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年金受給者が不動産売却をすると年金や税金面に影響する?

「年金を受給しているが不動産を売却すると年金や税金の面で何か影響があるのだろうか」

年金を受給しながら不動産を売却しようという方は、不動産を売却することで年金や税金の面で何か影響がないか心配になることでしょう。

もし、不動産を売却したことで年金が減ったり税金が高くなったりするのであれば生活に支障が生じるかもしれないため、このことを正確に把握しておくことは重要です。

この記事では、年金受給者が不動産を売却すると年金や税金に影響があるのかについて解説しています。

この記事を読むことで不動産売却による年金や税金への影響を正確に把握することができ、影響に備えることができます。

目次

年金の種類

年金には、次の3つの種類があります。

  • ・老齢年金
  • ・障害年金
  • ・遺族年金

年金受給者であれば、必ずこのいずれかの年金を受給しているはずです。

また、それぞれの年金には「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」のように、加入していた年金の種別に応じて支給額や支給条件などの違いがあります。

「○○基礎年金」は国民年金に加入していた人が受け取れるものであり、「○○厚生年金」は厚生年金に加入していた人が受け取れるものです。

国民年金には主に自営業者や無職の方などが加入する一方、厚生年金は会社員など雇用されて働く人が加入しています。

まずは、ご自身の受け取る年金がどのような種類の年金なのかを確認してみましょう。

老齢年金

老齢年金は、一定の年齢に達したことを原因として支払われる年金です。

老齢年金は、一定の老齢に達したために収入を得ることが難しくなることなどを理由として老後の生活を保障する目的で支給される年金です。

障害年金

障害年金は、一定の基準を満たした障害を有していることを原因として支払われる年金です。

障害年金は、障害によって日常生活や就労に支障が生じることを補う目的で支給される年金です。

遺族年金

遺族年金は、生計を支える配偶者が亡くなったことを原因として支払われる年金です。

遺族年金は、遺族の生活を保障することを目的として支給されます。

年金受給者が不動産を売却すると年金が減額される?

もしかしたら、「年金受給者が不動産を売却すると年金が減額される」という噂を耳にしたことがある方もいるかもしれません。

年金受給中に年金が減額されると生活に大きな影響が出てしまうため、心配になることでしょう。

このような噂が本当なのか、年金受給者が不動産を売却すると年金が減額されるのかについてご説明します。

原則:年金は減額されない

結論から言えば、年金受給者が不動産を売却しても、原則としてそのことが原因で年金が減額されることはありません。

これは、年金額は過去に支払われた年金保険料額などに応じて決まるものであり、不動産売却で得た所得に応じて支払われる年金額が変動することは基本的にないからです。

例外的に年金が減額される可能性があるケース

原則としては不動産売却で年金が減額されることはありませんが、例外的に支払われる年金が減額されるケースがあります。

それは、「20歳前に初診日がある障害基礎年金」を受けているケースです。

20歳前に初診日がある障害基礎年金では、その他の年金と異なり、所得に応じて支給される年金が減額または停止される制度が設けられています。

20歳前に初診日がある障害基礎年金で所得に応じて年金が減額・停止される制度が設けられている趣旨は、この年金は年金保険料を支払ったかどうかにかかわらず条件を満たす限り支給されるものであって、支払われる年金の原資が税金であることから、特に所得が高い者については年金を減額・停止することが妥当だというものです。

具体的には、20歳前に初診日がある障害基礎年金では、前年の所得額が次の額を超える場合にはそれぞれ年金が減額・停止されます。

  • ・総額の2分の1へ減額:前年の所得370万4,000円
  • ・全額の支給停止:前年の所得472万1,000円

なお、扶養する親族がいる場合には、扶養する親族1人につき所得制限の基準額が原則38万円加算されます。

例えば、20歳前に初診日がある障害基礎年金を受けている人が不動産を売却したことで1,000万円ほどの所得を得た場合には、基本的にはその翌年の障害基礎年金が全額支給停止されます。

また、例えば、不動産を売却して得た所得が少ない額にとどまる場合であっても、給与所得など不動産売却以外の原因で得た所得と合わせて年間合計400万円の所得を得ていたような場合には、基本的にはその翌年の障害基礎年金が総額の2分の1へと減額されます。

前年の所得に基づく20歳前に初診日がある障害基礎年金の支給対象期間は10月分から翌年9月分までであることから、減額・停止がなされるのは所得が基準額を超えた翌年の10月からです。

また、いったん所得が基準額を超えても所得が基準を超えているかは1年ごとに判定されるため、その次の年に基準額を超えていなければ年金は再び全額支給されることとなります。

不動産の売却で利益が出ると在職老齢年金の支給調整の対象になる?

