マンション売却の流れ|期間や費用、必要書類、注意点についても解説
初めてマンションを売却するとなると、何から手をつければいいか分からない方も多いでしょう。
できるだけ滞りなく良い条件で売却するためには、流れをしっかり知ることが大切です。
今回は、分譲マンションを売却する際の流れに加えて必要な準備や費用、注意点などを紹介します。
失敗を避けてスムーズに売却を進めるためにも必要な知識を身につけておきましょう。
マンションの売却を検討している方はぜひこの記事を参考にしてください。
マンション売却の流れ
マンション売却の主な流れは以下の図のように、大きく6つのステップに分けられます。
ここではそれぞれのステップについて詳しく説明していきます。
情報収集をする
マンションを売却するにあたって不動産会社に依頼する必要がありますが、連絡する前にまずは情報収集を行いましょう。
安く売却して損をしてしまうこともあれば、設定価格が高くてなかなか売れないこともあります。
築年数や立地、広さなどを考慮して事前に相場を調べておきましょう。
相場が分かると提示された価格が適切か判断しやすくなります。
住宅ローンの確認
住宅ローンが残っているマンションは原則売却できません。
査定前に住宅ローンに関する確認をしておきましょう。
売却できた場合、諸費用を引いた手取り金額からローン残債を返済することになります。
手取り金額がいくらになればローン返済が可能か、足りない場合自己資金で補えるのかを事前に調べましょう。
ローンの借入額や残債は、金融機関から毎年送られる年末残高証明書やインターネットバンキングなどで確認が可能です。
分からない場合は直接窓口で確認してもらうこともできます。
査定を依頼する
実際の売却価格は売主が決定できますが、やはりプロの目で見て判断してもらうのは重要です。
相場や住宅ローンの確認をしたら不動産会社に査定を依頼しましょう。
査定は売却のスピードや価格に大きく影響するため、不動産会社選びには注意が必要です。
特に担当者の感覚や知識のずれによって査定価格に差が出ます。
相場より安いと損をしてしまいますが、設定価格が高すぎるとなかなか売れず売却までに時間がかかってしまうこともあります。
さらに、選んだ不動産会社は値段をつけてもらって終わりではなく、買主との間を仲介してもらい売却まで付き合っていくことになります。
そのため、査定は複数社にお願いして慎重に不動産会社を選びましょう。
不動産会社と契約締結する
査定を終えたら、次は不動産会社との契約締結です。
契約締結をすることで、不動産会社がマンション売却の仲介を行ってくれることになります。
この時に売却に関する条件をすり合わせ、売却が成功した際の仲介手数料を決めます。
契約する会社は一社に絞る必要はありません。
契約には複数の種類があるので確認しておきましょう。
専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数業者との契約 | × | × | ◯ |
指定流通機構への登録 | 契約締結した日から7日以内 | 契約締結した日から5日以内 | 義務なし(任意で可能) |
契約有効期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 制限なし |
メリット | 1社のみが取り扱うので熱心に営業してもらえる可能性が高い。 | 週に1度は不動産会社から報告があり、現状を把握しやすい。 | 複数の不動産会社と締結可能なので広く買主募集が可能。 |
デメリット | 不動産会社の力量に左右されてしまう。 | 自分で買い手を見つけても不動産会社の仲介が必要。 | 不動産会社に報告義務がないので現状確認を自ら行わなければならない。 |
実際に1番多くの割合で選ばれているのが一般媒介契約。
続いて僅差で専任媒介契約となっています。
専属専任媒介契約は自由度の低さがデメリットとして目立つのか、人気は低いようです。
専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合でも、契約有効期間が過ぎれば他社への変更が可能なので「うまくいかないな…」と感じたら不動産会社を見直してみてもいいかもしれません。
マンションの売却活動を行う
不動産会社との契約締結ができたら、いよいよ売却活動に移りましょう。
ここからは、売却するにあたって必要な準備や対応について説明します。
付帯設備表・告知表の記載
買主にマンションの設備状況を伝えるために、付帯設備表や告知表を記載します。
付帯設備表とは売却するマンションに残していく設備や家具を記載するものです。
内覧時にあった冷暖房設備や照明器具は自分たちも使えるのか買主は気になります。
使える設備や新たに必要な器具がぱっと見て判断できるように表に書き込みましょう。
告知表には買主の購入判断に関わるようなマンションの修繕歴や欠陥について記載します。
具体的には「雨漏りはしないか」「リフォーム実績はあるか」などの項目についてです。
後に慰謝料を請求されるケースもあるので正直に確実に記入するようにしましょう。
内覧準備・対応
内覧時に感じた部屋の印象は売却成果に大きく影響します。
購入希望者に「住みたいな」と思ってもらえるようにしっかり準備や対応をしましょう。
まず大切なのが掃除です。
