持っているだけでは宝の持ち腐れ 土地を有効活用して相続税対策
相続で先祖からの土地を引き継ぐというケースは、実はかなり多くあります。
土地を相続するとそれだけ相続税の負担が増えることとなるため、必ずしも喜ばしいことばかりではありません。
相続税の額が大きくなると、相続した現金だけでは納税できないこともあります。
土地を保有している人は、相続税対策や納税資金の確保の観点から、土地を有効活用する方法を考えてみましょう。
土地の相続税評価方法
相続税を計算する際には、財産の種類ごとに評価方法が定められています。
土地の場合、その所在地によって国税庁が公表している路線価をもとに計算する方法(路線価方式)と、固定資産税評価額から計算する方法(倍率方式)のいずれかにより評価します。
また、その土地の利用状況により減額することができます。
貸地の場合は、更地としての相続税評価額から借地権割合に相当する金額を控除することとなります。
また、アパートの敷地となっている場合には貸家建付地に該当し、借地権割合×借家権割合で計算した割合に相当する金額を控除します。
さらに、アパートの敷地など貸付事業用宅地に該当する場合は、敷地面積200平方メートルまで50%の減額が認められます。
この特例の適用を受けられるのは、個人で事業を行っているような場合や自宅を除けば、貸付事業のために使用している土地のみです。
相続税対策として土地にアパートなどを建てる
ここまで説明してきたように、相続対策としてアパートを建てるのが相続対策としては有効です。
何も利用していない更地の場合とアパートの敷地として利用している場合とを比較すると、アパートの敷地として利用する場合、その評価額は更地の4割程度にまで下がるケースがあります。
例えば更地としての相続税評価額が1億円の土地の場合、アパートを建てることでその評価額は4,000万円程度になり、6,000万円近く評価額を減額することができるのです。
アパートを建てると、毎月の家賃が現金収入として入ってきます。
これは将来の相続財産となるものですが、相続財産としての現金が増えると相続税が発生した場合の納税資金として利用することができるので、現金を増やすことは悪いことではありません。
更地の場合とアパートを建てた場合の相続財産の評価方法の違いについては「更地にしておくよりも。アパートを建てて節税対策」をご参照ください。
借り入れをするメリットと注意点
アパートを建てる際に金融機関から借り入れを行うと、その借入金は被相続人の債務として相続財産から控除することができるため、相続税の額を減らす効果があります。
ただし、相続の際には借入金も相続人が相続しなければならないことに注意しなければなりません。
借入金の額が大きくなるほど相続税の額は少なくなりますが、相続後すぐに返済が始まります。
相続税が少なくなるからという理由だけで、アパートの収支や入居予想をきちんと考えずに借り入れを増やしてしまうと、相続した人が苦労することとなってしまうのです。
土地を売却しても相続税は減らない
相続税を下げるためには財産を減らせばいいと考えて、土地を売却しようと考えてはいけません。
土地を売却しても、土地が現金という別の財産に変わるだけです。
しかも現金にしてしまうと、減額を受けられる特例は一切ないため、かえって相続税の額は増えてしまいます。
土地を保有していて相続税対策を考えている人は、土地売却以外の方法も考える必要があるのです。
まとめ
相続税対策は、思いついたからといって急にできるものではありません。
土地を多く持っているので相続が発生した際に子供に苦労を掛けたくない、あるいは親が持っている土地を何とか有効利用したいと考えるのであれば、前もって行動に移す必要があります。
相続が発生して慌てることのないよう、相続対策に向けてお互いに話し合い、一歩ずつ前に進んでいく必要があるのです。