COLUMN不動産に関する記事

土地を相続したとき、必要な手続きなどに関して分からないことが多く、誰に相談すればよいのか悩んでしまうケースは少なくありません。

特に、初めて土地を相続し、身近に頼れる人がいない場合は、正しい相談先が分からずに戸惑ってしまう人も多いでしょう。

本記事では、土地の相続に関して誰に相談すればよいのか分からないという人のために、依頼すべき6つの相談先を、ケース別で分かりやすく紹介していきます。

それぞれの相談先ごとのメリットやデメリットについても触れながら解説していくので、自分の状況に合わせて読んでみてください。

土地の相続に関する相談先6つ

土地の相続に関する相談先は、主に6つあります。

6つの相談先について、まずは下記の表を参考に把握しておきましょう。

このように、相談すべきケースによってそれぞれ相談先が異なります。

そのため、土地を相続した際の自分の状況に応じて適切な相談先を選ぶことが大切です。

ここからは、それぞれの相談先についてケース別でさらに詳しく解説していくので、メリットやデメリットなども押さえながら理解を深めていきましょう。

市役所・区役所：無料で気軽に相談したい人

土地の相続に関しての知識があまりなく、相続に関することをとりあえず無料で気軽に相談したいという人は、市役所や区役所に相談するとよいでしょう。

市役所や区役所では、基本的に無料で相談することが可能であるため、誰でも気軽に利用できる相談先としておすすめです。

市役所・区役所に相談するメリット

市役所や区役所に土地相続の相談をする場合は、以下の点がメリットとして挙げられます。

• 費用がかからない点
• その後の手続き依頼を強要されることがない
• 必要以上の個人情報を提示する必要がなく、安心かつ安全に利用できる

相談するにあたって特別な事前準備も必要ないので、相談先としてのハードルが低く、土地相続の初心者でも利用しやすいのが、市役所や区役所の特徴といえるでしょう。

市役所・区役所に相談するデメリット

市役所や区役所のデメリットとしては、あくまでも一般的な知識のもとで相談に応じてくれるだけなので、以下のようなことが挙げられます。

• 個々の状況に応じた詳細なアドバイスはもらえないことが多い
• 相談した後にその場で具体的な依頼をできるわけではない

たとえば、自ら用意した相続手続きの書類について、内容を添削してほしいと依頼しても、市役所や区役所では応じてもらえない可能性が高いでしょう。

市役所や区役所は、あくまでも気軽な相談先として認識しておくことが重要です。

銀行：所有している資産が高額な人

相続した土地の価格が高く、所有している資産が高額になる人は、銀行に相談するのが適しています。

たとえば、以下のような場合には総資産が高額になる可能性が高いため、銀行への相談を検討してみましょう。

• 複数の土地を相続した場合
• 土地の相続とあわせて他の資産も相続することになった場合

銀行に相談するメリット

銀行は、所有する資産の運用方法に関する相談を得意としている機関です。

特に、メガバンクなどの大手の銀行であれば、全国どこでも画一的なサービスを提供してくれるため、安心して相談することができるのも大きなメリットです。

相続により高額な資産を所有することになった場合は、有効なアドバイスがもらえる可能性が高いでしょう。

また、銀行では必要に応じて信頼できる士業の先生を紹介してもらえるケースが多いのも、銀行ならではの嬉しいポイントといえます。

銀行に相談するデメリット

土地相続について銀行に相談する場合、費用が高くなりがちというデメリットがあるので、注意が必要です。

また、銀行員は資産運用に関する知識が豊富である一方、相続に関する法律などにはそこまで詳しくない可能性があるということも、理解しておかなければなりません。

そのため、相続後の資産運用に関すること以外での相談の場合は、銀行ではなく他の相談先を検討したほうがよいでしょう。

弁護士：土地の相続でトラブルが発生している人

土地の相続で何らかのトラブルが発生している人は、相談先として弁護士を選ぶとよいでしょう。

たとえば、以下の場合には特に弁護士に相談することで解決へと導いてもらうことが期待できます。

• 自分以外の相続人との遺産分割で揉めている場合
• 相続人同士の関係性に問題があり直接的な話し合いが困難な場合

土地の相続人が複数になるとトラブルに発展するケースは少なくないので、自分たちだけで解決しようとせずに、弁護士を頼るのが賢明な判断といえるでしょう。

弁護士に相談するメリット

土地相続のトラブルについて弁護士に相談する最大のメリットは、トラブルの解決にかかる事柄全般を任せられるということです。

具体的には以下のことが挙げられます。

• トラブルの相手方との交渉
• 裁判に発展した際にも必要な手続きをすべて依頼できる

土地相続に関するトラブルが裁判へと発展した場合、代理人として解決に向けた交渉を依頼できるのは弁護士しかいないので、非常に貴重な相談先であるといえます。

また、公的機関である法テラスを利用すれば、弁護士への相談を無料で依頼できる可能性があるので、相談費用に不安を抱えている人にとっては大きなメリットといえるでしょう。

弁護士に相談するデメリット

弁護士に土地相続の相談をするデメリットは、以下のようなことが挙げられます。

• 相談後に裁判へと発展した際に、高額な費用が必要となる可能性がある
• 誰でも無料で弁護士へ相談できるわけではない（法テラスなどの弁護士への無料相談を利用するには、特定の条件をクリアする必要があるため）

このように、高い費用を支払って弁護士へ相談したものの、自分の納得する方向での解決に至らなかったという結果になる可能性も考えられるので、あらかじめ理解しておく必要があります。

