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専門家が解説!不動産の名義変更は自分でできる?流れと書類と期限について

この記事でわかること

  • 不動産の名義変更とは?
  • 必要となるケースを具体的に説明
  • 名義変更をしなかった場合に起こるトラブル
  • 自分で不動産の名義変更を行う手順

土地や建物などの不動産を保有している人は、登記を行う必要があることはご存知かと思います。

その不動産の所有者が何らかの理由で変更になった場合には、登記上の名義人も変更しなければなりません。

しかし、どうして名義変更をしなければならないのか、詳しい理由まで知っている方は少ないかもしれません。

そこで、不動産の名義変更をしなかった場合に起こりうるトラブルや、名義変更を自分で行う際の手続きの流れについても解説していきます。

不動産の名義変更をしなかった場合の問題点や、名義変更に必要となる手続きについて理解を深めるきっかけにしていただければと思います。

不動産(家や土地)の名義変更とは?

土地や建物などの不動産を所有する人は、その不動産を所有していることを法務局で登記を行います。

そして、その不動産の所有者が変更になった場合には、その都度、所有者が変更になったことについて登記を行うこととされています。

どうして不動産は登記を行うのか?

土地や建物などの不動産を所有する人は、その不動産を所有していることを登記によって第三者に対して主張することができます。

預金などの財産が自分で管理できるのと違い、土地や土地に定着した建物を金庫に入れるように管理することはできません。

その代わり、法務局という国の機関で登記を行うことにより、その不動産を所有していることを国が証明しているのです。

法務局での登記を行う際には、本人確認などが極めて厳格に行われます。

そのため、登記簿を見た人はその内容が正しいものと信じて様々な取引を行います。

仮に、登記の内容が誤っていた場合であっても、登記を信じた第三者は保護されるのです。

名義変更が必要なケースはどんなとき?

不動産の登記簿には、その土地の所有権者について登記されるほか、抵当権が設定された場合などにも登記されます。

そのため、非常に多くのケースで名義変更などの登記が必要となります。

ここでは、名義変更が必要になるケースについて解説していきましょう。

相続があった場合

相続があった場合とは、つまり不動産を保有していた人が亡くなった場合を言います。

不動産を保有していた人が亡くなり、その土地や建物を相続で引き継ぐこととなるため、その時点で所有者が変更となるのです。

もし相続があっても登記の名義変更が行われなかった場合、不動産の所有者が故人のままとなってしまい、適切ではありません。

相続があった場合、遺言や遺産分割協議によって新しい所有者が決められます。

そのため、遺言書や遺産分割協議書を使って名義変更を行うこととなるのです。

贈与があった場合

贈与とは財産を他の人にあげることを言います。

通常は、まったくの他人にあげるということはなく、配偶者や子供などの家族や親族に対して行われます。

不動産の贈与が行われた場合、その事実を登記しなければ誰にも分かりません。

そのため、贈与が行われた場合には契約書などの書類を使って名義変更をしなければならないのです。

財産分与があった場合

財産分与とは、離婚を原因として行われる財産の譲渡のことです。

離婚してから2年以内であれば、相手方に財産の分与を請求することができます。

財産分与が成立すると、その内容にあわせて登記上の名義変更を行う必要があります。

特にマイホームについて夫婦の共有名義となっていることが多いため、これを夫あるいは妻の単独名義に変更しなければならないことが多いです。

売買を行った場合

土地や建物を購入した場合あるいは土地や建物を売却した場合、所有者が変更になるため、名義変更が必要になります。

売買が成立し代金の決済が完了したら、その日に法務局へ登記申請を行うのが一般的です。

いくら売買契約が成立していたとしても、登記上の名義変更が行われていなければ、その事実を第三者が確認することはできません。

新しい所有者がその不動産の所有権を主張するためにも、登記は必要です。

住宅ローンを完済した場合

マイホームを購入して住宅ローンを組んだ場合、購入した土地や建物をそのローンの担保とします。

こうすることで、仮にローンの返済に行き詰まった場合には、金融機関は不動産を差し押さえることができるのです。

担保に入れた不動産については、その登記簿に抵当権が付されていることが記載されます。

その後、住宅ローンを完済すると、その時点で金融機関の抵当権を消滅させることができます

その事実を明確にするため、登記上で設定されている抵当権を抹消するための登記手続きが必要となるのです。

名義変更をしないとトラブルに巻き込まれる?

