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空き家売却時にかかる税金はいくら?計算方法や特別控除・特例も紹介

この記事でわかること

  • 空き家を売却した時にどのような税金がかかるのかがわかる
  • 空き家を売却して発生する所得税や住民税の計算方法がわかる
  • 空き家を売却した時にどのような特別控除が適用できるかわかる

全国各地で、住む人がいなくなった住宅が放置され、そのまま空き家になる問題が起きています。

空き家になる直接的な原因は、相続しても利用しないケースが多い他、相続人の不在といったこともあるでしょう。

中でも相続した人は、空き家になった土地や建物を売却すると、どのような税金がかかるのかわからない不安が大きいようです。

ここでは、空き家を売却した時に発生する税金の種類や計算方法、そして特別控除の制度について解説していきます。

空き家売却時にかかる税金の種類

空き家を売却した時には、どのような種類の税金がかかるのでしょうか。

まずはその税金の種類と、おおよその内容について確認していきます。

譲渡所得税

空き家に限らず、土地や建物などの不動産を売却した時には、譲渡所得税がかかります

譲渡所得税とは、保有していた財産を売却した時に、その売却益(譲渡所得)に対して課される税金のことです。

譲渡所得税は、主に不動産を売却した時と株式を売却した時にかかりますが、それぞれ計算方法に違いがあります。

不動産の譲渡所得税は、譲渡所得に対して15.315%または30.63%のいずれかの税率で計算されます。

税率の違いは、不動産の所有期間で判定されるため、注意が必要になります。

譲渡所得は、事業所得や不動産所得と同じように、所得税を計算する際の所得区分の1つです。

所得税の計算は、空き家を売却した翌年の確定申告で行い、発生した所得税を納付します。

なお、復興特別所得税の金額を「所得税額×1.021%」で所得税と同時に計算し、納付することとなります。

住民税

所得税の計算を行い確定申告すると、その確定申告の計算結果から、住民税の金額が計算されます

住民税は所得税と同じように、発生した所得金額に対して一定の税率を乗じて計算します。

給与所得や事業所得などに対する住民税は、所得金額に対して10%と決まっていますが、譲渡所得は別の税率を用います。

譲渡所得に対する住民税の税率は、5%または9%となります。

税率の違いは、所得税と同じく不動産の所有期間で判定するので、間違えないようにしなければなりません。

住民税の金額は、確定申告した内容に基づいて役所で計算されます。

住民税を支払う時期は、空き家を売却した翌年6月以降となりますが、市町村により若干の違いがあります。

売却から時間が空くこととなるので、税金を支払う前に売却で得たお金を使ってしまわないように注意しましょう。

印紙税

空き家を売却する際には、売買契約書を作成します。

不動産の売買契約書には収入印紙を貼付し、印紙税を納付する必要があります。

印紙税の金額は、売却した不動産の金額により異なります。

たとえば、売却した不動産の金額が1,000万円超5,000万円以下の場合、収入印紙の金額は1万円とされています。

ただし、印紙税には軽減税率が適用されるため、この場合の税額は5,000円となります。

印紙税の税額は売却した不動産の金額によること、そして軽減税率により負担が軽くなることに注意しましょう。

空き家売却時の譲渡所得税・住民税を計算する流れ

空き家を売却したら、譲渡所得税の計算を自身で行わなければなりません。

どのような流れで計算を行い、住民税はどのように計算されるのか、その流れを確認しておきましょう。

収入金額を計算する

譲渡所得の金額を計算する際は、まず売却により得た収入金額を求める必要があります。

収入金額になるのは空き家の売却代金ですが、それだけではありません。

年度の途中で空き家を売却すると、それまでに売主が支払った固定資産税について、日割計算による精算が行われます。

固定資産税の精算金は、買主から売主に支払われますが、この金額は売主にとっての収入金額になることとされています。

固定資産税の精算金を収入金額に含めずに申告してしまうことが多いので、注意しましょう。

取得費を計算する

取得費とは、空き家を取得した時にかかった金額のことです。

譲渡所得の金額を計算する際は、売却した時の金額と取得した時の金額の差額を求めて、利益が生じている場合のみ税金が発生します。

取得費の計算方法は、土地と建物で大きく異なります。

また、古くに購入したものであるため、購入金額がわからない場合もあります。

これらのケースごとに、取得費の計算を行っていきます。

土地の取得費

土地の取得費は、その土地を購入した時の金額となります。

土地の価格は、その時々により変動しますが、時間の経過により減少するものではありません。

土地の取得費は、購入した時の金額そのままとされています。

建物の取得費

建物は、建築してからの年数が経過するほど、その価値が低減していきます。

そこで、建物の取得価額から減価償却費を計算し、減価償却費を差し引いた後の金額を建物の取得費とします。

減価償却費の金額は、以下の算式で計算することとされています。

建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数

償却率は、建物の構造によって異なりますが、事業に用いられていない建物については、以下のように定められています。

構造償却率
木造0.031
木骨モルタル0.034
