土分筆登記にかかる費用相場!費用を少しでも節約する方法とは?
この記事でわかること
- 土地の分筆登記について理解できる
- 土地の分筆登記の費用相場がわかる
- 土地の分筆登記費用を節約する方法がわかる
目次
土地の分筆とは
土地の分筆とは、登記簿上の大きな土地を、2つ以上の土地に分けることを言います。
たとえば、600㎡の土地Aを200㎡のBと100㎡のC、300㎡のDに分ける登記が分筆登記です。
分筆登記がよく行われるケースは、次の2つです。
- 10,000㎡などの大規模な宅地を分譲するケース
- 300㎡など中規模な宅地の一部を売却するケース
土地は外観上1つに見えても、登記簿上は2つや3つに分かれている場合もあるので、土地の購入時や売却時は注意しましょう。
土地の一部だけを売却する方法2つ
次に、土地の一部だけを売却する方法を2つご紹介します。
分筆登記をして売却
この方法が基本中の基本です。
後述する他の方法は、親族間での売買など、特殊なケースのみ当てはまると考えてください。
たとえば、次のケースで考えます。
事例
- Aさんが所有する300㎡の土地がある
- その東側100㎡をBさんが買いたい
このケースでは、Aさんは自分の土地を西側200㎡と東側100㎡に分筆して、東側の土地を売却することになります。
「分筆すると費用も掛かるし、分筆せずに売れないのか?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、もし分筆をしなければAさんの土地を「西側はAさんが所有者、東側はBさんが所有者」と登記することはできません。
分筆しないかぎり、あくまでもこの土地は「1つ」であり、所有者の自由な取り決めで2つと主張することはできないということです。
このままではAとBの共有とするしかありません。
「共有」は、土地の「西側」「東側」などある部分を持つことではないので、注意しましょう。
親族間売買や私道の売買を除き、他人との売買で土地を共有することは望ましくありません。
分筆登記をしないで売却
上記のような例で土地の一部を売却する際、分筆登記をしないで売却することは可能です。
Aさんが所有している土地の一部をBさんに売却し、分筆登記も所有権の名義移転登記もしないという例もあります。
または、分筆登記せず大きな土地を共有にするということも可能です。
ただし、分筆登記をしたうえで、片方の土地の名義を買主に移転することが、売主と買主の両方にとってベストな選択です。
分筆登記せず、所有権の登記名義人は売主のままだと、売主と買主がトラブルになったときに買主が権利を主張しづらくなるためです。
売主に相続が発生したり、買主が買った部分を売りたくなったりしても、登記上買主名義ではありませんから、土地を処分することはできなくなってしまいます。
「共有名義ならよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、共有の場合は共有者全員で土地を処分しなければならないので、これもトラブルの種です。
また、共有者は自由に土地全体を使うことはできません。
また、1筆の土地に2棟の建物を建てる場合は、建築確認の点で手続きが複雑になるケースもあります。
親族間で土地の一部を売却する場合は分筆登記しないケースがよくありますが、できるかぎり分筆登記を経て名義を移転しましょう。
土地の分筆登記にかかる費用相場
次に、土地の分筆登記にかかる費用相場を見ていきます。
なお、土地の一部を売却する際は、基本的に分筆登記のみの費用では足りませんのでその点も確認します。
土地の分筆登記の費用相場と注意点
1筆(土地は「筆」と数える)の土地を2筆にする登記の相場は、6万円程度です。
ただし、分筆登記の前に、測量、境界確定などの費用がかかることが多いので、見もりを依頼する場合は、他の費用もかかるか確認しましょう。
- 分筆登記…6万円程度
- 境界確定…25万円程度
- 測量費…40~50万円程度(確定測量の場合)
ただし、官民査定が必要な測量は、60万円から80万円ほど必要になる場合もあります。
つまり、分筆登記だけですむなら10万円内でおさまりますが、土地売却時に必要な測量等一式を依頼すると、80万円程度掛かるケースもあるということです。
土地の分筆登記の専門家
よく司法書士事務所に土地の分筆登記の見積もりを頼んでしまう方がいますが、分筆登記は土地家屋調査士が行う業務です。
土地家屋調査士の分筆登記等の報酬が昔は制限がありましたが、現在は自由に設定できるので、土地家屋調査士事務所ごとに分筆登記の報酬規定が異なります。
