不動産売却の悩み相談はどこにすればいい?内容・目的別に相談先を紹介
この記事でわかること
- 不動産売却時に、目的や相談内容に応じた相談先がわかる
- それぞれの窓口や専門家の特徴や役割がわかる
不動産の売却は、不動産の購入同様、人生の中でそう何度も経験するものではありません。
「分からないこと、不安な気持ちを相談したい」
「でも誰に相談すればいい?」
と思う方も多いでしょう。
不動産の売却を進めていく中で、相談すべき専門家はたくさんいます。
不動産売却の中でも特に土地の売却について、どのような状況でどの専門家に相談すればよいのかを解説します。
目次
【不動産売却の流れ】各ステップにおける相談先一覧
一般的に不動産を売却する際の全体の流れと相談先の一覧は下記の通りです。
不動産売却の流れ | 相談先 | 相談内容 | |
---|---|---|---|
ステップ1 | 不動産会社で相談 | 不動産会社 | 売却に関する全般について |
不動産鑑定士 | 価格の査定について 不動産鑑定書の作成について | ||
ステップ2 | 媒介契約の締結 | 不動産会社 | 売却活動について |
ステップ3 | 販売活動の開始 | 不動産会社 | 広告宣伝方法について |
ステップ4 | 売買契約の締結 | 弁護士 | 売買契約に関するトラブルについて |
司法書士 | 登記について | ||
ステップ5 | 引渡し・決済 | 土地家屋調査士 | 近隣との境界について 測量図の作成について |
ステップ6 | 確定申告 | 国税庁電話相談センター | 確定申告に関する一般的な質問について |
税理士 | 税金について |
特殊な売却案件の場合は、ほかの相談先に問い合わせることも可能です。
例えば、売却が難しい空き家の処分について検討している場合は、管轄の役所へ相談するとよいでしょう。
また、農地の売却や転用を検討する場合は、行政書士に相談することで、最も的確なアドバイスをもらえます。
このように、相談内容に応じてそれぞれ適切な相談先を把握しておくようにしましょう。
不動産売却の悩みを相談できる相手は9種類
土地を売却する際、相談すべき専門家は、下記の9種類があります。
【不動産売却の悩みを相談できる窓口・専門家】
- 不動産業者
- 税理士
- 弁護士
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士
- 司法書士
- 国税庁電話相談センター
- 市役所
- 行政書士
この9種類の専門家を、目的や相談したい内容に応じて依頼していきます。
それぞれ、どのような状況に向いているのか解説します。
不動産売却の流れや方法は「不動産会社」に相談
不動産を売却するときに最初に相談相手となるのが、不動産会社です。
不動産会社は、売却に関わる以下の項目のフォローや代行を行なってくれるため選定がとても重要になります。
- 不動産の価格の査定
- 広告宣伝活動
- 売却活動
- 売買契約書の作成
- 物件の引き渡し
不動産会社に相談するメリットとしては、不動産の売却のほとんどの活動を仕事として行なっている専門家が、これまでの経験に基づいてトラブルや不測な事態の際、解決まで導いてくれる可能性が高い点です。
専門的な内容は不動産業者にもわからないこともありますが、不動産業者が知っている専門家を紹介してもらえるケースも多いです。
実際に、不動産会社に相談した際にかかる費用は「仲介手数料」で、不動産の売却が成功するまでは費用として発生しません。
不動産売却を決めた売主は基本的に不動産業者に相談することをおすすめします。
不動産会社を選ぶ際は、自分の売ろうとしている物件に適しているかを比較できるよう、複数社に査定を依頼するようにしましょう。
価値に関するお問い合わせは「不動産鑑定士」に相談
不動産を売却する際、売却額は基本的に不動産会社の査定により決まりますが、不動産鑑定士への依頼も可能です。
メリットとしては、不動産会社の売却査定と異なり『不動産鑑定評価書』という書類が作成されるため、公的な書類となり、相続で親族と揉めた場合などに裁判所への提出も可能になることです。
相談にかかる費用としては不動産の鑑定を依頼したときに発生します。
不動産会社の無料査定で足りることがほとんどですが、相続などの状況下で、裁判をする時の資料として必要であるなど特殊なケースで売却をしようとする方は不動産鑑定士への依頼をおすすめします。
