農地転用を自分でやる方法|必要書類や手続き期間・費用相場も解説
この記事でわかること
- 農地転用を自分でやる方法や申請に必要な書類がわかる
- 農地転用をする場合の費用がわかる
- 農地転用を専門家に依頼するメリットがわかる
目次
農地転用を自分でやる方法・必要書類
農地を農地以外の用途へ変更する場合には、農地法に則った手続きをしなければなりません。
たとえば、農地に住宅を建築する場合は宅地へ用途変更をします。
このときの手続きは農地が市街化区域内にあるのか市街化区域外にあるのかにより内容が変わります。
市街化区域内の農地を他の用途にする場合は農地転用届で、市街化区域外の農地を他の用途にする場合は農地転用許可を取らなければなりません。
この農地転用届を自分でやる方法や必要書類、農地転用許可を自分でやる方法や必要書類を紹介していきます。
農地転用届を申請する場合
農地転用届を申請する場合は、次のような手順で行います。
- (1)転用したい農地が市街化区域にあるのか確認
- (2)農地転用届に必要な書類の準備
- (3)農地転用届を農業委員会へ提出
- (4)農業委員会から農地転用受理証が発行される
農地転用届は提出から農地転用受理証が発行されるまで、約1~2週間かかります。
農業委員会へ提出する農地転用届関係の書類は、次のとおりです。
農地転用届を申請する場合に必要な書類
- 農地転用届出書(正本・副本)
- 土地登記簿謄本(全部事項証明書)
- 公図
- 土地の位置を示す地図
その他、農地転用をする農地により、仮換地証明書や確定測量図、小作権解除証書などが必要になる場合があります。
農地転用許可を申請する場合
結論から言えば、農地転用許可は、一般個人で行えるような簡単な手続きではありません。
行政書士などの専門家でも時間や費用がかかる作業のため、専門家に農地転用許可を代行してもらうという前提の流れで説明していきます。
農地転用許可を申請する場合は、次のような手順で行います。
- (1)農地の種類を確認
- (2)申請書類作成のためプロに依頼
- (3)申請書類の提出
- (4)農地転用の許可審査
- (5)農地転用の許可決定
農業委員会へ提出する農地転用許可関係の書類は、次のとおりです。
農地転用許可を申請する場合に必要な書類
- 農地転用届出書
- 土地の登記事項証明書
- 案内図
- 公図
- 申請地の現況写真
- 事業計画書
- 土地利用計画図
- 建物等施設の平面図・立面図
- 排水計画図
- 資金計画書、資力を証する書類
- 工事見積書
- 水利権者などの同意書
- 土地改良区の意見書
- 地積測量図
これらの書類は代表的な書類で、農業委員会などにより提出を求められる書類が異なります。
また、一般個人では作成できない書類があるため、農地転用許可自体、一般個人だけの力で申請することはまずできないと言えます。
農地転用許可を取得するまでにかかる、おおよその時期は次のとおりですが、許可を取得するまでには、1年以上かかることもあります。
農地転用許可を申請する 書類の準備に必要な日数 | 事業規模にもよりますが半年以上 |
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農地転用許可審査に要する日数 | 通常の農地であれば1ヶ月~3ヶ月、 農地振興法が適用されている地域の場合は半年前後 |
このように許可が出る期間は、どのような農地なのか、農地をどのような用途に変更するのかにより時期が大きく変わるため、参考程度としてください。
雑種地を農地転用する方法については「雑種地を農地転用する方法まとめ【必要書類や手順について】」の記事で詳しく説明しているためぜひ読んでみてください。
また、市街化調整区域内の農地転用については「市街化調整区域内の農地転用は何から始める?申請方法や注意点を解説」の記事で詳しく説明しています。
農地転用を自分でやる場合の費用相場
農地転用届を申請する場合は、書類の取得費用で済みます。
一方、農地転用許可については、書類の取得費用に加え、書類作成費用などがかかります。
また、両者とも専門家に申請の代理を依頼すると費用がかります。
それぞれの項目に分けて費用の説明をしていきます。
農地転用届関係書類を取得する費用
農地転用を申請するために必要な添付書類で、費用が発生する書類と取得金額は次のとおりです。
登記事項証明書 | 1通480円~600円 |
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公図 | 1通365円~450円 |
なお、農地転用届を行政書士などの専門家に申請代行を依頼すると、約4~8万円かかります。
農地転用許可関係書類を取得する費用
農地転用許可を申請するために必要な添付書類で、費用が発生する代表的な書類と取得金額は次のとおりです。
登記事項証明書 | 1通480円~600円 |
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都市計画図 | 1通450円 |
土地改良区の意見書交付手数料 | 1件数千円 |
土地改良区域除外決済金 | 100~500円/1㎡ |
残高証明発行手数料 | 700~900円 |
融資証明書発行手数料 | 数千円~1万円 |
なお、農地転用許可の許可申請だけを専門家に代行依頼をすると、10万円前後で許可申請をしてくれる可能性があります。
また、農地転用許可を申請するときには、開発許可申請や確定測量、分筆費用などがかかる場合があります。
特に開発許可を取得しないと農地転用の許可を受けられない場合の金額は数百万単位になるため、農地転用許可を申請するときには、あらかじめ専門家に相談してから申請準備を始めてください。
農地転用を専門家に依頼するメリット
農地転用を専門家に依頼するメリットは、農地転用届を申請するときと農地転用許可を申請するときとによって異なります。
そのため、農地転用届を申請する場合と農地転用許可を申請する場合とに分けて解説します。
農地転用届を専門家に依頼するメリット
農地転用届を専門家に依頼するメリットは、時間を効率的に使うことができることです。
農地転用届は一般個人の方でも手続きができるくらいの準備しか必要ありません。
しかし、何度かは農業委員会へ行き、訂正の指摘を受けて、再修正して書類を持参するなどの手間がかかる可能性があります。
このやり取りや農業委員会へ行く手間を考えると専門家に代理依頼したほうが、時間を有効的に使うことができます。
農地転用許可を専門家に依頼するメリット
農地転用許可を専門家に依頼するメリットは、高い確率で農地転用許可を取得できることです。
農地転用許可は、専門家でも難しい手続きを要求されるような高度な申請技術を要します。
また、申請に必要な書類は、設計士、土地家屋調査士などの専門家でないと作成できない書類が必要になります。
そのため、一般個人で農地転用許可申請を行うことは難しいでしょう。
専門家にすべての書類をそろえてもらい、許可申請だけを行うことなら可能です。
まとめ
農地転用をする場合は市街化区域内にある農地なのか、市街化区域外にある農地なのかで農地転用の手続き方法が変わります。
農地転用をする場合には、まず転用を希望する農地が市街化区域内なのか区域外なのかを調べる必要があります。
市街化区域にあるかは役所で聞く、あるいは役所のホームページでも確認することができます。
農地が市街化区域内にあれば農地転用届、市街化区域内なら農地転用許可を申請します。
農地転用届は一般個人でも可能な手続きのため、必要書類などを準備し申請してもよいでしょう。
しかし、農地転用許可は一般個人で行うことが難しいため、基本的には専門家に依頼します。
費用や期間がかかるため、あらかじめ見積もりを取得して進めていくことが重要です。