固定資産税はいつ払う?支払い方法や納税通知書が届くタイミングを解説
この記事でわかること
- 固定資産税はいつまでに支払うのかがわかる
- 固定資産税の支払方法がわかる
- 固定資産税を延滞してしまったときのペナルティがわかる
目次
固定資産税とは
固定資産税とは、土地や建物を所有していると課される地方税で、市区町村が徴収します。
土地や建物といった不動産は登記するのが一般的ですが、この固定資産税は登記していない、いわゆる未登記の不動産にも課税されるので注意しましょう。
また、不動産の評価は3年おきの評価替えとともに変わるので、固定資産税の金額も3年ごとに変動します。
固定資産税はいつから・誰が支払う?
基本的には、不動産を所有した翌年から固定資産税の支払いを開始します。
たとえば、12月に不動産を売却し所有者が変更になった場合、買主は翌年から固定資産税を支払うのです。
この翌月、1月2日以降に不動産を売却した場合は、その年の固定資産税を売主が支払い、さらに翌年からは買主が支払います。
固定資産税の課税基準日が、1月1日に設定されており、1月2日より前の時点で不動産を所有している人に、固定資産税の支払いが発生するためです。
ただし、不動産売買では、契約の内容により固定資産税の起算日や支払い者が異なる場合があります。
一般的には、固定資産税を日割り計算し、引き渡し日以降の分は諸費用として清算する方法が広く使われていますので、事前に確認しておきましょう。
固定資産税の納税通知書はいつ届く?
固定資産税は1月1日時点での所有者に課税され、4月~5月頃、登録された住所に納税通知書が届きます。
納税通知書は、税金を納める期限の10日前までに交付するように法律で定められています。
納期限が近づいても届かない場合は自治体に問い合わせることをおすすめします。
不動産を共有名義にしている場合や、引っ越しをしている場合は、納税通知書が届かないケースがあるため注意が必要です。
固定資産税の納付期限はいつまで?
固定資産税は一括納付または分割納付で支払います。
一括納付で支払う場合の納付期限は、分割納付の一期分と同じです。
分割納付では、年4回に分けて納めることになりますので、各回の納付期限を忘れないように注意しましょう。
期別 | 期限 |
---|---|
第一期 | 6月末 |
第二期 | 9月末 |
第三期 | 12月末 |
第四期 | 2月末 |
なお、固定資産税の納期限は、国でおおまかに決められていますが、原則的に各市町村が定めることとされています。
そのため、上記の表で紹介した期限は、あくまでも一例です。
上記の表は東京23区の固定資産税の納期限と一致していますが、これが名古屋市の場合は以下のようになります。
期別 | 期限 |
---|---|
第一期 | 4月末 |
第二期 | 7月末 |
第三期 | 12月末 |
第四期 | 2月末 |
自治体によって納期限が何か月も異なる場合があるため、納付漏れにならないようにしましょう。
納税通知書には「納期限」が記載されているため確認してみてください。
固定資産税の支払いを忘れたらどうなる?
固定資産税の支払いを忘れてしまった場合、放っておくと、市役所から催告書が届きます。
期限を過ぎると延滞金(最大で14.6%)が発生するため、遅れていると気づいたら速やかに支払い手続きを済ませましょう。
なお、納期限を過ぎた場合、延滞金との関係で、手元にある納付書で納付できない場合があります。
その場合は、市役所で納めるか、市役所の固定資産税課などに問い合わせて、再度振込用紙を送ってもらってください。
固定資産税の滞納による財産の差し押さえはいつ?
