マンション査定する際の注意点7つを徹底解説!事前に押さえるべきポイントや査定業者との付き合い方とは
この記事でわかること
- 査定する際の注意点について理解できる
- 査定前の事前準備が自分でできる
- 優良業者の見分け方や付き合い方がわかる
初めて査定依頼を検討するときには、何から始めればよいのか戸惑いを覚えるでしょう。
親しい方に相談をしようと思っても、売却理由やどこまで話せば良いのかも分からず、気が引ける事もあるでしょうし、そもそも何から話せばよいのかも分かりません。
しかし、心配されることはありません。
誰しも初めての場合には、知識や経験の不足から戸惑いを覚えるものです。
今回は査定初心者向けに「マンション査定で注意するポイント」や「事前準備」「信頼できる業者の見分け方と付き合い方」について分かりやすく解説します。
マンションの査定の流れ
まずは一般的な査定業者の選び方と、実際の査定の流れについて解説します。
「不動産売却」をインターネットで検索すると、全国展開している大手不動産業者から、地元密着の小規模な不動産業者、一括査定サイトなど様々なものがヒットします。
あまりにも数が多すぎて、どこにどのように連絡をすれば良いのか戸惑いを覚えることでしょう。
ですが、心配することはありません。
下記の表でまとめた「マンション査定7Step」の手順を、各Stepの注意事項を見ながら行えば問題なく完了します。
Step1 | 査定業者を選ぶ |
---|---|
Step2 | 必要書類を準備する |
Step3 | 業者に連絡をして査定日時を調整する |
Step4 | 訪問査定 |
Step5 | 査定結果の説明を受ける |
Step6 | 依頼する会社を決定して、媒介契約を締結する |
Step7 | 売り出し開始・業務処理状況報告を受ける |
Step1:査定業者を選ぶ
実際に査定を依頼するのは2~3件を目安にします。
1社では比較検討が出来ませんし、数が多すぎると訪問日時の時間調整が難航します。
査定行業者の選定は、インターネットサイトや口コミ情報・不動産情報誌・知人からの紹介など、自分自身の感性や相性を考慮して選びます。
査定業者の組み合わせは、大手・中堅・地場など、変化を持たせておくと良いでしょう。
もちろん大手3社でも問題はないのですが、業者には得手不得手や得意とする分野があります。
大手業者は情報量や潤沢な広告費など、総じて平均点以上をクリアしていますが、割り当てられる担当者により販売活動にもばらつきが生じます。
中堅業者は、マンション販売の扱い件数も多く販売を得意としている業者を選びます。
地場小規模業者は、規模こそ小さいですが地場密着で経験豊富なことから、地元での知名度が高く思わぬ集客ルートを持っているものです。
このように査定を依頼する業者に変化を持たせることにより、査定金額の根拠の違いなどの比較が容易になるほか、異なった集客ルートからの情報収集など売却物件に見合った業者の選定が出来るというメリットがあります。
Step2:必要書類を準備する
実際に訪問査定を行う場合には、予め準備しておくとスムーズになる必要書類があります。
詳細については後ほど詳しくご説明しますので、ここでは業者に依頼する前に準備したい最低限のものだけご説明します。
物件情報
電話・ネット、どちらの査定依頼にも共通です。
- 1.物件所在地・マンション名・部屋番号・連絡先
- 2.物件㎡数・築年数
- 3.管理組合方式・管理会社名・施工会社
- 4.パンフレットがあれば準備しておくと便利です。
残高証明書等
償還予定表(写し)もしくは、金融機関から発行される残高証明書など残債が確認出来る物を準備しておきます。
残債務が査定額を上回る場合には、抵当権抹消の現金を準備するなど資金計画の検討も必要とされるからです。
伝達すべき事項をまとめる
リフォーム履歴や設備機器交換など、PR出来る内容をまとめておきましょう。
また、不具合箇所などがあれば、伝達できる準備をしておきましょう。
Step3:業者に連絡をして査定日時を調整する