勤務先の収入が増えると支給されている年金が減るという話を聞き、不動産の売却で利益が出た場合にも年金が減るのではないかと恐れている方もいるのではないでしょうか。

「勤務先の収入が増えると支給されている年金が減る」という話は、一定の収入が増えると支給されている年金が減額される「在職老齢年金」の制度に関連するものです。

しかし、実は、不動産の売却で利益が出てもそれ自体は在職老齢年金の支給調整(年金の減額)の対象とはなりません。

このことについてご説明します。

在職老齢年金とは

「在職老齢年金」とは、70歳未満の人が会社に就職して厚生年金保険に加入した場合や70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所に勤めた場合に適用されることのある制度です。

勤務先から一定額以上の給与・賞与を受け取っている人は、在職老齢年金の適用対象となります。

在職老齢年金が適用されると、老齢厚生年金の額と給与・賞与の額に応じて、年金の一部または全部が支給停止となります。

不動産の売却で利益が出ても在職老齢年金の支給調整の対象にはならない

不動産の売却で利益が出ても、在職老齢年金の支給調整の対象にはなりません。

これは、在職老齢年金とは厚生年金保険の被保険者であるときに給与・賞与の額に応じて年金額が調整(減額)されるものであって、不動産の売却益は給与・賞与ではないからです。

不動産の売却益がいくら多くても在職老齢年金の制度によっては年金額が減額されることはないので、この点については安心して構いません。

年金受給者が不動産を売却すると国民健康保険料はどうなる?

国民健康保険に加入している年金受給者が不動産を売却した場合には、国民健康保険料への影響についても考えなければなりません。

不動産売却の国民健康保険料への影響についてご説明します。

国民健康保険とは

国民健康保険とは、自営業者や無職の方、年金受給者などが加入する公的な医療保険です。

これに対し、会社員が加入する健康保険はいわゆる社会保険と呼ばれるもので、国民健康保険とは別物です。

国民健康保険は世帯主とその扶養家族が加入するものであり、前年の所得、加入者数、年齢に応じて年間の保険料が決まります。

年金受給者が不動産を売却すると国民健康保険料が上がる可能性がある

国民健康保険料を決める要素のひとつが、前年の所得です。

ある年に不動産を売却して利益が出たことによって所得が増えた場合には、それに応じて国民健康保険料も増えてしまいます。

例えば、毎年の所得が200万円だったとしても、不動産を売却した利益によって1,000万円所得が増えると、その年の所得は1,200万円となります。
これまでは所得200万円を前提に国民健康保険料が算出されていたのに、不動産を売却した翌年は所得1,200万円を前提にして国民健康保険料が算出されることになります。

このことにより、不動産を売却して利益が出た翌年は国民健康保険料の額が大きく上がってしまうことがあります。

年金受給者の場合には、支給される年金から国民健康保険料を差し引いて年金が支給される方式で国民健康保険料を徴収されることがあります。
この方式を「特別徴収」といい、特別徴収が原則的な徴収方法です。

これに対して、一定の場合には口座振替などの形で国民健康保険料が徴収されることがあり、この方式を「普通徴収」といいます。

国民健康保険料が特別徴収(年金からの天引き)になるのは、次の条件を全て満たしている場合です。

  • ・世帯主が国民健康保険に加入していること
  • ・世帯内の国民健康保険加入者全員が65歳以上75歳未満であること
  • ・世帯主が年間18万円以上の年金を受給しており、かつ、世帯主の介護保険料が年金から天引きされる対象となっていること
  • ・世帯の国民健康保険料と世帯主の介護保険料の1回あたりの合計天引き額が、2か月に1回支給される年金額の2分の1を超えていないこと

