【自分の土地を売却する前に知っておきたい】相場の調べ方と土地価格を左右するポイント
この記事でわかること
- 不動産の相場について理解できる
- 自分が不動産を売却したときの相場の予測と対応ができる
- 土地をより高く売る方法とタイミングを知って対策ができる
自分の土地を売却しようと考えたときに「いくらで売れるのか」と気になるでしょう。
しかし、売却価格を設定しようにも、不動産の相場が分からず最終的には不動産屋業者の言い値で売ってしまう話もよくあります。
そこで本記事では、相場の調べ方と土地価格に影響するポイントをご紹介します。
目次
土地の売却価格を決める方法
土地の価格は「売り手が売りたい金額」と「買い手が買いたい金額」が一致すれば売買が成立するため、いわゆる「定価」というものが存在しません。
しかし、定価がないといっても価格を決める際に参考になるような、いわゆる「相場」自体は存在します。
一般の人が情報なしに土地の価格を決めることは難しいのですが、不動産業者などが査定を行うときは、次のような相場を参考にしながら土地の価格を決めています。
売却の相場を決める要素として、まず挙げるのは広さです。
通常は広くなるほど価格は高くなります。
しかし、エリアごとに広さのニーズが異なるため、広すぎると買い手がつかない場合もあります。
次の要素は、全面道路に接する方位です。
南側が道路に面した土地は一般的に最も高くなり、東、西、北となるに従い相場は下がっていきます。
また、駅からの距離も価格決定の大切な要素です。
立地条件の良い土地は住みやすく、当然価格が高くなります。
土地の面積だけでなく、形状も価格を決定する要素です。
正方形や長方形などの土地は価格が高く、変形した土地になると基本的に相場は低くなります。
そして、同じ面積の土地であっても建ぺい率・容積率が高いと売却相場は上がります。
土地売却時に知っておきたい4つの価格とは
同じ土地の価格であっても、「実勢価格」「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」の4つの指標が存在します。
これらはまとめて「一物四価(いちぶつよんか)」と呼びます。
この章では、それぞれの価格の特徴について確認しましょう。
実勢価格
一番わかりやすく馴染みがあるのは「実勢価格」です。
実勢価格は、世間では「時価」とか「成約価格」とも呼ばれている価格で、実際に不動産売買が成立します。
実勢価格に似ているのが「売値」ですが、売値は売り手側が希望している金額なので、実勢価格よりも高くなるのが特徴です。
例えば売主が1,500万円で売りたいと思っていたものが、値段交渉の結果1,300万円で契約が成立した場合は「売値が1,500万円、実勢価格1,300万円」となります。
「相場を知る」ということは、この実勢価格がいくらかを知ることを指します。
公示価格
「公示価格」とは地価公示法に基づき、毎年3月に国土交通省が全国各地に基準となる場所に対して指標として定めた価格です。
公示価格は都市部に集中しているため、都心部の売買においては相場の参考になります。
価格は1㎡あたりの価格の表示なので、土地の大きさを掛けて相場を割り出します。
ちなみに、公示価格は国家資格である不動産鑑定士が2人以上で評価した価格なので、非常に公平で客観的な価格です。
そのため、裁判の評価や税金の根拠としても使われます。
なお、公示地価に非常によく似た制度として「地価調査」というものがありますが、公示価格が国が決めるのに対して、地価調査は都道府県が行うのが大きな違いです。
路線価
「路線価」とは特定の道路に面した土地の1㎡あたりの価格のことです。
この価格は国税庁が決めます。
路線価は、文字通り、道路ごとに路線価が決まっているため、どの道路に面しているかがわかれば、路線価を出すことができます。
地方だと公示価格の指標である標準地や基準地が遠すぎて参考にならない場合は路線価が参考になります。
しかし、路線価の本来の目的は相続税や贈与税を計算するためのものなので、実勢価格とは一致しません。
一般的に実勢価格の約8割程度を指しているといわれます。
固定資産税評価額
「固定資産税評価額」とは地方公共団体が固定資産税を課税するために決めた価格です。
公示価格や路線価が毎年更新されるのに対して、固定資産税評価額は3年に1度しか評価が変わらないため、実勢価格との差が一番大きいといわれています。
一般的には実勢価格の7割程度と評価されています。
土地の相場を調べる方法
「おそらく土地を売ろう」と思い立ったら、ほとんどの人が不動産屋業者に査定の依頼をすることでしょう。
しかし、査定額が出ても、相場を知らないと、その査定額が高いのか安いのか判断できません。
不動産会社の言いなりにならないためにも、まずは自分で土地の相場を調べることが大切です。
最近は、インターネットでかなりの情報が公開されています。
ここでご紹介する手段も、基本的にはインターネットで調べられます。
また、不動産の相場は時期によって大きく変動しますので、一度相場を調べただけで満足せず、時期を空けて再び調査してみましょう。
前回の価格と比較することで、相場感をつかみやすくなります。
実勢価格を調べる方法
