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実家を処分するにはどうしたらいい?準備・流れ・費用について

この記事でわかること

  • 実家を処分するタイミングがわかる
  • 実家を処分する際の流れがわかる
  • 実家の処分にかかる費用の内訳や相場がわかる
  • 実家を売却する以外の処分方法

実家を相続したがどのように処分したらよいのかわからない、というお悩みを持っている方はいらっしゃいませんか。

実家を相続しても処分の方法がわからず、困ってしまうということがありますよね。

そこで本記事では、実家を処分する流れや処分にかかる費用、処分する方法について解説します。

相続した実家の処分に困っている人の悩みを解決する内容ですので、処分するときの参考にしてみてください。

実家を処分するタイミング

実家を処分するタイミングは、次のとおりです。

  • 実家に住んでいる両親が施設に入居したとき
  • 不動産の価格が上昇しているとき
  • 自宅を売却したときの控除・特例が使えるとき

実家を処分するタイミングは、相続の前にも訪れます。

相続前に実家を処分するタイミングの主な例を詳しく解説していきます。

実家に住んでいる両親が施設に入居したとき

実家に住んでいる両親が施設に入居したときは、実家を処分するタイミングのひとつです。

両親が施設に入ってしまうと、実家の維持管理を誰が行うのか問題になってしまいます。

親族が遠方にしかいない場合、実家の維持管理をするだけでも相当な負担です。

親族同士で誰が維持管理するのか揉めそうなときには、処分の話し合いをしたほうがよいかもしれません。

また、施設の費用を捻出する問題も発生します。

金銭的な補填のために実家を処分するのもよいでしょう。

不動産の価格が上昇しているとき

不動産の価格が上昇しているときは、実家の処分に適している時期です。

不動産は市況の影響を受けるため、いつ価格が下落してもおかしくありません。

住宅ローンの金利の上昇や、災害による風評被害などがあるだけで、すぐに価格が変動します。

不動産はすぐに売却できるわけではないため、何かしらの事情で市況が悪くなる前に処分しておいたしょうがよいでしょう。

自宅を売却したときの控除・特例が使えるとき

自宅を売却したときの控除・特例が使えるときは、売却するのによいタイミングです。

不動産を売却するときに譲渡所得が発生すると、譲渡所得税が課税されます。

譲渡所得税は高額になりやすい税金であるため、控除や特例を利用し課税額を抑えることが大切です。

自宅を売却するとき、一定条件を満たせば次の控除・特例が利用できます。

  • 居住用財産の3,000万円控除
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 特定居住用財産の買換え特例

上記の控除・特例が利用できる条件を満たして確定申告を行うと、譲渡所得税の課税額が減ります。

譲渡所得税が課税されると手元に残るお金が減ってしまうため、控除・特例が利用できるときに処分しておくとよいでしょう。

実家を処分する際の流れ

実家を処分する際の流れは、大きく分けて次の2パターンです。

  • 相続登記を行うときの流れ
  • 売却するときの流れ

大まかな流れは2つですが、それぞれのパターンには多くの手続きがあります。

どのような手続きがあるのか、詳しく解説していきます。

相続登記を行うときの流れ

相続登記を行うときの流れは、次のとおりです。

相続登記を行うときの流れ

  • 司法書士や弁護士に相続手続きを依頼する
  • 遺言書があるか探す
  • 相続人と相続財産を確定させる
  • 遺言書がなければ遺産分割協議を行う
  • 相続登記を行う

