【不動産売買の仲介手数料を抑えたい】仲介手数料の計算方法と値引きをする際のコツ
この記事でわかること
- 不動産売買の仲介手数料の計算方法がわかる
- 不動産売買の仲介手数料をいつ支払えばいいのかがわかる
- 不動産売買の仲介手数料の値引き交渉のコツがわかる
不動産売買を行うときには、物件探し、また買い手探しに多くの労力と時間が費やされるため、不動産会社に売買の仲介を依頼するのが一般的です。
その際には、不動産売買の仲介手数料(媒介手数料)が発生します。
不動産売買の諸費用のなかでも多くを占める仲介手数料は、できれば安く抑えたいと思っている方も多いことでしょう。
今回は、不動産売買における仲介手数料について、その計算方法、支払のタイミング、値引き交渉をするときのコツと注意点について紹介します。
不動産会社と良い関係を築き、気持ちの良い売買取引を行うためにも、仲介手数料についての詳細を確認しておきましょう。
目次
不動産の仲介手数料の内訳
不動産仲介業者は、不動産売買を成立させるためにさまざまな活動を行います。
売却に際しては、不動産情報サイトへの登録、広告チラシの作成・配布・ポスティング、現地見学会やオープンハウスの開催、契約交渉・手続、引渡までのプロセスがあり、場合によっては半年以上の期間がかかることもあります。
不動産売買の仲介手数料は、契約の相手方を見つけて、無事契約を完了させたことに対する成功報酬です。
不動産の売買契約を仲介業者に依頼して行う場合には、宅地建物取引士による重要事項説明書の作成・説明を要し、記載事項や説明事項について法律で厳格に定められています。
国家資格を保有している不動産のプロしかできない手続きであることから、法律の規定に基づいて仲介手数料を受けとることが認められているのです。
通常の売却活動を超えるサービスについては追加報酬もある
不動産売買における仲介手数料は、後述する通り上限が宅建業法によって定められています。
この上限を超えて仲介手数料を請求することはできません。
もっとも、この仲介手数料は、売主、もしくは買主探索に関わる通常の業務に関わる成功報酬と考えられており、特別の売買活動を行った場合には、追加費用を請求することも可能とされています。
例えば、インスペクション(建物状況調査)を行ったときの費用、遠隔地まで調査に出向いたときの出張費や日当、相続に関するコンサルティング費用などについては、追加で報酬が請求されることもあります。
媒介契約の種類によって仲介手数料の支払義務が変わる
媒介契約には3種類の契約形式があります。
一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約です。
どの契約を締結した場合でも仲介手数料の額については同じですが、場合によっては仲介手数料の支払い義務があるか否かがかわってきます。
3種類の媒介契約のうち、最も制約が少ない契約は一般媒介契約で、他の不動産会社に重ねて媒介契約を締結することができ、また自分で契約の相手方を見つけることについても制限がありません。
専任媒介契約の場合には、他の不動産会社に重ねて媒介契約を締結することができなくなりますが、自分で契約の相手方を見つけた場合には、仲介会社に手数料を支払う必要はありません。
専属専任媒介契約の場合には、重ねて媒介契約を締結することもできませんし、自分で契約の相手方を見つけた場合にも、売買の媒介手続きを依頼する必要があり、契約締結の際には仲介手数料の支払義務が生じます。
このような違いが設けられているのは、専任、専属専任と契約内容が変わることで、不動産情報サービスへの物件登録義務や依頼者への報告義務などが加重されることによるものです。
もっとも、自己で契約の相手方を見つけるのは容易ではないために、不動産仲介会社に任せるのが一般的です。
不動産売買において仲介手数料の計算方法(早見表)
不動産売買における仲介手数料は、宅建業法によってその上限が定められています。
不動産業者が情報量の乏しい消費者に対して過大な報酬を請求することを防止するために、適正な報酬として上限を定めたものになります。
仲介手数料の計算方法については、以前は、売主側・買主側ともに同じでしたが、2020年の宅建業法の改正によって、異なる定めがされていますので、注意が必要です。
売主が支払う仲介手数料
売主が不動産会社に支払う仲介手数料の上限は、以下の表の計算方法によって算出されます。
物件価格(消費税抜)が400万円以下の場合 | 18万円(プラス消費税) |
---|---|
物件価格(消費税抜)が400万円を超える 場合 | 物件価格(消費税抜)×3%+6万円(プラス消費税) |
以前は、売主側の仲介手数料について、物件価格が400万円以下の場合について買主側の仲介手数料と同様、安価な計算方法が設定されていました。
しかし最近になって、特に地方において古民家の空き家問題が発生し、物件価格が400万円以下でも売却を希望する物件が増えてきました。
