マンション査定をする際に押さえるチェックポイント5つ!流れの理解と事前準備が大切
この記事でわかること
- 査定時のチェックポイントについて理解できる
- 査定に必要な書類の準備が自分でできる
- マンション査定の全体の流れがわかる
住み替えや買い替えなど、所有するマンションの売却を検討したい場合には資金計画を立てる為にもマンションの売却見込み金額を知る必要があります。
マンション査定にはインターネットで必要項目を入力することにより、すぐに目安価格を知ることが出来る査定システムもあります。
しかしこれは大きさや㎡数などから機械的に算出された金額ですので、部屋の状態や査定額に影響を与える条件など物件ごとのポイントが反映されないことから、実際の査定額とは大きく異なります。
実際に販売できる金額を知るためには、不動産業者に訪問査定を依頼する必要があります。
この記事では、マンションならではの必要書類準備や査定額を上乗せしてもらえるアピール方法などを詳細に解説します。
マンションを査定する時の流れは?
マンション査定の流れは以下の順番で進めていきます。
事前準備もしないままいきなり査定業者に連絡をしてしまう方もおられますが、業者の言いなりに不利な条件で媒介契約を締結されるリスクが高まります。
少しでも有利な条件で査定を行いたいなら、これから説明する手順を理解して順序よく進めていくことをお勧めします。
- 1.査定業者を探して依頼する
- 2.査定時の必要書類を準備する
- 3.業者に連絡をして査定日時を調整する
- 4.訪問査定をしてもらう
- 5.査定書の内容を説明してもらう
- 6.依頼する業者を決定する
下記で、それぞれの詳細な解説を行います。
査定業者を探す
インターネットで近隣エリアのマンション販売に強い業者を探すのが最も手軽ですが、それ以外にも住宅情報誌や新聞折り込み広告の掲載情報なども参考にしましょう。
またポストに投函されてくるポスティング広告も、業者の熱意を図る参考になります。
情報を入手しながら、査定依頼を行う業者を選びます。
依頼する業者の数は2~3社を目安にします。
理由としては、1社だけでは査定額や査定理由の比較が出来ず、依頼業者を決定するには情報が足りないからです。
査定を依頼する業者の判断基準は人それぞれですが、お勧めとしては大手・中堅・地場の3社をバランスよく組み合わせて依頼することです。
大手2~3社のみで査定業者を選ぶのも一つの方法ですが、マンション販売に強い中堅業者や地場に根差して独自のネットワークを持つ小規模な地場業者を含めることにより、査定額や査定理由にも変化が生まれ参考になるものです。
注意頂きたいのは業者との相性で、さらにはその営業担当との相性です。
大手業者であっても、あきらかに経験不足の若手営業担当者に依頼するよりも、中堅や地場などの経験が豊富で何を質問してもすぐに答えられる信頼できる営業担当者を選ぶことで、有利に販売が出来たという話をよく聞きます。
業者選びは妥協せずに、最初の2~3社がしっくりこなければ、また別の2~3社へという具合に、労力をいとわず信頼できる業者を探すことが大切です。
査定時の必要書類を準備する
依頼する業者を選んだら、査定時の必要書類を準備します。
もちろん業者を探しながら、書類を準備しても問題はありません。
査定依頼前に準備しておきたい書類には以下のようなものがあります。
1.基本情報
物件所在地・マンション名・部屋番号・連絡先・マンション㎡数・築年数など分譲時のパンフレットなどがあれば予め準備しておきましょう。
また管理規約や、管理組合の会議報告書などの資料があれば写しをとって準備しておくとよいでしょう。
2.残高証明書
金融機関から発行される償還予定表や残高証明書など、残債が確認出来る書類の写しを準備しておきましょう。
手元にない場合には、予め借入先金融機関に連絡をして発行してもらいましょう。
また簡易査定システムなどを利用して目安の査定金額を知ることにより売却後、残債が抹消できるのか残るのかを知っておくことも大切です。
売却して債務が残る場合には、不足分の現金を用意するなど予めの準備が必要とされるからです。
3.メンテナンス記録
リフォーム工事を実施、または住設機器の交換を行っている場合にはその詳細情報や図面を準備しておきます。
これらの記録は査定額の上乗せとなる有利な情報となりますので、出来る限り詳細に準備しておきたいものです。
図面などがない場合には、出来る限り正確にリフォーム工事の内容・具体的な変更箇所・変更した設備機器のメーカー及び品番・金額・施工時期などを、箇条書きで構いませんので細かくメモしておきましょう。
4.その他伝達事項
伝えるべき情報は有利な条件だけではありません。
不利益な情報も査定に影響を与える情報です。
住設機器や建物の不具合の他にも「心理的瑕疵」と呼ばれる、刑事事件や火災、自殺などの事故歴も査定時に伝えるべき情報です。
特に「心理的瑕疵」については、査定業者による表面調査では発覚がしにくいことから、そのまま契約や引き渡しを行った後に発覚した場合には裁判に発展することがあります。
「当初からその内容を知っていれば、契約しなかった」という人間心理の争いになりますので、具体的な事件後における時効年数も存在していません。
10年以上経過しているから、伝えなくてもよいだろうというのは勝手な判断に過ぎません。
安易には考えず、不動産のプロである査定業者に相談をして判断を仰ぐようにしましょう。
業者に連絡をして査定日時を調整する
査定依頼する業者を決定して事前の書類準備も完了したら、いよいよ業者に連絡して具体的な訪問査定の日時を決定します。
業者への連絡はインターネットサイトを利用しても、電話でも構いません。
訪問査定に要する時間は、業者によってバラつきがありますが平均して60分前後が目安になります。
複数業者の査定依頼が問題ないとはいえ、業者同士が鉢合わせになるとお互いに気を遣うものです。
スケジュールの都合により同日に訪問査定を複数の業者で設定する場合には、余裕を持って時間調整を行った方が無難でしょう。
