不動産仲介業者の対応に不安を感じたらどう対処すべき?
「不動産仲介業者に依頼しているけれど対応に不安を感じている。どう対処したらいい?」
不動産を売却しようと思って不動産仲介業者に依頼したものの、さまざまな原因からその対応に不安を感じることがあります。
不動産仲介業者の対応に不安を感じた場合には、我慢したり放置したりすることなく、適切な対処をすることが大切です。
この記事では、不動産仲介業者の対応に不安を感じたらどう対処すべきかについて解説しています。
この記事を読むことで、不動産仲介業者の対応に不安を感じた場合に適切な対処法を取ることができるようになります。
目次
不動産仲介業者の対応に不安を感じる理由とは?
不動産仲介業者の対応に不安を感じるきっかけはさまざまです。
不動産仲介業者の対応に不安を感じる理由についてご説明します。
コミュニケーションが不足している
仲介業者があまり連絡を取ってくれず、または連絡を取ってくれてもあまり詳しく進捗状況などを報告してくれないことがあります。
このような場合、不動産売却を依頼している売主は不動産売却の進捗状況がよく分からなかったり、自分の要望や質問が適切に伝わっていないと感じたりするかもしれません。
問い合わせに対する返答が遅かったりあいまいだったりすることは、依頼者が不動産仲介業者に不安を抱く原因の典型例です。
また、不動産仲介業者は不動産取引の専門家であって専門的な知識を持っているため、詳しく事情を説明する必要がない、または不動産売却に関する知識について知っていて当然と考えてしまうかもしれません。しかし、依頼者は不動産取引について詳しくないことが一般的で、当たり前のことでも詳しく説明してほしいと強く感じることもあります。
このようなことが原因で、コミュニケーションの不足やすれ違いが生じてしまうと、依頼者は不動産仲介業者に不安や不信感を抱いてしまうことがあります。
仲介手数料や契約内容が詳しく説明されていない
仲介手数料や契約内容が不明確だと、これらのことは依頼者の不安を引き起こす原因となります。
特に、支払う料金の内訳や契約の細かい部分について不動産仲介業者が詳しく説明できていなければ、依頼者は必要以上に高い料金を請求されているのではないかと心配になったりこのような契約で大丈夫だろうかと不安になったりします。
不動産取引は高いお金が動く取引であるため、料金に関する部分が詳しく説明されていないことは、依頼者の大きな不安を生む原因となります。
不動産仲介業者の評判が良くない
依頼者にとっては、不動産仲介業者の評判も重要です。
過去にトラブルを起こしたことがニュースになっていたりインターネット上に残っていたり、インターネット上の口コミで悪評が目立つ不動産仲介業者に対しては、依頼者は不安を感じてしまうものです。
契約を締結する前の段階でそれらの事実が分かっていれば、依頼者もそのことを踏まえて契約を締結することができますが、契約を締結してから判明した場合には、依頼者はこのままこの業者に任せていていいのだろうかと大きく不安になってしまいます。
また、悪い評判があるということが頭にあると、ささいなことでも不適切な対応なのではないかと感じてしまうなど不動産仲介業者のちょっとした対応が不安や不信感につながりやすいといえます。
不動産仲介業者の利益を優先した対応をされる
不動産仲介業者の対応によっては、業者の利益を優先した対応をされているのではないかと依頼者が不安になることがあります。
例えば、不動産仲介業者の営業担当者が媒介契約の締結を急かしてきたり、売却の依頼を受けた物件について「囲い込み」を行って売却期間が長引いてしまったりすることがあります。
「囲い込み」とは、売却依頼を受けた不動産について手数料目当てで自社以外からの購入希望者に物件を購入させない行為をいいます。
また、数は多くありませんが、中には、さまざまな名目でお金を請求して実質的に契約や法令で定められた手数料額以上のお金を受け取ろうとする悪質な業者も存在します。
これらはいずれも不動産仲介業者の利益を優先した対応であり、このような対応をされることで依頼者は不動産仲介業者への不安を増すこととなります。
不動産仲介業者の対応に不安を感じたらどうすればいい?具体的な対処法
不動産仲介業者の対応に不安を感じた場合には、いくつかの対処法があります。
適切な対処法を取ることで、不安を取り除いたりトラブルを予防できたりすることがあります。
まずは、適切な対処法を取ってみましょう。
契約内容を再確認する
不動産仲介業者の対応に不安を感じたら、まずは不動産仲介業者との間で締結した契約内容を再確認してみましょう。
