不動産を売るための基礎知識 ポイントと注意点を教えます
目次
「土地や家といった不動産を売る」という経験は、一生のうちにそう何度もありません。
多くの人は不動産売却初心者で、右も左もわからず、不安を抱えたまま不動産会社や買い手に任せてしまう場合も少なくないでしょう。
しかし、不動産の売却では大きなお金が動きます。
きちんと不動産売却の基礎知識を身につけておくと、安心して契約を進めることができます。
不動産売却のポイントと注意点を解説します。
不動産を売るときの流れ
不動産売却はどのように進むのか、基本的な流れにそってそれぞれの注意点をおさえておきましょう。
ステップ1 売却を決める
まずは「売るぞ!」という意思を固めましょう。
売ろうかどうしようか悩んでいる状態では、売買契約を前に進めることができません。
売却意思を固めるときには、どうして売りたいのかを考えるのがポイントです。
便利な場所に引っ越したい、大きな家に住み替えたい、管理が大変だから手放したいなど、不動産を売却する理由は人それぞれです。
どのような理由であれ、売ってから後悔しないようにしっかりと考えましょう。
不動産の売却には、持ち主全員の同意が必要です。
たとえば兄弟2人の共同所有となっている家を売る場合は、兄と弟両方が売却に同意しなくてはいけません。
持ち主全員でしっかりと話し合いましょう。
いざ売買契約がまとまりかけたときになって、共同所有者のうち1人が「やっぱり嫌だ」と言い出すことは実はよくあります。
必要に応じて文書に残しておくなど、全員の同意を明確にしておくのがおすすめです。
家を売る場合は、所有者だけでなくそこに住んでいる居住者との話し合いも必要です。
新居や引っ越し時期など、具体的に話し合うのがポイントです。
ステップ2 売却価格の目安をたてる
売却が決まったら、次に大切なのは価格です。
どのくらいの値段で売れるのか、目安をたてましょう。
不動産会社のチラシなどを見ると周辺地域の相場がわかるので、目安価格を知ることができます。
似たような広さや間取りの物件を探すと、より具体的な金額がわかります。
ステップ3 売却にかかる費用を知る
不動産の売却にはどのような費用がどのくらいかかるのか、あらかじめ把握しておきましょう。
主に次のような費用がかかります。
このほか家屋解体費用、引っ越し費用、リフォーム・ハウスクリーニング費用などがかかる場合もあります。
ステップ4 売却する不動産の正確な状態を確認する
不動産には、抵当権や借地権などさまざまな権利が付随していることが多くあります。
これらの権利は基本的には不動産にくっついたまま売却することになるため、現在の正確な状態を知っておかなくてはいけません。
抵当権の有無や所有権の所在など、権利関係は登記簿によって知ることができます。
登記簿は法務局で誰でも閲覧することが可能です。
また、登記簿に示されている土地境界線と実際の土地境界線が一致しているかも確認しておきましょう。
さらに、不動産自体の状態確認も必要です。
老朽化によって修理が必要な個所や瑕疵(不具合)の有無の程度などを事前に確認しておくと、売却をスムーズに進めることができます。
ステップ5 不動産会社を探して査定を依頼する
目安価格や売却費用の把握ができたら、具体的な売却行動にうつりましょう。
次は売買の仲介を依頼する不動産会社を探します。
大きな金額が動く不動産売買を成功させるには、信頼に足る不動産会社を見つけるのがポイントです。
不動産会社にも得手不得手があり、土地が得意な会社もあれば家が得意な会社もあります。
売りたい不動産を得意分野とする不動産を見つけると、高値で安全に取引できます。
いくつかの不動産会社に、同じ内容で査定を依頼するのがおすすめです。
査定金額や対応の違いを比較して、ここだと思う会社を見つけましょう。
ステップ6 不動産会社に仲介を依頼する
不動産会社が見つかったら、正式に仲介を依頼し、媒介契約を結びます。
不動産会社との契約をもって、不動産売却が本格的にスタートします。
ステップ7 不動産を売りに出す
不動産会社と相談し、売却価格を決めます。
このとき、目安価格と比べてあまりに安すぎないか、逆に高すぎないかなど、価格が適当なものになっているか注意しましょう。
ステップ8 購入希望者と交渉する
購入希望者があらわれたら、詳細な条件を詰めます。
不動産売買において話し合うべき条件は、価格だけではありません。
主に次のような事項について話し合います。
このほか明け渡し前のハウスクリーニングの有無や植木の処分についてなど、ささいなことも契約前に話し合い、契約書に盛り込む必要があります。
のちのちの争いを防ぐために、さまざまな条件について余すところなく話し合うのがポイントです。
譲歩できる点と絶対に譲れない点を自分の中で決めておくと、交渉がスムーズに進みます。
ステップ9 物件情報を提示する
購入希望者と詳細な条件を詰めるのと合わせて、物件の細かな情報も開示します。
のちのち修理が必要になる箇所などなにか瑕疵(不具合)がある場合には、隠さずに明示しましょう。
ステップ10 売買契約を結ぶ
条件がすべて整ったら、いよいよ売買契約を結びます。
一般的には、契約書は売り手側や不動産会社が用意しますが、主に次のような事項を記載します。
- ・売却不動産の特定にかかる事項(住所など)
- ・代金支払いの方法
- ・代金支払いの期日
- ・明け渡しの期日
- ・付帯設備(エアコンなど不動産にくっついているもの)についての取り扱い
- ・抵当権などの負担の消滅について
- ・税金の清算方法
- ・契約解除の場合の取り扱い
- ・危険負担(明け渡し前に物件が毀損などした場合の負担)について
- ・瑕疵担保責任(不動産に気づかなかった瑕疵があった場合の負担)について
- ・手付について
買い手は手付金として価格の10~20%を契約に合わせて支払います。
不動産会社を通している場合、契約書の準備や代金の支払い手続きなどは不動産会社が行ってくれます。
売買契約を結ぶ前に、契約内容をしっかりと確認することが大切です。
不動産の住所など物件を特定する事項や代金の支払い期日など、すべての項目を売り手・買い手・不動産会社全員で確認しましょう。
ステップ11 不動産を明け渡す
代金の支払いや不動産のクリーニングなどの契約内容をそれぞれ履行し、不動産を明け渡します。
あわせて所有権の移転登記など、必要な手続きも済ませます。
これにて不動産の売却は完了です。
まとめ
不動産の売却では大きなお金が動きます。
売却前からしっかりと準備しておくことが大切です。
所有者全員で話し合い、売却の同意を得ましょう。
また不動産の現状を把握し、たとえ不利益なことであっても隠さずに相手に開示することが大切です。
誠実な対応が、のちのちの争いを防ぐことになります。
売買契約では、契約書の内容をすみずみまで把握することがポイントです。
売却代金に気を取られがちですが、そのほかの事項もしっかりと確認しましょう。