築40年のマンションは売れない?高く早く売るコツや売却相場は?
この記事でわかること
- 築40年のマンションに資産価値や需要があるかついて理解できる
- 築40年のマンションを売却するメリットとデメリットが理解できる
- 築40年のマンションの売却方法、さらに高く早く売るコツもわかる
築40年のマンションにも、高く早く売るコツがあります。
一般的に、国内の中古不動産市場では築5年~10年以内のいわゆる築浅物件が好まれます。
しかし、中古不動産は築浅だけではありません。
築11年超の物件のほうが圧倒的に数は多く、中には築20年や30年を超える物件でも市場では売買されています。
では、本題に掲げた築40年のマンションは、中古不動産の中でも相当古い物件ですが、高く早く売るにはどんなコツがあるのでしょうか?
「築40年のマンションなんて売れない!」「マンションが古すぎて売れなくて困っている」などのお悩みをお持ちの方もいるかもしれません。
本記事では、そういった方に向けて、築40年のマンションを高く早く売るコツや資産価値や市場的な不動産需要についてご紹介します。
目次
築40年のマンションは売却できる?
築40年のマンションでも売却はできます。
売却は可能ですが、建物自体の価値が落ちていることや、築浅を好む一般的な不動産需要からは外れているため、原則安価での売却となります。
しかし、その中でも工夫次第ではわずかでも高値で、早く売ることができます。
まずは、築40年のマンションの資産価値やマンション自体の耐用年数、売りづらい理由などについてご紹介していきます。
築40年のマンションの資産価値
まずは築40年のマンションの資産価値について説明します。
RC造りのマンションの資産価値は、新築時から一定の割合で減価償却します。
その後、築47年に法的耐用年数を迎え、マンションの資産価値は0円となります。
よって、築40年の資産価値は、新築時100%とすると40年経過で以下のように算出できます。
100×(1-40/47)=14.89%
このように、築40年のマンションでは新築時と比較して、約15%(85%の減額)の資産価値が残ると言えます。
マンションの耐用年数
2013年9月に国土交通省が発表した「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書によると、RC造り住宅の平均耐用年数は68年とされています。RC造りの法定耐用年数は47年となっていますが、実際の平均寿命は法定年数より20年以上長くなっています。
なお、マンションの耐用年数は、コンクリートなどの劣化よりも給排水管の交換のしやすさなどで決まっているケースが多いようです。
古いマンションでは、現在のように給排水管が躯体と天井や床の間を通るのではなく、躯体内に埋め込まれていることがあります。
この場合、交換自体が簡単ではなく大規模な工事となることから、やむを得ず建て替えというケースが築年数の古いマンションでは多いようです。
現在のマンションでは、給排水管などは交換しやすいように設計され、且つコンクリート自体の寿命は100年超であることから、マンションの寿命は更に延びることが予測できます。
売却が難しいと言われる理由
築40年のマンションが、一般的に売却が難しいと言われる理由についてご紹介していきます。
築年数が浅い物件ほど人気があるから
中古不動産市場では、一般的に築年数が浅い物件ほど人気があります。
中古の築浅物件は、大がかりなリフォームを必要とせず、すぐに入居できます。
また、新築より割安なケースが多いため、新築が割高で購入を断念した人が築浅の中古に流れる傾向があります。
ランニングコストが上がっているから
築40年のマンションでは、ランニングコストが上がっていることが多いです。
建物は築年数が経過すると、各所に劣化が生じます。
外壁、空調や電気の設備、給排水管など、劣化が起きる箇所は多種多様です。
これらの費用を賄う修繕積立金は、築年数が経過すると段階的に上がっていくケースが一般的となります。
このため、修繕積立金に毎月高額な出費がかかる可能性があり、敬遠されます。
多額の修繕工事がかかるおそれがあるから
先述したように、築40年のマンションでは、多額の修繕工事がかかるおそれがあります。
特に大規模修繕では、劣化が激しい建物の外壁や共用部の大々的な工事を行うと、工事費が多額となります。
また、機械式駐車場の更新や撤去、エレベーターの改修工事も同様です。