訪問査定をしてもらう
訪問査定では、全ての居室や水回りをチェックされます。
ハウスクリーニングなどの利用までは必要ありませんが、見られても恥ずかしくない程度の清掃は行っておきましょう。
特に汚れやすいトイレや浴室などは、査定前に予め大掃除を行い、その状態を維持するといった気配りも大切です。
査定書の内容を説明してもらう
訪問査定を実施すると、概ね1週間程度で査定書が出来上がります。
査定書の枚数や構成は、業者により異なりますが基本的には査定価格が記載された書面と、その査定額に至った根拠を裏付ける添付書類で構成されています。
査定書についてはメールや郵送などを利用して送ってもらう方法もありますが、慣れないうちは業者に訪問してもらい説明を聞かれることをお勧めします。
査定書には、取引事例比較法や路線価・固定資産税評価など普段では聞きなれない言葉が並んでいますそれらの内容について説明を受けることにより、自分自身の知識が深まると同時に業者により異なる判断基準を理解するのに役立ちます。
結果的には、優良業者を見定めるためにはある程度の理論武装も必要であり、その手段であると理解しましょう。
依頼する業者を決定する
査定金額が納得のいくもので業者も信頼できると判断されれば、正式な販売依頼である媒介契約に進みます。
査定金額や業者の対応に納得がいかなければ、また業者選びから始めます。
面倒なようですが、ここで妥協してはいけません。
有利な条件で売却を行うには、業者の力が不可欠だからです。
また後ほど詳しくご説明しますが、査定額に一喜一憂しないことです。
査定業者が優秀であるほど、査定額は市場流通の相場の平均値に近づきます。
具体的には、平均値から前後100万円以内に集約されます。
1社だけ高値査定を行った場合には、その金額に至る根拠を詳しく聞く必要があります。
「大手だから情報が沢山あるので、この金額で大丈夫です」「販売力には自信がありますから」など、根拠も曖昧な発言を繰り返すようであればその業者への依頼は控えるべきでしょう。
査定金額とは「概ね3か月を目安に販売が期待できる金額」ですから、必ずしも査定額で販売できるという保証はないからです。
逆説的になりますが、金額の根拠が不明な高額マンションを購入してくれる奇特な買主はいません。
これらの判断ができるようになるためにも、近隣事例などの情報は積極的に収集しておきましょう。
査定前に押さえるべきチェックポイント
マンション査定の流れについてはすでにご説明しましたが、ここでは査定前に押さえて頂きたいポイントについて詳しく解説します。
さらに詳しく必要書類
「分譲マンションは管理を買え」との不動産格言がある程に、管理状況は大切です。
査定業者が独自で調査することも可能な管理状況ですが、管理規約や長期修繕積立金などの情報を予めまとめておくと業者に喜ばれますし、査定時のポイントに反映しやすくなります。
また駐車場の空き情報や賃料などの情報の他にも、共有施設の利用状況も併せてまとめておくとよいでしょう。
査定方法や金額の目安を知っておく
インターネットサイトの簡易査定システムを利用して目安金額を知っておくことや、同一マンション内で取引されたマンションの販売価格や販売までの期間を予め知っていると、査定時の交渉に役立ちます。
あわせて業者が査定を行う際の算出方法を理解していると、査定書の内容をより深く読みこなすことが出来ます。
業者が査定をおこなう場合の算出方法は以下の方法を用います。
- ・取引事例比較法
- ・原価法
- ・収益還元法
このうち、マンション査定の大半は「取引事例比較法」と呼ばれる方法です。
この方法は査定マンションと類似する条件を持った事例を調査して、駅までの距離や部屋の大きさ、階数などの条件を比較対照して査定価格を算出します。
つまり、簡易査定による机上価格や近隣での販売事例を調査しておくことにより、査定額の適正値が自分で判断できるようになります。
積極的にPR
リフォーム工事や設備機器の交換はもちろんですが、近隣施設の充実などアピールできることは積極的に情報提供したいものです。
これは査定の時だけではなく、実際に販売を開始した場合の購入検討客に対しても同様で、奥様同士が意気投合して成約に至った例もあるほどです。
査定の際に押さえるべきチェックポイント
査定依頼の事前準備も終わり、いよいよ正式な査定依頼を行いますが、ここでは最終チェックとして押さえるチェックポイントを解説します。
複数業者査定は絶対条件
連絡をする査定業者の件数が適切か、業者の選定は適切かについて再度確認をしましょう。
有利な条件で査定を行い売却するためには、業者選びが大切なことについてはご説明しましたが、査定と査定報告で1社あたり2時間は必要です。
それだけの時間を使い信頼できる業者を探すわけですから、安易に連絡する業者を決めるのではなく厳選した会社であるか連絡前に見直しましょう。
査定額だけで業者を選ばない
査定を終了して査定金額が出そろったら、実際に販売を依頼する業者を決定します。
その際には査定金額だけで業者を選ばないように注意しましょう。
もちろん根拠が明確で査定金額が高いのは喜ばしいことですが、先ほどもご説明したように、媒介物件の件数が欲しいために販売見込みのない価格で査定をする不心得な業者がいます。
そのような業者は、実際に販売依頼を受けても活動をせず、業務処理状況報告書で販売できない理由をもっともらしく書き、段階的に値下げを強要してきます。
適正価格で販売を開始していればスムーズに売却が出来たかもしれないのに、そのような不心得業者に依頼したばかりに時間の浪費をするばかりか、不利な売却条件を押し付けられかねません。
「査定価格は成約価格ではない」ということを理解して、査定根拠の説明を受け、信頼できる業者の見極めをしましょう。
マンション査定のよくある質問
ここでは査定初心者の方が不安に思うことや、疑問に思う内容について解説します。
査定額が低い場合には、高く売ってもらうことが出来る?
