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2021年(令和3年)公示地価・上昇率ランキング!6年ぶりに公示地価が下落

2021年(令和3年)公示地価・上昇率ランキング!6年ぶりに公示地価が下落

この記事でわかること

  • 売買価格に影響する公示地価の概要がわかる
  • 2021年版の全国公示地価ランキングがわかる
  • 2021年版の公示地価上昇率ランキングがわかる
  • 公示地価が6年ぶりに下落した理由がわかる
  • コロナ禍における不動産売買の注意点がわかる

土地の値段といえば、売買価格や相続税評価額、固定資産税評価額などがあり、いずれも公示地価が基準となっています。

戸建住宅や分譲マンションの売買価格、賃貸物件の家賃も土地の値段が反映しているため、土地オーナーや投資家であれば、公示価格は注目すべき指標になります。

さて、その公示価格ですが、全国的に上昇トレンドで推移していたところ、2021年は6年ぶりの下落となりました。

当然、不動産売買にも影響が出ているため、今回は2021年の公示地価をランキング形式で紹介し、下落要因も分析します。

一部上昇したエリアもあるので、不動産売買を検討中の方はぜひ参考にしてください。

公示地価とは

不動産売買の指標になる価格が公示地価であり、国土交通省によって調査・公表される土地の値段です

毎年1月1日時点の価格をその年の3月下旬に公表していますが、全国の約2万6,000地点を調査対処とし、不動産鑑定士が評価を行っています。

モノの値段は需要と供給バランスや、売り手と買い手の交渉などによって決まりますが、市場原理に任せると、本来の価値とはかけ離れてしまう可能性があります。

そこで1969年に地価公示方が施行され、1970年から公示地価が公表されるようになりました。

不動産売買には欠かせない指標となりますが、2021年の公示地価はかなり興味深い内容となっています

ではさっそく、公示地価の全国ランキングや上昇率ランキングをみていきましょう。

【2021年】全国公示地価ランキング

2017年以降の公示地価をみると、全国的には緩やかな上昇傾向でしたが、2021年は地方4都市を除き全体的に下降へ転じています

本コラムの後半では地価の変動要因を分析していますが、まずはエリア別や用途別に全国の公示地価ランキングを紹介します。

2021年の公示地価の全国平均

公示地価ランキングの前に、まず全国平均を見てみましょう。

不動産売買が盛んな用途地域には住宅地と商業地があり、2020年と2021年を比較すると、公示地価は以下のような変動率になっています。

全用途住宅地商業地
2020年2021年2020年2021年2020年2021年
全国1.4▲0.50.8▲0.43.1▲0.8
3大都市圏2.1▲0.71.1▲0.65.4▲1.3
地方4市7.42.95.92.711.33.1
その他の地方圏0.1▲0.60.0▲0.60.3▲0.9

全国平均は6年ぶりにダウンという結果ですが、下落幅が大きいのは商業地であり、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)も前年に比べると上昇率は縮小しています。

では各エリアの住宅地や商業地について、前年および前々年の変動率を2021年と比較してみます。

エリア別の公示地価の推移

3大都市圏や地方4市など、エリアによって2021年公示地価の変動率は分かれましたが、3年間の推移からもさまざまな違いが読み取れます。

【3大都市圏の推移(東京、大阪、名古屋)】
2019年2020年 2021年
全用途2.00%2.10%▲0.7%
住宅地1.00%1.10%▲0.6%
商業地5.10%5.40%▲1.3%
【地方4市の推移】
2019年2020年2021年
全用途5.90%7.40%2.90%
住宅地4.40%5.90%2.70%
商業地9.40%11.30%3.10%
【その他の地方圏の推移】
2019年2020年2021年
全用途▲0.2%0.10%▲0.6%
住宅地▲0.2%0%▲0.6%
商業地0%0.30%▲0.9%