このようにマンション内には、多くの設備が設置されているため、築年数が経過するとその分の修繕費用が高額となってしまいます。
居住できる年数が短いから(建て替えになる可能性もある)
築40年のマンションでは、居住できる年数が短い可能性があります。
マンションの法的な耐用年数は、鉄筋コンクリート造りで47年です。
最近建てられたマンションでは、高強度コンクリートが使われ、100年近くの耐久性があります。
しかし、40年前に建てられたマンションは、現在ほどの建築技術には到底及ばず、耐久性としては劣っています。
また、給排水管の設備がコンクリート埋め込みのケースもあり、インフラ設備の劣化で居住が難しくなることもあり得ます。
建物が寿命を迎えた場合には、建て替えとなる可能性もあるため、買主に敬遠されます。
設備が古い、耐震性に不安がある
築40年のマンションは、設備が古く耐震性に不安を感じる人も少なくないようです。
40年前は新耐震基準で建設されていますが、現在建てられるマンションより構造やコンクリート強度等では劣ります。
また、オートロックやエントランスのタッチセンサー、レンタサイクルや宅配ボックスなど、現在では標準的なセキュリティ対策や設備がないケースもあります。
このように、これら設備が全体的に古いことや、耐震性や防災対策に不安を持たれる傾向があるようです。
居住者の高齢化が進み、周囲とコミュニケーションが取れるか不安
マンションを購入する主な層は、30代~40代の子育て世帯です。
しかし、築40年のマンションでは住民の高齢化が進み、子育てを終えた世帯が居住するケースが多いでしょう。
そこに子育て世帯が入居することで、子供の鳴き声や家の中を走り回ることによる騒音等でトラブルが起きる可能性があります。
このような世帯間ギャップにより、コミュニケーションが取りづらいイメージがあるため、売りづらいと言われます。
築40年のマンションにも需要はある
ここまで、築40年のマンションは売りづらいことをお伝えしてきました。
しかし、築40年のマンションが全く売れないということではありません。
築40年のマンションには、築浅物件にはない圧倒的な割安感があります。
また、室内をフルリフォームすれば、新築時同様に居住ができます。
さらに、リフォームで自分好みの部屋にできるメリットもあります。
マンションを安く買い、費用が浮いた分をリフォーム費に充てることで自分好みの唯一無二の家を造れます。
他にも、「実家の親の傍に住みたい」と同じマンション内に購入する需要もあります。
また、そもそも東京都心部や人気の高い街に立地、ロケーションの良いマンションであれば、買い手は引く手数多です。
たとえば、吉祥寺駅北側の井の頭公園に面する築古マンションは、現在も高値で取引されています。
このように、築年数に関係なく需要があるエリアであれば、築40年でも問題なく売却できます。
築40年のマンションの売却相場
築40年のマンション売却相場を、下記の表よりひも解いていきましょう。
首都圏中古マンション成約状況(万円、㎡)
築年数 | 売却相場 |
---|---|
築0年~5年 | 6,638万円 |
築6年~10年 | 6,193万円 |
築10年~15年 | 5,543万円 |
築16年~20年 | 5,250万円 |
築21年~25年 | 4,290万円 |
築26年~30年 | 2,832万円 |
築31年以上 | 2,193万円 |
上記データによると、築40年における明確な数字は出ていません。
このため、一旦築31年以上のデータを参考に2,200万円前後としておきましょう。
なお、実際の売却金額は、立地やマンションの専有面積、階数、規模感などにより異なります。
築40年のマンションを売却するメリット・デメリット
築40年のマンションを売却には、メリットとデメリットがあります。
各々について、以下にご紹介していきましょう。
築40年のマンションを売却するメリット
まずは、築40年のマンションを売却するメリットについて見ていきましょう。。
価格が安く売却しやすい
築40年のマンションは、価格が安く売却しやすいことがまず挙げられます。
最近、東京都心部などを中心に新築マンション価格が高騰しています。
これにより、新築より割安に購入できる中古に人気が集中しています。
また、築40年であれば周辺の新築相場や築浅中古相場の1/2~1/3程度で購入できるケースもありお得です。
価格が安ければ、購入を検討できる人の裾野が広げられます。
売却益があれば軽減措置が受けられる
築40年のマンションであれば、所有期間が長いケースが多いでしょう。
