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路線価がわかれば査定金額がわかる!その計算方法とは?

土地を売却するとき、査定に出したらどのくらいの金額になるのか気になるところかもしれません。

単にいくらで売れるのか知りたい!ということで査定する場合もあれば、仲介を依頼する不動産会社が正しい金額を設定してくれているか知る目安にもなります。

どのくらいの市場価値があるのか、実際いくらで売ることができるのか、査定金額を確認するために路線価を活用してみましょう。

路線価とは何に使う価格?

路線価とは、道路に面する宅地1㎡あたりの評価額のことで、毎年1月1日時点のものが7月頃に公表されます。

相続税や贈与税、固定資産税を計算する際に、宅地の評価額を算定するために用いられる価格です。

路線価には2種類、相続税路線価と固定資産税路線価がありますが、一般的に路線価として知られているのは相続税路線価のほうで、3月下旬に国土交通省が公表する公示価格の8割程度を目安として価格が付されています。

路線価の見方を知る

路線価は現在、インターネットなどを使って簡単に調べることができますが、路線価自体が査定金額になるわけではありません。

ただ、査定価格を知る上での参考にすることは可能です。路線価図を閲覧すると、道路ごとに「100A」や「500C」といった、数字とアルファベットの組み合わせの記号が記載されています。

この内、数字部分が評価額で、道路に面する土地の1㎡あたりの千円単位の金額を示します。仮に価格を知りたい土地に隣接する道路に「300C」という路線価表示がある場合、この道路に面する土地は1㎡当り300千円=300,000万円の価値という計算です。

路線価の具体的な調べ方は「土地の価値はいくら?路線価の調べ方と路線価図の読み方
をご参照ください。

査定金額の計算方法

路線価をもとにして土地の評価額を算出する場合には、先の例で300Cに面する土地の広さが100㎡だとします。

この場合、土地の価格は「300千円×100㎡=3,000万円」という計算です。

なお、実勢価格(実際の取引が成立する価格)を出す必要もあるでしょう。

その場合、査定金額を知りたいならここで終わらず、「3,000万円×1.25倍=3,750万円」と1.25倍で計算します。

路線価で計算した後に1.25倍する理由

先にも述べたとおり、公表されている路線価は公示価格の8割程度を目安に設定されています。

つまり、土地を売却するような取引が行われる場合は、売り手・買い手の間で需要と供給の釣り合う価格を加味することが必要です。

そこで、実際の取引が成立する価格を出すため、路線価で計算した後に1.25倍して計算する必要が出てくるのです。

路線価の補正を必要とするケース

路線価で土地の価格を算定する場合、皆さんは土地の形状が四角い形状でない場合に気付くことでしょう。

また、土地が1つの道路に接しているわけではなく、2つの道路に接している土地もあります。

このような土地の環境によって、路線価を減額したり増額したりする補正が必要になることもあるのです。

こちらでは、「土地の形状に関する補正」「接道に関する補正」について解説します。

土地の形状に関する補正

土地の形状はいろいろで、四角い形の整形地のみならず形状がいびつなものであったり、道路に面する間口が非常に狭かったりするものもあります。

このような形状ならば、利用価値は残念ながら低くなってしまいます。

この場合は、路線価に1を下回る補正率をかけ減額する必要があります。

次のような補正方法がとられます。

奥行価格補正の計算方法

この補正方法は、標準的な土地と比較して、奥行が長いまたは短いときに行います。

奥行価格補正率は普通住宅地区の場合、次のように定められています(4m~44m未満の場合)。

奥行距離(m)奥行価格補正率(普通住宅地区)
4m未満0.9
4m~6m未満0.92
6m~8m未満0.95
8m~10m未満0.97
10m~24m未満1
24m~28m未満0.99
28m~32m未満0.98
32m~36m未満0.96
36m~40m未満0.94
40m~44m未満0.92

参考:国税庁「奥行価格補正率表

注目すべきは10m~24m未満なら奥行価格補正率1.00ですが、24m以上になると、1.00より低くなります。

つまり、奥行が短くても長くても、価値が低くなってしまうことになるのです。

奥行価格補正率に関しては、国税庁ホームページの「奥行価格補正率表」に詳しく掲載されています。

こちらを参考に計算してみましょう。

具体例を挙げて計算してみましょう。

(例)

  • ・普通住宅地区
  • ・路線価200,000円
  • ・奥行40m(奥行価格補正率0.91)
  • ・地積800㎡

①まず1㎡評価額を算定にします。

路線価200,000円×奥行価格補正率0.91=182,000円(1㎡評価額)

②次に地積800㎡分を評価します。

184,000円×地積800㎡=145,600,000円

事例の評価額は1億4,560万円となります。

不整形地補正の計算方法

この補正方法は、形状がいびつな土地の場合に行います。

不整形地の補正の計算には「かげ地」も計算する必要が出てきます。

このかげ地とは、不整形地を評価するために用いられる考え方です。

不整形地を評価する際は、まず不整形地を覆うように道路へ接する矩形(それぞれの角が直角である四辺形)を描きます。

この矩形を整形地とした場合の面積とします。

その矩形(整形地)から不整形地を除いた土地がかげ地となります。

このかげ地部分が大きくなればなるほど、より減額されることになってしまいます。

こちらの計算では地積区分表と、不整形地補正率表を用います。

いずれも普通住宅地区なら、次のように定められています。

(1)地積区分表(普通住宅地区)