2020年までは景気回復のテコ入れとなったアベノミクス、オリンピック需要に伴うインバウンドの増加など、さまざまな期待感から公示地価は上昇傾向でした。

コロナ禍の影響がブレーキとなったわけですが、地方4市の場合、大規模な再開発への期待感などが続いているため、わずかに上昇を維持しているといった状況です。

住宅地の2021年公示地価ランキング

公示地価の高さでは首都圏が圧倒的に強く、港区や千代田区の住宅地はランキング上位の常連エリアになっています。

順位都道府県住所公示地価(㎡)対前年変動率
1位東京都港区赤坂1-14-114,840,000円3%
2位東京都千代田区六番町6-14,050,000円0%
3位東京都港区白金台3-16-103,810,000円0%
4位東京都港区南麻布4-9-343,570,000円2.00%
5位東京都港区南麻布1-5-113,170,000円0.00%
6位東京都千代田区三番町6-253,160,000円0.00%
7位東京都千代田区一番町16-33,030,000円0.00%
8位東京都千代田区九段北2-3-252,960,000円0.00%
9位東京都港区赤坂6-19-232,750,000円0.40%
10位東京都渋谷区恵比寿西2-20-72,730,000円0.70%

トップ10は2020年から変わっておらず、いずれも富裕層や投資家に人気のエリアです。

公示地価は変動率0%の横ばい状態が目立ちますが、赤坂は現在も再開発が進んでおり、7丁目にはタワーマンションや大型商業施設の建設予定もあるようです。

商業地の2021年公示地価ランキング

続いて商業地の公示地価ランキングですが、こちらも各メディアで話題になる国内屈指の一等地ばかりです。

順位都道府県住所建物名公示地価(㎡)対前年変動率
1位東京都中央区銀座4-5-6山野楽器53,600,000円▲7.1%
2位東京都中央区銀座5-4-3対鶴館46,100,000円▲7.2%
3位東京都中央区銀座2-6-7明治屋銀座ビル39,900,000円▲7.9%
4位東京都中央区銀座7-9-19ZARA39,300,000円▲8.0%
5位東京都千代田区丸の内2-4-1丸ノ内ビル37,200,000円▲1.1%
6位東京都新宿区新宿3-24-1新宿M-SQUARE36,500,000円▲3.7%
7位東京都新宿区新宿3-30-11新宿高野第2ビル34,600,000円▲6.0%
8位東京都中央区銀座6-8-3銀座尾張町TOWER29,300,000円▲9.0%
9位東京都千代田区大手町2-2-1新大手町ビル29,000,000円▲1.4%
10位東京都中央区銀座4-2-15塚本素山ビル28,700,000円▲7.4%

2021年の公示地価は軒並みダウンであり、4年前(2017年)の地価を下回っているエリアもあります

特に商業ビルはオフィスビル以上の下落率になっています。

【2021年】全国公示地価上昇率ランキング

2021年の公示地価は都道府県別にみても興味深い結果となっており、全体的に上昇幅は縮小しているものの、上昇率でみるとエリアごとの違いが明確に表れています。

順位都道府県公示地価平均(㎡)坪単価平均変動率
1位福岡県18万304円59万6,047円1.86%
2位北海道6万9,970円23万1,308円1.23%
3位沖縄県13万7,272円45万3,794円1.19%
4位宮城県14万2,295円47万398円1.09%
5位熊本県9万5,690円31万6,332円0.34%
6位佐賀県4万267円13万3,114円0.33%
7位千葉県12万9,054円42万6,626円0.29%
8位大分県5万9,599円19万7,022円0.19%
9位山形県3万3,019円10万9,156円▲0.19%
10位福島県4万784円13万4,823円▲0.2%

