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家を売却する際に庭木はそのまま残しておいて問題ない?

「家を売却する際には庭木はそのまま残しておいてもいいのかな?」

売却する家に庭木が立っている場合、その庭木をそのまま残しておいてもいいのか、それとも売却前に処分したほうがいいのか、どうするべきか悩んでしまうかもしれません。

家を売却する際には、庭木はそのままにしておいてもあらかじめ処分してしまっても、どちらでも構いません。しかし、どちらかといえば、庭木はあらかじめ処分しておいたほうが家の売却をスムーズに進めやすい傾向にあります。

この記事では、家を売却する際に庭木をそのまま残しておくべきかどうかや庭木を残しておく場合の注意点などについて解説しています。

この記事を読むことで、家を売却する際の庭木の取扱いについて知ることができます。

家を売却する際に法律上庭木はどのように取り扱われる?

家を売却する際に、法律上、庭木がどのように取り扱われるのかを知っておくことで、庭木の取扱いに関して戸惑ってしまうことを避けられます。

このことについてご説明します。

原則は土地の一部として取り扱われる

家を売却する際にその庭に立っている庭木は、原則として、土地の一部として取り扱われます。

土地とその定着物は「不動産」とされますが(民法86条1項)、庭木は土地から伐採せずには分離することができずに一体のものとなっており、土地の定着物に該当するからです。

土地の一部として扱われるということは、庭木を独立して取引の対象とすることはできず、土地の所有権者が庭木に対する所有権をも有することになるということです。

これにより、庭木が立つ土地を売却した場合には、庭木に対する所有権は土地の所有権とともに土地の買主に移転します。

例外的に土地の一部として取り扱われないケース

土地上に立つ庭木が例外的に土地の一部として取り扱われないケースもあります。

庭木について、土地とは独立した所有権の客体として取り扱うことが当事者間で合意された上で、次に説明する対抗要件を具えることで、庭木が例外的に土地の一部として取り扱われないこととなります。

立木法による登記がなされているケース

土地上に立つ木が土地の一部として取り扱われるという原則に対し、立木法(正式名称:明治四十二年法律第二十二号(立木ニ関スル法律))に基づく登記(立木登記)をした立木については、土地とは独立した物として取引の対象となります。

立木とは、土地上に立つ樹木の集団であって立木法に基づく所有権保存登記をしたもののことをいい、この立木登記をすればその立木を伐採することなく独立した取引の対象物とすることができます。これにより、立木を伐採することなくそのまま他人に売却するなどのことが可能となります。

立木登記の実際の件数はそれほど多くなく、ここ数年の申請件数は毎年数十件程度で推移しています。

明認方法が施されているケース

明認方法とは、土地上の樹木などについてその所有者が誰であるかを公に明示することで、土地とは独立した取引の対象とする公示方法のことです。

明認方法は、法律によって規定されたものではなく、慣習として認められている方法ですが、明認方法を施すことによって第三者に対しその樹木等の所有権を対抗できることが判例によって認められています。

明認方法は、具体的には、次の方法のいずれかなどを施すことにより行います。

  • ・樹木の表面を削った上で直接所有者が誰であるかを墨書する方法
  • ・樹木のそばに所有者が誰であるかを示す立て札を立てる方法
  • ・樹木の枝や幹などに所有者が誰であるかを記載した札を掛ける方法

このように樹木を土地からは独立した取引の対象とする必要性が高いケースとは、樹木そのものに非常に高い価値があるケースや樹木に果実が成るために果実を収穫したいケースなどがあります。

一般的な価値の低い樹木については、あえて独立した取引の対象とされることは基本的にはあまりありません。

家を売却する際に庭木はそのまま残す?処分する?

家を売却する際に、庭木をそのまま残すか処分するか、どうすればいいのか分からずに悩んでしまうことがあるのではないでしょうか。

庭木をそのまま残すか処分するかについて、基本的な考え方などをご説明します。

基本的にはそのまま残しても処分してもどちらでもよい

家を売却する際には、基本的には庭木をそのまま残しておいても処分してしまっても、どちらでもかまいません。

家を売却する前に庭木を処分しなければならないというルールはありません。もし庭木が残されたまま家とその敷地を売却すれば、庭木は土地の一部として買主のものとなります。

もちろん、売却する前の時点では庭木の処分権限は土地の元の所有者の下にあるので、その者が庭木を処分してしまっても何も問題ありません。

庭木を処分したほうが家は売れやすい

もっとも、家を売却する場合には、売却前に庭木を処分してしまったほうが家は売れやすいというのが実情です。

庭木をそのままにして家を売却するよりも、庭木を処分してから家を売却したほうがよりスムーズに家を売却できる傾向にあります。

家を売却する際に庭木を処分しておくメリットについては、この後に詳しくご説明します。

家を売却する際に庭木を残す場合の注意点

もし家を売却する際に庭木を残したまま売却しようというのであれば、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。

