【図解】不動産を購入する流れ|買う時の注意点も解説
この記事でわかること
- 不動産購入の流れがわかる
- 不動産購入時の注意点がわかる
- 不動産の販売形態がわかる
「不動産を購入する流れについて知りたい」
これから不動産購入を考えている方はこんな疑問をお持ちではないでしょうか。
事前にどのような流れで購入手続きが行われるのかを知っておくことで、トラブルなくスムーズに不動産購入を進められます。
この記事では、不動産を購入する際の流れと注意点について解説します。
目次
不動産の販売形態は2種類
不動産販売には大きく分けて以下の2種類の販売形態が存在します。
- 売主物件
- 仲介物件
それぞれ物件を購入する際の流れが異なるため、事前にどちらの方法で物件を購入するのか明確にしましょう。
売主物件
物件の売主から仲介業者を挟まず直接購入するのが、売主物件です。
個人同士が直接物件の売買をすることはありませんので、一般的に「売主物件」という場合は、不動産会社が売主であることが多いでしょう。
売主物件の主なメリットは以下の通りです。
- 仲介手数料がかからない
- 連絡がスピーディーかつスムーズ
一方で以下のようなデメリットも存在するため注意が必要です。
- 物件探しを自分で行わなくてはいけない
- 金融機関との手続きや契約など自分で調べる必要がある
仲介物件
買主と売主の間に仲介業者を挟み、物件の売買を行うのが「仲介物件」です。
不動産会社が仲介してくれるため、以下のようなメリットがあります。
- 金融機関との手続きや契約関係など全てサポートしてくれる
- 価格交渉もプロが行ってくれる
初めての物件購入でもプロがしっかりとサポートしてくれるため、安心して購入できます。
一方、仲介手数料がかかるため注意が必要です。
仲介手数料は業者によって異なりますが、上限は以下の通りです。
4000万円の物件を購入した場合
4,000万円 × 3% + 6万円 + 10%(消費税) = 最大138.6万円
メリットと仲介手数料を天秤にかけて判断する必要があります。
不動産を購入する流れ
不動産を購入する流れは以下の通りです。
不動産を購入する流れ
- ①希望条件を決定する
- ②物件を選ぶ
- ③資金計画を立てる
- ④購入を申し込む
- ⑤住宅ローンの事前審査を受ける
- ⑥契約内容を確認する
- ⑦契約を結ぶ
- ⑧住宅ローンを契約する
- ⑨物件の引き渡しを受ける
売主物件と仲介物件の大まかな流れは同じです。
それぞれのステップごとに解説していきます。
①希望条件を決定する
まずは購入する不動産物件の希望条件を決定しましょう。
ポイントは現時点の条件だけでなく、家族構成や収入などの将来の見通しまでを含めて検討することです。
決めておくべき条件は以下の通りです。
【決めておくべき条件】
- 物件価格
- 間取り
- 立地
- 交通の便
- 周辺環境
- 築年数(新築 or 中古など)
これらの条件を今後数十年住むことを前提に考えておきましょう。
②物件を選ぶ
希望条件が決まったら実際に物件を選んでいきましょう。
物件選びは、インターネットで検索したり不動産会社で直接聞くなどが多いでしょう。
その際に絶対に気をつけなくてはいけないのが、「実際に現地まで足を運ぶ」ことです。
実際に足を運ぶことで、物件情報だけでは分からない「本当の物件の姿」が明らかになります。
本当に希望する条件に合致した物件かどうかを判断する際は、実際に現地まで行って以下の情報を確認することをおすすめします。
- 周辺環境(駅からのアクセス、騒音など)
- 物件の傷み具合
- 日当たり
- 窓からの景観
③資金計画を立てる
続いて、資金計画を立てます。
ここでの資金計画とは、不動産を購入するための資金をどのように調達し、払っていくのかを計画することです。
資金計画を事前に立てておくことによって、無理のない予算と返済プランを立てることができるでしょう。
具体的に資金計画で試算すべきことは以下の通りです。
- 頭金となる自己資金
- 住宅ローンの借入額と金利
- 物件取得にかかる諸費用(印紙代、投機費用、仲介手数料、不動産取得税、保険料、固定資産税、修繕積立金など)
- リフォーム費用
- 家具代
- 都市計画税
それぞれの費用を事前に計画しておき、資金繰りがスムーズに進むようにしましょう。
④購入を申し込む
いよいよ購入の申し込みです。
購入の申し込みには不動産会社に対して「不動産購入申込書」というものを提出します。
不動産購入申込書とは、物件を購入する意思があることを売主に示すための書類のことです。
申込書は、仲介物件の場合は仲介業者が雛形を持っており、売主物件の場合は不動産会社が雛形を準備しています。
そのため、0から書類を作る必要はありません。