相続するには、手続きを経て遺産を分配しなければいけません。

手続きは1つではないため、流れをつかんで相続の手続きを行っていきましょう。

司法書士や弁護士に相続手続きを依頼する

相続を開始するときには、まず司法書士や弁護士など専門家に相続の手続きの代行を依頼します。

相続の手続きは非常に煩雑であり、相続人同士の話し合いも大変な作業です。

専門家に依頼しないと相続税の納税期間に間に合わなくなってしまうこともあります。

相続税は相続の開始があったことを知った日の翌日から、10ヶ月目の日までに原則現金で納税しなければいけません。

もし相続税を実家の売却金額で賄おうとした場合には、10ヶ月以内に売却を完了する必要があります。

実家を処分するのであれば、急いで相続の手続きを終わらせなければいけないため、専門家の力を借りて進めていくことをおすすめします。

遺言書があるか探す

専門家に相続の手続きを依頼したら、遺言書がないか確認します。

遺言書に書かれた内容は法定相続よりも優先されるため、遺言書があれば遺産の分割がスムーズに進みます。

遺言書があると聞いていない場合でも、ないと決めつけるのではなく、きちんと探しておきましょう。

遺産分割協議後に遺言が見つかると、協議が無駄になってしまいます。

被相続人が公正証書遺言を作成していた場合は、公証人役場で公正証書遺言がないか確認ができます。

なお、自筆証書遺言が見つかった場合は家庭裁判所の検認が必要となるため、遺言書を開封せずに家庭裁判所に持ち込みましょう。

相続人と相続財産を確定させる

遺言書がなかったときには、相続人と相続財産を確定しなければいけません。

相続人と相続財産を確定しないと、遺産分割協議が正しく行えません。

協議後に財産が見つかると話し合いがやり直しになることや、財産を隠した人がいるのではないかと疑心暗鬼になる人が出てしまうこともあります。

話し合いをスムーズに進めるためにも、相続人と相続財産の確定は大切です。

もし相続人だけで相続財産を確定させる場合は、次の項目を調査しておきましょう。

  • 金融機関などへの預貯金
  • 有価証券
  • 貴金属や自動車など高級な動産
  • 不動産
  • 借金などの負債 など

ただし、相続財産を確定するのは非常に難しく、基本的には専門家に任せた方がよいでしょう。

遺言書がなければ遺産分割協議を行う

相続人と相続財産が確定し、遺言書がない場合は遺産分割協議を開始します。

遺産分割協議とは、相続財産を相続人で分けあうための話し合いです。

遺産分割協議が整ったら遺産分割協議書を作成し、相続人全員の印鑑証明書を添付し、それぞれが実印を押印します。

遺産分割協議書は相続人全員が原本を保有するため、相続人数分の印鑑証明書を用意しなければいけません。

なお、遺産分割協議がうまく進まない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。

家庭裁判所に申立てするときには、次の費用が必要です。

  • 被相続人1人につき1,200円分の収入印紙
  • 連絡用の郵便切手(各家庭裁判所によって費用が異なります。おおむね400円~500円かかります。)

また、調停を申し立てするときには、書類を提出しなければいけません。

書類は申し立てる人によって異なるため、どのような書類を準備したらよいかは家庭裁判所に確認ください。

相続登記を行う

遺産分割協議書が終わったら、相続登記を行います

相続登記をするときに必要な書類は、次のとおりです。

なお、遺言書があるときと、遺産分割協議を行ったときとでは必要な書類が変わります。

遺言書があっても遺産分割協議をしても共通で必要となる書類

  • 登記申請書
  • 相続する不動産の固定資産評価証明書
  • 委任状(司法書士などに登記を代行してもらう場合)

遺言書どおりに相続する場合

  • 遺言書
  • 被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
  • 不動産を相続する人の戸籍謄本や住民票 など

遺産分割協議を行った場合

  • 被相続人の出生から死亡までが記載されている戸籍謄本や除籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 不動産を相続する人の住民票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書 など

上記で挙げた相続登記に必要な書類は代表的なものであり、ケースによっては提出する書類が増えます。

どのような書類が必要なのかは、念のために法務局に確認しておきましょう。

売却するときの流れ

売却するときの流れは、次のとおりです。

売却するときの流れ

  • 遺産分割協議書作成後に不動産会社へ査定依頼をする
  • 媒介契約を締結する
  • 売却活動が開始される
  • 売買契約を締結する
  • 引き渡しを行う
  • 確定申告を行う