不動産の所有権は相続や贈与の時、あるいは売買契約が成立した時などに移転していることとされます。

仮に登記を行っていなかったとしても、そのことで新たな所有者の所有権が否定されるわけではありません。

ただ、登記上の名義変更を行わなかったために、後でトラブルとなる可能性は避けられません。

具体的にどのようなトラブルが考えられるのか、ご紹介しましょう。

相続人が大量に増えてしまう

登記を怠ってしまうケースとして圧倒的に多いのが、相続の際に登記しないケースです。

相続登記しない理由としては、自宅の登記を変更しなくても、そこに住み続ける限り問題が生じることがないためです。

また、登記上の名義変更を行うためには費用がかかることも影響していると思われます。

そのため、相続した土地や建物を亡くなった人の名義のままにしておくことがあるのです。

しかし、相続登記していなかった土地についてそのままにしておくと、その土地の進の所有者が誰か分からなくなってしまうことがあります。

そうすると、その土地は亡くなった人の法定相続人で共有されているものと考えられます。

また、その法定相続人が亡くなると、さらにその法定相続人で共有されていることとなってしまいます。

こうなると、1つの土地や建物について数十人の相続人による共有となってしまうこともあるのです。

不動産を売却できなくなる

亡くなった人の名義となっている土地や建物については、そのままでは売却することはできません

そのため、相続人が相続登記を行ったうえで売却するという流れとなります。

ただし、最初にご紹介したように、相続登記を行わないまま次の相続人も亡くなってしまった場合は、簡単な話ではありません。

共有状態となっている不動産を売却するためには、その共有者全員の同意が必要です。

仮に1人でも売却に反対する人がいると、その不動産を売却することはできません。

また、これ以上に障害となるのが、共有者全員と会うのが難しいことです。

相続人の数が数十人にも膨れ上がった場合、その相続人の中には過去にあったことのない人もいるでしょう。

こうなると、相続登記を行うこと自体が不可能となってしまい、売却しようと思ってもできないこととなるのです。

取壊しや建て替えができなくなる

相続した不動産が土地だけの場合は、管理費はそれほどかかりません。

しかし、建物も含まれている場合、その建物の維持費がかかります。

築年数が経過すればするほど、その費用は大きくなるため、取壊しをしたいと考えることもあるでしょう。

しかし、建物が法定相続人の共有状態となった場合、他の相続人の同意なしに取り壊すことにはリスクがあります

勝手に建物を取り壊したとして、その損害賠償を請求される可能性もあるのです。

また、古い建物を取壊して建て替えたいと考える場合は、さらに大きな問題があります。

それは、相続登記をしていない土地については担保にすることができないことです。

自宅の場合でも、貸家や貸事務所を建設する場合でも、その敷地が亡くなった人の名義では金融機関はお金を貸してくれないのです。

その結果、相続登記されていない土地・建物については、最終的に手付かずのまま放置されてしまう結果となるのです。

自分でもできる?名義変更の流れと必要書類について

ここまで、不動産の名義変更の必要性や名義変更を行わなかった場合のトラブルについて解説してきました。

このようなトラブルを避けるために必要なのは、その都度正しく登記を行うことです。

そこで、不動産の登記について名義変更を行う際の手続きの流れや必要書類について解説します。

登記手続きは、自分で行うことができるため、ぜひ参考にしてください。

登記の名義変更の流れ

自分で不動産登記の名義変更を行う際の流れについて、順番に確認していきましょう。

STEP1 所有者が変更になる行為について当事者間で合意する

不動産の名義人が変更になるケースとして、相続・贈与・財産分与・売買があると紹介しました。

また、住宅ローンを完済した場合には、抵当権を解除する必要もあります。

このように登記が必要となる行為について、当事者間で合意しなければなりません

たとえば相続の場合は、すべての相続人で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を相続するかについて合意する必要があります。

STEP2 合意した内容を書面に残す

当事者間で不動産の所有権が移転する内容について合意ができたら、その内容にもとづく書類を作成します

相続であれば遺産分割協議書、売買であれば売買契約書といったものです。

このような書類が名義変更の手続きを行う際に必要となるため、忘れずに準備しておきましょう。

STEP3 登記申請に必要な書類を準備する

法務局に提出する登記申請書や添付書類を準備します。

登記申請書は、その登記が必要となった原因行為により使う用紙が異なるため、必ず目的にあったものを使用するようにしましょう。

引用:「不動産登記の申請書様式について」(法務局)

なお、登記申請書の多くは、新所有者と旧所有者が1枚の申請書で申請するという形になっています。

登記をしようとする間際になって準備しても、そこから申請書の作成に時間がかかる場合もあるため、早めの準備が必要です。

STEP4 法務局に書類を提出する

登記申請書と必要な書類をそろえて、法務局の窓口に提出します

登記の申請を行う法務局は、その土地が所在する場所によって決められており、その法務局に申請を行う必要があります。

遠方に土地がある場合などは、窓口まで行くのが困難な場合もあるため、郵送で申請書などを提出することもできます。

STEP5 登記の完了

通常、1~2週間ほどで登記は完了します。

この場合、法務局で登記識別情報を受け取る必要がありますが、郵送してもらうことも可能です。

登記の名義変更に必要な書類

不動産登記の名義変更をする際に必要となる書類には、どのようなものがあるのでしょうか。

原因行為別に、必要となる書類を確認していきましょう。

1 相続の場合

相続登記を行う際には、多くの書類が必要となります。

これは、相続登記の場合、亡くなった人と相続した人の関係を証明し、本当に相続が発生したことを確認する必要があるためです。

遺産分割協議を行った場合には必要な書類は以下のとおりです。

  • ①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ②法定相続人の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書
  • ③相続財産の固定資産評価証明書
  • ④遺産分割協議書