鉄骨鉄筋コンクリート0.015
金属造①0.036
金属造②0.025

※金属造①とは、軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル以下のもの

※金属造②とは、軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル超4ミリメートル以下のもの

建物の取得費を計算するには、建物の取得価額と構造、そして取得した日を調べる必要があります。

構造や取得日は、建物の登記簿謄本で知ることができますが、取得価額は契約書等がないとわかりません。

取得価額がわからない場合

古い土地や建物があると、その取得価額を簡単には調べられません。

特に先祖代々の土地や建物の場合、購入したのははるか昔というケースもあるので、取得価額を知ることは不可能です。

そこで、取得価額がわからない空き家を売却した場合は、売却した金額から取得費を計算することとされています。

このような計算で求める取得費を概算取得費といい、収入金額×5%で計算することができます。

取得価額がわからない場合の他、実際に計算した取得費が低く、概算取得費より少額になった場合も、概算取得費を使うことができます。

相続税の加算

被相続人が住んでいた自宅を相続した場合、相続後は空き家になっている状態で売却することがあります。

この場合、その空き家を相続した時に支払った相続税額を、空き家の取得費に加算することができます。

そのため、相続税を支払って相続した空き家を売却した場合、所得税の負担が少なくなります。

なお、相続税の加算が使えるのは、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却した場合です。

期限を超えて売却した場合は、相続税の加算は適用できないので、注意が必要です。

譲渡費用を計算する

空き家を売却するためにかかった費用が、譲渡費用となります。

不動産を売却する時には、仲介手数料や測量費用、印紙代などが発生する可能性があります。

実際に発生した費用のうち、空き家を売却するために必要な費用を譲渡費用とします。

確定申告後に住民税が計算される

収入金額−(取得費+譲渡費用)の計算で求められた譲渡所得の金額から、所得税の金額を計算し、確定申告書に記載します。

なお、所得税の税率は、売却した不動産の所有期間によって変わります。

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は、所得税率15%、住民税率5%となります。

一方、所有期間が5年に満たない場合は、所得税率30%、住民税率9%となります。

相続により取得した場合、所有期間は前の所有者から引き継がれるので、相続直後に売却しても低い税率になることもあります。

確定申告書を作成したら、申告期限までに最寄りの税務署に提出し、同時に納税も行わなければなりません。

確定申告を終えたら、その計算結果を基に各市町村役場で住民税の計算が行われます

住民税の金額は市町村役場から納税者に通知されるので、その計算にしたがって納税を行うこととなります。

空き家売却時に利用できる特別控除

空き家を相続した後に売却した場合、発生する税負担を軽減するため、特別控除の制度が設けられています。

この制度を、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

どのような場合に利用できるのか、その内容を確認しておきましょう。

適用要件

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例には、以下のような要件が設けられています。

対象となる空き家の要件特例の対象となる空き家は、相続により取得したものであることが前提となります。
その上で、昭和56年5月31日以前に建築されたもの、マンションのような区分所有登記がされていないものでなければなりません。
さらに、相続開始直前において、被相続人以外の人が住んでいなかったものとされています。
対象となる土地の要件特例の対象となる土地は、被相続人が住んでいた建物の敷地として利用されていたものとされています。
その他の要件相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければ適用されません。
また、売却代金が1億円以下でなければ適用されません。

特別控除の内容

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けると、譲渡所得の金額から最大3,000万円が控除されます

手続きの方法

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けるには、確定申告をしなければなりません

譲渡所得の金額が3,000万円以下であれば、特例の適用を受けると所得税は発生しません。

ただし、この場合も特例の適用を受けるための申告が必要となります。

まとめ

相続した被相続人の自宅を売却する場合、多額の税金が発生することを心配している方もいるでしょう。

しかし、相続した空き家を売却する場合は、特例を適用することで大きな節税をすることができます

その結果、譲渡所得の計算を行うと、それほど大きな税額にはならないケースもあるかもしれません。

空き家の売却を検討している方は、どれくらいの税負担になりそうか、試算してみるといいでしょう。

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