仮に売却益があれば、所有期間が5年超の場合は税率が20.315%(所有期間5年以内は、税率39.63%)となる軽減措置を受けられます。
さらに所有期間が11年超だと、譲渡所得6,000万円までの部分については税率が14.21%に軽減されます。
築40年のマンションを売却するデメリット
次に、築40年のマンションを売却するデメリットを見ていきましょう。
契約不適合責任を追及されやすい
築40年のマンションは、契約不適合責任を追及されやすいデメリットがあります。
契約不適合責任とは、買主が購入前に思ったとおりの物件でなければ、修補・代金減額請求・損害賠償・契約解除ができる権利です。
古いマンションでは、住戸内各所に不具合があるケースが多く、契約不適合責任には十分に注意しなければなりません。
なお、契約不適合責任の対策として、売却前に住宅診断(インスペクション)を受ける方法があります。
一級建築士などが、壁の中や床下など素人では気づきにくい箇所や、設備機器の不具合を指摘します。
また、不具合箇所が酷ければ、売却活動前に是正工事するなどの対策が取れます。
売主は、住宅診断によって得られた指摘箇所を「建物状況報告書」に記載し、買主に伝えます。
こうして買主は、建物の状態を把握し売買契約を行えるため、売主は契約不適合責任を回避しやすくなります。
買い手がなかなか現れない可能性が高い
築40年のマンションでは、買い手がなかなか現れない可能性が高くなります。
先述でも紹介していますが、一般的に中古不動産を購入する人のニーズからは外れているため、立地条件によっては価格が安くても依然敬遠される傾向はあります。
このため、買い手が現れるまで辛抱強く売却活動をしなければなりません。
築40年のマンションを売却する方法
築40年のマンションを売却するには、2つの方法があります。
仲介と買取について、各々のメリットとデメリットをご紹介します。
仲介で売却
仲介とは、主に個人の売主と買主の間に不動産会社が入ることで取引を円滑に進める方法です。
一般的な不動産売却は、仲介を利用して売却となります。
仲介で売買が成立すると、取引を仲介した不動産会社に成功報酬として仲介手数料を支払います。
仲介での売却のメリットは、高値で売れる可能性があること
仲介の売却では、好立地、売却時期が繁忙期、唯一無二感のロケーションがある物件など、人気物件であれば高値売却が可能です。
また、高値でなくても相場並みで売却できることもメリットと言えます。
仲介での売却のデメリットは、売却に時間がかかるおそれがあること
仲介では、売却に時間が掛かるおそれがあります。
物件の宣伝や内見者を集めるためにインターネットなどで広告を投下するも、成約に繋がらず売却に苦慮するケースが多いでしょう。
特に、古いマンションは市場的な人気が低いため、反響者や内見者が集まりにくい傾向があり、総じて時間が掛かります。
買取で売却
買取で売却とは、買取専門の不動産会社が買主となり、取引を進める方法です。
買取のメリットは、即売却現金化が可能であること
買取先さえ決まれば、即売買契約と現金化ができます。
買取業者は原則現金で購入を進めるため、売買契約後最短1週間程度で引き渡しとなります。
また、広告や内覧に対応する手間もありません。
買取のデメリットは、売却価格が相場の60%~70%になること
買取のデメリットは、売却価格が相場の60%~70%になることです。
売却が早いメリットがある反面、手元に入る資金が仲介より少なくなることに注意します。
マンションを高く早く売るコツ3つ
マンションを高く早く売るコツについて、ご紹介していきます。
仲介と買取を併用する
仲介と買取を併用し「売れない不安」を解消します。
売れない不安がなくなることで、焦って安値で売却することなく、高値で売れる可能性が高まります。
「買取保証」という形式で提供されているケースが多いです。
査定は複数社に依頼する
査定は複数社に依頼します。
相場を掴みやすくなり、売却のノウハウや実績に長けた不動産会社を探すことができます。
高く早く売るには、不動産会社の力量がポイントです。
内見前は綺麗に掃除しておく
内見前は綺麗な状態にしておき、内見者の印象をよくすることが必須です。
そのためには綺麗に掃除を行います。
まとめ
築40年のマンションは、売却することは可能です。
また、立地やロケーション等により、高値且つ早期売却も可能です。
しかし、築40年のマンションは原則としては売りづらいので、売却には時間がかかることを肝に銘じる必要があります。