固定資産税を滞納した場合は、自治体から督促状が発行されて財産が差し押さえられてしまう可能性があるため注意が必要です。
自治体からの督促状は税金を納める期限から20日以内に発行され、発行後10日以内に納付しなければ財産を差し押さえることが法律で定められています。
なお、固定資産税が経済的に支払えない状況の場合や、災害で被災している場合は、固定資産税の免除や納付期限の猶予が受けられる可能性があります。
連絡できる状況であれば、財産を差し押さえされないためにも、早めに自治体への相談がおすすめです。
固定資産税の税額の計算方法
固定資産税の税額は、課税標準額(固定資産税評価額)×税率で算出されます。
固定資産税の税率は、自治体ごとの条例で定められていますが、標準税率は1.4%となっています。
市区町村の90%以上が標準税率を採用していますが、居住している自治体に確認することをおすすめします。
課税標準額とは固定資産税額を計算する際に基礎となる課税対象のことで、固定資産税評価額ともいいます。
固定資産税評価額は、自治体によって定められており、役所などにある固定資産課税台帳や毎年送付される納税通知書に添付される課税証明書から確認することが可能です。
固定資産税の支払い方法
固定資産税の支払い方法には、市役所の固定資産税課で納付する方法のほかに、銀行や郵便局、コンビニでも納付できます。
これらの方法は、いずれも現金で固定資産税を支払うことになりますが、これ以外にも方法はあります。
まず、納税者名義の預金口座から自動的に引き落とされる口座振替です。
また地方税共通納税システム(eLTAX)や、PayPayなどのスマホ決済アプリでも納付できます。
クレジットカードでも納付できますが、決済手数料がかかることを覚えておきましょう。
1年分まとめて支払いたい場合は、納付書を全て持って行き、各窓口に支払う旨を伝えましょう。
ただし、固定資産税は年金のように一括で支払ってもメリットはありません。
支払いが終わると、納付の印鑑が押された納付書が返ってくるため、大切に保管してください。
固定資産税の特例措置
固定資産税には特例措置が設けられており、一定の基準を満たすことによって税額を軽減することができます。
固定資産税の主な特例措置は以下のとおりです。
固定資産税の住宅用地に関する課税標準特例措置
住宅が建っている土地のことを住宅用地といいます。
住所用地は、土地の面積によって、小規模住宅用地と一般住宅用地に分けられ、課税標準の軽減措置の内容が異なります。
小規模住宅用地と一般住宅用地の固定資産税の軽減措置は以下の通りです。
住宅の土地面積 | 課税標準額 |
---|---|
小規模住宅用地(200㎡以下) | 固定資産税評価額×1/6 |
一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 固定資産税評価額×1/3 |
なお、特定空き家に指定された場合は、住宅用地特例の対象とはならないため、注意が必要です。
新築住宅に対する固定資産税の軽減措置
新築住宅で一定の条件を満たせば、固定資産税の軽減措置を受けることができます。
都市計画税は軽減されないため注意しましょう。
新築住宅の条件と固定資産税の軽減内容は以下のとおりです。
条件 | 固定資産税の軽減内容 |
---|---|
3階建て以上の耐火・準耐火構造住宅 床面積が50~280㎡ 120㎡(課税床面積)までの部分 | 5年間1/2に軽減 |
床面積が50~280㎡ 120㎡(課税床面積)までの部分 | 3年間1/2に軽減 |
また、一定の条件を満たす特定認定長期優良住宅については、一般住宅より固定資産税の軽減特例の適用期間が長くなります。
特定認定長期優良住宅の条件と固定資産税の軽減内容は以下のとおりです。
条件 | 固定資産税の軽減内容 |
---|---|
特定認定長期優良住宅である新築住宅 3階建て以上の耐火・準耐火構造住宅 床面積が50~280㎡ 120㎡(課税床面積)までの部分 | 7年間1/2に軽減 |
特定認定長期優良住宅である新築住宅 床面積が50~280㎡ 120㎡(課税床面積)までの部分 | 5年間1/2に軽減 |
バリアフリー改修工事に伴う固定資産税の特例措置
築10年以上の住宅で、一定のバリアフリー改修工事を行った場合は、翌年度分の固定資産税から1/3が減額されます。
バリアフリー改修工事に伴う固定資産税の特例措置を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- ・新築された日から10年以上を経過した家であること