不動産仲介業者の行っている対応や行動が契約内容のとおりでなければ、契約内容に従った行動を取るように求めることができます。
また、契約内容のとおりであったとしても、そもそもその契約内容が適法なものでなければ、契約が違法であることを前提に契約の無効・取消しを主張したり損害賠償請求その他の請求をできたりすることがあります。
契約内容を再確認するにあたっては、契約書を手元に用意し、契約条項を確認しながら契約内容を一つ一つ丁寧に確認していきます。
特に、契約対象となっている物件、売却価格、契約期間、仲介手数料の定めなどといった重要な事項を重点的に確認します。これにより、契約内容が自分の理解・把握しているところと一致しているかを確認していきましょう。
契約書を再確認する中で不明な点や疑問な点がある場合には、遠慮せずに不動産仲介業者に質問して説明を求めても構いません。
契約内容があいまいなまま取引を進めると、後々トラブルの原因となる可能性もあります。
もし、不動産仲介業者がしっかりとした説明を拒絶したりあいまいな回答に終始したりする場合には、弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。弁護士のような専門家に相談することで、不動産仲介業者が契約内容に従って動いているか、契約内容が適法かどうかなどについて、法律的な側面からアドバイスをしてもらうことができます。
契約書に記載されている内容が法律に違反していないかの確認にあたっては、特に「仲介手数料が法律で定められた上限を超えていないか」という点に注意して確認してみましょう。
仲介手数料が法令の範囲内か確認する
「仲介手数料が法令の範囲内か確認する」ということは、不動産取引において基本的でありつつも重要なことです。
不動産売買の仲介手数料の上限は、法律で上限が定められています。具体的には、次のとおりです。
- ・売買価格が400万円を超える場合:売買価格(税抜)×3%+6万円(+消費税)
- ・売買価格が200万円超400万円以下の場合:売買価格(税抜)×4%+2万円(+消費税)
- ・売買価格が200万円以下の場合:売買価格(税抜)×5%(+消費税)
一般的には不動産の売買価格は400万円を超えるため、「売買価格(税抜)×3%+6万円(+消費税)」が仲介手数料の上限となることが多いです。
契約で定められている仲介手数料(または実際に請求されている仲介手数料)を確認し、これらの計算式の範囲内であるかを確認しましょう。
多くの場合では、仲介手数料はこの上限のとおり、またはその範囲内にて定められています。
この上限と同じかそれ以下の範囲内で定められているのであれば、問題はありません。
しかし、もし請求された手数料がこの上限を超えている場合は、仲介業者にその理由を尋ね、説明を求めましょう。仲介手数料とは別途支払わなければならない費用(例えば、売買契約書に関して納める印紙税など)として請求されているのであれば、その旨説明がなされるはずです。
仲介手数料という名目では法令の範囲内であるものの、その他の名目で料金を支払うように求められているということもあります。
仲介手数料とは異なる名目であっても、実質的に仲介手数料と同一であり、仲介手数料の規制を潜り抜ける脱法的な目的で請求がなされているのであれば、それは許されないと判断される可能性があります。
仲介手数料は額も大きくトラブルになりやすいものだけに、しっかりと説明を受けて納得して取引を行うようにしましょう。
また、万が一、仲介手数料が法令で定められている上限を超えているようなことがあれば、しっかりとした態度でなぜそのような契約内容となっているのか質問したり法令の上限を超えた部分は支払わないということを主張したりすることが大切です。
やり取りの記録を残す
不動産仲介業者との間で行ったやり取りをメモなどの形に記録しておくことも有効です。
万が一不動産仲介業者との間でトラブルに発展してしまった場合には、やり取りの記録がメモなどの形で残されていることで「言った言わない」の論争を防ぐことができ、客観的な証拠を残すことができます。
例えば、仲介手数料額を「売買代金の2%」まで割引すると言っていたはずなのに、いざ成約したらそのようなことは言っていないから法定の上限である「3%+6万円」を請求されたというケースがあります。割引するという書類やメモなどが一切残っていなければ客観的な証拠がないことになってしまいますが、やり取りの後にメモを残しておくだけでも、そのようなやり取りがあったことの裏付けになる可能性があります。