分筆登記費用の相場といっても、確定したルールがあるわけではないので注意しましょう。
なお、登記には大きく分けると次の2つの区分があります。
記載される内容等 | 専門家 | |
---|---|---|
表題部の登記 | 土地や建物の種類、面積など、物理的な内容 例:分筆、合筆、地目、新築、増築 | 土地家屋調査士 |
権利部の登記 | 所有者、抵当権者など、権利に関する登記 例:相続、売買、抵当権設定時 | 司法書士 |
つまり土地の分筆登記や、分筆登記を前提とする測量・境界確定などの見積りは、土地家屋調査士に依頼しなければならないということです。
土地の分筆登記の費用を節約する方法
次に、土地の分筆登記の費用を節約する方法を見てみましょう。
複数社の見積もり
分筆登記の費用を節約する方法は、複数の土地家屋調査士事務所の見積もりを取ることです。
最近は、複数の専門家が登録する見積もりサイトもあります。
発注側の登録料は無料のサイトが多いので、利用するとよいでしょう。
複数社の見積もりを依頼する時は、あまりに漠然とした依頼だと土地家屋調査士側は正確な見積もりができません。
所有者が思うよりも分筆登記には気をつけなければならない点が沢山あります。
メールなどのやりとりで相性の合う土地家屋調査士がみつかったら、土地の状況等を伝えて正確な見積りを出してもらいましょう。
正確な情報がなければ土地家屋調査士も、最初聞いた内容なら安くできると考えて見積もったところ、後から特殊な事情が出て来ると再見積もりを余儀なくされてしまうためです。
なお、土地家屋調査士については「安いから良い」「高いから良い」というわけでもありません。
分筆の前提となる境界確定の時、隣地所有者との連絡方法等で失礼な態度を取る土地家屋調査士は困ってしまうので、安心して頼める土地家屋調査士を探しましょう。
その他
土地の分筆登記の前提として確定測量を行うことがあります。
確定測量無しなら費用は安くすみますが、売却後に売主として責任を問われることもあります。
土地の確定測量を省いた分筆登記は、境界に関する売主の責任を排除する旨、買主と合意することが大前提です。
その他の分筆登記の費用を節約する方法として、確定申告時に分筆登記費用を計上することが考えられます。
この確定申告時に費用を計上することは、直接の節約とは違います。
あくまでも譲渡所得税を低く抑えるための手段なので、事前に支払う分筆費用が安くなるわけではありません。
その他、買主に費用の半分を負担してもらえないか交渉するなどの方法がありますが、それはケースバイケースです。
土地の分筆登記の流れ・必要書類
土地の分筆登記の流れや必要書類について確認します。
分筆登記は、分筆登記申請書に筆界確認書、地積測量図、現地案内図などを添付して、土地管轄法務局に申請します。
筆界確認書とは、境界確認書、境界の同意書、境界の協定書の3つの書面のことです。
分筆登記申請書は比較的簡単に作成することができますが、その他の書面については一から図面を作成しなければならないことも多いでしょう。
また、境界の同意書や協定書とは、隣地所有者との土地境界同意につき書面に表したものなので、自分で作成するのは難しいかもしれません。
分筆登記の詳しい方法を知りたい方は、法務局の登記相談を利用するとよいでしょう。
土地の分筆登記をするときの注意点
土地の分筆登記をするときの注意点をまとめておきます。
土地の分筆登記をするときの注意点
- 分筆登記の前提となる測量が必要か調査する
- 分筆登記の前提となる筆界確定が必要か調査する
- できるかぎり隣地所有者の同意を得て境界の確定をする
登記簿上の土地の面積が実測面積と一致するとは限りません。
また、自分たちが「ここまでが自分の所有地」と思って使っていたら、隣地にはみ出して使っていたというケースもあります。
分筆登記する前提として、できるかぎり土地面積や隣地所有者とのトラブルを防いで、安全な土地取引をしてください。
まとめ
土地の分筆登記にかかる費用相場や、安くする方法を見てきました。
土地の測量、境界確定、分筆の一連の流れは、いい加減にできません。
土地売買で揉める原因の代表例は、土地の実測面積、隣地や道路との境界です。
分筆登記の費用を安くしたいと考える方も多いですが、費用を節約し過ぎると結果的に損をしてしまうことがあります。
土地の一部を売却するときは、土地がいくらで売れるか、事前にどのくらいの分筆登記費用が必要か、バランスをしっかり考えましょう。
土地の分筆を検討中の方は、分筆登記の前に「どの部分を分けるべきか」「どのくらいの広さにすべきか」なども含めて、専門家と連携する不動産会社に相談することをおすすめします。