相続登記の手続きがある程度進んできたら、実家の売却の手続きに入ります。

売却を売却するときにも多くの手続きがあるため、流れを理解して進めていきましょう。

遺産分割協議書作成後に不動産会社へ査定依頼をする

遺産分割協議書の作成が終わったら不動産の売却が可能になるため、不動産会社へ査定の依頼をします。

不動産会社の査定を受けるときには、複数社の査定を受けるようにしましょう。

複数の不動産会社から査定を受けることにより、正確な不動産相場が分かります。

査定を1社だけにすると比較対象がなく、正しい不動産相場が分かりません。

相続税の納税のために不動産を売却するのであれば、正確な不動産相場の把握が必須です。

先述のとおり、相続税は相続の発生を知った日から10ヶ月目の日までに納税しなければいけません。

不動産を長く売却している時間はないため、適正な売出価格で売り出して早期売却を実現していきましょう。

媒介契約を締結する

不動産会社の査定を受けて比較検討した結果、どの不動産会社に売却を依頼するか決め、その会社と媒介契約を締結します。

媒介契約には、次のような契約があります。

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

3種の媒介契約は、内容が次のように異なります。

専属専任媒介契約専任媒介契約一般媒介契約
依頼できる会社の数1社のみ1社のみ複数社
売主への報告義務1週間に1回以上2週間に1回以上なし
レインズへの登録義務 媒介締結から
5営業日以内
媒介締結から
7営業日以内
なし
自己発見取引できないできるできる

上記の表のように各媒介契約は内容が異なるため、自分にあった契約方式を選択しなければいけません。

売却活動が開始される

媒介契約を締結したら、不動産会社が不動産の売却活動を開始します

売却活動の内容は依頼する不動産会社によって異なりますが、おおむね次のような活動を行います。

  • インターネットへの掲載
  • 折り込みチラシの実施
  • ポスティングチラシの実施
  • 既存顧客への紹介

不動産会社は様々な売却活動を行い、実家の内覧希望者を探します。

内覧希望者が見つかったら、実家の敷地や建物内を見てもらいます。

売買契約を締結する

実家を内覧した人から購入の申込書を取得したら条件を調整し、売買契約の締結に移ります。

売買契約では、売主と買主が次の事項を取り決めします。

  • 売買代金
  • 手付金の額
  • 住宅ローンの利用の有無と利用するときにはその金額
  • 引き渡し日
  • その他特約条件 など

売買契約は売主と買主の債権と債務を取り決めるための大切な書類です。

内容を理解しないまま契約するのはトラブルのもとになるため、理解できるまで不動産会社の担当者に説明してもらうようにしましょう。

引き渡しを行う

売買契約を締結したら引き渡しの準備に入り、期日までに引き渡しを行います。

引き渡しの準備として、売買契約書で取り決めしたことを行わなければいけません。

取り決め内容は契約によって異なりますが、建物を解体する、あるいは確定測量を行います。

そして、引き渡しの準備が終わったら実家の所有権を買主に移転します。

確定申告を行う

不動産を売却し、譲渡所得が発生するときや、控除・特例を利用するときには確定申告を行います。

確定申告は、不動産を売却した年の翌年の2月16日~3月15日に行います。

なお、譲渡所得税の納税期間は確定申告と同じです。

譲渡所得税が発生するときには確定申告だけでなく、忘れずに譲渡所得税の納税も済ませておきましょう。

実家を処分する前にしておく準備

実家を処分する前には、次のような準備をしておかなければいけません。

  • 遺品整理を行う
  • 仏壇の供養を行う
  • 土地の境界を確定する
  • 被相続人が不動産を購入したときの書類を探す
  • 査定を依頼する不動産会社を探す