この条件から、もし支給される年金額が少ないのに天引きされる国民健康保険料が極端に多くなってしまうと、普通徴収(口座振替等)に切り替えられる可能性もあります。

不動産を売却したことで支給される年金に影響するのは、年金そのものが減ることではなく、年金から天引きされる国民健康保険料が多くなってしまって見た目の手取り年金額が減ってしまうことが原因です。

なお、このことは国民健康保険に加入している人についてのことであり、65歳以上でもフルタイムで働くなどして社会保険に加入している人はこのとおりとはなりません。

社会保険の健康保険料は毎月の給与等によって決まり、給与ではない不動産の売却益によっては左右されません。

原則75歳以上が加入する後期高齢者医療制度とは

原則75歳以上の方は、「後期高齢者医療制度」に加入して医療給付等を受けます。
これは国民健康保険などとは別の制度です。

後期高齢者医療制度の保険料も、所得に応じて決まります。
このため、不動産の売却によって利益を得てその年の所得が上がれば、翌年の保険料も上がることになります。

また、保険料が原則として特別徴収によって年金から天引きされることも同様です。

このことにより、国民健康保険に加入している方と同様に、保険料が上がることで手取りの年金額が減るという影響を受けることがあります。

年金受給者が不動産を売却すると税金はどうなる?

年金受給者であっても、不動産を売却して利益を得た場合には、税金を支払わなければなりません。

不動産を売却して利益を得た場合の税金についてご説明します。

譲渡所得にかかる税金とは

不動産を売却して得た利益(売却益)のことを、税法上「譲渡所得」といいます。

譲渡所得には、不動産の所有年数に応じて定められた税率で計算した税金(所得税・住民税)がかかります。

譲渡所得にかかる税金の計算方法

譲渡所得にかかる税金の額は、次の式により計算することができます。

  • ・譲渡所得=譲渡収入−取得費−譲渡費用
  • ・課税譲渡所得=譲渡所得−特別控除
  • ・税額=課税譲渡所得×税率

「譲渡収入」とは、不動産の売却代金のことです。

「取得費」とは、不動産を取得するために要した費用のことで、土地の購入費用などが該当します。

「譲渡費用」とは、不動産を譲渡するために要した費用のことです。

「特別控除」は、実際にかかる税額を軽減するために一定の金額を課税対象から差し引く制度のことで、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」などがあります。

税率は、不動産の所有期間に応じて2種類に分かれており、次のとおりです。

  • ・所有期間が5年以下の場合(短期譲渡所得):39.63%(所得税:30.63%、住民税:9%)
  • ・所有期間が5年超の場合(長期譲渡所得):20.315%(所得税:15.315%、住民税:5%)

このように、税率は5年という所有期間を境にして、長く保有していれば税率が下がるというしくみになっています。

譲渡所得にかかる税金を減らせる特別控除とは

譲渡所得にかかる税金を減らせる特別控除には、いくつかありますが、そのうちマイホームを売却した場合に使えるのが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。

これは、マイホーム(居住用として使用していた家屋・敷地等)を売却した場合に一定の条件を満たせば、最大3,000万円までを課税譲渡所得から差し引くことができる特例です。

現に住んでいるマイホームを売却した場合や住まなくなってから3年が属する年の12月31日までにマイホームを売却した場合などには、この特例の適用を受けることができます。

売却によって譲渡所得が生じても最大3,000万円までであれば税金がかからなくなるため、マイホームを売却した場合にはこの特例の適用を受けられないか積極的に検討することがおすすめです。

譲渡所得が生じたら確定申告が必要

譲渡所得が生じた場合には、確定申告をしなければなりません。

確定申告は、譲渡所得が生じた年の翌年の確定申告期間に行います。

確定申告期間は、例年2月16日頃から3月15日頃までです(暦などの都合により変わることがあるので、確認が必要です)。

確定申告の手続きでは、実際に生じた譲渡所得の金額等や納めるべき税額を計算したうえで申告書を作成して申告し、納税します。

特別控除の特例の適用を受けられるために譲渡所得が発生しているものの課税譲渡所得はゼロになるという場合でも、確定申告をすることが特例の適用を受けるための条件であるため、必ず確定申告をしなければなりません。