まずは、実際の取引価格である実勢価格を調べるところから始めましょう。
国土交通省によって運営されている「不動産取引価格情報検索」で検索しましょう。
不動産取引価格情報検索で確認できたデータは、不動産の取引当事者に対してアンケート調査を行い、その結果に基づいて物件が容易に特定できないよう加工したうえで、3カ月ごとに公表されています。
サイトのトップ画面を見ると検索項目が左側に並んでおり、物件の種類や時期、地域がそこから選べます。
土地の価格情報だけでなく、取引価格や最寄り駅からの距離、面積や形状、建ぺい率や容積率、前面道路の幅、方位などの詳細情報が把握可能です。
検索画面から地図を選ぶと、公示地価や基準地価のデータもチェックできるためぜひ活用してみてください。
公示地価から調べる方法
実勢価格でも、相場がわからなかったときには公示地価から推測しましょう。
公示地価は、毎年1月1日時点における国が定めた取引価格の指標なので、相場を知るために重要な情報です。
公示地価は、国土交通省の「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」で調べられます。
「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」は、調査のポイントが絞られているため、すべての地域の価格が公示されているわけではありません。
そのため、なるべく近い地点を参考にして調べましょう。
また、検索結果画面には不動産鑑定士が評価した鑑定評価書がついています。
この鑑定評価書は調査日から調査方法、市場の特性や価格を決定した理由まで細かく記載されており非常に価値のある情報なので、是非とも目を通しておきましょう。
路線価から調べる方法
路線価は国税庁の「路線価図・評価倍率表」から閲覧可能です。
実勢価格でも公示地価でも、相場が計算できなかったときは、路線価から計算しましょう。
特に地方の土地の場合は、取引事例が少ないので実勢価格もなく公示地価がない場合があります。
この場合には、路線価を算出して相場を推測します。
路線価は道路ごとに取り決められているため、地方でも路線価がないところはほとんどありません。
ただし、路線価は実勢価格よりも8割程度とされています。
路線価から土地の相場を計算するときは、路線価×80%で計算することを忘れないようにしましょう。
固定資産税評価額から調べる方法
相場を知る方法の最終手段は、固定資産税評価額から計算する方法です。
自分の土地の固定資産税評価額は、毎年春に送られてくる固定資産税の納税通知書についてくる「課税明細書」に書かれています。
ここで書かれている土地の価格は、実勢価格の7割程度といわれています。
そのため、固定資産税評価額を70%として計算し直しましょう。
万が一、課税明細書を紛失してしまった場合には土地の所有者であれば市役所で固定資産税評価証明書を取得します。
固定資産税評価証明書にも課税明細書に記載されている評価額と同じ価格が書かれています。
ただし、固定資産税評価証明書の取得には手数料がかかるため、注意が必要です。
手数料の金額は自治体によって異なりますが、証明書1枚につき200~400円程度になっています。
ちなみに、地方公共団体が作ったサイトではありませんが、固定資産税評価額は一般社団法人資産評価システム研究センターが作成している「全国地価マップ」で調べることも可能です。
なお、固定資産税評価額は3年に1度しか更新されないため、相場と大きくずれている可能性があるため注意しましょう。
土地の売却価格を自分で調べる場合の注意点
土地の売却価格を自分で調べる場合、どんなことに注意すれば良いでしょうか。
ここから詳しく解説していきます。
土地の評価額と売値は違う
一物四価は、それぞれ異なる目的のために存在しています。
それぞれの目的を簡単にまとめると次の通りです。
公示地価 | 不動産の価格の指標とするため |
---|---|
路線価 | 相続税や贈与税の計算のため |
固定資産税評価額 | 固定資産税の課税のため |
これらはすべて異なる目的のために存在しているので、売主が売りたい金額である相場とズレが生じるのです。
相場はあくまでも目安
土地の相場を確認するとき、その数字はあくまでも目安である点は把握しておかなければなりません。
相場として数字を確認するのは大切ですが、それを鵜呑みにしないよう注意する必要があります。
土地の正確な売却価格が知りたい場合には、不動産会社に査定を依頼してみましょう。
複数の会社から査定を受ければ、より正確な価格を確認できます。
査定は複数業者に依頼する
土地の査定は、業者によって査定額に差が出てくる可能性があります。
そのため、複数の業者に査定を依頼することが肝心です。
複数の業者から査定を受けておけば、査定結果の内容の良し悪しもを比較できます。
また、複数の業者から査定を受けると、自分が持つ土地の相場も把握しやすくなるため適切な売却価格を判断しやすくなります。
土地売却の全体の流れを紹介
土地売却は、どのような流れで行えば良いのでしょうか。
ここから、土地売却の全体の流れを紹介していきます。
希望する売却価格を考える
まずは希望する漠然とした売却価格を考えます。