不動産鑑定士を選ぶ際は、複数社に見積もりを依頼して自分に合う不動産鑑定士を選びましょう。
実際の業務に入る前の説明や、連絡のレスポンスの早さや内容から見極めることが重要です。
登記や権利関係は「司法書士」に相談
不動産の売買では不動産会社に次いで、依頼する方が多いのが登記に関する専門家である司法書士でしょう。
司法書士は、不動産の表題登記、所有権保存登記、所有権移転登記、抵当権設定登記、抵当権抹消登記など不動産に関わる登記をします。
不動産を売却する際、買主が所有権移転登記を司法書士に依頼しますが、売却代金で住宅ローンを完済しようとする場合などでは売主側も抵当権抹消登記を司法書士に依頼する必要があります。
また、登記簿と住所が異なっている場合にも司法書士に依頼します。
メリットとしては、司法書士は登記の専門家であるため、不動産登記のことはほとんど解決できます。
実際にかかる費用としては、司法書士に登記の依頼をした場合には、司法書士への報酬以外に、法務局に納める登録免許税などの実費もかかります。
売却代金で住宅ローンを完済し、引き渡し時に、抵当権抹消登記を行う方や登記簿と氏名・住所が異なる方は司法書士に相談することをおすすめします。
司法書士を選ぶ際は、報酬が明確で、専門知識が豊富な説明がわかりやすい方を見極めて選ぶようにしましょう。
契約時にトラブル発生時は「弁護士」に相談
不動産は高額な取引となることも多く、その性質上、契約上のトラブルなどを引き起こすことがあり、弁護士を交えて解決するケースが多いです。
例えば、不動産の売買契約を交わした相手方が、契約書で定めたことに違反するなどしてトラブルになったときには、弁護士に相談することで、代わりに相手方と話してくれたり、相談に対してアドバイスをしてくれたりします。
弁護士に相談するメリットとしては、法律に関係することはほとんど解決に導いてくれる点です。
しかし、費用面は他の専門家よりも費用がかかります。
弁護士によっては「○分いくら」というように相談費用が発生することがあり、トラブルが裁判に発展した場合にはある程度まとまった金額の報酬を支払うこととなります。
権利関係が複雑な物件の売却をしようとする方や、多額の損失があった方、不動産会社とトラブルになった方は弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士を選ぶ際は、可能な限り不動産の案件の実績がある弁護士がよいでしょう。
登記・測量に関しては「土地家屋調査士」に相談
売却する不動産の土地の境界が確定していないと購入希望者から敬遠され、なかなか買い手が見つからないため、隣地との境界が確定していない場合には、土地家屋調査士などに依頼して、境界を確定したうえで測量図面を作成しなければいけません。
土地の境界確定には、売却する土地に接しているすべての所有者の立ち会いが必要であるため、市道に面しているときは市役所、県道の場合は県の担当者なども立ち合わなければなりません。
土地家屋調査士に相談することで、境界杭に関わるトラブルを解決に導いてくれます。
土地の境界確定と測量図の作成をお願いする場合、まとまった費用がかかることがあります。
土地家屋調査士によって差もあるといわれていますが、隣地の所有者がなかなか対応してくれなければ、その分費用がかさむことがあるため都度土地家屋調査士に相談するようにしましょう。
土地家屋調査士を選ぶ際も、報酬が明確でサクサク動いてくれて、積極的に相談に応えてくれる方を見極めることが重要です。
不動産売却の税金については「税理士」に相談
不動産の売却は、金額の大きい取引なので、その分、税金も大きい金額になることもあります。
不動産を売却して、利益を得た場合には確定申告をする必要があるため、税理士に相談をすればやり方などのアドバイスがもらえます。
不動産の売却に関わる税金には、印紙税・登録免許税・消費税・譲渡所得税があり、一番大きい金額となるのが不動産を売却して得た利益の部分に課せられる税金である『譲渡所得税』です。
譲渡所得の算出は煩雑なため、税理士に相談することで税金算出に必要な計算・特別控除や特例などの適用が受けられるかまで見極めてくれます。
税理士に確定申告を相談する場合も報酬の支払いが必要で、相場は3〜5万円です。
不動産を売却した時の報酬額は、売却利益によって異なります。
不動産の売却は個人で行うよりも法人化して行った方が税金を抑えられることがあり、法人化した場合は税金面は複雑なため、会計処理や税務処理をしっかり行うには税理士への相談は必須です。
