【不動産投資の事例から学ぶ】失敗するパターンと成功のためのポイント
この記事でわかること
- 不動産投資においての失敗とは何かがわかる
- 不動産投資の失敗にはパターンあることが理解できる
- 不動産投資に失敗しないための方法がわかる
不動産投資が盛況になるとともに、サラリーマンと不動産投資の二束のわらじで収入を得る「サラリーマン大家」も広く知れ渡るようになりました。
不動産投資が盛んになるにつれ、インターネットや書籍、メディアなどの情報発信も活発化し、情報収集にはことかかなくなりました、
不動産投資を紹介する広告ページには、魅力的なキャッチフレーズが溢れています。
- 「年金不安を解消する不動産投資」
- 「不動産投資で老後も安泰」
- 「年収400万円のサラリーマン大家。4年で年間家賃収入6,000万円を実現」」
表向きだけで捉えると、不動産投資を始めれば誰でも簡単に高額な家賃収入が得られると思えます。
ですが、本当に誰しも投資成功者となっているのでしょうか?
インターネットでは不動産投資に関しての検索を行うと、不動産投資の失敗事例・安易に手を出す危険性と言った記事が、成功を紹介する記事と同じぐらいヒットします。
「成功」と「失敗」を分ける理由は何なのでしょうか、そこに何らかの法則性やルールは存在するのでしょうか?
今回は、不動産投資の具体的な失敗事例と、そこらか導き出される失敗パターンを検証することにより、不動産投資を成功させる方法についての解説を行います。
目次
不動産投資において「失敗」とは何か
不動産投資を始める理由は、収入アップや税金・相続税対策など人それぞれです。
投資の理由が何であれ、不動産等投資の「失敗」を結論付けるためには、まず失敗の定義が何かを考える必要があります。
それでは、不動産投資の失敗とはなんでしょうか?
投資を行う以上、だれしもが見返り、つまり「利益」を求めます。
投資の利益にはキャピタルゲイン・インカムゲインと言う2種類の利益がありますが、不動産に関しては、それぞれ下記の意味になります。
キャピタルゲイン
保有不動産を売却して、購入時より高く売れた場合に得られる売却差益です。
一般的な「サラリーマン大家」といった投資家の場合には、短期的な売買を繰り返してキャピタルゲインを得るのは困難ですので、最終的に投資不動産を売却して値上がりした場合の利益と考えて良いでしょう。
インカムゲイン
インカムゲインは不動産を所有していることにより得られる利益を指します。
家賃収入と考えれば良いでしょう。
「サラリーマン大家」が狙うのはこのインカムゲインです。
投資理由に挙げられる税金対策も、得られた不動産所得から経費を上手に計上して、手元に利益を残す対策と言えます。
以上のことから、不動産投資は安定的に利益を求めるための手段であり、そこから導き出される失敗とは「投資物件が利益を生まない」と定義づけられます。
投資家は利益を得るために不動産投資を行っているとすれば、当然として念入りに準備をして投資を行っているはずです。
それなのに「成功」と「失敗」があるのはなぜでしょうか。
まずは不動産投資のリスクを学ぶことによって失敗パターンを考えてみましょう。
不動産投資のリスクとは
不動産投資に、絶対の成功はありません。
投資には、常に相応のリスクが存在しているからです。
ですが、リスク内容を正確に理解してリスクヘッジを行えば、失敗の可能性を大幅に下げることが可能です。
実際に投資家の中には「不動産投資で失敗したことがない」と豪語して、書籍を出版されている方も数多くおられます。
ではそのような方にリスクが存在しないかというと、そんなことはありません。
不動産投資のリスクは全ての投資家に平等に存在しています。
不動産投資における主なリスクには下記のようなものがあります。
- ・空き家リスク
- ・ローン返済リスク
- ・管理リスク(滞納家賃回収など)
- ・資産価値減少のリスク
- ・家賃下落リスク
- ・天災地変リスク
これらのリスクは、不動産投資の対象が一戸建て・分譲マンション・ワンルームマンション・一棟マンションなど、どのようなものにでも共通して存在します。
投資に絶対はない以上、投資を行うにはこれらのリスクを想定して投資を始めているはずです。
ところが、失敗と成功が存在します。
不動産投資に関するリスクは想定済みなのに失敗するとしたら、リスク内容を理解せずに、その対応策に関して想定や対策が不十分だったのではないかと考えられます。
理屈から言えば、きちんとしたリスクヘッジを行っていれば、火災や地震など想定外のリスク以外には失敗の原因がないと言えるからです。
「失敗」するのは、これらのリスクを想定しているのではなく、想定しているつもりになっていたからです。
不動産投資を失敗するパターン
不動産投資の失敗をインターネットなどで検索すると、様々な事例が紹介されています。
