リースバックの家賃相場はいくら?計算方法や高い賃料を抑える方法を解説
この記事でわかること
- リースバックの家賃・賃料がどのように設定されるかわかる
- リースバックで設定される家賃・賃料の計算方法がわかる
- リースバックの家賃・賃料を安くするコツがわかる
目次
リースバックの家賃・賃料相場
リースバックで設定される家賃・賃料は高い、ということを言われることがあります。
その理由は、リースバックで設定される家賃・賃料は、周辺地域の家賃を参考にしていないケースが多いためです。
そのため、リースバックの査定で提示された家賃・賃料が周辺の賃貸相場の金額から離れているケースがあり、リースバックの家賃・賃料が高いと感じるようです。
なぜリースバックの家賃が相場より高く設定されているかというと、リースバック会社は10年で投資金額を回収しようとしているからです。
10年で投資金額を回収するには、購入金額の10%を1年で回収しなければいけません。
そのため、リースバックの家賃は、購入金額の10%の数字を12ヶ月で割った数字になりやすいといえます。
たとえば、リースバック会社が購入した金額が2,400万円だった場合は、次の計算で家賃の概算が計算できます。
- 2,400万円 × 10% ÷ 12ヶ月 = 20万円(家賃)
このように周辺相場ではなく購入金額で家賃を決めているため、家賃が高いと感じてしまいます。
詳しいリースバックの仕組みについては「リースバックの仕組みとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説」の記事で詳しく説明しているためぜひ読んでみてください。
リースバックの家賃設定の方法
リースバックの家賃・賃料は積算法で決めます。
積算法とは、不動産の売却金額に利回りをかけて12ヶ月で割る算出方法です。
家賃・賃料を設定するときは必要に応じて経費を加えることも検討します。
家賃・賃料
売却金額×利回り÷12ヶ月
利回りは6%〜13%あたりが設定されることが多いようです。
計算方法から分かる通り、周辺の賃貸相場の金額が計算式に入っていません。
そのため、周辺の賃貸相場の金額から離れた家賃・賃料の算出がおこなわれてしまいます。
リースバックの家賃・賃料の計算例
ここからはリースバックの家賃・賃料の具体的な計算例を紹介します。
計算方法は、(1)売却金額×(2)利回り÷12ヶ月=(3)家賃月額となります。
売却金額が高くなった場合の家賃
利回りは同率で、売却金額が上がるとどう変化するでしょうか。
事例売却金額が高くなった場合の家賃
【例】売却金額2,000万円、利回り10%
(1)2,000万円×(2)10%÷12=(3)約16.6万円
【例】売却金額3,000万円、利回り10%
(1)3,000万円×(2)10%÷12=(3)25万円
このように売却金額が上がると家賃も上がります。
利回りが変化した場合の家賃
次は、売却金額が同額で、利回りを変えるとどうなるのか見ていきましょう。
事例利回りが変化した場合の家賃
【例】売却金額2,000万円、利回り8%
(1)2,000万円×(2)8%÷12=(3)約13.3万円
【例】売却金額2,000万円、利回り12%
(1)2,000万円×(2)12%÷12=(3)20万円
例で挙げたように、売却金額や利回りが上がるほど家賃・賃料は上がっていきます。
そのため、リースバックを利用する場合には、いかに利回りを抑えていくかがカギになります。
利回りを下げるためのコツは後程紹介します。
リースバックの家賃・賃料が高くなってしまうケース
リースバックの家賃・賃料が高くなってしまうのは、次のケースです。
- 住宅ローン残高が多い物件
- 競売物件
- リースバック会社が不動産を売却しにくい物件
リースバックの家賃・賃料は、売却金額や利回りが上がることにより高くなります。
売却金額が上がる原因に、住宅ローンの残額が多くあるケースや任意売却・競売になっているケースがあります。
住宅ローン残額が多い場合や競売になっている場合、不動産に付いている抵当権を抹消するのに多額の金銭が必要になります。
高い金額で自宅を売らないと抵当権が抹消できないため、家賃が高くなってしまうということです。
また、住宅ローン残高が多い場合や任意売却・競売になっている物件を取り扱うリースバック会社は限られるため、色々なリースバック会社と比較ができないことも家賃が高くなる要因です。
住宅ローンが残っている物件のリースバックについては「住宅ローンが残っている物件でもリースバックはできる?注意点も紹介」の記事で詳しく説明しているためぜひ読んでみてください。
その他、リースバック会社は不動産購入後、利益を上げるため売却してしまいます。
そのときに、売れづらい物件だと予測されてしまうと、利回りを高く設定されることがあります。
