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マンションの耐用年数は何年?超えたら住めないの?寿命を決める要素とは

マンションの耐用年数は何年?超えたら住めないの?寿命を決める要素とは

この記事でわかること

  • 法定耐用年数とはどのようなものかがわかる
  • マンションの耐用年数や寿命を決める要素がわかる
  • 寿命を迎えたマンションの対処方法についてわかる

中古マンションを購入するときには、できる限り長く住みたいと思う人と、ある程度老朽化したら買い換えることを前提として購入する人とに分かれるでしょう。

どちらの場合にも、マンションの「寿命」がどれぐらいなのかということは大きな問題になってきます。

今回は、マンションの寿命・耐用年数についての考え方について、いろいろな研究結果を踏まえて解説します

これからマンションの購入・売却を考えている方は是非この記事を参考にして、購入・売却のタイミングを検討してみてください。

マンションの法定耐用年数とは

建物の法定耐用年数

マンションの耐用年数として実務上よく使われている概念に「法定耐用年数」というものがあります。

「法定耐用年数」とは、通常の使用・補修を継続していった場合に建物が予定している使用方法・効果が継続する年数として法令によって定められている年数です。

建物の法定耐用年数は以下のようになっています。

用途・構造細目耐用年数
木造・合成樹脂造のもの事務所用のもの24
店舗用・住宅用のもの22
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの17
公衆浴場用のもの12
工場用・倉庫用のもの(一般用)15
木骨モルタル造のもの事務所用のもの22
店舗用・住宅用のもの20
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの15
公衆浴場用のもの11
工場用・倉庫用のもの(一般用)14
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの事務所用のもの50
住宅用のもの47
店舗用・病院用のもの39
車庫用のもの38
公衆浴場用のもの31
工場用・倉庫用のもの(一般用)38

参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備)」

表のように、用途や構造によって一定の年数が定められており、税務会計上の減価償却費を算出するときに用いられます。

建物の減価償却は、毎年一定の額を費用計上する「定額法」によってなされ、耐用年数に応じた償却率を乗じて一年間に計上する減価償却費を決定します。

たとえば、マンションであれば通常は鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)か鉄筋コンクリート造(RC造)で建築されており「住宅用」ですので、法定耐用年数は47年ということになります。

法定耐用年数=寿命ではない

法定耐用年数は税務会計上の減価償却費を決定する基準ですが、実際の建物の寿命とはあまり関係がありません

法令制定が昭和40年ということもあって、現在の建築技術や建築資材の質の向上が反映されていないのです。

木造住宅の法定耐用年数は22年とされていますが、これより長い期間使用に耐えうるのは明白です。

これと同じく、耐用年数を過ぎたマンションでも十分に住居として利用することができます

ちなみに、実際の建物の寿命に近い概念として、「経済的耐用年数」があります。

経済的耐用年数は、単に物理的に鉄筋やコンクリートなどの資材が何年で使えなくなるかという基準のほか、物件の価値が経済的にゼロになってしまうまでどのぐらいの期間がかかるか、といった観点も考慮して判断されます。

マンションの寿命は長ければ100年以上

現在のような建築品質、管理品質が維持されれば、マンションは先述の平均寿命よりもはるかに長持ちすることは間違いありません。

場合によっては、アメリカやフランス、イギリスのようにリノベーションを繰り返しながら100年以上住み続けるということも十分に考えられます。

マンションの寿命を決める要素

マンションの寿命は、単に住居として利用できるかどうかのみで決められるわけではありません。

様々な理由によって、まだ住居として利用できるマンションが取り壊されることもあります。

マンションの寿命は主に以下の要素が絡み合って決まってきます。

耐震基準

近年、もっともマンションの寿命に影響を与えている要素として、耐震基準があります。

耐震基準とは、建築基準法や建築基準法施行令によって定められた建物がどの程度の耐震性能を有しているかを判断する基準であり、耐震基準を充たしていなければ建築確認申請の許可は下りません。

1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震と立て続けに大地震が起き、建物の耐震性の向上は急務になっています。

耐震基準が大きく変更されたのは、1981年6月1日施行と2000年6月1日施行の改正建築基準法です。

特に、1981年よりも前に建設されたマンションは「旧耐震基準」によって建てられたマンションであり、前述したような大地震に耐えられないとされています。

耐震補強には多くの費用がかかり、また古いマンションの場合には管理規約や修繕積立金が充分に整っているわけではないために、耐震補強ができない物件も多く存在します。

また、耐震補強をしたとしても、現在の新築マンションのような耐震性・免震性を再現できるものではなく、今後起こるといわれている南海トラフ地震などの大地震に耐えられるかというと疑問が残ります。