また、この不動産購入申込書は「売買契約」とは別物で、あくまで売主に対して「買いたい」という意思表示をするためのものです。
したがって、提出した後でも購入をキャンセルができます。
新築マンションの購入の場合、不動産購入申込書を提出する際に申込証拠金(1〜10万円ほど)を支払うことがあります。
これは、「冷やかしなどではなく本当に購入する意思がある」ことを示すために売主に対して支払う費用です。
この申込証拠金はただ売主が自分のものにするのではなく、実際に売買契約を結んだ際に手付金や印紙税などの契約にかかる諸費用の一部に充てられることが多いようです。
⑤住宅ローンの事前審査を受ける
住宅ローンの事前審査とは、正式な住宅ローンを申請する前段階として、申請者の信用情報や返済能力などを簡易的に審査するものです。
本審査では1〜2週間ほど期間を要するのに対し、事前審査は早ければ即日結果が出ることもあるほど短期間で、かつ最小限の情報で行われます。
事前審査をすることで、物件購入の契約をする前に「住宅ローンを本当に組めるのか」、「借入金額の予測」などを行えます。
そんな事前審査に必要な書類は以下の通りです。
必要書類 | 概要 |
---|---|
本人確認書類 | 免許証・健康保険証・パスポート等 |
収入証明書類 | 給与所得者 →前年分の源泉徴収票 個人事業主 →過去3年間分の確定申告書と付表の写し 法人代表者 →前3期分の決算報告書の写し |
物件確認書類 | 購入予定物件のチラシ・販売図面、物件概要書、価格表の写しなど |
他ローン書類 | 他に組んでいるローンがある場合は、契約内容や残債が分かる書類 |
⑥契約内容を確認する
契約内容の確認は、不動産会社に所属している宅地建物取引士が重要事項に関しての説明を対面で行います。
主に説明される箇所は以下の通りです。
- 登記事項証明書の記載事項
- 各種不動産購入にかかる法律
- 住宅ローンについて
- 住宅の規制や制度に関して
しかし、実態は書類に記載している内容を「音読」するだけのケースも多いようです。
そのため、宅地建物取引士からの説明だけではなく、必ずご自身の目で契約内容を確認しましょう。
必ず確認しておくべき内容は以下の通りです。
- 物件情報の記載が合っているか(登記内容の確認)
- 金額と支払日は合っているか
- 固定資産税や都市計画税の分担が売主と買主で公平になっているか
- 契約内容と異なることがあった場合の対応
⑦契約を結ぶ
契約書を確認し、問題がなければいよいよ契約を結びましょう。
契約を結ぶタイミングで「手付金」を支払います。
手付金とは、売買契約を締結する際に契約の証として買主から売主に対して支払うもので、一般的には売買代金の一部として充てられることが多いものです。
手付金は 申し込みの際に支払う「申込証拠金」とは異なり、「購入の契約をした証」として法的効力を持ちます。
金額は「購入価格の20%が上限」と決められています。
よって、4,000万円で購入した物件の手付金の上限は800万円ほどでしょう。
しかし、相場は5〜10%ほどなので、4,000万円の物件で200〜400万円ほどが最も多いようです。
⑧住宅ローンを契約する
売買契約を結んだら住宅ローンを契約していきます。
事前申請とは異なり、本申請では1〜2週間ほどをかけ金融機関や保険会社が以下のような事項を調査します。
- 健康状態
- 年齢や勤続年数
- 物件の担保評価
- 返済負担率
- 個人信用情報
また、住宅ローンの本申請でも事前審査同様、以下の書類が必要になります。
必要書類 | 概要 |
---|---|
本人確認書類 | 免許証・健康保険証・パスポート等 |
収入証明書類 | 給与所得者 →前年分の源泉徴収票 個人事業主 →過去3年間分の確定申告書と付表の写し 法人代表者 →前3期分の決算報告書の写し |
物件確認書類 | 購入予定物件のチラシ・販売図面、物件概要書、価格表の写しなど |
他ローン書類 | 他に組んでいるローンがある場合は、契約内容や残債が分かる書類 |
事前に準備をしておきましょう。
⑨物件の引き渡しを受ける
最後に物件の引き渡しを受けましょう。
物件の引き渡し時には、司法書士による所有権移転登記・所有権保存登記が行われます。
登記種別 | 概要 |
---|---|
所有権移転登記 | 中古物件を購入した際に、売主(前所有権保持者)から買主(新所有権保持者)へと所有権が移転したことを示す登記 |
所有権保存登記 | 新築物件を購入した際に、新たに所有権を持つ人が出たことを示す登記 |
この登記を持って、正式に物件の保有者が買主になるのです。
不動産を購入する際の注意点
不動産を購入する際に注意しておきたいポイントを3つ紹介します。
