住宅ローンがしんどいときに取るべき行動とやってはいけないNG対策
住宅は誰にとっても憧れの買い物です。
しかし、多くの場合で住宅を購入するときにはローンを組んで購入します。
住宅ローンは20〜30年近く払い続けなければいけません。
コロナウイルスの影響で、仕事の案件が少なくなったり、残業時間が削られて収入が下がった方も多く見受けられます。
住宅金融支援機構のコールセンターには、2021年もコロナ関連の相談が寄せられている状況です。
住宅ローンを払えないと、具体的にどのような事態になってしまうのか。
不安を抱える方も多いと思います。
今回は、住宅ローンの支払いがしんどいと感じるときに取るべき対処法や、住宅ローンを滞納することで起こる事案、NG行動などを詳しく解説します。
目次
住宅ローンがしんどくて払えないとどうなる?
住宅ローンの支払いがしんどくて滞納してしまった場合、どのような事案が起こるのでしょうか。
以下では、住宅ローンが払えなくなったときに想定される内容について解説します。
住宅ローンを滞納したら不動産が競売にかけられる
住宅ローンの返済がしんどくて滞納してしまうと、1回目の滞納であれば注意勧告などで済む場合があります。
ローンを貸している債権者である金融機関に、事情を詳しく説明して「返済期日の引き伸ばし対策」などを取ってもらえるかを確認しましょう。
しかし、住宅ローンを滞納している状態が長く続いてしまうと、最悪の場合ではマイホームなどの不動産を競売にかけられる可能性があります。
金融機関はローンの貸付時に、借り手に対して審査を行いますが、万が一返済不能な状況に陥った場合に備えて「担保」の提供を求めることができるのです。
つまり、債権者である金融機関は裁判所を介して強制的に「土地や住宅などの不動産」を売りに出すことができます。
無事に不動産が売却できたら、売却して得た利益から残った住宅ローンの返済に充てるのです。
この手続きを「競売手続き」と言います。
もしローンを滞納し続けて、競売手続きが進んでしまうと、強制的に退去を命じられてマイホームから追い出されてしまうことになりかねません。
入居者の意思に関係なく、返済延長などの融通もまったく利かなくなってしまいます。
また、当然ご近所づき合いなどがある場合も、騒動が広がる可能性も考えられるでしょう。
個人信用情報機関で個人の滞納情報が共有される
日本国内の個人信用情報機関には、有名な機関が3ヶ所存在します。
中でもCICは、クレジットカード会社に利用申し込みをするときに確認される情報として有名です。
具体的には、以下のような3つの個人信用情報機関が存在しています。
<日本国内にある個人信用情報機関>
個人信用情報機関名 | 概要 |
---|---|
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | 主にクレジットカード会社が加盟 |
全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター・KSC) | 主に銀行・信用金庫・信用保証協会などが加盟 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 主に消費者金融が加盟 |
これらの個人信用情報機関は、加盟している金融機関や賃金業者から、「個人の金融に関する信用情報」をシェアしています。
住宅ローン以外にも、自動車ローンや教育ローンなどの別の借金などがあり、滞納している場合は各種ローンが組めなくなる可能性も。
連帯保証人が一括返済しないといけない
連帯保証人が求められる場合は、民間金融機関でペアローンや収入合算を利用する住宅ローン申請のときです。
ローン契約者である主債務者が返済不能な状態になったときに、連帯保証人が代わって返済するというもの。
連帯保証人の条件は、それぞれの金融機関ごとに表現方法が違います。
金融機関が提示する連帯保証人の条件
- 配偶者(夫または妻)
- 一親等の親族(親または子)
上記の方が連帯保証人となることが多いです。
細かい部分では、婚約者を連帯保証人に指定する場合には「住宅ローン本契約時」までに入籍していることが求められます。
そして、連帯保証人とはその名のとおり、基本的にはローンを契約している主債務者と同じ立位置です。
主債務者が住宅ローンを払えなくなると、連帯保証人である家族などが残りの残債を一括返済しなければいけない義務が発生します。
また、不動産を購入する際には多くの場合、団体信用生命保険(通称:団信)に加入することになります。
しかし、連帯保証人は主債務者ではないので、団体信用生命保険に加入することもできません。
連帯保証人を依頼する側からしたら、住宅ローンの申請が通るという大きなメリットがあります。
一方で連帯保証人になるメリットはありませんが、デメリットは多く挙げられるというのが現状。
連帯保証人を検討する場合は、お互いに注意が必要です。
家族にも影響する