2 贈与の場合

贈与により名義変更を行う場合に必要となるのは、以下の書類です。

  • ①贈与した人の登記識別情報通知・印鑑証明書
  • ②贈与された人の住民票
  • ③不動産の固定資産評価証明書
  • ④贈与契約書など贈与があったことを証明する書類

3 財産分与の場合

財産分与により名義変更を行う場合に必要となる書類は以下のとおりです。

  • ①分与する人の登記識別情報通知・住民票・印鑑証明書
  • ②分与を受ける人の住民票・印鑑証明書・戸籍謄本(年月日離婚の記載のあるもの)
  • ③不動産の固定資産評価証明書
  • ④財産分与の内容が書かれた公正証書・合意書等

4 売買の場合

不動産を売買して名義変更する際の必要書類は以下のとおりです。

  • ①売主の登記識別情報通知・印鑑証明書
  • ②買主の住民票
  • ③不動産の固定資産評価証明書
  • ④売買契約書

5 住宅ローンを完済した場合

住宅ローンを完済し抵当権を抹消する際に必要な書類は以下のとおりです。

  • ①登記識別情報通知
  • ②抵当権解除証書
  • ③金融機関の資格証明書
  • ④登記事項証明書

名義変更をする際の期限について

不動産登記の名義変更を行う場合、いつまでにしなければならないという期限はありません。

このことが、名義変更を遅らせてしまう原因の1つとなっていると言えるでしょう。

しかし、いつまでに名義変更した方がいいという目安はあることから、その目安の時期を過ぎてしまうまでに行いましょう。

相続の場合

相続が発生した場合、通常は亡くなってから10か月以内に相続税の申告を行うため、それより前に遺産分割が完了しています。

遺産分割が完了したらできるだけ速やかに相続登記を行うのが望ましいと言えます。

ただ、相続により相続人が土地や建物を相続した場合、遅くとも1年以内に名義変更を行うようにしましょう。

贈与の場合

不動産の贈与を行った場合、贈与税の対象となるケースが多いと思います。

この時、申告の内容と登記の内容が一致しないのは望ましくありません。

少なくとも贈与を行った年内には名義変更を行う必要があります。

離婚した場合

離婚して財産分与の請求が認められるのは、離婚してから2年とされています。

これを超えてしまうと贈与税が課される可能性が出てくるため、少なくとも離婚してから2年以内に行うようにしましょう。

売買した場合

不動産の売買が成立した場合は、不動産の引渡しの日に登記を変更するのが普通です。

新たにマイホームを購入した場合などは、不動産会社や工務店などが主導して手続きを行ってくれることでしょう。

住宅ローンを完済した場合

基本的に、抵当権が付されたままの不動産を売却することはできません。

また、新たな借り入れも難しいと思われます。

いつまでにという期限はありませんが、売却や新たな借入をする可能性がある場合は、早めに抵当権抹消の手続きを行いましょう

その他の注意点

不動産の名義変更を行う原因となる相続や贈与、売買などの行為は、いずれも税金が発生するものばかりです。

また財産分与についても、要件を満たせば非課税となりますが、その要件から外れた場合には課税の対象となることがあります。

今回ご紹介した手続きにより、登記簿の名義変更をすれば簡単に所有権を移すことができると思われるかもしれません。

しかし、名義変更を行ったため、あるいは名義変更の原因となった行為を行ったために多額の税金が発生するケースもあるのです。

名義変更を行う際には、必ず課税関係についても確認し、税務署へ申告が必要な場合にはその手続きも行いましょう。

専門家に頼んだ際の相場について

不動産登記の名義変更を、専門家である司法書士に頼むこともできます。

司法書士に依頼すれば、登記の申請だけでなく必要な書類を集めたり、贈与の契約書を作成してもらったりすることもできます。

ただし、司法書士に依頼すれば当然その費用がかかります。

司法書士によってその金額はまちまちであるため、相場がいくらというのは難しいです。

目安としては名義変更に関する手続きだけであれば4~7万円、その他の手続きもあわせてであれば10~15万円程度となります。

ただ、費用の見積もりを依頼して、報酬の安い司法書士に依頼することも可能です。

まとめ

不動産の名義変更に関する手続きについて解説してきました。

名義変更が必要となるケースは日常的に発生するわけではありませんが、売買や相続など、必ず遭遇すると言えるでしょう。

その時に、できるだけ速やかに名義変更を行っておかないと、後で問題を大きくしてしまう可能性があるのです。

自分で手続きすることも、専門家である司法書士に依頼することもできるので、必要な時に必要な手続きを行うようにしましょう。

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