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不動産売却時のふるさと納税で節税に!控除上限額のシミュレーション

この記事でわかること

  • ふるさと納税で所得税還付・住民税控除できる理由がわかる
  • ふるさと納税の控除上限額目安が計算できるようになる
  • ふるさと納税をするときの注意点がわかる

不動産売却時に課税される譲渡所得税・住民税は、ふるさと納税を行うと還付・控除されることはご存知でしょうか。

不動産売却時をして譲渡所得が出た場合、高額の譲渡所得税・住民税が課税される場合があります。

ふるさと納税などの課税を抑える方法を上手く利用し、譲渡所得税や住民税を減らすことができます。

しかし、ふるさと納税をするときには注意点などがあるため、ふるさと納税について理解してから進めていかなければなりません。

本記事ではふるさと納税とは何か、譲渡所得税・住民税の還付・控除を受けられる仕組み、ふるさと納税をするときの注意点などを解説します。

記事を最後まで読み進めていただければ、ふるさと納税の控除上限額目安が計算できるようになり、ふるさと納税を利用して譲渡所得税・住民税の還付・控除を受けられるようになります。

不動産売却時にふるさと納税で節税になる理由

不動産売却をして譲渡所得(不動産売却益)が出ると、譲渡所得税や住民税が課税されます。

課税される譲渡所得税や住民税は、ふるさと納税をすることで納税額を減額できます。

それではなぜふるさと納税をすると、譲渡所得税や住民税が減税されるのでしょうか。

本章ではふるさと納税で減税される仕組みなどを解説します。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自分の生まれた地域や応援したい地域の自治体に対して寄付をし、自治体から返礼品をもらえる制度です。

ふるさと納税は利用者が年々増加しており、平成26年度利用件数は191.3件・ふるさと納税総額388.5億円だったところ、令和3年度には利用件数4,473.3万円・ふるさと納税総額8,302.4億円まで増えています。

特に平成27年度から右肩上がりで利用件数、ふるさと納税総額が上昇しています。

ふるさと納税で減税できる仕組み

ふるさと納税をすると所得税が還付され、住民税が控除(減額)されます。

所得税還付や住民税控除される理由は、ふるさと納税をした金額に応じて還付・控除されるからです。

ふるさと納税をすると、寄付した金額から2,000円を引いた金額が還付・控除されます。

たとえば、ふるさと納税として寄付金を合計5万円払った場合は、以下の計算となります。

50,000円 – 2,000円 = 48,000円

結果として、48,000円もの金額が所得税・住民税から還付・控除されます。

しかも、ふるさと納税をすると寄付額の30%以内の返礼品を受け取ることができます。

50,000円のふるさと納税をすれば、最大15,000円の返礼品を受け取れるということです。

不動産売却に伴う譲渡所得税の計算方法

不動産売却をして発生した譲渡所得に対して、譲渡所得税・住民税が課税されます。

譲渡所得税・住民税を計算するには、まず譲渡所得がいくらになるのか計算しなければなりません。

本章では、譲渡所得の計算方法について解説します。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得の計算方法は次のとおりです。

譲渡所得 = 売却代金 -(取得費 + 譲渡費用)- 控除金額
取得費売却した不動産を購入したときにかかった購入代金や購入諸経費の合計金額
譲渡費用不動産売却のために支払った売却諸費用
控除金額減税措置が受けられる場合に計算式から引ける金額