目を通すと混乱するほどに失敗例は溢れ変えっていますが、分析を続けると失敗にはパターンがあることがわかります。
それは失敗の法則性と考えて良いかもしれません。
ここでは、リスクを理解しているはずなのに発生する失敗パターンについて考えてみましょう。
失敗パターンは知識・理解不足が原因
不動産投資失敗の定義が「投資物件が利益を生まない」であることから、利益を生まない理由について考えてみましょう。
例えば自己所有地に現金で建物を建築して賃貸に出した場合、固定資産税は増加しますが、最低限入居者がいれば収支がマイナスになることは少ないでしょう。
少なからず収支はプラスになるでしょうし、資産家の場合は相続のためにあえて現金を不動産にして、相続税を抑えることを考えます。
また現金があるのに、あえて融資を利用して負債を作るのも相続税対策の考え方になります。
対して「サラリーマン大家」などの不動産投資家は自己資金の比率が少なく、主に融資を利用して投資物件を取得するケースが大半です。
ここで覚えて戴きたいのは、「融資を借りられる=返済ができる」ではないことです。
不動産投資は一般の住宅融資ではなく、不動産投資ローンで借り入れ行います。
不動産投資ローンは金融機関によって金利の違いはありますが、総じて住宅ローンと比較すると金利は割高になります。
従って、審査基準は住宅ローンと比較しても厳しいものになります。
金融機関の審査は投資不動産の収益性や、申込者本人の勤務属性・返済負担率・投資物件の担保評価を重視して行います。
返済負担率は、申込者の収入や投資シミュレーションによる収支計画に対して、融資を実行した場合における返済負担率を審査しているのであって、個人のライフスタイルにまで審査が及んでいる訳ではありません。
生活費の出費状況などは個々に差があるものです。
本来であれば、ライフスタイルの相違により自分自身で空き家リスクやリフォーム代などの急な出費を織り込みながら、自己資金・借入額と投資額を比較検討しなければなりません。
ですが融資に関してコンサルタント的な役割を担うはずの営業担当者は、金融機関審査で借用枠が確認できる場合には売り込みを優先してきます。
リスクを度外視して、メリットを強調した複数所有による分散投資や、空き家状態が数か月続けばすぐに支払い困難になるような資金計画であってもそのリスクは強調せず、収益率が上がるメリットを強調したシミュレーションにより、信用枠一杯の投資物件取得を勧めてくるようなケースです。
これらは、投資リスクを理解して、自分で判断すれば防げます。
ですが、説明されたメリットだけを信じて投資を行った場合には、下記のような失敗パターンに繋がります。
- ・不動産会社の作成したシミュレーションを盲目的に信じた失敗
- ・サブリースや家賃保証の落とし穴を理解せずに締結した契約で失敗
- ・知識不足が招く、業者の言いなりになることで起きる失敗
- ・賃貸相場やエリア情報などに関しての調査不足でおきる失敗
- ・空き家状態が長期化して、ローン返済どころか固定費も払えない失敗
これらの失敗パターンは知識・理解が不足しているために、業者が提案するシミュレーションを過信して安易に投資を行った失敗パターンです。
不動産投資2つの失敗事例
失敗の理由は一つだけではなく、様々な要素が絡み合った結果です。
それらの要素を紐解いていくと、要所で適切な対応策を行っていれば失敗を回避できないまでも、その被害を最小限に食い止めることができたはずです。
ここでは具体的な失敗事例について紹介します。
入居ターゲットを1社に依存して失敗した事例
投資物件があるのは、全国的にも有名な製紙工場のあるエリアで、単身者やファミリーなど多様な勤務者が近隣に在住している場所です。
工場敷地内に社宅もあるが、築年数が古いことから人気が無く、多くの従業員が近隣の賃貸住宅を借りて生活をしています。
不動産投資家の間では、このエリアでの賃貸住宅運営は失敗がないと言われていました。
このエリアで高利回りの投資物件が売り出されたのを不動産会社から紹介されて飛びつきましたが、その数か月後に、不況による業務縮小のため工場閉鎖の報道発表がされました。
従業員は、エリア外への関連会社への転籍か、退職して別の仕事を探すかの判断を迫られており、すでに早期退職者制度に応じた世帯の転居が始まっています。
広告を継続して行うと共に家賃も下げてみましたが、依然として空室状態が続いています。
【失敗ポイント】
- (1)高利回りの投資物件が売り出された理由を確認していなかった。
- (2)入居ターゲットを1社のみに依存している危険性が理解できていなかった。
- (3)事前の情報収集が疎かだった。大規模工場などの撤退や閉鎖は、突然に行われることが少ない。必ず事前に何らかの予兆や、噂などが飛び交っているはずである。予め情報収集を行っていれば危険を回避できた。
