不動産売買の諸費用計算書とは?記入に必要な項目と諸費用の相場や税金について
この記事でわかること
- 不動産売買の諸費用計算書の内容がわかる
- 不動産売買の諸費用の目安がわかる
- 不動産売買の諸費用を節約する方法がわかる
不動産を購入する際には多額の費用がかかります。
物件の費用はもちろんですが、それ以外にも諸費用と呼ばれる費用がかかる点には注意が必要です。
ここでは、諸費用の内訳の説明や内容、なるべく節約する方法について解説していきます。
目次
不動産売買の諸費用計算書とは?
不動産売買においては、物件価格と呼ばれる費用と、諸費用と呼ばれる費用があります。
本体価格とは「土地」や「建物」の価格のことで非常に分かりやすいのに対して、諸費用は内訳が分かりにくく、全体像が掴みづらいため注意が必要です。
不動産売買の諸費用とは
不動産売買の諸費用とは、不動産購入に必要な費用から「物件価格」を除いたものです。
一般に物件価格といえば、土地と建物のみを指すので、それ以外の全てが諸費用になります。
代表的な諸費用は、不動産購入のために組んだ住宅ローン手数料、仲介手数料、火災保険料、引っ越し代などの費用、印紙税、不動産取得税などの税金の総称です。
これらの諸費用は、通常不動産を購入しようとする際には考慮されないものが多いです。
なぜなら、物件価格に比べると諸費用は総額が分かりにくく、事前に計算することが難しいからです。
不動産売買の諸費用の注意点
不動産売買における諸費用の注意点は、不動産を購入する段階でまとまったお金が必要になる点です。
つまり、資金計画として組み込んでおかなければならないお金だということです。
つい忘れがちな諸費用ですが、物件価格に応じて諸費用も高額になるケースがあるため、資金が足りなくなるようなことがないためにも、諸費用は事前に計算しておきましょう。
諸費用計算書に記載が必要な項目
不動産売買における諸費用は、大きく分けて手数料部分と税金部分に区別できます。
当然ではありますが、手数料部分は節約する工夫はできますが、税金部分はなかなかそうはいきませんので注意が必要です。
諸費用計算書における手数料の内容について
諸費用計算書における手数料は、不動産売買に関わった専門家に支払う費用が大部分を占めます。
不動産売買を仲介した不動産業者に支払う仲介手数料、所有権移転登記を申請する司法書士に支払う司法書士報酬、住宅ローンを組んだ際に金融機関に支払う住宅ローン手数料、保険会社に支払う保険料、引越し業者に支払う引越し費用などが代表例です。
これらの費用は、基本的に自己資金として物件費用とは別に用意する必要があります。
どうしても自己資金が不足する場合には、住宅ローンの中に含めることもできる費用もありますが、引越し代や税金などは金融機関から否認される場合が多いです。
仮に、住宅ローンに含めた借入をしたい場合は諸費用の見積もりをした上で、必ず事前に金融機関の担当者に相談をしてみましょう。
諸費用計算書における税金の内容について
諸費用計算書における税金は、不動産売買によって取得した物件に関わる税金です。
具体的には不動産契約書に貼付する印紙税、不動産を取得した時に支払う登録免許税、不動産を所有していると課税される固定資産税、都市計画税などです。
不動産購入時の諸費用の目安について
不動産に関する諸費用がいくらになるか、購入者は必ず気になるところでしょう。
そこでここでは、諸費用の目安についてご紹介します。
諸費用の目安はいくらぐらいか
不動産購入の諸費用に関しては、物件ごとに変動があるのであくまでも一般論として、物件価格の割合としてご紹介します。
一般論として、不動産購入時の諸費用は、新築だと物件価格の7%程度、中古物件だと物件価格の10%程度と言われています。
実務上は、物件費用にプラスして10%というのがよくあるケースです。
たとえば、3000万円の物件を検討している場合は、300万円を別途用意しておく必要があります、とご案内します。
中古物件の方が諸費用が高い理由
新築物件に比べて中古物件の諸費用が高いのは、リフォーム工事費用を見込んでいるからです。
表面上は綺麗な中古物件でも、やはり水回りや壁紙等は多少の工事が必要になるケースが多く、その工事費用分だけ諸費用が高くなることが多いのです。
また、逆に新築で分譲住宅の場合は、物件価格に諸費用が含まれている場合もあります。
いずれにせよ、物件価格とは別に諸費用がかかる点は新築も中古も同じです。
諸費用の項目ごとにかかる費用
不動産売買の諸費用計算書に含まれる項目について、具体的な内容とともに大まかな目安をご紹介します。
あくまでも目安ですが、資金計画の参考にしてください。
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産購入時に仲介をした不動産業者に支払う手数料のことです。
この費用は宅地建物取引業法で上限が決まっています。
対象となる不動産の売買価格が400万円以上の場合、簡易計算だと売買価格の3%に6万円を加えた金額が仲介手数料の上限になります。
つまり、諸費用としては物件価格の3%を見込んでおく必要があります。
司法書士費用
司法書士費用とは、所有権移転登記をする時に司法書士に支払う手数料のことです。
この後に出てくる登録免許税と支払うタイミングは一緒ですが、この司法書士費用は手数料で、登録免許税は税金なので区別が必要なので注意しましょう。
