マンションを早く・高く売却するコツ【売るときに使える税金特例も紹介】
この記事でわかること
- マンションを早く高く売却するコツがわかる
- マンション売却の流れやかかる期間がわかる
- マンション売却に必要な費用や税金がわかる
自宅のマンションを売却する場合、多くの方が「できるだけ高く売りたい」と考えています。
しかし、高く売りたいからと言って相場より高い金額で売り出しても、買い手がつかなければ時間ばかりがたってしまいます。
マンションをできるだけ早くかつ高く売るには、どんなことに気をつければいいのでしょうか?
今回は、自宅のマンションを売却する際に、できるだけ早く、高く売るためのコツについて詳しく解説します。
またマンションを売却するときの流れや、必要となる費用、税金についてもしっかりと把握しておきましょう。
目次
マンションを高く売却するコツ4つ
マンションを高く売却するには以下の4点に気をつける必要があります。
- 不動産会社の査定
- 実際の売り出し価格
- 買主からの値下げ交渉
- 売却にかかる費用や税金
それぞれの内容を具体的に見ていきましょう。
【高く売るコツ1】3社以上の不動産会社に査定を依頼する
マンションの売却をする場合、まず不動産会社に売却価格の査定を依頼します。
その際は、必ず3社以上の不動産会社に査定を依頼しましょう。
不動産会社もエリアや物件の規模によって得意不得意があるためです。
複数の査定報告書を見比べることで、売却しようとしているマンションの平均的な価格を推察することができます。
そして、査定を依頼して報告をもらうまでのやり取りを通して、相手が相場を把握していて知識のある担当者かどうか見極めることも重要です。
【高く売るコツ2】売却価格を査定額より1割高く設定する
3社以上の査定報告書を比較して平均的な査定金額を割り出したら、売却価格はその1割増しが目安です。
売り手側からするとできるだけ高い売値をつけたいところですが、買い手側は価格をフィルターにかけて検索しているため、あまりに相場から外れた金額だと問い合わせすらない危険性があります。
買い手側も値下げ交渉を前提として問い合わせをするため、査定額の1割増し程度が適切な売り出し価格と言えます。
【高く売るコツ3】買主からの値下げ交渉を乗り切る
買主から問い合わせや申し込みがあるときは、基本的に「値下げ交渉」が入ります。
買主もできるだけ安く購入したいと思っているので、時には大幅な値下げ交渉があることも考えられます。
ここで気をつけたいのは、買主側の要望に全て応える必要はないということです。
買主の希望はあくまで希望ですから、売主としてできる範囲での条件を提示しましょう。
ただし、値下げについてのレスポンスは早めにすることが重要です。
そのため、何段階かの値下げプランを作成しておくとよいでしょう。
【高く売るコツ4】売却にかかる費用や税金を抑える
マンションを売却する際には、細かい費用や税金がかかります。
そういった費用や税金を工夫して抑えることで、結果的にマンションを高く売却したのと同様の利益を得ることができます。
もっとも利用しやすいのは、譲渡所得税の特別控除と損益通算および繰り越し控除です。
これらの控除を利用できるよう、しっかりと条件を確認しましょう。
マンションを早く売却するコツ3つ
マンションを高く売却したとしても、ダラダラと時間がかかることは避けたいものです。
マンションの売却にかかる時間をできるだけ短縮するには、以下の3点に気をつけましょう。
- 売却する時期の見極め
- スムーズな内覧
- 必要な書類の準備
それぞれについて詳しく解説します。
【早く売るコツ1】売却するタイミングを見極める
もしマンションを売るタイミングに検討の余地があるならば、より早く売ることができるタイミングを見極めることが重要です。
まず、新築マンションが値上がりしている時期が売却するタイミングです。
「同じような立地で同じようなグレードなのに、以前より金額が高いかもしれない」と感じたときは、マンションの値動きを確認してみましょう。
新築のマンションが高くて手が出ないときは、中古のマンションが売れやすい傾向にあります。
また引っ越しシーズンである2月~3月は、マンションが最も売れやすい時期です。
特に子どものいるファミリー層は学年末に引っ越しをするため、この時期の入居を想定したマンション探しをすることが多いです。
3月に引き渡しを想定するためには、遅くとも11月中には動き出すとよいでしょう。