選び方としては必ず税理士と会い、不動産売却相談をして、見積もりをもらうという流れのなかで、自分との相性を見極めましょう。
確定申告の相談は「国税庁電話相談センター」に相談
確定申告に関して相談したいという場合は、国税庁電話相談センターにまずは問い合わせてみるのもよいでしょう。
国税庁電話相談センターでは、確定申告に関する一般的な内容に関して、無料で相談に乗ってくれます。
そのため、簡単な相談内容であれば、税理士ではなく国税庁電話相談センターを利用するのがオススメです。
特に、初めての確定申告で分からないことが多い人や、最初から税理士に相談するには敷居が高く感じてしまう人にとっては、国税庁電話相談センターのほうが気軽に相談することができるでしょう。
空き家に関しては「市役所」に相談
不動産の売却を検討している人の中には、古くなった空き家の処分に困っているというケースも多いかもしれません。
このように、空き家の売却に関して相談したいという場合は、市役所に相談してみるとよいでしょう。
市役所に相談すると、空き家を手放したい人と購入したい人をマッチングさせるシステム「空き家バンク」へ登録することができます。
「空き家バンク」は、どんなに古くて売れにくい空き家でも、登録を拒否されるということはほぼありません。
そのため、条件が悪く不動産会社では売却を断られてしまった人などは、市役所に相談することで、解決へと導いてくれる可能性があるといえるでしょう。
農地売却に関しては「行政書士」に相談
農地の売却に関して相談したいという人は、行政書士へ相談するのがよいでしょう。
農地を売却する場合、農地法という法律による規制の対象となるため、通常の不動産売却とは手順が少し異なり、特別な許可を得る必要があります。
また、農地をほかの用途として使用するために転用する場合においても、許可をとらなければなりません。
このように、農地の売却にかかる許可をとるための手続きは、行政書士に依頼して代わりに行ってもらうのが一般的です。
そのため、農地の売却を検討している場合は、農地の売却および転用の手続きに詳しい行政書士に相談してみましょう。
不動産売却に関するよくあるQ&A
不動産売却にあたり、疑問や不安がある人もいらっしゃるでしょう。
以下では、よくある質問を紹介します。
不動産売却にかかる費用は?
不動産を売却する際にさまざまな費用がかかります。
たとえば、不動産を売却した際に得た利益は、譲渡所得税として確定申告で納税をしなければなりません。
契約前には、売却する土地と隣地との境界を明確にするための調査に、測量費用がかかります。
また、不動産会社を通じて不動産の買い手を探してもらう場合は、仲介手数料が発生します。
ほかにも、住宅を売却する場合は、契約前に住宅の状況を把握するための調査に、ホームインスペクション費用が必要です。
不動産売却にはどのくらい税金がかかる?
不動産を売却する際は、譲渡所得税や印紙税、消費税などの税金がかかります。
譲渡所得税は、不動産の売却額から購入額を差し引いて出た利益によって納税額が変わるほか、消費税も発生します。
印紙税は契約を締結する際の収入印紙の購入と同時に納税しなければなりません。
ただし、物件の種類などによって納めなければならない税金は異なるため、不動産売却の専門家へ相談するのが良いでしょう。
まとめ
不動産売却時の悩みは、内容ごとの専門分野に詳しいプロに相談することが大切です。
内容別の相談相手を以下の表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
相談内容 | 相談先 |
---|---|
不動産売却の流れ・方法 | 不動産会社 |
不動産売却にかかる税金 | 税理士 |
売買契約時のトラブル | 弁護士 |
不動産の価値 | 不動産鑑定士 |
不動産の登記・測量 | 土地家屋調査士 |
登記内容の変更手続き・権利関係 | 司法書士 |
確定申告に関する一般的な質問について | 国税庁電話相談センター |
売却が難しい空き家の処分について | 市役所 |
農地売却や農地転用について | 行政書士 |
不動産会社へ相談が必要な場合は、不動産売却マップがおすすめです。
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不動産売却の際は、お気軽に不動産売却マップへご相談ください。