地積区分地積
地積区分A500㎡未満
地積区分B500㎡~750㎡未満
地積区分C750㎡以上

参考:国税庁「地積区分表

(2)不整形地補正率表(普通住宅地区)

不整形地補正率表かげ地割合地積区分A地積区分B地積区分C
10%以上0.980.990.99
15%以上0.960.980.99
20%以上0.940.970.98
25%以上0.920.950.97
30%以上0.90.930.96
35%以上0.880.910.94
40%以上0.850.880.92
45%以上0.820.850.9
50%以上0.790.820.87
55%以上0.750.780.83
60%以上0.70.730.78
65%以上0.60.650.7

参考:国税庁「不整形地補正率表

国税庁ホームページにて、地積区分に関しては「地積区分表」、不整形地補正率に関しては「不整形地補正率表」に詳しく掲載されていますので、参考にしてください。

具体例を挙げて計算してみましょう。

(例)

  • ・普通住宅地区(地積区分A)
  • ・路線価200,000円
  • ・奥行20m(奥行価格補正率1.00)
  • ・地積440㎡(不整形地の面積)
  • ・地積900㎡(整形地とした場合の面積)

①まず、かげ地割合を算出します。

(900㎡-440㎡)÷900㎡=51%

②次に、事例では普通住宅地区で地積440㎡なので地積区分Aとなります。

③路線価・奥行価格補正率・地積をかけ、評価額を計算します。

路線価200,000円×奥行価格補正率1.00×地積440㎡=88,000,000円

かげ地割合は51%なので不整形地補正率は0.79となります。

④最後に、計算した評価額と不整形地補正率をかけます。

88,000,000円×0.79=69,520,000円

事例の不整形地の評価額は6,952万円となります。

間口狭小補正・奥行長大補正の計算方法

特に地価が高い都心部では、安価に住宅を取得する方法として、狭小地に建てられる狭小住宅が脚光を浴びています。

当然のことながら間口も狭小となってしまいます。

間口狭小補正は、土地が道路へ接している部分の幅が狭いときに行う補正です。

一方、奥行長大補正は、間口の幅と比較して奥行の長さが長い土地の場合に行う補正です。

これらの補正は間口狭小補正率表・奥行長大補正率表を用いて計算します。

普通住宅地区なら、次のように定められています。

(1)間口狭小補正率表(普通住宅地区)

間口距離(m)間口狭小補正率
4m未満0.90
4m~6m未満0.94
6m~8m未満0.97
8m~28m未満1.00

参考:国税庁「間口狭小補正率表」を参考に作成)

(2)奥行長大補正率表(普通住宅地区)

奥行距離/間口距離(m)奥行長大補正率
2m~3m未満0.98
3m~4m未満0.96
4m~5m未満0.94
5m~6m未満0.92
6m~8m未満0.90

参考:国税庁「奥行長大補正率表」を参考に作成)

なお、国税庁ホームページで間口狭小補正率は「間口狭小補正率表」、奥行長大補正率は「奥行長大補正率表」に詳しく掲載されていますので、参考にしてください。

具体例を挙げて計算してみましょう。

(例)

  • ・普通住宅地区
  • ・路線価200,000円
  • ・間口5m(間口狭小補正率0.94)
  • ・奥行15m
  • ・地積75㎡

①まずは奥行距離を間口距離で割ります。

奥行15m÷間口5m=3m

②3mなので奥行長大補正率は0.96となります。

なお、2m未満では奥行長大補正率は使えません。

③事例の評価額を計算しましょう。

路線価200,000円×間口狭小補正率0.94×奥行長大補正率0.96×地積75㎡=13,536,000円

評価額は約1,356万円となります。

がけ地補正の計算方法

土地はどんな場合でも平坦に存在するわけでありません。

通常の用途での利用は不可能な斜面や崖のあるケースもあります。

海や渓谷が一望できる、素晴らしい眺めの土地に住むことが憧れの方々も多いと思います。

しかし、風光明媚である場所には斜面や崖のある場合がつきものです。

このような土地には建物を建てることが難しく、利用価値は低いとみなされます。

よって、がけ地補正率で路線価を減額します。

がけ地補正では、がけ地の方位で補正率も異なってきます。

補正の際に確認するがけ地補正表は次の通りです。

がけ地地積/総地積西
0.10以上0.960.950.94
0.20以上0.920.910.9
0.30以上0.880.870.86
0.40以上0.850.840.82
0.50以上0.820.810.78
0.60以上0.790.770.74
0.70以上0.760.740.7
0.80以上0.730.70.66
0.90以上0.70.650.6
55%以上0.750.780.83
60%以上0.70.730.78
65%以上0.60.650.7