公示地価が上昇した都道府県は上位8位までにとどまりましたが、九州や沖縄エリア、北海道や東北エリアなど、国土の両端に分かれる結果となっています。

ではベスト10入りした都道府県の特徴をもう少し掘り下げてみます。

福岡県の公示地価上昇率ランキング

福岡県の2021年公示地価は平均18万304円(㎡)、坪単価59万6,047円となっています。

上昇率ランキングのトップ5はいずれも博多駅の西側エリアとなっており、低金利の影響などで不動産売買は盛んに行われているようです。

順位住所地価(㎡)坪単価変動率
1位福岡県福岡市博多区博多駅前3-21-12180万円595万413円16.13%
2位福岡県福岡市中央区天神4-3-8外340万円1,123万9,669円16.04%
3位福岡県福岡市中央区大名2-6-36350万円1,157万247円15.51%
4位福岡県福岡市中央区清川2-4-1946万円152万661円15.00%
5位福岡県福岡市博多区店屋町210番1外83万円274万3,801円14.01%

2016年以降は博多駅前にKITTE博多、JRJP博多ビルが建設され、博多湾の再整備(ウォーターフロントネクスト)も進行中のため、中心エリアの市況は好調といえます。

北海道の公示地価上昇率ランキング

北海道の2021年公示地価は平均6万9,970円、坪単価23万1,308円となっています。

中でも虻田郡倶知安町(あぶたぐんくっちゃんちょう)の地価上昇率は高く、スキーリゾートして人気のため外国人世帯が町全体の15%を占めています。

順位住所地価(㎡)坪単価変動率
1位北海道虻田郡倶知安町北1条西2-189万9,000円32万7,272円32.00%
2位北海道虻田郡倶知安町字樺山65番132外7万7,500円25万6,198円29.17%
3位北海道虻田郡倶知安町字旭335番1外1筆1,000円3,305円25.00%
3位北海道虻田郡倶知安町字山田83番2913万5,000円44万6,280円25.00%
5位北海道虻田郡倶知安町南1条西1-40-1外12万1,000円39万9,999円21.00%

公示地価の高さでも札幌市に次ぐ2位であり、函館本線沿線上の土地や、倶知安駅から7km圏内は+10%以上の上昇率となっている場所が多いようです。

不動産売買には外国資本も入っているため、道内の自治体レベルでは唯一2桁台の上昇率となっています。

沖縄県の公示地価上昇率ランキング

国内ではもっとも上昇率が高く、沖縄県の2021年公示地価は平均13万7,272円、坪単価は45万3,794円となっています。

那覇市など沖縄本土側の地価上昇は数年前から目立っていましたが、トップ5のうち3つのエリアが宮古島であり、トップ10の半分も宮古島が占めています。

順位住所地価(㎡)坪単価変動率
1位沖縄県宮古島市平良字西里根間246番13万2,000円43万6,363円38.95%
2位沖縄県宮古島市城辺字保良村内507番4,230円1万3,983円37.34%
3位沖縄県糸満市西崎町3-27910万3,000円34万495円37.33%
4位沖縄県那覇市前島2-11-1731万円102万4,793円34.78%
5位沖縄県宮古島市平良字西里出口556番7万7,700円25万6,859円30.15%

宮古島市はリゾート開発が盛んであり、2014年以降の住宅着工数が5倍に増加しています。

伊良部大橋の両端付近にはリゾートホテルが建築され、下地島空港には新たなターミナルも建設されたため、国内外の観光客や移住者も増加しています。

宮城県の公示地価上昇率ランキング

東北エリアでは宮城県の地価上昇が目立っており、平均公示地価は14万2,295円(㎡)、坪単価は47万398円となっています。

順位住所地価(㎡)坪単価変動率
1位宮城県仙台市宮城野区榴岡4-4-1345万5,000円150万4,132円13.75%
2位宮城県仙台市宮城野区榴岡3-4-3155万円181万8,181円12.24%
3位宮城県仙台市青葉区上杉6-2-2336万8,000円121万6,528円11.52%
4位宮城県仙台市青葉区本町2-16-10236万円780万1,652円11.32%
5位宮城県仙台市青葉区国分町3-11-962万5,000円206万6,115円11.01%