なお、一戸建てやマンションなどを購入した場合、不動産購入代金から減価償却費を差し引かなければなりません。

減価償却とは、不動産などの物を使用した分の価値は、現在の物の価値から引くべきであるという考えです。

つまり、不動産購入代金から住んで使った分の価値を引かなければならないわけです。

しかし、減価償却は計算が複雑なため、本記事では割愛させていただきます。

そのため、本項で掲載している譲渡所得の計算方法は、簡易のものとお考えください。

譲渡所得税・住民税の計算方法

譲渡所得税・住民税の計算式は次のとおりです。

譲渡所得税・住民税 = 譲渡所得× 税率

税率は、売却する不動産の所有期間により異なります。

また、一定条件を満たした場合は税率が下がることになります。

長短区分短期長期10年超所有軽減税率の特例
期間5年以下5年超10年以上
自己居住用39.63%
(内訳:所得税30.63% 住民税 9%)
20.315%
(内訳:所得税15.315% 住民税 5%)
①譲渡所得6,000万円以下の部分は14.21%(内訳:所得税10.21% 住民税4%)
②譲渡所得6,000万円超の部分は20.315%(内訳:所得税15.315% 住民税5%)”

なお、短期譲渡所得か長期譲渡所得かどうかの判断基準は、所有不動産を売却する年の1月1日時点で5年が経過しているかどうかです。

売却時点で5年経過していたとしても、売却する年の1月1日現在では5年経過していないケースもありますが、勘違いしやすいため注意が必要です。

ふるさと納税の控除上限額の目安・シミュレーション

ふるさと納税の控除上限額の目安を計算するには、譲渡所得の計算と譲渡所得税・住民税の計算が必要です。

譲渡所得の計算方法と譲渡所得税・住民税の計算方法がわかったところで、ここからはふるさと納税の控除上限額の目安計算方法解説や、シミュレーション計算を行っていきます。

ふるさと納税の控除上限額目安の計算方法

ふるさと納税の控除上限額目安の計算式は、次のとおりです。

ふるさと納税の控除上限額目安 = 個人住民税所得割額 × 0.2 ÷(0.9 – 所得税率 × 1.021)+ 2,000円

この計算で利用する所得税率は、下記の表の数字を利用します。

課税所得金額所得税率控除額
1,000円以上 195万円未満5%0円
195万円以上 330万円未満10%97,500円
330万円以上 695万円未満20%427,500円
695万円以上 900万円未満23%636,000円
900万円以上 1,800万円未満33%1,536,000円
1,800万円以上 4,000万円未満40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

参考:国税庁

個人住民税所得割額の計算方法

個人住民税所得割額の計算方法は、次のとおりです。

個人住民税所得割額 = 譲渡所得の住民税 + 給与所得の住民税所得割額

給与所得の住民税所得割額の計算方法は次のとおりです。

給与所得の住民税所得割額 = 所得控除後の給与所得 × 10%

ふるさと納税の控除上限額シミュレーション

ここからは、納税の控除上限額シミュレーションを行っていきます。

ふるさと納税の控除上限額【シミュレーション条件】

  • ①不動産売却代金4,000万円
  • ②売却不動産を購入したときの金額3,000万円
  • ③売却不動産を購入したときの諸費用150万円
  • ④不動産売却諸費用150万円
  • ⑤不動産所有期間7年(長期譲渡所得・住民税 5%)
  • ⑥所得控除後の給与所得700万円(所得税率23%)

なお、シミュレーション条件項目の先頭にある番号は、計算式内の番号と一致させています。

【譲渡所得の住民税計算】

①4,000万円 -(②3,000万円 + ③150万円 + ④150万円)= ⑦譲渡所得700万円
⑦700万円 × ⑤5% = ⑧譲渡所得の住民税35万円

【給与所得の住民税所得割額計算】

⑥700万円 × 10% = ⑨給与所得の住民税所得割額70万円

【個人住民税所得割額の計算】

⑧35万円 + ⑨70万円 = ➉個人住民税所得割額105万円

【ふるさと納税の控除上限額目安計算】

ふるさと納税の控除上限額目安を計算するときには、次の計算式を利用します。

ふるさと納税の控除上限額目安 = ➉個人住民税所得割額 × 0.2 ÷(0.9 – ⑦所得税率 × 1.021)+ 2,000円

これに当てはめて、シミュレーションしていきましょう。

➉105万円 × 20% ÷(90% – ⑦23% × 1.021)+ 2,000円 = 約31万円(ふるさと納税の控除上限額目安)