業者選定が終わり、事前書類準備が整ったら査定日時の調整を行います。
電話またはメールで訪問査定の日時を予約します。
マンション内見は質疑応答も含めて、1回の査定時間の目安は概ね60分程度です。
依頼した業者が重複しないように時間調整を行いながら、訪問日時を決定します。
Step4:訪問査定
実際に査定業者に内見してもらいます。
ほとんどの業者は査定無料です。
室内の清掃などは、それほど神経質になる必要はありません。
しかし浴室やトイレも含めて、全ての居室が確認されますので、見られて恥ずかしくない程度の清掃は心がけましょう。
また、査定額に影響を与えるセールスポイントは積極的にPRしたいものです。
Step5:査定結果の説明を受ける
業者により多少の違いはありますが、訪問査定から1週間程度で査定書が出来上がります。
査定書にはマンション査定額と併せて、なぜその金額に至ったかの説明が添付書類も含めてまとめられています。
査定額を算出するには、その根拠を説明しなければならない義務が業者にあるからです。
査定書は数枚程度の簡易的なものから、添付される資料も含めると数十ページに及ぶものなど業者により違いがあります。
査定書は郵送や投函・メールで送って貰うなど色々な方法がありますが、可能な限り対面で説明を受けるようにしましょう。
説明を受ける際には、査定根拠に関して分からないことや疑問点があれば積極的に質問したいものです。
自分自身の知識拡充に役立ちますし、大切な不動産売買を依頼するべき不動産会社を見極めるのに大切な作業です。
Step6:依頼する会社を決定して、媒介契約を締結する
査定書が出そろい依頼した業者の営業担当者との対面も終了したら、いよいよ具体的に媒介契約を締結して正式に販売依頼を行います。
媒介契約には専属選任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があり、それぞれ契約内容がことなります。
媒介契約の違いは下記の表にまとめています。
依頼できる業者 | 流通機構登録義務 | 業務処理状況報告書 | |
---|---|---|---|
専属選任媒介契約 | 1社 | 締結から5日以内 | 7日に1回以上 |
専任媒介契約 | 1社 | 締結から7日以内 | 14日に1回以上 |
一般媒介契約 | 制限なし | 義務は無い (任意登録は可) | 義務は無い (任意報告は可) |
上記の表でお分かりになる通り、専属選任媒介契約が最も依頼者・仲介業者双方にとって厳しい内容になっています。
依頼できる業者は専属選任媒介契約・専任媒介契約ともに1社なのですが、専属選任媒介契約は少し異なります。
依頼者が自分で見つけた購入希望者と売買契約を締結することが出来ないほか、情報登録義務や業務処理状況報告の期間が短く、仲介業者の負担も大きくなることからあまり勧められることはありません。
一般媒介契約は依頼する業者の制限がないほかにも情報登録義務や業務処理報告もなく、依頼者自身が業者の業務内容について聞き取りを行い、管理する手間がかかります。
また複数の業者が競争状態で稼働するので、積極的に販売活動を行ってくれるかどうかは業者次第となるデメリットがあります。
通常は上記の違いを説明した上で、業者が勧めてくるのは専任媒介契約です。
それぞれの媒介契約の違いを理解して、どの契約を採用するか検討しておきましょう。
またどの媒介契約でも契約期間は最長で3か月と決められています。
期間については依頼者の希望により、更新をおこなうことが可能です。
Step7:売り出し開始・業務処理状況報告を受ける
媒介契約を締結すると、業者が販売活動に動き出します。
一般媒介契約の場合を除き、7日もしくは14日以内に1回、問い合わせ状況や広告・インターネットによる集客活動など販売状況を記載した業務処理状況報告を受けることになります。
業者が積極邸に販売活動を行っても問い合わせがない場合には販売価格の見直しを提言されることもあるため、報告内容を精査して判断しましょう。
業者が価格見直しのアドバイスを行うためには、明確な根拠の提示が義務付けされています。