実家を処分するときには、相続登記や売却の手続きの他に処分の準備をしなければいけません。

処分するための準備をしっかりと行い、スムーズな処分につなげていきましょう。

遺品整理を行う

実家に残った物は、遺品整理を行い、撤去しておきましょう。

実家を処分するときには、内覧者が室内や敷地を見に来ます。

内覧者が実家を見るときに遺品が残っていると、室内などの状況をよく確認できないケースがあるため、注意しましょう。

また、遺品が多すぎると日当たりが確認できないことや、室内の一部が見られないケースすらあります。

不動産の状況を正確に確認できないと、内覧者は購入の決断がなかなかできません。

室内の物はきちんと整理して、撤去しておくようにしましょう。

仏壇の供養を行う

仏壇がある場合はきちんと供養をしてから、仏壇の引っ越しを行いましょう。

仏壇の引っ越しを行う前には、供養してから移動させます。

供養の仕方は宗派によって異なりますが、一般的には住職に魂抜き・閉眼法要・精抜きを行います。

また、仏壇の引っ越しをするときには、サイズをきちんと測っておきましょう。

仏壇のサイズは大きいものが多いので、引っ越し先に置くスペースを確保するために大きさを知っておかなければいけません。

土地の境界を確定する

土地の境界は売買契約後に測量してもよいですが、できれば処分前に行っておきましょう。

土地の境界を確定するには、土地家屋調査士による確定測量が必要です。

境界が確定できれば、土地の正確な面積が分かります。

また、境界を確定するときには、隣地の承諾を得なければいけません。

境界が確定できたということは、隣地との境界トラブルがないことの証明にもなります。

土地面積が確定し、隣地との境界トラブルもないことが分かれば、買い手は安心して実家を購入できるようになります。

被相続人が不動産を購入したときの書類を探す

被相続人が不動産を購入したときの書類があれば譲渡所得税の節税になるため、探しておきましょう。

譲渡所得税の節税につながる書類は、次のとおりです。

  • 実家の購入代金の領収書
  • 実家の建築代金の領収書
  • 購入手数料の領収書
  • 実家購入・相続時に納税した登録免許税・不動産取得税・印紙税の納税証明書
  • 土地の盛土や地ならし工事の領収書
  • 土地の購入時に測量をした場合の領収書
  • 古家付き土地を購入し建物を解体したときの領収書 など

上記の領収書や納税証明書が残っている場合は、その書類に記載された金額を譲渡所得から差し引けます。

ただし、建物に関連する費用は、減価償却をしなければいけません。

なお、書類が見つからないとしても、売却金額の5%を取得費として認められます

査定を依頼する不動産会社を探す

査定を依頼する不動産会社を探すのも大切な準備の1つです。

不動産がスムーズに売却できるかどうかは、不動産会社の質に大きく影響されます。

不動産会社を探すときには、次のポイントをチェックしましょう。

  • 実績は豊富か
  • どの不動産が得意分野なのか
  • 仲介が得意なのか買取が得意なのか
  • どの地域に強い不動産会社なのか など

不動産会社は多くあり、それぞれに得意・不得意分野を持っています。

実家を売却するときには、早く売却してくれそうな不動産会社を見つけ、早期売却を目指していきましょう。

実家の処分にかかる費用の内訳・相場

実家の処分にかかる費用は、大きく分けて次の2パターンがあります。

  • 相続にかかる費用
  • 仲介で売却するときにかかる費用

それぞれの費用は、いくつもの費用から構成されています。

どのような費用で構成されているのか、解説していきます。

相続にかかる費用

相続にかかる費用は、次のとおりです。

  • 登録免許税
  • 司法書士の報酬
  • 遺品整理のときの処分費用

実家を処分するには相続登記を行う必要があり、登記するには費用がかかります。

費用の目安を知り、相続登記にどれだけ費用がかかるのか把握しておきましょう。

登録免許税

登録免許税とは、登記をするときに課税される税金です。

相続をするときには、次の計算式で算出された登録免許税が課税されます。

相続登記に課税される登録免許税 = 相続する不動産の固定資産税評価額 × 0.4%

たとえば、相続する不動産の固定資産税評価額が3,000万円とした場合、相続登記の登録免許税は次のとおりです。

3,000万円 × 0.4% = 12万円(登録免許税)