売却価格を考えるにあたっては、相場を調べてから希望価格を考えると進めていきやすくなります。
ローンの残債を完済できる金額や、新居の頭金として支払う額を基準にして希望売却額を考えても良いでしょう。
その後、実際の相場と比較したうえで希望価格を決定することが重要です。
不動産会社に査定してもらい、契約を結ぶ
希望する売却価格を決定したあとは、不動産会社に査定をしてもらい、契約を結びます。
不動産会社は前述の通り、複数の不動産会社に査定依頼すると安心です。
決定した希望額と、不動産会社の提示した内容を照らし合わせながら、納得がいく先を探しましょう。
そして、気に入った不動産会社を見つけたら媒介契約を結んで、本格的に土地の売却活動を始めていきます。
売却活動が開始する
媒介契約を結んだら、次は売却活動の開始です。
売却活動は、まず売り出し価格を不動産会社と相談して決定します。
売り出し価格は売り出した際の価格をいい、最初は値下げすることも想定しながら、一般的に相場より高めの額を設定するのがポイントです。
このとき、売り出し価格が高すぎると売れにくくなるため、価格の設定は慎重に行いましょう。
土地の買主と契約を結ぶ
買主が決まったら、実際に価格交渉を行います。
交渉では、買主が値下げを打診してくるケースも多くあります。
そのため、ここまでは値下げに応じるというラインを決めておきましょう。
こうして成約価格が決まったら、正式に売買契約を結びます。
契約を結ぶ際には本人確認書類や実印、印鑑証明書などが必要になるため忘れずに用意しておいてください。
土地を引き渡す
契約を結んだあとは、買い主と引き渡し日を決め、土地の引き渡しを行います。
引き渡しにあたり、買い主から手付金を受け取っている場合には残金を支払ってもらう必要があります。
そして、買い主と売り主はともに不動産会社に手数料の支払いが必要です。
また、司法書士への登記費用の決済を完了しましょう。
土地の売却取引がすべて終わったら、確定申告を忘れずに行ってください。
売却によって得た利益は、譲渡所得として所得税および住民税の課税対象となります。
土地の売却価格に関するよくあるQ&A
土地の売却価格に関して、どのような疑問があるのでしょうか。
ここでは、よくあるQ&Aを紹介していきます。
土地はどれくらいで売れる?
土地は、早ければ3カ月ほどで売れます。
しかし、時間がかかる場合は半年程度かかるケースもあります。
不動産会社に査定を依頼し、売り出し価格の設定なども相談をしながら進めていけば、適正な価格で売却できるでしょう。
銀行の貸出金利が上がった場合の影響は?
不動産は価格が高いため、大半の人は銀行でローンを組んで不動産を購入するでしょう。
つまり、銀行の金利が安ければ、その分お金を借りて不動産を買おうという人が増え、不動産の価格も相場よりも高くなる時期ということです。
逆に、金利が上がれば不動産の価格は相場よりも低くなります。
失業率が不動産価格に与える影響とは?
失業率が高いと、不動産価格は低くなる傾向です。
これは、住宅ローンの審査基準に、勤務先が含まれていることためです。
ローンを借りて返済するためには、働いて収入を得ている必要があります。
したがって、銀行は仕事をしていてローンを返済する能力がある人を見極めるために、審査で勤務先を確認するのです。
失業中であれば、当然のようにローンが組めないということなります。
つまり、世間の失業率が高い時期は、結果としては住宅も売れなくなるので、価格が低くなる方向に影響が出てきます。
土地の売却価格が高くなりやすいタイミングを見極めるには?
土地の相場を把握したのであれば、あとは高く売れそうなタイミングを見計らって売り出しをするだけです。
ここでは売り出しに適したタイミングなどをご説明します。
普段から新聞やニュースで景気状況を把握する
最もわかりやすいタイミングは景気が上向きにある時期です。
この時期には株価が上がり、金利が下がればそれだけ不動産を買おうとする人も増えるため、売り出しをすれば高い金額がつく可能性が高いでしょう。
希少価値について考える
売ろうとしている土地が滅多にないような好立地の土地であれば、景気に関係なく価格が変わらない傾向があります。
例えば、都内の商業地であれば、どんな時代であっても一定の数の買い手がいるため、他のエリアよりも下落の影響は受けない場合があります。
プロの不動産業者に相談する
個人で新聞を読んだりニュースを聞いたとしても、日々土地の売却などに携わるプロの情報量にはかないません。
また、銀行の金利状況や他の不動産の売買事例など不動産業者は土地の売買に関して多くの情報を持っています。
最終的に売るタイミングを迷うのであれば信頼できる不動産業者を探して相談してみましょう。
まとめ
土地の売却価格を決めるときは、相場を知ることが大切です。
売却価格の相場を知る方法にはいろいろな種類がありますが、自分で正確な情報を集めるのはなかなか大変です。
想定以上に時間や手間がかかえるケースもあるでしょう。
こうした場合は、土地などの不動産の売却に詳しいプロに相談することをおすすめします。
不動産売却マップなら、売却査定を無料で案内できます。
電話やメールで気軽に相談できるので、ぜひこの機会にご連絡ください。