特に東北地方を代表する仙台市が堅調であり、JR仙台駅の周辺には3%~6%台の上昇となっているエリアが多く見受けられます。

宮城野区は交通の利便や周辺環境が人気の住宅エリアであり、青葉区は東北大農学部跡地にマンションが建ち、今後も病院や大型商業施設の建設が予定されています。

【2021年】6年ぶりに公示地価が下落。理由を解説

平成バブルの崩壊で地価は大暴落し、10年以上かけて持ち直してきたところ、2008年から2009年にかけてはリーマンショックにより再度下落しました。

その後のアベノミクスで公示地価は再び上昇し始めましたが、2021年には6年ぶりの下落となっています。

不動産売買にも大きな影響が出ていますが、全国的な下落要因には何があったのか整理してみましょう

新型コロナウイルスの影響によるインバウンド需要の減少

2021年の公示地価には新型コロナウイルスが色濃く影響しています。

海外からのインバウンド需要が減少し、国内の人の動きにも制限が出ているため、商業地区や観光地区は全国平均3.9%の下落率となっています。

銀座8丁目や道頓堀など下落幅の大きいエリアもありますが、オリンピックやインバウンド需要への期待感が高かったエリアほど反動も大きいようです。

住宅地の公示地価も下落となりましたが、商業地ほどの影響は受けていないものの、景気の先行き不安から不動産売買は鈍化しているようです。

テレワークの普及で都心近郊にニーズが流出

新型コロナウイルスは働き方にも影響を及ぼし、総務省が行った令和2年通信利用動向調査によると、テレワークの導入企業は前年比47.5%の伸びとなっています。

テレワークは場所を選ばずに仕事ができるため、都心部から近郊エリアに住宅ニーズも流出している状況ですが、住宅ローンの低金利も後押しする形になっています。

公示地価全体に与える影響はまだ大きくありませんが、コロナ禍の収束タイミングによっては、今さら元の働き方には戻れないといった状況も出てくるでしょう。

サラリーマンやOLの「通勤」が減少すると仕事帰りの一杯も減るため、商業地域の公示地価はさらに下落することになります。

未曽有の自然災害も公示地価に影響

豪雨による土砂災害など、かつて経験しなかった自然災害も頻繁に発生していますが、その度にハザードマップも更新されています。

土砂災害特別警戒区域(いわゆるレッドゾーン)に指定されると建築物にも構造規制が出るため、仮に建物を建てたとしても、収益率や利回りの面で不利になります。

リスクマネジメント可能な土地に人気が集中するため、災害に弱いエリア・強いエリアの差が公示地価にも少しずつ反映しているようです。

コロナの影響はしばらく続くか。エリア選びは十分に注意しよう

2021年の公示地価下落はほとんどコロナ禍の影響といえますが、変異株の出現などもあり、まだ収束点がみえない状況です。

しかし不動産の売買価格には需給バランスが強く作用するため、公示地価が下落したエリアでも、需要が大きくなれば不動産価格は上昇します。

不動産売買のターゲットエリアにどれだけの在庫があるのか、各方面にアンテナを張って情報収集しておく必要があるでしょう。

なお、「住宅ローン減税」や「すまい給付金」は、入居時期の期限が2022年末まで延長となり、対象住宅の面積も50㎡以上から40㎡以上に引き下げられています。

フラット35の固定金利も、2021年7月現在で1.280%に下がっているため、住宅の購入条件としては依然として有利な状況が続いています

まとめ

2021年の公示地価は全国的に下落傾向となり、一部上昇しているエリアでも伸び率は縮小しています。

原因を辿ると、ほとんどのケースでは新型コロナウイルスに行き着くため、「今はどうしようもない」のお手上げムードもあるようです。

しかし開発中、または開発予定のあるエリアは高い水準で上昇しているため、全体的なムードに流されると不動産売買や投資の機会を失ってしまいます。

コロナ禍の影響を受けている特殊な時期だからこそ、エリアや物件選びの目利きが試されるともいえるでしょう。

まだコロナ禍の収束はみえませんが、不動産売買を検討している方は、ぜひプロフェッショナルの意見を参考にしてください。

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