なお、登録免許税の納税方法は、法務局へ登記申請する際に収入印紙で納めます。

司法書士の報酬

実家を相続するときには、司法書士への報酬が発生します。

司法書士への報酬が発生するタイミングは、次のとおり2回あります。

  • 遺産分割協議書の作成完了時
  • 相続登記申請時

司法書士は、登記に関連する業務を代行できる資格です。

相続の関連業務を代行するときには、遺産分割協議書作成と相続登記申請を行います。

遺産分割協議書作成と相続登記はセットで代行依頼することが多く、両方の費用を合計すると約6万円~約8万円かかります。

遺品整理のときの処分費用

相続した実家を売却するときには、遺品整理をしなければいけません

遺品整理をすると費用がかかります。

費用は建物の大きさと遺品の量により変動し、一般的な3LDKの場合は約21万円~約24万円です。

遺品整理は処分する量によって異なるため、建物が広くても撤去する物が少なければ安くなります。

人によって遺品整理の金額は異なるため、撤去する業者から見積もりを取得して確認しましょう。

仲介で売却するときにかかる費用

仲介で売却するときにかかる費用は、次のとおりです。

  • 仲介手数料
  • 印紙代
  • 登記費用
  • 譲渡所得税

不動産を仲介で売却するときには、売却に関連する費用がかかります。

ここからは、仲介で売却するときにかかる費用について解説します。

仲介手数料

仲介で売却するときには、仲介手数料がかかります

仲介手数料は次の表のとおり、売買代金で金額が変わります。

計算式備考
仲介手数料 = 売買金額 × 3% + 6万円売買金額が400万円を超える場合
仲介手数料 = 売買金額 × 4% + 2万円売買金額が200万円を超え400万円以下の場合
仲介手数料 = 売買金額 × 5%売買金額が200万円以下の場合

たとえば、2,000万円の不動産を売買したときの仲介手数料は、次のように計算します。

2,000万円 × 3% + 6万円 = 66万円(仲介手数料)

仲介手数料には消費税が課税されるため、税込の仲介手数料は72万6,000円です。

印紙代

印紙代は、印紙税法上の課税文書を作成するときに課税される税金です。

不動産売買では、売買契約書が課税文書に該当します。

売買契約書を作成するときの印紙代は、次の表のとおりです。

売買金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上10万円以下200円
10万円を超え50万円以下200円
50万円を超え100万円以下500円
100万円を超え500万円以下1,000円
500万円を超え1,000万円以下5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下1万円
5,000万円を超え1億円以下3万円
1億円を超え5億円以下6万円
5億円を超え10億円以下16万円
1億円を超え50億円以下32万円
50億円超え48万円

引用:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

ただし、上記の表は令和6年3月31日までに作成された売買契約書が対象となる税額です。

なお、印紙代は収入印紙を貼って割印をすることで納税します。

登記費用

登記費用とは、引き渡し時に作成する売渡証書の作成費用です。

売渡証書の作成は司法書士に代行してもらうことが多く、代行してもらうときには約1万円~約2万円かかります。

また、抵当権を抹消しなければいけない場合、司法書士に抵当権抹消登記を代行してもらうと、抹消1件につき約1万円~約2万円かかります。

譲渡所得税

実家を売却したときに譲渡所得が発生すると、譲渡所得税が課税されます。

譲渡所得が発生したかどうかは、次の計算式で算出できます

建物がある場合:譲渡所得 = 収入金額 -(取得費 – 減価償却費 + 譲渡費用)
土地だけの場合:譲渡所得 = 収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)

※収入金額:売買金額

※取得費:売却する実家を購入したときの代金と購入諸経費を合計した金額

※減価償却費:建物の価値がどれだけ失われたか計算した金額

※譲渡費用:売却したときにかかった諸経費

事業用に使われていなかった減価償却費は、次のように計算します。

減価償却費 = 建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

償却率については、建物の構造により次の表のような割合になります。

構造償却率
木造0.031
鉄骨造骨格材厚 3mm以下0.036
骨格材厚 3mm~4mm0.025
骨格材厚 4mm超え0.020
鉄筋コンクリート造(RC造)0.015