査定額は、業者が独自に条件を精査して算出した「概ね3か月を目安に販売が期待できる金額」です。
目安金額であり提案金額でしかないので、必ず査定金額で売り出さなければならないということではありません。
査定額より高く売りたい場合には、そのことを業者に申し出て下さい。
最終的に販売金額を決定して依頼するのは所有者です。
ただし、相場を度外視した金額では問い合わせがなく、実際に販売が出来ない可能性が高まることから業者がその金額では販売依頼を受けない可能性もあります。
誠実な業者であれば、媒介契約を締結して販売活動を開始すれば広告宣伝費や販売の手間も増えますから、販売見込みがない物件であれば引き受けないという選択肢が生じます。
業者とコミュニケーションを取り、双方の合意できる価格を選ぶといった考え方が大切です。
住んだままで売れるの?
ご存じない方も多いかも知れませんが、販売されているマンションの大半は所有者居住中です。
むしろ空き家の比率の方が少ないのです。
業者が販売活動を開始すると、購入検討者が内覧を希望します。
業者から電話やメールで内覧日時に関する連絡が入りますので、在宅して対応出来る場合には積極的に対応しましょう。
ただし、内覧希望者は土・日・祝などの休みの日に集中しがちですし、平日に急に内覧希望が入るなど売主としては落ち着かないこともあります。
早期売却のためには内覧希望者を積極的に受け入れるべきではありますが、それも程度問題です。
「内覧は日曜日の13:00から16:00に限定する」「2日以上前の内覧希望以外は受け付けない」など、ストレスのない受け入れ方法を自分ルールとして定め、それを業者に告知しておく必要もあります。
査定や広告宣伝費は無料なの?
査定や広告は基本的に無料で行われます。
業者は成約して決済が行われた時点での媒介報酬を収入源としており、その成果報酬でそれらの費用を負担しています。
宅地建物取引業法46条で媒介報酬の上限が定められていますので、業者により支払い金額が異なることはありません。
ただし業者は予算繰りをして広告宣伝を行いますので、早期売却を希望して自分のマンションだけを広告して欲しいなどの依頼を行えば、特別依頼としてその広告費の実費を請求できることが宅地建物取引業法で定められています。
このように基本的に広告費はかかりませんが、業者により広告頻度も違うことを理解して業者を選ぶ基準にするのもよいかもしれません。
売り出し時期は?
一般的に不動産が動きやすい時期は春と秋です。
ただし、その時期を狙って販売開始する方が多く、場合によっては供給過剰になることもありますので、あまり意識しない方がよいでしょう。
最終的には購入希望者との「縁」ですので、可能性を広げる意味でも売却を決めた場合にはいち早く販売を開始するのがよいでしょう。
まとめ
この記事ではマンション査定に関しての流れや業者の選び方、よくある質問に対する回答など幅広く解説をさせて戴きました。
最後に一つ心がけて頂きたいのは、不動産は常に相場で動いているということです。
たとえば、古くは阪神淡路大震災の直後から長期間において、近隣地域の分譲マンション価格が暴落しました。
最近では2018年の北海道胆振東部地震で道路や宅地陥没した札幌市内の住宅地は、価格が暴落し現在においても買い手が付かないケースもあるようです。
天災地変などは私たちにどうすることも出来ないことではありますが、それ以外にも風評被害やマンション内での何らかの事件により買い手が付かなくなるなど、需要バランスが崩れると相場は動きます。
売却を決意した時が最良の時期であると信じて、自分で出来る準備を怠りなく早期に売却活動を開始することが結果的に最もよい選択だと言えるでしょう。