【不動産を購入する際の注意点】
- 1つの物件に複数回内見に行く
- 耐震性を確認する
- ハザードマップを確認する
それぞれ解説していきます。
1つの物件に複数回内見に行く
希望物件は必ず複数回内見にいきましょう。
複数回行く必要がある理由は以下の通りです。
- 昼と夜で周辺の雰囲気が異なる可能性があるため
- 時間にごとの日当たりを確認する必要があるため
- 天候による物件の問題や懸念点が明らかになる可能性があるため
つまり、異なる様々な条件で物件を見ることで、新たな発見や懸念点が見つかることが多いのです。
条件を変えるために以下のような条件下で内見することをおすすめします。
- 平日と休日
- 朝、昼と夜
- 雨の日と晴れの日
一生に一度の大きな買い物なので、手間はかかりますが何度も内見するのが良いでしょう。
耐震性を確認する
耐震性の確認は必ずしましょう。
特に中古物件を購入する際には、注意が必要です。
1981年6月以前の「旧耐震基準」の建築物は「震度5程度で倒壊しないこと」が一つの基準となっており、現在の「新耐震基準」の「震度7で倒壊しない」という基準に比べ建物が脆弱である可能性が非常に高いためです。
また、1981円6月以降の新耐震基準の中でも2000年以降に建てられている物件は、「2000年基準」というさらにアップグレードされた耐震基準が設定されています。
つまり、2000年以降に建てられている物件であればさらに耐震性が保証されているのです。
希望する物件があった場合には必ず、「1981年6月以前」「1981年6月〜2000年」「2000年以降」のどこに当てはまるのかを必ず確認するようにしましょう。
ハザードマップを確認する
ハザードマップとは、自然災害が発生した際に危険と思われる場所を示した地図です。
このハザードマップを確認することによって、万が一地震や水害などの災害が起こった際に、物件の周辺は危険に晒されるのか否かが分かります。
例えば、河川の近くの物件などは水害が起きた際に浸水などの被害にあってしまう可能性が高いでしょう。
ハザードマップではそのような危険エリアを地域ごとに示しているのです。
ハザードマップは国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトによって確認することが可能です。
物件を購入する前に必ず確認するようにしましょう。
不動産の購入に関するよくある質問
不動産の購入に関するよくある質問を以下の通りまとめました。
【不動産の購入に関するよくある質問】
- 不動産の購入にはどのような費用が発生するの?
- 不動産の引き渡し前に確認すべき点とは?
それぞれについて解説していきます。
不動産の購入にはどのような費用が発生するの?
不動産の購入には、物件の費用だけでなく多くの費用が発生します。
事前に準備が必要な費用もあるので、しっかりと調べておきましょう。
不動産の購入時に発生する費用
- 仲介手数料
- 住宅ローン手数料
- 登記費用
- 手付金
- 火災保険料
- 水道加入負担金
- 家具購入費用
- 引越し費用
- (マンションの場合)修繕積立金
不動産を購入する際に、不動産会社から必要な費用に関して説明があります。
しかし、不動産会社に話をしたタイミングから費用を準備するのは時間がかかるでしょう。
不動産購入の意思を固めた時点で、すぐに何にどれほどの費用がかかるのかを明確にしておきましょう。
不動産の引き渡し前に確認すべき点とは?
不動産の引き渡し前に確認しておくべきポイントを以下のようにまとめました。
【不動産の引き渡し前に確認すべき点】
- 図面と相違がないか
- 日当たりは十分か
- 家具の配置は大丈夫か
- 周辺環境や音は問題ないか
- 水まわりに不備はないか
- 設備の不足はないか
- 臭いは問題ないか
- 防音は問題ないか
- 部屋の傾きはないか
- 湿気はないか
- 電波は問題ないか
- コンセントの位置に不備はないか
- 近隣住民はどんな人か
- 周辺の治安は問題ないか
- 交通手段に問題はないか
- コンビニなどの買い物の利便性は問題ないか
また、「当日確認しそびれた!」ということもよく起こります。
そのために、以下のようなグッズを持って内覧に行くと安心です。
【内覧時の持参物】
- カメラ
- メモ帳
- 筆記用具
- 設計図
- 間取り図
随時気がついたことをメモしたりカメラに収めておくことで、後日見返すことが可能になるでしょう。
まとめ
不動産を購入する際の流れについてまとめてきました。
スムーズな不動産購入のためには全体の流れを把握して、これから何を準備すれば良いのかを明確にすることが必須です。
そのためにも、この記事を参考に事前準備を進めましょう。