【早く売るコツ2】内覧をスムーズにするための準備
自宅のマンションを売却するときに、まだ売主が住んでいるところを買主が内覧する場合があります。
その場合、買主が内覧を遠慮してしまい、うまく話が進まないことも少なからずあります。
そういったことがないように、売主側でスムーズに内覧できるよう充分配慮しましょう。
まず、比較的内覧を承諾できそうな曜日や時間を、あらかじめ不動産会社に伝えておきます。
そして室内は、買主に見てもらいやすいようにできるだけ片づけておきましょう。
水回りなどが気になるようでしたら、部分的に業者を入れてでもきれいにしておくことをおすすめします。
内覧の際は、クローゼットの中や寝室もチェックされるのが普通です。
買主がチェックをしやすいよう、扉を開けておいてあげるとよいでしょう。
【早く売るコツ3】必要な書類を事前に準備
マンションの売却手続きには必要な書類がいくつかあります。
いざ売買契約、引き渡しとなったときに、書類の不足や不備で中断してしまっては時間が無駄になりますね。
そのため、必要な書類はできるだけ事前に準備しておくとよいでしょう。
マンションを売却する際に必要なのは下記の書類です。
マンション売却に必要な書類
- 身分証明書
- 登記済権利書
- 固定資産税納税通知書
- マンションの管理規約
- 付帯設備表
- 重要事項に関わる調査書
- ローン残高証明書(住宅ローン残債があれば)
- 耐震診断報告書
- アスベスト調査報告書
- 間取り図(新築時のパンフレットなど)
また、売買契約の際には実印と印鑑証明が必要となりますが、これは3か月以内に取得する必要があるため、買主が決定してからでかまいません。
マンション売却までの流れ・かかる期間
マンション売却にかかる期間は、おおよそ3か月から半年です。
売却までの流れを、詳しく解説します。
【Step1】物件の査定を依頼する
前述したように、売却価格を決めるために3社以上の不動産会社に査定を依頼します。
できるだけ正確な査定金額を出してもらうため、不動産業者が訪問する訪問査定を依頼しましょう。
【Step2】不動産会社を選定する
査定報告書を提出した不動産会社の中から媒介契約をする会社を選びます。
媒介契約は2社以上と締結することも可能ですが、やりとりが多く煩わしくなるマイナス面もあります。
信頼できる1社と専任契約を結ぶのがおすすめです。
【Step3】売却活動を開始する
売却活動が開始すると、購入希望者による内覧を行います。
売主が住んでいる場合は同席しますが、売主が住んでおらず空室になっている場合、同席は不要です。
【Step4】売買契約を締結する
買主からの申し込みを経て、売買契約を締結します。
売買契約の締結時には、買主から手付金が支払われます。
万が一契約解除となった場合、手付金は返済しないのが一般的です。
売買契約から1か月~3か月程度で、決済および引き渡しを行います。
マンション売却時にかかる費用・税金
マンションを売却する時にかかる費用や税金があります。
マンションの売却価格は高額なため、こういった費用や税金の金額もかさんでしまいます。
どんな費用や税金があるのか見ていきましょう。
不動産会社に支払う仲介手数料
仲介手数料とは、買主と売買契約を成立させた不動産会社に支払う手数料のことです。
不動産会社とは査定依頼をしたり媒介契約を結んだりしますが、それらの業務に費用はかかりません。
不動産会社が買主を見つけて売買契約を締結させたときのみ、支払う義務があります。
売主は媒介契約を複数の不動産会社と締結することができますが、その場合でも仲介手数料を支払うのは一社のみです。
仲介手数料は売買契約と同時に支払うこととなっていますが、実務上では決済および引き渡しが行われるまで時間があります。
そのため、売買契約時に50%、引き渡し時に50%を支払うことが慣習となっています。
仲介手数料の金額
仲介手数料の金額については、売買金額によって下記のとおり決まっています。
たとえば3000万円のマンションを売却した場合、
3000万円 × 5% = 150万円(税別)
となり、別途消費税が発生します。
売買金額 | 仲介手数料 |
---|---|
(1) 200万円以下 | 取引額の5%まで |
(2) 200万円超から400万円以下 | 取引額の4%+2万円まで |
(3) 400万円超 | 取引額の3%+6万円まで |
売買契約書に貼付する印紙税
印紙税とは売買契約書に貼付して消印をすることで納税する税金です。