シミュレーション条件で計算した場合のふるさと納税の控除上限額目安は、約31万円となりました。

不動産売却後のふるさと納税の流れ

不動産売却後のふるさと納税の流れは、次のとおりです。

  • ふるさと納税の控除上限額目安を計算する
  • 寄付先の自治体を選択
  • ふるさと納税として寄付金を払う
  • 返礼品と寄付金受領証明書を受け取る
  • 確定申告をする
  • 所得税還付・住民税控除

寄付金を払うときには、寄付金額に注意しましょう。

ふるさと納税の控除上限目安額以上の金額を寄付しても、超えた部分の所得税還付・住民税控除を受けることはできません。

ただ、所得税還付・住民税控除の上限を超えていても、超えた部分の返礼品はもらえます。

不動産売却時にふるさと納税を利用する注意点

不動産売却時にふるさと納税を利用するときには、いくつかの注意点があります。

本章では、不動産売却時にふるさと納税を利用するときの注意点を解説します。

ワンストップ特例制度を利用しても意味がない

ふるさと納税をする方法には、確定申告の他にワンストップ特例制度があります。

ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税の控除に関わる一部の業務を寄付先の自治体が行ってくれる制度です。

ワンストップ特例制度は便利な制度ですが、確定申告をする必要がある人は利用できません

ワンストップ特例制度を利用できる人は次の条件を満たす人です。

  • 確定申告をしなくてもよい給与所得者
  • ふるさと納税の寄付先の自治体が5カ所以内の人

仮にワンストップ特例制度を利用して手続きし、その後確定申告をすると、ワンストップ特例制度を利用していた手続きが無効になります。

なお、ワンストップ特例制度の手続きをした後に確定申告をしても、ワンストップ特例制度の取りやめなどを手続きした自治体へ連絡する必要はありません。

提出書類が多い

ふるさと納税で還付・控除を受けるためには、多くの書類が必要です。

そのため、事前に提出書類を準備しておくと確定申告するのが楽になります。

ふるさと納税をするときに必要な書類は、次のとおりです。

必要な書類

  • 寄附金受領証明書もしくは特定事業者の寄付証明XMファイル
  • 通帳もしくはキャッシュカード(所得税還付金入金口座を確認するために必要)
  • 印鑑(認印)
  • 源泉徴収票
  • マイナンバーカードの関連書類

特に寄付先が多い方は寄附金受領証明書の数が多くなるため、確定申告前にはひとまとめにしておくようにしましょう。

譲渡所得がなくても確定申告をする

不動産の売却をしたときに確定申告をしなければならないのは、譲渡所得が出たときです。

そのため、本来であれば譲渡所得が発生しない場合には、確定申告をする必要がありません。

しかし、譲渡所得が発生しない=売却損が出てしまったときに確定申告をすると、売却損の損益通算が認められます。

売却損の損益通算とは、不動産の売却をして発生した売却損を確定申告する年の所得と相殺できる制度です。

売却損が大きくなれば大きくなるほど、損益通算したときに課税される所得税・住民税が減っていきます。

売却損の損益通算をすると所得が減るため、ふるさと納税で寄付可能な金額は減りますが、所得税・住民税の減税方法として有効です。

まとめ

不動産売却時に譲渡所得が発生すると、譲渡所得税や住民税が課税されます。

しかし、ふるさと納税を利用すると還付・控除を受けられ、課税額を減らすことができます

ふるさと納税を利用して譲渡所得税や住民税の課税額を抑えるときには、寄付できる控除上限額目安を把握しておかなければなりません。

ふるさと納税には還付・控除を受けられる上限金額があり、寄付する人や売却する不動産によって上限金額が変動します。

また、寄付金の上限金額以外にも、ふるさと納税をするときの注意点がいくつかあります。

ふるさと納税をするときには、控除上限額目安と注意点を理解した上で利用しましょう。

ふるさと納税を上手く活用することで、税額が抑えられ、なおかつ返礼品をもらうことができます。

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