司法書士：土地の名義変更が必要な人

相続した土地の名義変更が必要な人は、司法書士に相談しましょう。

土地を相続する場合、登記簿上での名義も変更しなければならず、実際に名義変更の手続きができるのは司法書士のみです。

土地を相続することが確定し、名義変更の手続きをする際には、司法書士へ相談する必要があることを把握しておきましょう。

司法書士に相談するメリット

土地相続に関して司法書士に相談するメリットは、相続による不動産登記の名義変更はもちろん、その他の遺産についての名義変更もまとめて依頼できるということです。

たとえば、土地の相続とあわせて、預貯金や投資信託などの遺産も相続することになった場合、司法書士に相談すればすべての名義変更をまとめて依頼できるでしょう。

法務局で管理されている登記の変更手続きができるのは、士業の中でも司法書士だけなので、登記に関する相談をしたい人は司法書士への相談で大きなメリットを得られるはずです。

司法書士に相談するデメリット

司法書士は、あくまで相続時における登記手続きの専門家であるため、登記以外の内容に関しては相談に応じてもらえない可能性があります。

たとえば、以下の項目に関しては司法書士に相談しても対応してもらえないでしょう。

• 相続に関するトラブルについて相談したい場合
• 相続税の支払いについて相談したい場合
• 相続手続きで必要となる書類の用意について相談したい場合

土地の相続に関することを幅広く相談したいと考えている人にとって、登記以外の分野の相談に対応してもらえないことは、デメリットに感じてしまうかもしれません。

また、司法書士に相談する場合の費用は、相談先となる司法書士事務所によって大きく異なるという点にも注意が必要です。

一般的な相場としては、登記する際に課税される登録免許税の他に、5～10万円程度の手数料を司法書士へ支払うケースが多くなっているので、あらかじめ把握しておいたほうがよいでしょう。

行政書士：書類作成のみを代行してほしい人

土地を相続し、手続きのために必要となる書類の作成のみを代行してほしいという人は、行政書士への相談が適しています。

たとえば、土地の相続に関する手続きを自分で済ませたいと考えている場合は、行政書士に相談することで、必要書類の作成を代行してくれ、書類を用意するためのサポートをしてくれるので、最適な相談先といえるでしょう。

行政書士に相談するメリット

土地相続の相談先として行政書士を選ぶメリットのひとつは、必要な書類を用意したいといった要望にピンポイントで応じてもらえることです。

また、行政書士の事務所は、広告や看板を出しているところも多く、比較的身近な場所で見つけやすいといった点も、行政書士ならではのメリットといえます。

何より、行政書士に土地相続の相談をし、書類作成以外はできる限り自分で手続きを行うことで、費用を最小限に抑えられます。

もちろん、書類作成以外の手続きをすべて自分で行うには手間や労力がかかるかもしれませんが、とにかく費用を安く抑えたい場合は、まず行政書士に相談してみるとよいでしょう。

行政書士に相談するデメリット

行政書士は、あくまで相続の通常手続きで必要となる書類を作成することができるだけなので、以下のような場合には向いていません。

• 相続税の申告や相続の登記手続きを代行してほしい
• 相続トラブルを抱えている場合における裁判所への提出書類の作成はできない

さらに、行政書士に相談して必要書類の作成のみを依頼し、その他の手続きは自分で行う場合、手続き上で何らかの不備があったとしてもすべて自己責任となるため、ややリスクが高くなるというデメリットも理解しておきましょう。

税理士：相続税・贈与税に関する相談をしたい人

土地を相続するにあたって、相続税や贈与税に関する相談をしたいという人は、税理士に相談するのが最適でしょう。

税理士は、税金の専門家であり、相続税や贈与税に関する相談内容は誰よりも得意としているはずです。

たとえば、土地を相続した場合の相続税がいくらになるか知りたい場合や、生前贈与を検討していて贈与税の計算をしてほしい場合などは、税理士に相談するのがおすすめです。

税理士に相談するメリット

土地の相続時に税理士へ相談するメリットは、どこよりも正確な税計算をもとにアドバイスをもらえるという点です。

相続税や贈与税を計算してほしいといった相談であれば、税理士以外の相談先に依頼しても対応はしてもらえるでしょう。

しかし、最も正確な税計算が可能なのは税金の専門家である税理士なので、大まかな概算ではなく細かく正確な税額を知りたい場合は、税理士への相談が最もおすすめです。

税理士に相談するデメリット

土地相続について税理士に相談するデメリットとしては、相続した土地の価格が高額であるほど費用も高くなってしまうという点が挙げられます。

そのため、高額な土地を相続した場合は、それに応じた費用を税理士へと支払うことになるため、注意が必要です。

なお、一般的な税理士費用の相場としては、対象となる遺産の価格に対して0.5～10%程度とされています。

ただし、土地を相続したとしても、実際に相続税が課税されるケースは10%にも満たないのが現状です。

そもそも相続税がかかるのかどうかという点は、税理士に相談する前に確認したほうがよいでしょう。

まとめ

土地の相続では、人によって相談したい内容が異なるため、自分の状況に応じた相談先を見極めることが非常に大切です。

本記事では、土地相続に関する相談先を6つのケースに分けて解説してきました。

それぞれの相談先におけるメリットやデメリットを把握することで、自分がどの相談先を選ぶべきであるかが見えてくるはずです。

土地を相続した人や、将来土地を相続する可能性がある人は、ぜひ本記事で解説した内容を参考に、相談先を検討してみてください。