注意点1:庭木の取扱いについて契約書に記載する

家を売却する時点で庭木が残されたままである場合には、庭木をどのように取り扱うのか売主・買主の間で取り決めて契約書に記載するようにしましょう。

買主が家を購入した後で庭木を処分する場合には、庭木の処分費用の負担を買主とするのか売主とするのかを明記しておくとトラブルを防げます。

もしも庭木に高い価値があるなどの理由で家の売却後にも庭木を残しておきつつ所有権を売主の側に残しておきたいという場合には、そのことを契約書に明記したうえで、庭木に明認方法を施すなど適切に対応するようにしましょう。明認方法を施すなどしなければ庭木を土地から独立させて取引の客体とすることはできないので、注意が必要です。

注意点2:家を売却する前に庭木を綺麗に手入れしておく

家を売却する際に庭木を残しておくのであれば、庭木は綺麗に手入れしておくようにしましょう。

もししっかりと手入れがされておらず荒れ放題になっていれば、購入希望者の購入意欲を下げてしまい家が売れないことにもつながります。

庭木の枝や根が隣地まで伸びてしまっていると、後から隣地との間で庭木の手入れなどをめぐってトラブルになってしまうリスクが高いため、購入希望者としてもそのような家の購入は控えようと考えてしまうかもしれません。

庭木を残しておいているのに庭木が手入れされずに荒れているとなると、売主はしっかりとした人ではないのではないかと怪しまれてしまい、家の取引を敬遠されるリスクもあります。

庭木が荒れていると、購入後に手入れをしたり伐採したりしなければならないため、その負担を嫌がって家の購入を見送られることもあり得ます。

このように、庭木を残しておきつつ綺麗に手入れしていない状態で放置しておくと、購入希望者の印象を悪くして家の売却がスムーズに進まなくなる原因となる可能性も十分にあります。家の売却時点で庭木を残しておくのであれば、少なくとも庭木を綺麗に手入れしておいて購入希望者に悪印象を与えないようにすることが大切です。

注意点3:庭木があっても売却価格が上がることは稀だと押さえておく

いくら綺麗に手入れされた庭木があったとしても、そのことだけで家の売却価格が上がることは基本的にはありません。家の購入希望者はあくまでも家とその敷地を購入したいのであって、手入れされた庭木を購入したいわけではなく、手入れされた庭木があるからといって特に家の購入価格を引き上げる理由がないからです。

例外的に、その庭木に特に市場価値が高くなる要素があり、庭木単体で見ただけでも金銭的な価値がつくという場合には、庭木があることで売却価格を上げられることもあり得ます。例えば、綺麗に手入れがされている樹齢何百年もの松があり、歴史的・文化的に高い価値があるようなケースです。もっとも、このような樹木が庭木として存在しているケースは稀であると思われます。このような特殊な事情のない通常の庭木であれば、独立した経済的価値がなく、家の売却価格を引き上げることにはつながりません。

家の購入希望者としては、家の購入後に庭木を処分して土地を活用したいことも多くあり、そのような場合にはむしろ処分費用や手間を負担しなければならないことから、庭木があることは売却価格を引き下げる方向に働くのが一般的です。

家を売却する際に庭木を処分しておくメリット

家を売却する際に庭木を処分しておくことには、いくつかのメリットがあります。

このことについてご説明します。

メリット1:購入希望者が庭の活用方法をイメージしやすい

家を売却する際に庭木を処分しておくと、購入希望者が庭の活用方法をイメージしやすいというメリットがあります。

家を購入した人は、多くの場合、その庭も活用することを考えています。例えば、庭を活用して家庭菜園をしたりガーデニングをしたりするかもしれません。

もし庭木が茂っていると庭の広さがどの程度なのか、庭の形はどのようなものなのかなどのことが伝わらず、購入希望者も家を購入した後のことについてイメージを持ちにくいです。

庭木が処分されており、庭の形や広さが伝わるようになっていると、購入希望者も購入後のイメージを持ちやすく、結果としてその家を購入しようという判断をしやすいということになります。

メリット2:購入希望者が庭木の処分の手間を負担せずに済む

庭木が処分されずにそのままになっていると、家の購入希望者が庭木を処分する費用や手間を負担しなければなりません。

購入希望者は、家を購入したらすぐに庭を活用したいと思っているかもしれませんし、庭木の処分の方法がよく分からなくて自分で処分するのは嫌だと考えているかもしれません。

このように、購入希望者が庭木を処分する費用や手間を負担しなければならないとなると、もしそれ以外はほとんど同じ条件で庭木の処分の必要がない他の売却物件があれば、そちらを選んでしまうかもしれません。

あるいは、庭木の処分の負担を理由に売却価格を下げるように要望されてしまうかもしれません。

このように、庭木の処分の負担を購入希望者に負わせると、家を売却する上では良い条件でスムーズに売却を成功させられなくなる可能性が高まります。

逆に、家を売却する前に庭木を処分しておけば、購入希望者が庭木を処分する費用や手間を負担しなくてもよくなり、結果として家の売却もスムーズに進められる可能性が高まります。