特に念入りに掃除を行いたいのが玄関・水回り・リビングの3箇所。
この3箇所を掃除しておけばある程度は綺麗に見えます。
次に当日の対応です。
事前にスリッパを並べたり部屋の電気をつけておいたりすることで慌てずに済みます。
和やかな雰囲気で内覧を進め、購入希望者の質問にも誠実に答えられると良い印象を与えられるでしょう。
土日や祝日に内覧を希望する方が多いですが、変更を頼まれることもあります。
なるべくスムーズに売却を進めるためにもできるだけ対応しましょう。
マンションの売買契約と引き渡し
無事にマンションの売却が決まったら、次は売買契約と引き渡しです。
一般的には仲介する不動産会社に集まり、「重要事項説明」「売買契約の取り交わし」「手付金の受領と仲介手数料の支払い」を行います。
当日必要な書類を不動産会社に確認して不備のないようにしましょう。
主に必要なのは印鑑証明書・本人確認証・実印の3つです。
さらに、この時にマンションの引き渡し日も決めます。
引き渡し日が決まったら、金融機関に連絡して住宅ローンを完済できるように調整しましょう。
確定申告を行う
引き渡し終了後、利益が出た場合は確定申告が必要になります。
売却損が出た場合は確定申告をする必要はありません。
確定申告はマンション売却の翌年の2月16日から3月15日の間に行いましょう。
期限直前に慌てずに済むように事前に必要書類を調べて準備しておくことをおすすめします。
マンション売却までの期間
マンション売却はすぐにできるものではなく、引き渡しまで含めると3〜6ヶ月かかるといわれています。
焦りはトラブルの元になりかねないのでゆとりを持って売却活動を始めましょう。
6ヶ月を過ぎると売れにくくなるとされており、なかなかスムーズに売却が進まないようなら何らかの改善が必要です。
どこに問題があるのか考えて、改善できそうなポイントは何か不動産会社と相談しましょう。
場合によっては不動産会社を変えてみるのも手です。
マンション売却にかかる費用
マンション売却には以下のような様々な費用がかかります。
金額の目安 | |
---|---|
仲介手数料 | (売却額×3%+6万)+消費税 |
譲渡所得税 | 譲渡所得の39.63%(保有期間が5年以下の場合) 譲渡所得の20.315%(保有期間が5年超えの場合) |
印紙税 | 1〜3万円ほど(売却金額による) |
登録免許税 | 不動産の個数×1,000円 ※別途司法書士への報酬を支払う |
ローンの返済費用 | 1〜5万円(金融機関による) |
その他の費用 | 5,000〜2万円(司法書士への報酬) 10万円前後(4人家族の場合の引越し費用) |
一般的には売却費用の5〜7%といわれます。
それぞれの項目について、どういった費用なのか説明するので参考にしてください。
仲介手数料
仲介をしてくれた不動産会社に報酬として手数料を支払います。
売買契約時に半金を支払い、残金は決済引き渡し時に払うのが一般的です。
売買価格が税込401万円以上なら、仲介手数料は(売却額×3%+6万)+消費税の計算で求められます。
例えば、3,000万円でマンションの売却を依頼した場合の仲介手数料は、(3,000万円×0.03+6万円)×1.08=1,036,800円です。
ただし、これは上限額なので不動産会社によっては下回る可能性があります。
多くの大手不動産会社では上限額を提示されるでしょう。
譲渡所得税
譲渡所得税は住民税・所得税・復興特別所得税の総称で、マンション売却で利益が生じた場合にかかる税金です。
譲渡所得税はマンションを保有していた期間によって税率が異なり、マンションの保有期間が5年以下の場合39.63%・5年超なら20.315%になります。
印紙税
印紙税とは、課税文書である「不動産売買契約書」を作成することで課される税金です。
売買契約書に印紙を貼って消印することで納税します。
税額はマンションの売却価格によって異なり、1,000万円〜5,000万円以下なら1万円・5,000万円〜1億円以下なら3万円かかります。
売却価格が高くなるほど印紙税も上がるので、紹介した金額以上の場合は国税庁のホームページを確認してください。
登録免許税
登録免許税は、マンションの所有権が売主から買主に移転したことを登記する際に納める税金です。
ここでいう登記には「所有者移転登記」と「抵当権抹消登記」の2種類があります。
一般的には売主が抵当権抹消登記・買主が所有者移転登記を負担します。
抵当権抹消の登録免許税は不動産の個数×1,000円で計算し、土地・建物をそれぞれ1つとカウント。
マンションは土地1つと建物1つで構成されているので登録免許税として2,000円を納めるのが一般的です。
登記は手続きが非常に複雑で自力で行うのは難しいため、通常は司法書士に依頼して行ってもらいます。
税金とは別に報酬を支払う必要があるので注意しましょう。
ローンの返済費用
買主へ引き渡す前にローンを完済している必要があるので一括返済を行います。
一般的に売却額等をローンの一括返済にあてますが、その際に発生するのが返済手数料です。
各金融機関によって手数料の金額は異なりますが、1万円から5万円ほどが相場といえるでしょう。
さらに、手続きを行うのがインターネットか窓口かで金額が変わってくる銀行もあります。
莫大な金額ではありませんが、収支をしっかり確認するためにも事前に調べておきましょう。