物件の選択で失敗した事例
知人からの紹介で出会ったワンルームマンション投資会社の営業担当から、都心部郊外に建築を予定しているワンルームマンションの勧誘を受けました。
当エリアは、郊外型ニュータウンとして市も積極的に誘致を行っている場所で、実際に人口も増加傾向にありました。
最寄り駅からも徒歩10分以内で、駅周辺には数が多くはないもののスーパーやコンビニエンスストアなど生活に必要な商圏が形成されていました。
営業担当から、今だからこの金額で提供できるが、今後ますます人口増加が見込まれるエリアであるとの説明を受け、投資シミュレーションなどの提案書を見ているうちにその気になり、融資枠が多かったこともありワンルームマンション2件を購入しました。
新築後早々に入居者も決まり安心していましたが、ニュータウン全体としての人口増加率は一定のラインからは低調に推移して、商店街も閑散としている状態でした。
数年後に2部屋とも入居者が退去しましたが、もともとファミリー誘致のベッドタウンであったことからワンルームマンション需要も少なく、入居者が決まらずに広告費やローン支払いなどの負担が重荷になっています。
【失敗ポイント】
- (1)営業担当からの説明だけを鵜呑みにしてエリア選定しており、郊外型ニュータウンの持つ特異性などについて考慮していなかった。
- (2)融資枠があるからと一気に2件購入を決めるなど、投資判断が未熟であった。
- (3)ワンルームマンション入居者の特徴について理解が不足していた。
不動産投資の失敗しないために
これまで、失敗理由と、具体的な失敗事例についてご紹介してきました。
それでは、失敗のリスクを回避して不動産投資を成功するためには、一体どのような方法があるのかについて解説します。
投資物件選びにはコツがある
投資用物件を探すときには、手軽さからインターネットを利用される方も多いでしょう。
具体的な調査の方法としては、インターネット以外の方法も含め、下記のようなものがあります。
- ・投資不動産サイトから探す
- ・不動産業者のサイトで販売物件から探す
- ・不動産情報誌や新聞広告から探す
- ・競売情報から探す
- ・不動産会社に相談する
収支計画ももちろん大切ですが、不動産投資は物件で決まると言っても過言ではありません。
人気エリアで高い収益性の物件を、適正な価格で購入し運用すれば失敗する可能性が激減します。
物件選びに精通するためには、より多くの物件情報を入手して興味があれば内見するなど、自分自身の「見る目」を成長させることが一番です。
近隣の店舗状況等も、可能であれば自ら出向き歩き回って確認することが必要です。
エリア選定で失敗するパターンは、業者から提供された資料のみを判断基準として物件を選んだケースが多くなっています。
業者任せにして失敗することを避けるためにも、自らの感性に磨きをかけましょう。
もう一つ覚えていただきたいのは、「本当に良い物件情報は市場に出回らず、業者間で取引される」という事実です。
確実に利益が得られる物件を、わざわざ市場に流すメリットは業者にありません。
不動産業者は同業の集まりなど情報交流が盛んですので、自社で手に余る物件であれば大手買取業者などへ打診します。
理由は一般消費者へ販売するよりも手間がかからず、購入判断も早いからです。
自社で運用するほうが良いと判断すれば自社で投資を行いますし、自社で手に余るのであれば同業他社に話を持っていくほうが早いのです。
手間がかからずに手数料などの報酬が同じであれば、そうしたいのが人情というものです。
これは不動産業者を責める理由にはなりません。
不動産投資の物件を探す場合には、このような特選情報は市場に流れていないと理解することから始まります。
この特選物件情報を唯一、手に入れる手段があるとすれば、お抱えともいえる不動産業者との付き合いを深めて、特選情報を流して貰う方法です。
投資について勉強することを怠らない
市販されている書籍やインターネット情報だけを見ると、投資が簡単に思えることがあります。
特にリスクよりもメリットを強調する記事構成の場合、その比率は顕著であり簡単に思えるのも仕方がありません。
読んでいるだけで、自分が投資のエキスパートになったような気分にさえなります。
ただし、ここで注意いただきたいのは、実戦経験もなく表面的な情報だけで「知っている」つもりになることです。
知識を否定する訳ではありません。
リスクを回避するには絶対的に「知識」は必要です。
ここで言いたいのは「知っている」つもりになって、簡単に考えて不動産投資に手を出せば高確率で失敗するだろうと言うことです。
投資に必要なのは「知識」よりも「知恵」です。
つまり投資に関して知識を学びながら、自分自身で実践して経験を積む。
それを繰り返すことにより「知識」が「知恵」に昇華します。
不動産投資で失敗しないためには情報を鵜呑みにせず、自分自身で考え決定する。