たとえば、建物や建物内設備が老朽化している、リースバックを利用する人の収入が安定していないなどの場合、利回りを高く設定された結果、家賃が高くなることもあります。
リースバックの家賃・賃料を安くするコツ3つ
リースバックを利用してまとまった資金を手に入れた後に、高い家賃・賃料を支払うのではリースバックを利用するメリットが薄くなります。
リースバックを利用する際には、リースバック後の家賃・賃料を安くすることが重要です。
ここからは、リースバックの家賃・賃料を安くする3つのコツを紹介します。
(1)複数のリースバック会社に査定を依頼する
リースバックを利用するときには、1社だけではなく複数社の査定を受けるようにしましょう
リースバック会社によって得意分野が違ったり、利回りを下げて検討してくれたりする場合があります。
また、複数社にリースバックの査定をしていると告げると、仕事を受注するためにリースバックの条件をよくしてくれることもあります。
本当によい条件か確認するためには、買取金額だけを見るのではなく家賃・賃料まで確認し、総合的に見て一番手元にお金が残る査定をしてくれたリースバック会社に依頼をするとよいでしょう。
(2)必要な資金分だけで資金を受ける
リースバック会社によっては、必要な資金分だけで売却金額を設定してくれる会社があります。
そのようなサービスを行っている会社にリースバックを依頼します。
売却金額が下がれば、家賃・賃料も下がります。
しかし、この方法は自宅を買い戻すことが前提の話です。
たとえば、必要資金が500万円の場合で、本来リースバックで2,000万円を受け取れる不動産を、必要資金分の500万円で売ったとします。
そうなると、2,000万円で売れた不動産を500万円で売ったことになってしまいます。
それではもったいないので、500万円で売った不動産を買い戻せるようにしておく必要があります。
リースバックには、買戻し特約というものが付けられる場合もあるため、この方法を利用して資金を受けるときには、以下のことを必ず確認しましょう。
- 買戻し特約が付けられるか
- 買い戻すときにはどのくらいの金額が必要か
(3)リースバック会社のサービス内容を確認する
リースバック会社はそれぞれに特色があり、独自のサービスを行っているケースがあります。
この独自のサービスにより、家賃・賃料を下げる、あるいは総合的に支出する金銭が少なくなることもあります。
ここからは、各社のサービス内容で確認すべき項目を紹介します。
敷金・礼金が無料になるサービスはあるか?
賃貸借契約を締結した場合、1ヶ月分の敷金と1ヶ月分の礼金、合計2ヶ月分の金銭が必要になることがあります。
この敷金や礼金がなくなるだけで、総合的に支出を減らすことができます。
たとえば、家賃が10万円、敷金が家賃1ヶ月分、礼金が家賃1ヶ月分であれば、20万円を多く支払うことになります。
リースバック会社によっては、この敷金・礼金が不要な場合があるので、サービス内容をよくチェックしておきましょう。
保証金の預け入れはできるか?
リースバック会社によっては、売却金額の半分を資金として受け取り、もう半分を保証金としてリースバック会社に預けることにより、家賃を受け取った資金分だけに抑えるサービスを行っている会社があります。
もし預けた保証金を取り戻すことができる内容であれば、積極的に利用していきましょう。
定期借家契約を締結できるか?
リースバックの利回りは、普通借家契約では高めに設定されており、定期借家契約では低めに設定されています。
そのため、定期借家契約が可能なリースバック会社の場合は、家賃・賃料を抑えられる可能性があります。
なお、普通借家契約とは、1年以上の賃貸借期間を定め、基本的には同条件で更新を続ける契約です。
一方、定期借家契約とは、決まった期間のみ賃貸物件を借りることができ、期間満了後には更新ができないという賃貸借契約書です。
そのため、定期借家契約を締結し、定期借家契約で定めた期間が満了した場合は、リースバック会社の同意がない限り必ず退去しなければなりません。
定期借家契約を利用するのは、自宅に一定期間住むことができればよいと考える人が選択する方法です。
詳しい会社選びのコツについては「リースバックの相談は銀行でできる?取り扱い金融機関と会社選びのコツについて」の記事で詳しく説明しているためぜひ読んでみてください。
まとめ
リースバックは老後の資金を得る、あるいは急な出費を賄うことができる便利な資金取得方法です。
しかしその反面、家賃・賃料が高いというようなデメリットもあります。
家賃・賃料が高くなってしまうと、リースバックを利用する意味が薄くなってしまうため、家賃・賃料を安くすることを考えつつリースバック会社を選ぶとよいでしょう。
売却金額や相場を詳しく知りたい方や、リースバックの利用について迷っている方は、不動産に詳しい専門家に一度相談してみることをおすすめします。