このような理由から、耐震性を保てないマンションは取り壊し、あるいは建て替えが進んでいるのです。

経年劣化・摩耗

経年劣化・摩耗による要素とは、マンションの構造や付属設備、特に鉄筋コンクリートや水回りの配管の物理的な劣化を考慮した寿命です。

「住居として利用できるかどうか」という観点からは、もっともイメージしやすい要素かもしれません。

マンションの躯体の構造の多くは鉄筋コンクリート造、もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造が採用されています。

躯体の劣化度合いを判断する際には、鉄筋の錆びの進行度合いを調査することになります。

コンクリートは本来であればアルカリ性であるために、中の鉄筋が錆びる(酸化する)ことはないのですが、長い年数を経るとコンクリートが中性に近づいていくこと、海風などにより塩化物イオンがコンクリートを伝って鉄筋に付着することなどを原因として、鉄筋に錆びが生じてきます。

鉄筋の錆びが進行すると、コンクリートとの付着度合いが低下して、時にはマンションの崩壊を引き起こす原因となります。

このため、鉄筋の錆びの度合いはマンションの安全性に直結する要素です

このほかにも次のような理由により、少しずつマンションは老朽化していきます。

  • 地震によるひび割れやゆがみ
  • 付属設備の損傷
  • 台風や大雨、積雪などによる外壁や屋根の損傷・摩耗

水回りの配管やエレベーターについても建物の躯体とは別に寿命を迎えますが、マンションによっては修繕されず(できず)にそのまま使用されているところもあります。

経済的観点

マンションの資産価値は、住み始めるとすぐに下落します。

一般的には、新築マンションを購入して入居した時点で10%は資産価値が下落すると言われます。

その後、建築から10年ほど経過すると、資産価値は急激に下落を始め、建築から20年ほど経過すると、そのマンションは購入時の70%ほどの資産価値となります。

このように、マンションは資産価値が常に下落するため、ローンが組めなかったり、担保価値が認められないことがあります。

資産価値が大幅に下落したマンションは、最終的に購入希望者が現れず、空き家となってしまうこともあるのです。

資産価値が認められないマンションは、維持費ばかり大きく発生することとなるため、最終的には取り壊すしかない場合もあります。

残存率からマンションの耐久性を確認する

それでは、実際のマンションの寿命はどのくらいなのでしょうか。

マンションは年月を経ることで老朽化し、また生活環境・社会環境の変化に合わなくなれば、いずれは取り壊し・建て替えおよび売却をすることになります。

少し前の資料になりますが、2011年に財務省が公開したPRE(Public Real Estate 国や地方公共団体、公的機関が保有する不動産)戦略会議における有識者ヒアリングの資料の中に、興味深いものがあるので紹介します。

マンションの寿命に関する研究結果

残存率からマンションの耐久性を考えるときの「マンションの寿命」とは、マンションとして使用できるかどうかではなく、マンションが取り壊されずに実際に存続しているか否かという観点で考えられています。

マンションには建築基準法違反等の発覚などの理由で10年足らずで取り壊されるものもあれば、60年以上も存続しているものもあり様々ですが、年数が経過するにつれて取り壊されるマンションの数は増えていきます。

研究では、固定資産税の課税対象のマンションの現存数と除却数(取り壊された数)の膨大なデータを分析し、新築されたマンションがどれだけ存続するのかを推測した結果を「残存率」としてあらわしたのが下記のグラフです。

【マンションの寿命に関する研究結果】マンション残存率のグラフ

参考:財務省「PRE戦略検討会」(第2回)における有識者ヒアリング資料

このグラフを見ると、10年、20年経過のあたりではほとんど取り壊されるマンションはありませんが、20年から30年を経過すると少しずつ寿命を迎えるマンションが増えていき、45年程度で残存率が50%となると推測されています。

1997年と2005年の調査結果を比べると2年間寿命が延びていますが、これはマンション建築の技術や建材の質が向上しているからであると考えられます。

マンションの寿命が短く見積もられている理由

残存率から考えたマンションの寿命は44年から46年ですので、これはほぼ法定耐用年数と同じ寿命であるといえます。

なぜマンションの寿命がこのように短いという研究結果がでたのでしょうか。

これは、研究を行うときに固定資産税の課税台帳を基にした現存するものと除却されたものの件数を基礎データとしたために、「耐震基準に関わる要素」や「経済的要素」が大きく影響したからだと考えられます。