その他の費用
登記を行う際の手続きは司法書士に依頼します。
司法書士への報酬として1〜2万程度支払うのが一般的です。
また、引越しにあたり業者に依頼する場合は費用がかかります。
業者によりますが、一般的な4人家族の荷物量で8〜10万円ほどの引越し費用がかかると見積もっておきましょう。
他にも、ハウスクリーニングや修繕費がかかることもあります。
程度によって金額が大きく異なるので一概にはいえませんが、必要な費用はあらかじめしっかり調べて予算に組み込んでおきましょう。
マンション売却に必要な書類
ここでは、マンション売却時に必要な書類を紹介します。
以下の書類が揃っていないと売却をスムーズに行えません。
準備に時間がかかるものもあるので、紛失している場合は余裕を持って揃えるようにしましょう。
取得場所 | |
---|---|
身分証明書 | 運転免許証・マイナンバーカード・パシポート等手元にあるものを提示しましょう。 |
印鑑登録証明書及び実印 | 市区町村役場の窓口で取引3ヶ月以内に入手します。 マイナンバーカードがあればコンビニでも入手可能です。 |
登記済証または登記識別情報 | 売主の手元にて保管してあるはずです。 紛失してしまった場合は、本人確認のために法務局が郵送で問い合わせを行う「事前通知」を利用しましょう。 |
固定資産税・都市計画納税通知書 | 市町村から毎春送付されてくるので売主の手元で保管してあります。 最新年度のものが必要なので注意しましょう。 |
口座情報のわかる通帳・キャッシュカード | 紛失した場合は銀行で再発行が可能です。 手数料が発生し、時間がかかることもあるので余裕を持って手続きをしましょう。 |
マンションの管理規約・長期修繕計画・総会議事録等 | 手元にない場合はマンションの管理組合や管理会社が発行してくれますが、費用がかかる場合もあります。 |
管理にかかる重要事項調査報告書 | 一般的には仲介を行う不動産会社が入手してくれます。 |
マンションを売る際の注意点
最後に押さえておきたい注意点を紹介します。
失敗を避けるためにもしっかりチェックしておきましょう。
投資用のマンションを売却する場合、消費税がかかる
マイホームとして住んでいたマンションを売却する際は消費税がかかりませんが、投資用マンションを売却する場合は消費税が発生します。
ただし、不動産取引の場合は建物価格のみに消費税が生じ、土地にはかかりません。
また、免税事業主に認定されると非課税になるので、気になる方は詳しく調べてみてください。
築年数の古いマンションの場合
マンションに限らず住宅は築年数が古くなると価値が下がるといわれています。
そのため、築年数の古いマンションは新しいものに比べると売れにくいのが現状です。
売却をする際には、基本的に不動産会社に相談して仲介してもらうか買い取ってもらうかを決めましょう。
仲介してもらうなら、築年数が古いマンションの売買を強みとする不動産会社を選ぶとスムーズに高値での売却が期待できます。
不動産会社について事前に口コミ等で調べておくと良いでしょう。
買取の場合、仲介での売却相場額と比べて60〜70%ほどの価格になってしまいますが、スムーズに売却を終えることが可能です。
さらに、引き渡し後に欠陥や不具合が発覚しても責任を負う必要がありません。
ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている場合、買主に引き渡す際には完済している必要があるので注意しましょう。
まずは、マンションを売却することでローンを完済できるのか確認します。
マンションの売却価格がローンの残債を上回るなら問題なく買主に引き渡すことが可能です。
売却価格がローンの残債を下回ってしまう場合は差額を自己資金で用意しなければなりません。
あらかじめ売却金や自己資金で住宅ローンを完済できそうなのかを事前に確認しておくことが大切です。
相続したマンションを売却する場合
相続したマンションは、亡くなった人の名義のままでは売却ができないので注意しましょう。
売却する前に、不動産の所有権を相続人に移す「相続登記」を行います。
相続人が複数の場合は代表者を決めて所有権を移すのが一般的です。
申請先は法務局ですが必要な書類が多く手続きも煩雑なので、司法書士に依頼するのをおすすめします。
契約不適合責任について確認する
契約不適合責任とは、契約内容に適さない建物の不具合や欠陥に対して売主が一定期間責任を負うという決まりです。
売買時には気づかなかったからといって、「引き渡し後は関係ありません」というわけにはいきません。
代金減額請求や損害賠償を求められる可能性や契約無効になってしまう事態もあります。
売主にとっては重い責任となるので、契約時にどこまで責任を負うかきちんと定めておきましょう。
まとめ
マンションの売却はいざ準備を始めると聞き慣れない単語が多く不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、あらかじめ必要な知識を身につけて信頼できる不動産会社を見つけることで、スムーズにマンションを売却できるでしょう。
マンションの売却が完了するまでには時間もお金もかかります。
この記事を参考に、余裕を持って準備を始めて悔いのないマンション売却をしましょう。