メリット3:庭木の存在をマイナスに捉えられる心配がなくなる

庭木がある状態のまま家を売りに出すと、購入希望者は家の状態を見るのとあわせて庭木の状態も見ます。

もし庭木が丁寧に手入れされているのであれば、庭木の存在がマイナスになる可能性はそれほど高くないでしょう。しかし、庭木が手入れされておらず荒れていれば、庭木から悪い印象を受けてしまい、結果として庭木の存在をマイナスに捉えられてしまう可能性があります。庭木の存在をマイナスに捉えられてしまうと、家を売却する上では不利に働いてしまいます。

庭木をあらかじめ処分したうえで家を売りに出していれば、庭木の存在がマイナスに捉えられる心配をする必要はなくなります。このため、庭木が家の取引に影響を与えることを懸念する必要がなくなり、純粋に家そのものの売却に集中することができるようになります。

メリット4:家への日当たりが改善される

庭木があまりにも生い茂っていると、家への日当たりが悪くなっていることがあります。

家への日当たりは、家を売却する上では重要な要素です。購入希望者も、窓から日が差し込むかどうか、洗濯物を干したときによく日が当たって乾きやすいかどうか、日当たりが悪くて家がしっけてしまったりカビが出やすかったりするようなことはないかといったことを気にしながら家を選ぶのが一般的です。

もし庭木のせいで家への日当たりが悪くなっていると、購入希望者はそのことを悪く思ってしまう可能性があります。庭木の影響で日当たりが悪いことが原因となって家の購入を見送られてしまえば、それは売却の機会を逃してとてももったいないことです。

庭木を処分したことで日当たりが改善するのであれば、積極的に庭木を処分して日当たりを良くすることを検討しましょう。これにより、不必要に売却の機会を逃すリスクを軽減できます。

家を売却する際に庭木を処分する方法

家を売却する際に庭木を処分する方法をご紹介します。

造園業者や解体業者に処分を依頼する

もっとも確実なのが、造園業者や解体業者といった庭木の処分を取り扱ってくれる業者に依頼することです。

業者に依頼すれば、機材を用いて庭木を伐採し、根を掘り起こして取り除き、伐採した木を運搬・廃棄してくれます。

庭木の処分は手間もかかり重労働であり、作業に慣れていなければなかなかうまくできないことも多いので、業者に依頼して処分作業を行ってもらうのがおすすめです。

業者に依頼すると、ある程度のお金がかかります。

庭木を伐採するのにかかる費用は、おおむね2〜4万円程度が相場です。もっとも、難易度や庭木の大きさ、伐採する範囲によっても大きく変わり得ます。

あくまでも一つの目安として捉えることが重要です。
庭木の伐採を依頼する業者に複数見積もりを出してもらい、内訳や根拠に納得できるかを確認し、納得して依頼できる業者を探すように心がけましょう。

自分で庭木を伐採する

小さな庭木など、自分で対応できそうなものであれば、自分で伐採して処分することもできます。

のこぎりやチェーンソーなどの機材を用意して、庭木を伐採していきましょう。

保護のための手袋や眼鏡などを装着し、安全には十分に注意して作業を行うことが大切です。

伐採した木の枝や幹などは、ごみ袋に入るように小さく切り刻めば、自治体のごみ回収に出せることもあります。地域のごみ回収の案内を確認し、ごみ出しルールに従って廃起するようにしましょう。

なお、伐採した枝や幹を隣地などに投棄することは、絶対にしないようにしましょう。隣地とのトラブルに発展する可能性が高いほか、ごみの不法な投棄として廃棄物処理法違反などの罪に問われるおそれもあります。

ご自分で庭木を伐採しようと試みたものの、なかなかうまくできないという場合には、あまり無理をしないで業者に依頼するよう方針転換することも心に置いておくことが大切です。慣れない中で無理に自分で庭木を伐採しようとすれば、機材の使い方を誤ってけがをしてしまう危険もあります。

自分で庭木を伐採する際には、できるところまでにすることや引き際を見誤らないことが何より大切です。

まとめ:庭木はそのまま残しても構わないが処分したほうがいいこともある

家を売却する前には、従前よりある庭木を残しておくことも許されます。

もっとも、庭木を残しておくことは家の売却価格が下がるなどのデメリットを引き起こす一方で、庭木を伐採して取り除いておけば売却がスムーズに進むなどメリットが大きいです。

合理的に考えると、基本的には家の売却前には庭木を伐採してしまっておくほうが望ましいことには間違いないでしょう。

庭木を伐採するにあたっては、基本的には業者に依頼して行います。ご自身で伐採を進めることは、特に作業に慣れているなどの事情がなければ避けたほうが無難です。

家の売却前に庭木を伐採するか残しておくかを迷ったら、特に支障がない限り伐採することとし、専門的な業者に依頼して伐採作業を進めるようにしましょう。

このようにすれば、できるだけ高くスムーズに家を売却できる可能性を高めることができます。

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