多くの金融機関が定めている、主債務者と連帯保証人になる人物の間柄の条件として決められているのが、夫・妻・親・子などの家族です。
もしも、住宅ローンの連帯保証人に家族などが該当していて、主債務者が返済不可能な状態に陥ってしまった場合、家族にも大きな迷惑がかかります。
なお、以下は住宅ローンで連帯保証人を求められる3つのケースです。
住宅ローンで連帯保証人を求められる3つのケース
- ペアローンを組む場合:1つの物件に対して2人で住宅ローンを契約するローン
- 収入合算をする場合:契約者の収入を親や配偶者と合算した金額で契約する
- 本審査で連帯保証人を求められた場合:金融機関から求められる場合がある
それ以外で住宅ローン申請をする場合、連帯保証人をつける必要は基本的にありません。
理由は、ローン契約時に別途「もしものときに主債務者に代わって返済してくれる保証会社」と契約したり、「返済不能時に住宅が担保になるから」です。
住宅ローンがしんどくて払えない場合の対処法
住宅ローンの支払いがしんどくて、これ以上の返済が厳しくなってしまったら大変です。
そうなる前の有効的な対策方法として挙げられるのは、以下の4つの方法になります。
- 1.返済計画や返済条件の見直し
- 2.リースバックの利用を検討する
- 3.任意売却を検討する
- 4.債務整理を検討する
次の項目から、それぞれについて詳しく解説するので、返済がしんどい方はしっかりと確認してください。
返済計画や返済条件の見直し
住宅ローンの返済がしんどいと感じたら、返済が滞ってしまう前にローンを組んだ銀行などの金融機関に相談するようにしましょう。
ここでは、住宅ローンの返済が滞ってしまう前に早めに相談することが大切です。
返済計画や返済条件の見直しを相談するときには、債権者である金融機関に相談してください。
返済期間を延ばしてもらうリスケジュール対策や、月々の返済額を減額してくれる対策を認めてくれることもあります。
2020年からは、新型コロナウイルスの影響により収入が減少して、住宅ローンの返済がしんどくなっている方も多いです。
これらの対策として、各金融機関では住宅ローン専用相談窓口を開設するようになりました。
監督官庁である金融庁も、金融機関に「住宅ローンなどの条件変更には柔軟に対応するように」という要請も。
ただし、返済計画の見直しにより毎月の返済金額が少なくなることで、住宅ローンの完済年齢が上がってしまいます。
リースバックの利用を検討する
リースバックとは、住宅を売却した後でも今の場所に住み続けることのできる仕組のことです。
通常、戸建住宅やマンションを売却する場合には、入居者も一緒に退去しなければいけません。
退去するときは当然、引っ越し費用などもかかってしまいます。
しかし、リースバックを使えば売却後も自宅として利用することができるので、引っ越し費用は不要です。
住宅ローンの支払いがしんどくなったときには、住宅の売却も1つの手段ではないでしょうか。
任意売却を検討する
任意売却とは、住宅を売却した後の金額だけでは住宅ローンの返済できない場合でも活用できる手段で、ローンを滞納している人が対象です。
通常だと、住宅ローンがしんどくて完済できない状態では、不動産を売却することができません。
そのため、ローンが残っているような場合、まず先に住宅ローンを完済する必要があります。
このとき、すでに住宅ローンを滞納してしまっているような状況だと、通常の不動産売却を選択することが不可能です。
このような、すでに滞納をしてしまっている場合は最終手段として「任意売却」を取らざるを得ません。
債務整理を検討する
住宅ローン以外にも、例えば自動車ローンや教育ローンなどを組んでいて、どうしても支払いがしんどいときには債務整理を検討する必要があります。
なお、債務整理には以下の3つがあります。
- 任意整理
- 個人再生(民事再生)
- 自己破産
任意整理
任意整理とは、住宅ローンの債権者である金融機関と直接交渉して、残債を無理なく返済できるように、新しい返済計画を立ててもらう手続きです。
利息をカットしてもらったり、無理のないようにリスケジュールしてもらいます。
個人再生(民事再生)
個人再生とは、裁判所を通じて行う手続きであり住宅ローン残債を最大で90%減額し、残ったローンを3〜5年程度で返済していく内容です。
手続きには多くの時間と労力がかかりますが、その分ローンを大幅に減額してくれます。
自己破産
自己破産とは、裁判所に住宅ローンの免責を申し立てて、ローンの支払い自体も免除してもらう手続きです。
住宅ローンがしんどくて払えなくなる原因
住宅ローン返済は、いつどのような状況で払えなくなるかわかりません。
誰にでも起こり得るリスクでもあります。
主に、住宅ローンがしんどくなる原因には以下の3つが挙げられます。
- 給料が下がってしまった
- 々の支出が増えてしまった
- 定年までにローンを完済しきれなかった
以下では、それぞれについて詳しく解説しますので、ご自身でも同じことにならないように参考にしてください。