確定申告は、自分で行うものであり、税務署側で税額を計算してくれたりするものではありません。
しかし、ご自身で計算・申告を行うことは難しく負担も大きいことが多いです。

ご自身で確定申告を行うことが難しい場合には、税理士のような税の専門家に相談・依頼し、確定申告手続を代行してもらうこともできます。

年金受給者が不動産を売却するときの注意点

年金受給者が不動産を売却するときの注意点についてご説明します。

住民税は翌年に後払いで請求される

住民税は、所得が発生した翌年に後払いの形で請求されます。

例えば、ある年に不動産の売却益が生じ、所得税・住民税を納めなければならなくなった場合には、翌年の確定申告後に住民税額が確定し、翌年中に住民税を納めます。

所得税は確定申告の時に納めますが、住民税はさらにその後に納めることとなります。

住民税を納めるのは不動産売却の時や確定申告の時ではないので、注意しましょう。
確定申告はあくまでも所得税に関する申告であり、住民税とは別物です。

確定申告を無事に済ませてこれで手続きが全て終わったと思って住民税のことを忘れていると、後から思ってもいない住民税の納付に驚いてしまうこともあるので、住民税のことを忘れないようにすることが大切です。

確定申告を忘れると特別控除の適用を受けられない

特別控除の特例の適用を受ける条件のひとつに、確定申告を行うことがあります。

確定申告を行わなければ特別控除の適用を受けられません。
もし特別控除の適用が受けられなければ、その分だけ税金が減額されないこととなるので、十分に注意する必要があります。

ここまでにご紹介した計算式で計算して「譲渡所得」(「課税譲渡所得」とは異なります)が発生する場合には、必ず確定申告を行うようにしましょう。

また、確定申告は期限内に行わなければならないため、期限をしっかり守ることも大切です。

確定申告を忘れるとペナルティとしての税金が課せられることがある

確定申告を忘れていたり意図的に確定申告をしないでいたりすると、ペナルティとしての税金が課せられることがあります。

確定申告をしないでいた場合に課せられるペナルティとしての税金には、無申告加算税や延滞税などがあります。
これらの税金は本来納めなければならなかった税金に加えて納めることとなるので、その分税金の負担が増えることとなります。

「確定申告をしないでいても税務署にはばれないのでは?」と安易に考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、無申告は必ず税務署にばれると思っておいたほうがいいです。

税務署は、さまざまな手段で情報を集めており、不動産を売却したことも登記などから把握することができます。

不動産を売却した直後には何も税務署から連絡がなかったとしても、忘れた頃に税務調査が実施されて無申告が税務署に発覚してしまうこともあります。

確定申告をしなくてもばれないと安易に考えることは決してしないようにして、必ず期限までに確定申告を行うようにしましょう。

不動産売却で得た利益は適切に活用・運用することが大切

不動産売却により、多くの利益を得られることも多いでしょう。

そのような利益は、適切に活用・運用することが大切です。

特に、年金受給者であれば収入が限られていることも多く、不動産の売却益は貴重な収入です。
安易に浪費してしまわないことが大切です。

また、不動産の売却によって得たお金を投資に回そうという場合も、無理な投資や怪しい投資に注ぎ込んでしまわないように十分に注意することが大切です。

不動産売却で得たお金の使い道が分からない場合には、税理士・弁護士やFPなどの専門家に相談してみるのもひとつの方法です。

まとめ:年金受給者の不動産売却は国民健康保険料や税金に影響する

年金受給者が不動産を売却すると、基本的には年金額そのものには影響しません。

しかし、不動産の売却によって利益を得た場合には、翌年の国民健康保険料が上がったり譲渡所得にかかる税金を納めなければならなかったりするなど、国民健康保険料や税金に対する影響が生じることがあります。

この結果、年金から天引きされるお金が増えたり自分で納めるお金が発生したりして、間接的に得られる年金額が減るなどのことが生じます。

不動産を売却して得たお金を全て使い果たしてしまうと、後から年金額が減ったり税金を納めたりする必要が生じてかえって生活に負担が生じることにもなりかねません。

不動産売却により直接的に年金額が減るわけではありませんが、このような影響があることも考慮して、不動産を売却して得たお金は大切に使うようにしましょう。

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