日本で最初に分譲されたマンションは「四谷コーポラス」(すでに取り壊し・建て替え済み)であるといわれており、約60年前に建てられたものです。

したがって、日本のマンションの歴史は60年から70年ほどにすぎず、建築基準法の法改正を挟んでいるために、多くのマンションが耐震基準に合わなくなっていました。

震災によって倒壊したマンションも多く存在したことも事実です。

また、昭和30年代や昭和40年代に建てられたマンションは、エレベーターがなく階段のみであったこと、バス・トイレのサイズが現在の規格と異なるために設備を更新できないことなど、生活環境や時代の変化についていけないものも増えていました。

したがって、研究の基礎データとして使われた数字の中には、寿命を全うせずにやむを得ず取り壊したマンションも多数含まれており、マンションの平均寿命が短く見積もられたものと考えられます。

マンションが寿命を迎えたときに考えられる対処法

築古の中古マンションを購入するときには、購入者が生きているうちにマンションが寿命を迎えることになるかもしれません。

そのようなときにはどう対処するのか、事前に確認しておく必要があります。

考えられる方法は「建て替えを行って新しいマンションに居住する」か「取り壊して売却する」かのいずれかです。

マンションは各住戸を区分所有者が所有し、共用部分は全区分所有者の共有であるために建て替えや売却の際には全所有者の合意が必要でした。

しかし、耐震性を高めることが喫緊の課題として認識されたことで、「マンション建替法」(マンションの建替え等の円滑化に関する法律)が2002年(平成14年)に制定され、マンションの建て替えが進むきっかけになりました。

2014年(平成26年)に改正法が施行され、さらに解決の選択肢が広がっています。

建替え決議を行ってマンションを建て替え・取り壊し

マンションが寿命を迎えたときには、まずはマンションの所有者が協議し、管理組合で建て替え決議を行って建て替えるという方法があります。

決議を行うには、所有者の5分の4の賛成が必要です。

この場合、現在のマンションの所有者が新しいマンションの所有者となるために、入居者は住み慣れた場所にそのまま継続して住むことができます。

しかし、建て替えに反対した所有者から建て替えのために組織された組合が時価で区分マンションを買い取らなければならないこと、そもそも建て替え費用として、所有者が1,000万円から2,000万円の費用を負担しなければなりません

建て替え決議をおこなってマンションを建て替える方法は、マンション建替法が制定された当初から使える方法でしたが、所有者の大きな負担がネックとなり、実際の利用件数は期待したほどではありませんでした。

マンション建替法による土地・建物の売却

耐震性の向上の目的を果たすために、何とか古いマンションの建て替えを促進しようとしてマンション建替法が改正され、マンションと敷地の売却についても所有者の5分の4の賛成によって実行することができるようになりました。

マンションと敷地の売却についてマンション建替法を適用するためには、耐震性が不足していることについて事前に行政の調査と認定が必要になります。

この改正によって、以下のような大きなメリットが生まれました。

  • 事前にマンションデベロッパーが建て替え計画を行政庁に申請することとなったために、計画の当初から不動産の専門家や建築士に建て替えの相談ができるようになった
  • マンションの土地・建物の売却資金を区分所有者が受け取ることができるようになり、資金面での心配事が減った
  • 建て替えられたマンションに継続して入居するか、ほかの場所に住み替えるかが柔軟に選択できるようになった

この改正で、耐震化不足のマンションの多くについて建て替えや取り壊しが検討されるようになりました。

容積率緩和制度を利用した建替え

さらに2014年の法改正で、容積率の緩和に関する特例も新設されました。

容積率とは、敷地面積に対してどのぐらいの延床面積の建物が建設できるかということを定めたもので、容積率が100%増加すれば、敷地いっぱいに建てられたマンションであれば階数を1階分増やせる計算になります。

建替えの時に、容積率が緩和される(容積率が増える)と、建替え後のマンションの階数・戸数を増やすことができるために、デベロッパーの利益率が向上します。

その結果、土地の価格が上昇することで、従前の所有者の資金負担が軽減されるのです。

この特例を適用するためには、土地・建物の売却の場合と同様に、耐震性が不足していることについて事前に行政の調査と認定が必要になります。

まとめ

マンションの寿命がどのぐらいかというのは、単に物理的にコンクリートと鉄筋の耐久性がどのぐらいかだけではなく、建築基準法の耐震基準に合致しているか、また経済情勢や生活環境の変化など様々な要因が関係してきます。

しかし、現在の建築基準で建てられたマンションについては、きちんと管理・修繕していけば100年以上住居として利用できるような耐久性を有しているため、従来よりもずっと安心できる建物になっています。

一方で、築古のマンションを購入するときには、マンションの建替えのルールや方法についても一度確認しておいた方が良いでしょう。

従来は建て替えできずに困っていた入居者も多かったのですが、現在は様々な制度が用意されて建て替えが促進されています。

中古マンションを購入するときには、マンションの寿命も考慮しながら検討することをおすすめします。

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