それが大切なのは言うまでもありません。
利害関係のない専門家に相談する
判断に迷うときには利害関係のない専門家に相談するのが一番です。
投資に関して最も身近にいるのは不動産会社と管理会社ですが、不動産会社が投資物件の購入を検討している顧客に渡す資料は、収支シミュレーションの他にも不動産物件概要書など複数あります。
ただし不動産のプロでも無い投資家が、補足説明も無しにそれらの書類の全容を理解することは困難です。
宅地建物取引業法では、重要事項説明において説明する内容が厳格に決められていますが、投資物件のシミュレーションは必須とされていません。
つまり、投資に関して詳細な説明に関する範囲は義務化されていないのです。
不動産投資会社がリスク説明を正確に行っていないことを根拠とする慰謝料請求裁判が多くなりましたが、違法行為立証(説明義務違反)までの道のりは長く、また過失相殺分が免責となる裁判判例も多くあります。
令和元年9月26日には最高裁判決も出ましたが、判決でも業者の説明義務違反を認めつつも過失相殺割合を4割として損金を全額取り戻すことはできませんでした。
特に家賃保証をうたうサブリース契約に関しては、トラブルが多発していることから2020年6月12日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立したほどです。
知識格差から不動産会社に都合よく振り回されないために、利害関係のない不動産業者や投資案件に長けた法律職コンサルなどに相談し、提案された内容についての意見を聞くのが有効です。
コンサル料はかかりますが、利害関係がないことから資料を精査してくれますし、問題があればアドバイスもらえます。
不動産会社・管理会社を味方につける
不動産投資を行って、入居者の募集や家賃の督促など、管理業務をご自分でされるのは非常に手間がかかることから、多くの方は管理会社を利用されます。
不動産会社と管理会社を混同される方が良くいますが、取り扱う業務の範囲が異なります。
大手業者の場合には部門で分けて業務を行う場合もありますし、小規模な不動産業では両方を取り扱う場合もありますが、基本的に違うものであると理解しましょう。
不動産会社
投資物件の仲介や、不動産に関する相談業務、入居者募集や契約業務などを手掛けます。
宅地建物取引業法上での業者です。
不動産コンサル会社も、ここに入ります。
収入源は売買や賃貸の不動産仲介手数料・コンサル料などです。
不動産会社との関係を構築すれば親身になって物件探しを行ってくれるようにより、投資物件の調査にも積極的に動いてくれるようになるでしょう。
ただし、情報のアンテナは複数に張る必要があることからも、1社にだけに任せきりにするのではなく、入居探しなどは複数の会社に依頼をして情報の提供を受けることが大切です。
管理会社
物件の管理業務を主としており、必ずしも宅地建物取引業法上の業者である必要がありません。
家賃未納時の督促業務や、共有部分の維持管理などを手掛けます。
また、空き家になったときのリフォーム業者の斡旋や代行業務も管理会社が行うことの多い業務です。
収入源は管理費用になります。
管理会社には、即応性が求められます。
入居者のクレーム対応や、退去時のリフォーム工事代行、家賃の督促などは管理会社であることから、これらをおざなりにされて困るのは投資家です。
また質の悪い管理会社では、リフォーム工事費用に上乗せをして極端に高い工事費用を請求する、管理報告書に書かれている管理を実際には行っていない場合などもあります。
管理会社は1社で行うことが原則ですので、基本的には報告を受けながら任せきりになります。
ですが、あまりにも怠慢が目立つようであれば管理会社を変更する必要もあります。
これら業務内容の違いを理解していただいた上で、それぞれの会社との友好関係を構築して味方につけます。
まとめ
不動産投資は、知識を得て慎重に物件選定を行って運用すれば、一般的な投資と比較しても手堅い資産運用です。
ですが、経験豊富な不動産投資のプロであるはずの不動産業者でも、場合によっては「失敗」します。
事前調査における見落としや判断ミスなど原因はありますが、不動産業者は「失敗」しても最小限で被害を食い止める術に長けています。
失敗をして捨て値で投資物件を売却して最終的には借金だけが残る人と、一体なにが違うのでしょうか?
その答えが「経験」です。
何十年も不動産投資を続けている投資のプロですと、物件資料を見ただけで投資に向くかどうかを感覚的に判断することができるようになります。
長期的に不動産投資を続けていると大小、様々な失敗を経験しているものです。
投資で成功している投資家も最初から投資に長けていたわけではありません。
今回、ご紹介したような失敗パターンを学びながらも実践して、成長し続けているのです。