- ・バリアフリー改修後の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
- ・次のいずれかに該当する人が居住する住宅に改修工事を行うこと
・65歳以上の人
・要介護又は要支援の認定を受けている人
・障害者である人
・上記いずれかと同居している人 - ・対象工事の工事費用が税込50万円を超えていること
- ・2024年3月31日までに工事を完了すること
適用を受けるためには、工事完了日から3ヶ月以内に、必要書類を当該家屋が所在する市区町村の窓口に提出する必要があります。
また、該当するバリアフリー工事の具体例は以下のとおりです。
- ・車いすのために廊下を拡げる
- ・階段の勾配を緩和する
- ・浴槽をまたぎやすい高さのものに交換する
- ・トイレを介助しやすいように床面積を広くする
- ・玄関、廊下、浴室、トイレなどに手摺を設置する
- ・玄関、廊下などの段差を解消する
- ・出入りしやすいように、開き戸を引き戸に変更する
- ・玄関、廊下、浴室、トイレの床などを滑りにくい床材に変更する
省エネ改修工事に伴う固定資産税の特例措置
平成26年4月1日以前から所在する家に一定の省エネ改修工事を行った場合は、翌年度の固定資産税額から1/3が減額されます。
一定の省エネ改修工事とは、窓の改修工事を必須として、同時に以下のいずれかの工事が必要です。
- ・床の断熱工事、天井の断熱工事、壁の断熱工事
- ・太陽光発電装置の設置工事
- ・高効率空調機の設置工事、高効率給湯器の設置工事、太陽熱利用システムの設置工事
適用を受けるためには、工事完了日から3ヶ月以内に、必要書類を当該家屋が所在する市区町村の窓口に提出する必要があります。
住宅耐震改修に伴う固定資産税特例措置
昭和57年1月1日以前に建築された住宅を現行の耐震基準に適合する耐震改修を行った場合は、翌年度分の固定資産税が1/2に減額されます。
住宅耐震改修に伴う固定資産税特例措置を受けるための主な要件は、以下のとおりです。
- ・耐震改修工事費が税込50万円を超えること
- ・昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
- ・2024年3月31日までに工事を完了すること
適用を受けるためには、工事完了日から3ヶ月以内に、必要書類を当該家屋が所在する市区町村の窓口に提出する必要があります。
固定資産税の負担調整措置
固定資産税の負担調整措置とは、評価額が急激に上昇した場合でも税額の上昇はゆるやかになるように課税標準額を徐々に本来の額に近付けていくための措置です。
土地の固定資産税は、地価の下落に伴い固定資産税評価額が下がっているにもかかわらず、税額が上がることがあります。
負担調整措置には、同じ評価額の土地であっても実際の税額が異なるという税負担のばらつきを解消する役割があります。
固定資産の支払いについてよくあるその他の質問
ここからは、よくある質問を具体的な事例から見てみましょう。
固定資産税は毎年いつ納税するの?
固定資産税は、毎年1月1日時点に土地の所有者に対して、第1期の納付月に納税通知書が送付されます。
納付期間は第1期〜第4期まであり、市区町村によって納付月が異なります。
第1期の納付月は、一般的には4月~6月頃です。
固定資産税の23区の納期はいつ?
東京23区の納期は、6月(第1期)、9月(第2期)、12月(第3期)、2月(第4期)です。
新築の固定資産税はいつからかかる?
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に科される税金のため、新築の完成時期によって異なります。
基準日に存在していれば、その年度からは市区町村から課税されます。
たとえば、12月に新築が完成した場合は、翌年から固定資産税がかかることになるでしょう。
まとめ
固定資産税をいつまでに納めたらいいのか、支払い方法や期限を過ぎた場合のペナルティなどについて見てきました。
固定資産税は一括納付または分割納付できますが、支払い期限は自治体ごとに異なるため、納税通知書に記載されている期限を確認しておきましょう。
支払い方法は市役所の固定資産税課に直接行くか、銀行や郵便局、コンビニ、スマホ決済アプリなどでも可能です。
納付期限を過ぎてしまうと延滞金が発生するため、支払いを忘れないように注意してください。