売買契約書は2通作成し、売主、貸主がそれぞれ1通ずつ保管します。
そのため売主、買主はそれぞれ自分の保管する分の契約書に貼付する印紙税を負担します。
印紙税の金額
印紙税の金額は契約書に記載する売買金額によって決まっています。
3000万円のマンションの売買契約書を作成するときの印紙税は、10,000円です。
契約書に記載する売買金額 | 印紙税 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 60,000円 |
5億円超10億円以下 | 160,000円 |
10億円超50億円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
金額の記載なし | 200円 |
参考:国税庁
抵当権抹消登記にかかる費用
マンションを売却するときには、そのマンションについていた抵当権を抹消登記する必要があります。
抵当権抹消登記にかかる費用は、司法書士に支払う手数料および登録免許税です。
司法書士手数料は1万円~3万円程度です。
登録免許税は1不動産につき1000円ですが、土地と建物それぞれに発生するため、マンションの場合は2000円となります。
マンション売却後にかかる譲渡所得税
マンションを売却して利益がでると、譲渡所得税という税金を支払うことになります。
マンション売却して得た利益を譲渡所得といいます。
計算式は下記のとおりです。
この譲渡所得に対して所得税と住民税がかかるのですが、その2つをまとめて譲渡所得税と呼びます。
譲渡所得税の計算式は下記のとおりです。
譲渡所得税の税率は、マンションを所有していた期間が5年以下であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得となります。
短期譲渡所得の税率 | 長期譲渡所得の税率 | ||||
---|---|---|---|---|---|
所得税 | 住民税 | 合計 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
30.63% | 9% | 39.63% | 15.32% | 5% | 20.32% |
※所得税には復興特別所得税率を含む。
マンション売却時に使える税金の特例
マンションを売却したことで得た所得にかかるのが譲渡所得税です。
譲渡所得税には特例や控除制度があるため、これらを利用することで税額を抑えることが可能です。
居住用財産の場合に使える3000万円特別控除
所有期間の長さにかかわらず、自分が居住していたマンションを売却したときには譲渡所得から3000万円を控除できる特例があります。
居住用の不動産で譲渡所得が3000万円を超えることはほとんどないため、この控除を適用することで譲渡職税はほぼ発生しなくなります。
この特別控除は居住していた不動産が対象ですが、すでに新しい場所に住み替えてしまった場合でも適用できます。
不動産に住まなくなってから3年を経過した年の年末までに売却が完了すれば、控除することが可能です。
マイホームを売却した場合に損をしたときの特例
マイホームを売却しても常に利益が出るとは限らず、取得費より売却額が安くなることがほとんどです。
マンションを売却したことで出た損失を、その年の給与所得などの他の所得と損益通算して、所得税額を減らすことができます。
また、譲渡損失が多くその年の所得で通算できない場合は、翌年以降も繰り越して控除が可能です。
損益通算及び繰り越し控除の特例は、次の2つです。
- 1.居住用財産の買い替えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 2.居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
売却と同時に新しくマンションを購入する買い替えをする場合は1、売却だけで新たな購入がない場合は2を適用します。
まとめ
マンションを売却するときに、できるだけ早く、高く売りたい方は多いでしょう。
高く売るためには、買主との値下げ交渉も含めて、売主側がどの程度の最終売却価格を想定するかが重要となります。
また、早く売るためには、売却の時期を見極めたり、スムーズな内覧のために準備したりすることが重要です。
さらに、売却価格だけでなく、かかる費用や税金を少なくすることにも注目してみましょう。
費用や税金まで含めて納得いく売買活動ができるよう、事前にしっかりと準備することが大切です。