また販売を開始すると、居住中は業者から内見予約の連絡が入ります。
早期に売却を希望する場合には積極的に内見を受け入れるべきですが、プライベートの全てを犠牲にしてまで内見に応じる必要はありません。
上手くスケジュール調整をして、集中的に内見時間を調整するなどの工夫が必要です。
マンション査定をスムーズに進めるために意識すべき注意点3つ
正式な査定時には業者が訪問してマンションを詳しく見ますが、出来る限りスムーズに短時間に終わらせたいものです。
そのためにも業者から質問されて慌てないように、予め質問内容を想定して事前の準備もしておきたいところです。
ここでは、マンション査定をスムーズに進めるため4つのポイントを解説します。
清掃
プロの清掃会社にハウスクリーニングを依頼する必要はありませんが、査定時や内見時に見られて恥ずかしくない程度の清掃を心がけましょう。
特に、水回りに関してはこれを機会として念入りに清掃を行い、その状態を維持できるようにしたいものです。
必要書類の準備
査定を行う際には、業者から必要な書類の提示を求められます。
販売時のパンフレットや図面関係など、管理組合に常備してあるものについては業者が自ら調査することも可能ですが、予め準備しておけば査定がスムーズに終わるほか、査定報告書が出来上がる時間を短縮することが出来ます。
ローン残高の確認
住宅ローンが残っている方は、事前に借入先の金融機関から残高証明書を発行してもらいましょう。
手元に償還予定表がある場合には、その写しを準備しておきます。
パンフレット・管理規約・使用細則
分譲時のパンフレットや物件概要書の他、管理規約や使用細則などの書類も予め準備しておきましょう。
予め写しをとっておくのが理想ではありますが、パンフレットなど枚数のあるものはコピー代も馬鹿になりません。
一時的に業者に貸し出してコピーして貰う、などの方法でもかまいません。
また駐車場の空き情報や金額などについても、予め情報をまとめておくと喜ばれます。
簡易査定・売却時期などの情報をまとめる
メモで構いませんので、売却希望時期や売却理由、希望価格をまとめておきましょう。
希望価格は、インターネットによる簡易査定システムなどを目安にするとよいでしょう。
リフォームやメンテナンス記録
口頭でも構いませんが、リフォームの履歴やメンテナンスの記録があれば高額査定に期待が持てるようになります。
年度・内容・金額の他、リフォーム図面などがあれば予め準備しておきましょう。
高額査定を狙うなら一工夫
必要書類の準備以外にも入居者ならではの気づいた情報など、積極的にアピールしたいものです。
管理組合の清掃状況や、共有施設にスポーツジムがあればその使用方法やイベント情報など、入居者ならではの発信したい情報があるものです。
これらは査定業者では気が付きにくい部分です。
A4用紙に箇条書きでも構いません。
アピールポイントを積極的に発信することにより、査定業者が広告キャッチに使用できるほか内見時に説明が出来ることから、短期売却につながる可能性があります。
マンション査定業者と円滑なやり取りのために意識すべき注意点4つ
マンションに限らずではありますが、不動産のような高額取引は業者との信頼関係が大切です。
実際に信頼関係が揺らいだために裁判に発展するケースも多いのです。
出来るなら、業者とは最初から最後まで円満に付き合いたいものです。
それには依頼する業者や、営業担当者との相性が最も大切かもしれません。
ここでは査定業者とよい関係を維持しながら、円滑にやり取りするための方法や注意点について解説します。
高額すぎる査定額には裏がある
前項で査定は2~3社に依頼するのがよいとご説明しました。
これは査定額の比較対照をするための他にも、信頼できる業者を選ぶために心がけて頂きたいことです。
実際に訪問査定を行うと、各社から査定書が提示されますが、その中で極端に高い査定額を出す業者がいれば注意が必要です。
査定方法については各社とも独自の評価基準があり異なることから、査定額にも多少の差はありますが、概ね平均値から見て前後100万円以内に収まることが大半です。
