありました。
【中部】不動産価格の推移
中部レインズの不動産市場動向が示した2021年1~3月の不動産価格動向は以下のとおりです。
中部レインズ圏内では、中古マンションは3 期連続で成約価格が前年同期より上昇しました。
中古戸建住宅については、2020 年 10月~12 月期と連続して前年同期を上回る結果となりました。
【西日本】不動産価格の推移
西日本レインズの不動産市場動向が示した2021年5月の不動産価格動向は以下のとおりです。
平均成約価格 | 特徴 | |
---|---|---|
中古マンション | 26.9万円(㎡単価) | 前年比で 8.0%上昇。 |
中古戸建住宅 | 1,623万円 | 前年比マイナス 0.3%。 |
中古マンションの平均成約価格は、3 ヶ月連続で前年同月と比べて上昇しています。
中古戸建住宅については横ばいに近い下落幅ですが、4 ヶ月ぶり前年同月を下回る結果となりました。
エリア別の公示地価動向
次に、エリア別の公示地価動向を見ておきましょう。
先述したように、全国平均では2021年の公示地価は下落していました。
三大都市圏、地方圏で見てみると、三大都市圏は8年ぶりに下落、地方圏は4年ぶりの下落となりました。
年によっては、三大都市圏の公示地価は上昇し、地方圏の公示地価は下落するということもあります。
しかし、2021年は三大都市圏、地方圏ともに公示地価が前年より下落したことが特徴と言えるでしょう。
エリア別の公示地価を用途別でも見ておきましょう。
地域別2021年公示地価の動向
住宅地 | 商業地 | 工業地 | |
---|---|---|---|
三大都市圏 | 8年ぶりに下落 | 8年ぶりに下落 | 上昇率が縮小 |
地方圏 | 3年ぶりに下落 | 4年ぶりに下落 | 上昇率が縮小 |
住宅地・商業地のいずれも下落しているのも、2021年の公示地価の特徴です。
都道府県別基準地価
国土交通省の標準地・基準地検索システムでは、都道府県地価調査を閲覧することができます。
都道府県別の詳しい地価動向が知りたい方はこちらも検索してみてください。
地図上で基準地価を知りたい都道府県名、次に市区町村名を1つ選択して閲覧します。
【用途別】不動産価格の推移
用途別の不動産価格の見方はいくつかありますが、令和3年度の公示地価で見ておきましょう。
公示地価では住宅地、商業地、工業地で分けています。
特に、住宅地と商業地の価格の動向には開きがあります。
令和2年度に比べて商業地の地価の変動が大きかったようです。
住宅地の取引は減少し、一部の希少性の高い住宅地などを除くと全体的に需要は弱含みでした。
ただし、価格については住宅地では上昇が続いています。
商業地についても、全体的に需要は弱まっています。
これは、三大都市圏の中心部から離れた商業地など、一部の商業地の価格の変動率は低かったものの、店舗やホテルの需要が弱まったことが理由です。
これからの不動産価格に影響を与えそうな要因
これからの不動産価格に影響を与えそうな要因は、景気変動や災害、生活スタイルの変化など様々です。
都市部のオフィスがテレワークを実施し、都市部にマイホームを持つ必要がなくなれば、都市部の不動産価格に影響を及ぼすでしょう。
またオリンピックが開催されるにしても、景気が回復しなければ不動産価格に響きます。
一方で、新型コロナウイルス流行が仮におさまれば、景気が回復し不動産価格も上昇する可能性もあるでしょう。
ただし、不動産価格は1つの要因のみによって影響を受けるわけではありません。
また、地域や用途により価格の変動が異なるのが不動産の特徴です。
マンションか戸建か、新築か中古かによっても不動産価格の変動率は異なります。
需要と供給のバランスも注視したいものです。
まとめ
ここまで、不動産価格推移をまとめてきました。
不動産価格動向は非常に気になるところですが、様々な視点でアプローチする必要があります。
価格推移分析ひとつとっても、国土交通省、レインズなど様々な手法がとられていることもわかりました。
不動産価格の推移について調べる場合は、どの視点での分析データを知りたいのか決めてからが良いでしょう。
そして、何といっても理解しておかなければならないことは、不動産価格の推移データで示されている数値は、「不動産ごとの特徴」を考慮したものではないということです。
不動産の売却、購入を検討するにあたり不動産価格の推移を知ることはもちろん大切です。
しかし、データで得るイメージ通りに売りたい物件や買いたい物件の価格が決まるわけではありません。
不動産個別の特徴と平均的な価格動向等を総合して査定額を出してくれたり、物件をすすめたりする不動産会社を探すことが、不動産売買で成功する秘訣です。
ぜひ信頼できる不動産会社を見つけてください。