そこで、安価な物件価格の場合でも売主側の仲介業者が十分な売却活動・広告活動をすることができるように、物件価格が400万円以下の場合の仲介手数料の上限を一律18万円(プラス消費税)としたのです。
買主が支払う仲介手数料
買主側の不動産会社に支払う仲介手数料の上限については、宅建業法改正後も変更はありません。
物件価格(消費税抜)が200万円以下の場合 | 物件価格(消費税抜)×5%(プラス消費税) |
---|---|
物件価格(消費税抜)が400万円以下の場合 | 物件価格(消費税抜)×4%+2万円(プラス消費税) |
物件価格(消費税抜)が400万円を超える 場合 | 物件価格(消費税抜)×3%+6万円(プラス消費税) |
仲介手数料を支払うタイミング
不動産売買における仲介手数料は、あくまで契約の相手方を探索してもらったことに対する成功報酬という解釈であるために、契約の締結までは仲介手数料を支払う必要はありません。
仲介手数料を支払うタイミングは、契約締結時に半金、決済・引渡し時に半金と定められている場合が多いです。
もっとも、契約締結と決済・引渡しの間がそれほどあいていない場合には、決済・引渡し時に一括で仲介手数料を支払うケースも多くなっています。
その方が、売主にとっては買主からの売買代金を手数料の支払いに充てることができるため、受け入れられやすいのです。
仲介手数料を値引きするタイミング
不動産売買の仲介手数料は、諸費用の中でも最も多くの割合を占めるものであるために、値引き交渉できるのであればお願いしたいものです。
仲介手数料の値引きをお願いするには、値引きを切り出すタイミングが大事になってきます。
一つめとして考えられるのは、不動産仲介手数料のほかにもいろいろな業務を依頼する場合に、それらの業務を依頼するタイミングでの値引き交渉です。
例えば、測量や建物の解体などの付随業務が発生する場合には、その不動産業者を通して行えばその不動産業者にとってもビジネスチャンスが増えます。
その際には、仲介手数料の値引きを交渉してみるのも良いでしょう。
値引き交渉のタイミングとしてもう一つ考えられるのは、買主から値引きの交渉をされた場合です。
この場合には営業努力を求めるためにも、「値引きを受け入れる代わりに仲介手数料についても減額してもらえないか」と提案する方法もあります。
仲介手数料の値引き交渉のコツ
仲介手数料は宅建業法で適正な額が上限として定められており、その金額は、手間と労力、時間を考えればそれほど高い金額とはいえません。
そのため、不動産業者によっては全く仲介手数料の値引きを行っていないところも多く、むしろこちらの方が一般的です。
仲介手数料の値引きに応じていない不動産会社に対しては、手数料の値引き交渉をするのではなく、買主ならば物件の値引きを依頼する、売主ならば物件価格の交渉を頑張ってもらうなどの依頼をした方が効果的です。
媒介契約時点で仲介手数料の値引きをすると、営業活動に力が入らなかったり、他の物件の営業活動を優先したりすることは否めません。
不動産会社と気持ちの良い取引をするためにも、強引な値引き交渉をすることは避けたほうが良いと思われます。
仲介手数料を割引・無料としている不動産会社も
インターネットで検索してみると、不動産売買における仲介手数料を割引、もしくは無料としている不動産会社もあります。
不動産売買の仲介の場合、基本的には売主・買主からともに手数料を受け取ることができるために、一方の手数料を割引しても、他方から受け取る手数料があれば割に合うこともあります。
したがって、専任媒介契約を締結することを条件に仲介手数料を割引、もしくは無料にしているところもあるのです。
仲介手数料の金額だけで仲介会社を選ばないこと
しかし、仲介手数料の金額のみで仲介会社を選択することは禁物です。
一般の不動産会社においても、物件価格が数十億円規模で、最後の交渉過程で契約をまとめるために仲介手数料を値引きすることはありますが、媒介契約を締結する時点において仲介手数料を値引くことはあまりありません。
信頼と実績が豊富な不動産業者は仲介手数料の値引きで案件情報を集める必要がないからです。
仲介手数料の値引きを売り文句にしている不動産会社については、仲介手数料の金額で客引きを行っていないか、他の条件面で不利な点がないかどうかを厳しい目で吟味する必要があります。
中には、熟練の腕をもつ不動産のプロが、開業したてで実績を積むために仲介手数料の値引きを行っているケースもあるかもしれません。
そのように真っ当な理由での値引きならば警戒しなくとも大丈夫だといえるでしょう。
まとめ
不動産売買における仲介手数料は、宅建業法によってその上限が定められていますが、値引きすることについて制限されているわけではありません。
不動産業者の中には、仲介手数料を割引したり、無料にしたりしている業者もいます。
しかし、不動産会社選びで重要なのは、依頼した仲介業務について、誠実に熱意をもって取り組んでもらえるかです。
媒介契約を締結する前に、複数の不動産会社にあたってみて、もっとも信頼できそうな会社に依頼するのが良いでしょう。