メモを取る際には、やり取りの内容をノートなどに簡潔かつ正確に記載するとともに、そのようなやり取りがあった日時や発言者も記載しておくようにしましょう。
また、メモのほか、やり取りの書類やメールもあればもちろん残しておくことが大切です。
分からないことは質問する
不動産仲介業者の対応に不親切な点があるなどして分からないことがあったら、まずは率直に質問してみるようにしましょう。
不動産仲介業者も、悪気があって不親切な対応をしているとは限りません。もしかすると、不動産仲介業者の側としては適切な対応や説明を果たしていると考えており、相互にすれ違いが生じているだけかもしれません。
お互いにすれ違いが生じているだけであれば、質問をして疑問点を解消することで不信感や不安が解消されることも多くあります。
不安が解消されれば、問題なくその不動産仲介業者と取引を続けることができます。
不動産仲介業者に遠慮して質問をしないでおくというのは、あまり良い対処法とは言えません。
不動産仲介業者は別に何も偉い存在ではありませんし、質問をしては失礼だということもありません。
むしろ、適宜質問をして疑問点を解消することなく自分の中で不信感や不安を大きくしていき、結果としてその不動産仲介業者との取引が破談になり、不動産の売却スケジュールに遅れが生じてしまうほうがあなたにとっても不利な結果となってしまいます。
誠意のある不動産仲介業者であれば、質問に対しては適切に回答してくれるはずです。
分からない点があれば質問し、質問への回答や態度によってその不動産仲介業者が信用できるのかを判断してみるようにしましょう。
依頼する不動産仲介業者を変更する
どうしても現在依頼している不動産仲介業者に不信感や不安があり、依頼し続けることができないと思ったら、思い切って依頼する不動産仲介業者を別の業者に切り替えるのもひとつの方法です。
仲介等の依頼は、信頼関係があってこそのものです。信頼関係が十分に維持できていない状態では、不動産の売却を成功させることは難しいです。
依頼する不動産仲介業者を別の業者へと変更することは、悪いことではありません。
契約で特に禁じられている事項であれば避けなければなりませんが、通常は不動産仲介の依頼を取り下げて別の業者に切り替えることが全面的に禁じられているということはありません。
現在依頼している不動産仲介業者が信頼できないと思ったら、別のより信頼できそうな不動産仲介業者に変更してみることも検討してみましょう。
注意しなければならないのが、安易に不動産仲介業者を変更し過ぎると不動産の売却スケジュールが遅れていく一方だということです。あまり何度も変更するのも避けたほうが無難です。
不動産仲介業者を変更すれば、基本的には不動産の売却手続きは一からのスタートとなります。
不動産仲介業者を変更することである程度不動産の売却が遅れる可能性もあるということも視野に入れつつ、それが許容できるかどうか、売却が遅れてでもより信頼できる不動産仲介業者に依頼し直したほうがいいかどうかなどを検討するようにしましょう。
他のより信頼できる不動産仲介業者を探すためには、媒介契約を締結する前によく相談して話を聞くことが大切です。
相談だけなら気軽にできるため、まずは信頼できそうな他の不動産仲介業者を探して現状を率直に相談してみるとよいでしょう。
不動産仲介業者とのトラブルをあらかじめ防ぐためのポイント
不動産仲介業者とのトラブルは、あらかじめ防ぐことができればそれに越したことはありません。
不動産仲介業者とのトラブルをあらかじめ防ぐためのポイントについてご説明します。
信頼できる仲介業者を選ぶ
信頼できる不動産仲介業者を選んで依頼すれば、トラブルの可能性を減らすことができます。
信頼できる不動産仲介業者を選ぶためには、まず、依頼を検討している業者の評判を確認しましょう。
業者の評判を確認するには、インターネット上の口コミサイトなどを活用し、過去の評価を調べましょう。
良い評価が多い業者はそうでない業者に比べて、安心して任せられる可能性が高まります。
もっとも、中には、ウェブで展開しておらず地域密着型で仕事をしているなどの理由により、信頼できる仕事をしてくれるのに口コミ総数が少ない業者もあります。
このため、悪い評価の口コミが極端に多い業者には注意するという見方をすると確実です。
次に、業者の実績を確認しましょう。
長期間にわたって同じエリアで営業している業者は、信頼できる可能性が高いです。
また、取り扱っている物件の種類や数にも注目してみましょう。さまざまな物件を扱っている業者は、顧客のニーズに応じて柔軟に対応してくれる可能性が高いです。