参考:国税庁「がけ地補正率表」を参考に作成)
具体例を挙げて計算してみましょう。

(例)東にがけあり、西南にがけあり

  • ・路線価200,000円
  • ・東のがけ地地積6㎡
  • ・西南のがけ地地積70㎡
  • ・全体の地積500㎡
  • ・奥行価格補正率1.00

①まずは総地積に対するがけ地部分が占める割合を算定します。

東のがけ地地積6㎡+西南のがけ地地積70㎡/全体の地積500㎡=0.152

②次に方位別のがけ地補正率を算出します。

東のがけ→0.95、西南のがけ→0.95(0.96+0.94/2)

③全体のがけ地補正率を計算します。

0.95×6㎡+0.95×70㎡/76㎡=0.95

④最後に評価額を出します。

路線価200,000円×奥行価格補正率1.00×がけ地補正率0.95×全体の地積500㎡=95,000,000円

事例の評価額は9,500万円となります。

接道状況に関する補正

前述したケースは、いずれも利用価値の低さを理由として補正が必要でした。

しかし、利用価値の高さから路線価を増額補正するケースがあります。

例えば2つの道路に接している土地は出入りがしやすく、利用価値が高いと判断されるため増額補正を行います。

こちらでは接道状況に応じた補正を解説しましょう。

側方路線影響加算の計算方法

この側方路線影響加算は、交差点の角・道路の曲がり角にある土地を増額補正します。

加算率は下表を参照してください。

地区区分角地加算率準角地(※)加算率
ビル街地区0.070.03
高度商業地区・繁華街地区0.10.05
普通商業・併用住宅地区0.080.04
普通住宅地区・中小工場地区0.030.02
大工場地区0.020.01

参考:国税庁「側方路線影響加算表」を参考に作成)

(※)準角地:一系統の路線の屈折部の内側(いわゆる道路の曲がり角)に位置する土地です。

具体例を挙げ、側方路線影響加算率を計算してみましょう。

(例)角地(A路線・B路線に接する)

  • ・普通住宅地区
  • ・A路線:路線価110,000円
  • ・B路線:路線価100,000円
  • ・奥行価格補正率1.00
  • ・地積400㎡

①まずは正面路線をA路線・B路線から決定します。

いずれも奥行価格補正率1.00なので

A路線→路線価110,000円×奥行価格補正率1.00=110,000円

B路線→路線価100,000円×奥行価格補正率1.00=100,000円

A路線が金額が高いので正面路線、B路線を側方路線とします。

②側方路線はBなので、B路線の路線価に側方路線影響加算率をかけます。

普通住宅地区の角地なので0.03となります。

側方路線価100,000円×奥行価格補正率1.00×加算率0.03=3,000円

③正面路線であるAの1㎡あたりの路線価と、1㎡あたりの側方路線の影響である先ほどの3,000円を加算します。

110,000円+3,000円=113,000円

1㎡あたりの評価額は113,000円となります。

④1㎡あたりの評価額と地積400㎡をかけます。

1㎡あたりの評価額113,000円×地積400㎡=45,200,000円

事例の土地の評価額は4,520万円となります。

二方路線影響加算の計算方法

この路線影響加算は、土地が2つの道路に挟まれているときの増額補正です。

加算率は下表を参照してください。

地区区分加算率
ビル街地区0.03
高度商業地区・繁華街地区0.07
普通商業・併用住宅地区0.05
普通住宅地区・中小工場地区・大工場地区0.02

参考:国税庁「二方路線影響加算表

具体例を挙げ、側方路線影響加算率を計算してみましょう。

(例)A路線・B路線に挟まれている土地

  • ・普通住宅地区
  • ・A路線:路線価200,000円
  • ・B路線:路線価250,000円
  • ・奥行価格補正率1.00
  • ・地積400㎡

①まずは正面路線をA路線・B路線から決定します。

いずれも奥行価格補正率1.00なので、

A路線→路線価200,000円×奥行価格補正率1.00=200,000円

B路線→路線価250,000円×奥行価格補正率1.00=250,000円

B路線が金額が高いので正面路線、A路線を裏面路線とします。

②裏面路線はAなので、A路線の路線価に二方路線影響加算率をかけます。

普通住宅地区なので0.02となります。

裏面路線価200,000円×奥行価格補正率1.00×加算率0.02=4,000円

③正面路線であるBの1㎡あたりの路線価と、1㎡あたりの裏面路線の影響である先ほどの4,000円を加算します。

250,000円+4,000円=254,000円

1㎡あたりの評価額は254,000円となります。

④1㎡あたりの評価額と地積400㎡をかけます。

1㎡あたりの評価額254,000円×地積400㎡=101,600,000円

事例の土地の評価額は1億160万円となります。

まとめ

路線価が確認できれば、そこから土地を売却する場合の査定金額を知ることができます。

ただ、算出した金額はあくまでも目安であり、見積もり金額とあまりにもかけ離れた金額なら問題ですが、ぴったり同じにはならないと理解しておきましょう。

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