司法書士の報酬は、司法書士事務所によって価格の幅があり一般化することは非常に難しいです。
ただし、日本司法書士連合会が公表している司法書士に対するアンケート結果では、不動産売買における司法書士費用は約5万円から10万円前後が多いようです。
そのため、諸費用としては15万円を見込んでおけば不足することはないでしょう。
住宅ローン事務手数料・保証料・火災保険料・団体信用生命保険料
住宅ローン事務手数料とは、金融機関で住宅ローンを組む際に必要になる手数料で、金融機関に支払います。
保証料とは、住宅ローンを組む際に保証会社に保証してもらうための手数料で、保証会社に支払います。
火災保険料とは、住宅ローンを組む際に条件として必ず入る火災保険料のことで、損害保険会社に支払います。
団体信用生命保険料とは、住宅ローンを組む際に必ず入る生命保険の保険料のことで、生命保険会社に支払います。
これらは、住宅ローンを組む際に一気に支払うタイミングがくるため混同しがちですが、全て支払先が異なる別々の費用です。
これらの費用も金融機関や保証会社によって大きな費用の差があるため、目安を出すことが困難な諸費用になります。
資金計画を立てる際に、必ず担当の不動産業者の担当者に相談して、どのくらいかかるのか見積もってもらいましょう。
引越し費用
引越し費用とは、文字通り不動産を購入した後に引っ越すための費用です。
一般の方は割と軽視しがちなのですが、引越し費用はタイミングと量によってはかなりの高額になるケースもあります。
特に引越しシーズンと呼ばれる三月末になると相場が跳ね上がり、五人家族の戸建てで、東京から大阪まで約50万円かかったというケースも実際にあります。
中古物件の場合のリフォーム費用
中古物件を購入した場合は、その状態に応じてリフォームが必要になる場合もあります。
代表的な箇所だと、キッチン、バス、トイレなどの水回り、壁紙などのクロス張り替えなどです。
部屋の大きさや築年数に応じて費用は変わってくるため、内見時にリフォームをすることを念頭において資金計画を組みましょう。
印紙税
印紙税とは、土地の売買契約書に対してかかる税金のことです。
土地の売買契約書に関しては、納税の義務が発生します。
印紙税の納税は契約書に収入印紙を貼り付け、消印を受けることで完了します。
印紙税の金額は契約書の金額によって決まっており、たとえば2000万円の土地の売買契約書ならば印紙税は2万円です。
但し、現在は軽減措置があり、令和4年3月31日までの締結された契約書については1万円に軽減されています。
登録免許税
登録免許税とは、所有権移転登記を行うときにかかる税金のことです。
不動産登記の場合には、司法書士に登記に関する書類を渡す際に、一緒に登録免許税分のお金を渡して法務局に納税してもらいます。
登録免許税の納税額は固定資産税評価額によって異なりますが、土地は固定資産税評価額の0.15%、建物は0.2%です。
ただし、建物の構造によって軽減される場合や、面積によって計算方法が異なるので正確な費用については必ず事前に確認しましょう。
諸費用を節約する方法
不動産購入時についての諸費用は、なるべく節約したいのは当然でしょう。
そこで、ここでは費用について少しでも安くできる方法をご紹介します。
火災保険の保証内容を見直すこと
金融機関で住宅ローンを組む際に、条件として必ず火災保険に加入することを求められます。
住宅ローンの条件なので、加入は必要ですが、火災保険の保証内容を見直すことで保険料の節約をすることができます。
保証内容とは、万が一火災が生じた時にいくらまで火災保険でカバーできるのかという範囲のことです。
それぞれの家庭によって保証内容は変わると思いますが、家族の中で話し合いをして最低限必要な保証の範囲にすることで、保険料を節約することが可能です。
引越し時期を見直すこと
不動産を購入した後に引っ越す時期を繁忙期からずらすことで、引越し費用を節約することができます。
具体的な節約方法は、三月末や土日を避けることと、日時指定をしないこと、そして複数の引越し業者に相見積もりをとることです。
この方法を実行するだけでも数十万円単位で変わることもあるので、手間に思われるかもしれませんが、ぜひ見直しをしてみてください。
不動産購入後に必ずかかる税金とは
不動産購入に関する諸費用のうち、支払い時期が最後になるのが税金です。
そこで、税金の種類の違いに応じてご紹介します。
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得した人に対して都道府県が課す税金のことです。
固定資産税とは違い、不動産を取得した際に一度だけ課税される税金です。
通常は土地・建物の固定資産税評価額の4%ですが、2021年3月31日まで土地と建物それぞれに軽減措置があるため、2021年3月末までの目安としては3%程度でしょう。
固定資産税・都市計画税
固定資産税と都市計画税とは、1月1日時点の所有者に対して市町村が課す税金のことです。
固定資産税と都市計画税は必ずしも一括支払いではなく、四期に分けて分納することも可能です。
具体的には毎年四月前後に送られてくる納税書をご確認ください。
まとめ
以上が、不動産を購入する際にかかる諸費用のご紹介でした。
不動産を購入する際には本体価格ばかりに気持ちが動きがちですが、諸費用についてもきちんと資金計画を立てて、予想外の出費に困らないようにご注意ください。