さらに、細かなことですが、業者の免許を確認することも忘れずに行いましょう。
宅地建物取引業の免許を持っていなければ、不動産仲介業を営むことはできません。
免許がないのに営業をしている者はほとんどいないかもしれませんが、万が一あなたが依頼しようとしている者が無免許であれば信頼して仕事を任せられません。免許番号を確認し、公的機関のデータベースで検索するなどして、免許を有することを確認しておきましょう。
最後に、実際に不動産仲介業者とやり取りをして、担当者とのコミュニケーションを通じて信頼できるかどうかを判断することも重要です。
担当者が親身になって対応してくれるか、質問に対して的確な回答をしてくれるかなどは重要なポイントです。
これらのポイントを押さえて確認することで、信頼できる不動産仲介業者を選ぶことが可能になり、安心して不動産の売却を進めることができます。
不動産取引に関する知識や情報を事前に確認しておく
不動産取引に関する知識や情報を事前に確認しておくことも大切です。
正しい知識や情報を事前に確認しておけば、不動産取引の場面で分からないことに直面する機会が減ります。
分からないことが減れば、不動産仲介業者の対応が不適切かどうかを判断しやすくなり、トラブルも防ぎやすくなります。
例えば、不動産仲介業者が明らかにおかしなことをしていれば、そのことを不審に思ってその不動産仲介業者との取引をやめようと判断しやすくなります。また、不動産仲介業者が一見しておかしなことをしているように思えても、実は正しい知識に基づけば間違ったことはしていなかったということもあり得ます。
不動産取引の経験が少なく分からないことがたくさんあるという方も多いでしょう。しかし、不動産取引をトラブルなくスムーズに進めるためには、しっかりとした知識や情報を得ておくことも大切なことです。
また、自身で知識や情報を確認していく中で分からないことや、調べきれないことについては、不動産売却に詳しい不動産コンサルタントへの相談もおすすめです。
交付された書類はしっかりと読む
不動産取引の場面では、さまざまな書類を交付されます。交付された書類は、しっかりと読んで内容を確認しましょう。
不動産仲介業者の対応について「そんなことは聞いていない」と思っても、実はすでに交付されている書類に明記されていたということもあります。もし書類に書いてあったのに不動産仲介業者にクレームを入れるようなことになれば、不要なトラブルともなりかねません。
また、書類の中にこちらに不利になるようなことが書いてあった場合には、書類をしっかり読んでいればすぐに気づいて指摘することもできます。
交付された書類をしっかりと読むことは、不動産仲介業者との間のトラブルを予防するためには不可欠です。
不動産仲介業者との契約解除の手順と注意点
どうしても不動産仲介業者が信用できず、契約を解除したいということがあるかもしれません。
不動産仲介業者との契約を解除する際には、いくつかの手順と注意点を押さえておくことが重要です。
まず、契約解除をするにあたっては、書面で通知を行いましょう。口頭での通知でも解除をすることはできますが、客観的な証拠が残らないと後からトラブルの原因となる可能性があるため、書面で解除の意思表示を行うことが重要です。
次に、契約書に記載されている解除の条件を確認します。契約書には多くの場合、どのような場合に解除できるか、解除する場合の条件は何かなど、解除に関する条項が含まれています。場合によっては、違約金などが発生することが記載されているかもしれません。このような条件を理解したうえで、解除に臨むことが大切です。
また、解除後に他の業者を選んで依頼する際には、これまでのトラブルを教訓にして信頼できる業者を選ぶことが大切です。口コミや評判をあらためて確認し、依頼する不動産仲介業者を慎重に選ぶようにしましょう。
最後に、不動産仲介業者との契約の解除にあたっては、必要に応じて専門家に相談し、アドバイスを受けるようにしましょう。
まとめ:不動産仲介業者の対応に不安を感じたら他の仲介業者への変更もあり
不動産仲介業者の対応に不安を感じたら、ためらうことなく他の不動産仲介業者への変更も視野に入れて検討をするようにしましょう。
信頼できない不動産仲介業者に不安な気持ちを抱いたまま任せておく必要はありません。
信頼できる不動産仲介業者を探すにあたっては、口コミなどを参考にしつつ、丁寧なコミュニケーションを取ってくれるかなどを確認しながら、どの不動産仲介業者に依頼するかを決めていくことが大切です。
信頼できる不動産仲介業者を選んで依頼することで、ぜひあなたの大切な不動産売却を成功させましょう。