譲渡所得が計算できたら、譲渡所得税を計算します。

譲渡所得税の計算方法は、次のとおりです。

譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

譲渡所得税の税率は、次のとおりです。

区分短期譲渡所得長期
所有期間5年以下(※1)5年超え(※1)
税率 39.63%
(復興特別所得税・住民税を含む)
20.315%
(復興特別所得税・住民税を含む)

※1.所有期間は、不動産を売却した1月1日現在の所有年数で判定されます。

譲渡所得税の計算は複雑であるため、自身で計算した金額が合っているかどうか不動産会社や税理士などに確認しておきましょう。

実家を売却する以外の処分方法

売却する以外の実家を処分する方法は、次のとおりです。

  • 自治体に寄付する
  • 相続土地国庫帰属制度を利用する
  • 土地活用する

実家が売れないときには、売却以外の処分方法を利用するとよいでしょう。

各処分方法の詳細について解説していきますので、売却以外の選択肢を考えている方は参考にしてください。

自治体に寄付する

自治体は、不動産の寄付を受け付けてくれるケースがあります。

ただし、自治体への寄付はかなりハードルが高いと考えておきましょう。

自治体は固定資産税を収入源としていますが、寄付を受け付けてしまうと税収が減ってしまいます。

その上、不動産の寄付を受け付けてしまうと、寄付された不動産の管理まで行わなければいけなくなります。

収入が減り、管理費用が増えてしまうため、自治体は寄付を受けたがりません。

自治体の窓口で寄付の相談をして前向きな返答が得られない場合は、他の方法を検討しましょう。

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続土地国庫帰属制度を利用すれば、国が土地を引き取ってくれます

相続土地国庫帰属制度には利用できない条件が定められており、次のような土地は引き取ってくれません。

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用収益権が設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

引用:法務省「相続土地国庫帰属制度について」

上記の条件に当てはまらなかったとしても、引き受けの審査に落ちるケースもあります。

また、相続土地国庫帰属制度を利用する場合、次の表のような費用がかかります。

審査手数料1万4,000円(土地1筆につき)
宅地の負担金 原則面積に関わらず20万円
市街化区域や用途地域が指定されている地域にある宅地は面積によって変動
田・畑の負担金 原則面積に関わらず20万円
市街化区域や用途地域内や農業振興法の農用地区域内、土地改良法の地域内の農地・畑は面積によって変動
森林の負担金面積によって変動
雑種地や原野等の負担金面積に関わらず20万円

上記の表のように引き取ってもらう土地によっては、面積により負担金が上がってしまいます。

たとえば、市街化区域内の800㎡の宅地を引き取ってもらう場合、負担金だけで約210万円必要です。

土地活用する

実家の処分方法として、土地活用をするのも1つの手段です。

実家の土地活用として考えられる方法は、次のとおりです。

  • アパート・マンション経営をする
  • 貸し駐車場にする
  • 高齢者施設に貸し出す
  • 家庭菜園として貸し出す
  • 農地として貸し出す など

土地活用する方法は多く、実家のある地域に賃貸需要があれば活用が可能です。

ただし、賃貸需要があるとしても、貸し出す前にはしっかりと賃貸経営の計画を立てておきましょう。

どの方法で土地活用するにしても、初期投資が必要になります。

たとえば、駐車場として貸し出すにも解体費用や整地費用、アスファルト舗装費用がかかります。

初期投資を賃料で回収できないような計画を立ててしまうと、活用したことを後悔してしまうことになりかねません。

土地活用をする前には必ず不動産会社に相談し、綿密な賃貸経営の計画を立ててから行うようにしましょう。

まとめ

実家を処分するには、大きく分けて相続登記をする手続きと売却する手続きがあります。

それぞれの手続きをするときには、流れを理解して進めていかなければいけません。

手続きが多いため、どの手続きをどのように行うのか整理しておくことが大切です。

また、実家を処分するときには、費用がかかります。

どのくらい費用がかかるのか目安を把握しておけば、実際に実家を処分する手続きがスムーズに進みます。

実家を処分するコツは、流れと費用の内容を理解することです。

コツをつかみ、実家をスムーズに処分していきましょう。

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