給料が下がってしまった
住宅ローンの返済がしんどくなってしまう原因の1つが、収入の減少です。
融資を申請してローン返済計画を立てるときは、今後も収入が安定して入ってくることが前提で考えられています。
また、年齢とともに収入は増えていくことが想定されているので、収入が減少したら返済計画は見直さなければいけません。
2020年からは新型コロナウイルスの影響も大きく出ています。
仕事数が減少してしまったり、雇用先の業績が悪化して解雇される方も多くいる状況です。
これらのような、世界的な感染症のパンデミックや自然災害なども、収入が減少して住宅ローンが払えなくなる原因になります。
突発的な支出が増えてしまった
入念に将来設計をして無理のない返済計画を立てても、なかなか思ったように返済することはできません。
無理なく完済できる人もいますが、多くの方は住宅ローンの返済が途中でしんどく感じることがあるのではないでそうか。
例えば、子どもが生まれればその後の人生も大きく変わります。
現在は子ども1人を育てるために必要な学費は約2,000万円です。
住宅ローンの返済以外に、将来のために計画的にコツコツと貯金をしていても、予定外の子ども出産なども考えられないことではありません。
離婚トラブルや、地震などの自然災害による住宅の破損なども考えられるでしょう。
地震や台風などでマイホームがダメージを受けだら、欠損部分のリフォーム費用が必要です。
予期せぬ事故や病気などが起きる確率は0%ではないので、これらの突発的な支出が発生したら、大きな負担となってしまいます。
定年までにローンが払いきれなかった
昨今は、晩婚化に伴いマイホームを購入するタイミングが遅くなっています。
結果的には、定年までに住宅ローンの支払いが終わらないケースも発生している状況です。
同時に子どもを授かる年齢も高齢化してきているので、働き世代の間に教育資金が必要な子育てが終わらなかったり、住宅ローンの支払いが終わらないというケースが発生しています。
老後資金を貯めるのに大切な定年間際に、教育資金や住宅ローンが重なってしまうのは、家計への大きな負担になりかねません。
また現代では給料・ボーナス・退職金が減額される事例も多いです。
住宅ローンがしんどくて払えないときにやってはいけない対策方法
住宅ローンがしんどいときには、早急に対策したいと考える方も多いです。
しかし、ローンを滞納している状況などではやってはいけない対処方法もあります。
住宅ローンの支払いがしんどいときのNG対処方法は、主に以下の3つです。
- 住宅ローンを返済するための借金
- 賃貸物件として貸し出す
- 専門家に頼らずに自分で解決する
それぞれのNG行動について詳しく解説します。
住宅ローンを返済するための借金
住宅ローン返済に限らず、借金を返済するための借金は絶対にやってはいけない行為です。
一度でもやってしまうと、場合によっては返済額が雪だるま式に大きくなって、自己破産しなければいけない状態に陥る危険性があります。
住宅ローン以外に別の場所から借金をする多重債務は、利息が大きくなるだけで返済の対策にはなりません。
賃貸物件としての貸し出し
現在の住宅ローン返済がしんどいときには、家賃の低い物件に引っ越すのはおすすめできる方法です。
しかし、引っ越した後に元の住宅を賃貸に貸し出す方法は支出が大きくなる可能性があります。
もしも、貸出期間中に「入居者(借り手)」が見つからなかったら、現在の家賃+元の住宅のローンも返済しなければいけません。
支払いが二重になってしまう可能性があるのでリスクが大きいです。
専門家に頼らずに自分で解決しようとする
住宅ローンの支払いがしんどい場合は、弁護士や司法書士、FP事務所などの専門家に相談することがおすすめです。
法律の専門家や、金融の専門家であれば的確なアドバイスをしてくれます。
大変な状況に陥っているときは、自分1人で解決しようとしても冷静な判断ができません。
返済することで頭が一杯になってしまうと、身内や知り合いにお金を無心したり、夜逃げ、多重債務など選んでしまい、取り返しのつかない状態になることも考えられます。
1人で大きな問題を抱え込むと、冷静な判断ができなくなる可能性が高いです。
弁護士に限らず、誰かに相談するようにしましょう。
まとめ
住宅ローンがしんどくて払えなくなったときは、債権者である金融機関に相談して返済計画を見直してもらったり、リースバックを検討することがおすすめです。
ローンを滞納して返済できない場合は、法律事務所などに相談してください。
「債務整理」をするのも1つの手段です。
もしも10〜12ヶ月以上住宅ローンを滞納してしまうと、「強制退去」を求められてしまいます。
返済が厳しくなっても、ローン返済のために借金する対処方法はNG行為です。
住宅ローンは金額が大きいので、問題を先送りしても解決することがありません。
返済がしんどいと感じたら、1人で悩まずに金融機関や法律事務所に相談するようにしましょう。