これは不動産の市場流通性を基本として考えた場合の、不動産相場によるものです。
その中で1社だけ200~300万円以上の高値査定を出してくることがあれば、なぜ、その金額で査定したのか詳細を確認しましょう。
業者の中には売り物件が欲しいという業者都合で、市場に出しても売れない金額で査定してくる不心得な業者が存在しています。
高値査定の理由を尋ねると
「うちはこのマンションでの販売実績が多数あり、購入希望者の情報も数多く持っています」
「うちは大手業者ですから、他社とは販売力が違います」
などの理由を説明してきます。
仲介業者はあくまでも仲介人であって、買主ではありません。
購入するのは、一般の顧客ですから、理由もなく相場よりも高い物件を購入する理由はありません。
このようなケースでは、媒介契約期間中に色々な理由をつけて段階的に値段を下げさせて相場に戻していくと言った詐欺的手法が使われトラブルに発展することが多いのです。
高値査定を鵜呑みにしない思慮深さを持ちましょう。
営業担当者は口が上手い
大手業者でも中堅業者でも、通常は担当者が1名で物件担当を行います。
会社の信頼性ももちろん大切ですが、それよりも先に営業担当者との相性を見極めましょう。
会社は気に入っているけど、担当者が信頼できない場合には担当替えを依頼しましょう。
担当替えについては、営業担当者の立場を考えて我慢される方も多いのですが、大切な不動産の売却担当者ですから、割り切って依頼をしましょう。
連絡をして担当替えを渋る業者であれば、その会社自体を候補から外すことを検討しましょう。
営業担当者である以上、質問に対して立て板に水のように話をする人も多く見かけますが、実際には優秀な営業担当者ほど迂闊に話をしませんし、説明を行うにも明確に根拠を提示してその理由や至った経緯を丁寧に説明してくれるものです。
会社の規模も大切ですが、信頼のできる営業担当を味方につけるのが売却を有利に進める条件であると言えます。
不具合は予め報告する
不動産用語では、表面的には確認出来ない不具合を瑕疵と言います。
瑕疵は現在「契約不適合」という言葉に置き換えられました。
実際に使用してみなければ分からない設備機器の不具合や、水漏れなどの他にも「心理的瑕疵」と呼ばれる過去に起こった自殺など、予め買主がその事情を知っていれば購入を検討しなかったような購入動機に影響をあたえる事実関係も伝達しなければならない事項になります。
「契約不適合」や「心理的瑕疵」は仲介業者の表面調査では発覚がしにくいことから、売却後に発覚して売主と仲介業者を相手取った裁判になるケースが多発しています。
特に「心理的瑕疵」は、人間心理に関する問題であることから明確な時効は存在せず、事故発生後10年で告知義務を免れるなどの基準は存在していません。
将来的な紛争を防止する意味でも、不利益な情報だからと隠し立てせずに告知しましょう。
売り出し時期を検討する
同じマンションで複数の売り物件が出ている場合には、物件数の多さから流動性比率が低下して査定額が下がることがあります。
マンションの売り情報は不動産業者の売り情報などを検索すると確認できます。
複数の物件が売り出されている場合には、価格の低い順番から売れていくといった価格競争になりがちです。
同じマンション内で複数の物件が売り出されている場合には、売却を急ぐ特別な理由がないのなら販売開始時期を遅らせるなど、検討する方が良いでしょう。
まとめ
今回の記事では、マンション査定の方法や注意点の他にも、業者を選ぶ基準について詳しく解説をしました。
依頼する業者が誠実で、熱心に販売活動を行ってくれればよい条件で早期に売却が出来るものです。
それだけに事前準備や、業者の見極め方を予め知っておくことは大切です。
1回につき2~3社に依頼をして、どこの業者とも相性が合わないと感じたら、また2~3社を選んで査定依頼を行いましょう。
面倒に感じるかも知れませんが、その手間が結局は大切な不動産であるマンション売却を有利にすすめる大切な方法だからです。