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相続対策といえば不動産活用 不動産活用の基本の「き」

不動産の時価と相続税評価額との違いに着目した相続対策を上手に組み入れれば、大きな節税メリットが期待できます。

今回の記事では、不動産を活用した相続対策の基本について解説します。

相続税の計算方法

不動産活用による相続対策を理解する前提として、まず相続税の課税額計算の基本を解説します。

課税額の計算方法

相続税額は各相続人の課税遺産総額に税率を適用して算出します。

相続税の税率は遺産総額が多いほど税率が上がる超過累進税率を採用しており、最低税率が5%なのに対して最高税率55%に達します。

例えば各相続人の遺産総額が3000万円なら課税額が300万円にとどまるのに対し、10倍の3億円だと課税額は10800万円と36倍に達します。

つまり税負担は3.6倍重くなります。

これは、遺産総額を抑えることがいかに節税につながるかを証明しています。

<算式>
相続税額=A各相続人の課税遺産総額×超過累進税率

(超過累進税率)

各相続人の遺産総額税率控除額
1,000万円以下0.1
3,000万円以下0.1550万円
5,000万円以下0.2200万円
1億円以下0.3700万円
2億円以下0.41,700万円
3億円以下0.452,700万円
6億円以下0.54,200万円
6億円超0.557,200万円

課税遺産総額の計算式

相続により取得した財産・債務の課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて計算します。

基礎控除額が合計額を上回れば、相続税は課税されません。

<算式>
A課税遺産総額=B相続により取得した財産・債務の課税価格合計額-基礎控除額
(基礎控除額)
3000万円+600万円×法定相続人の数

課税価格の合計額の計算式

相続により取得した財産の課税価格の合計額から債務・葬式費用の金額を控除して計算します。

<算式>
相続により取得した財産の課税価格の合計額-債務・葬式費用の金額

相続税課税価格=取引価格ではない

財産の相続税課税価格(相続税評価額)は、取引価格に基づき計算されるのが原則です。

例えば金融資産の相続税評価額は、不特定多数の投資家が参加する取引市場において形成された客観的な上場価格に基づき算定されます。

ところが相対で取引されるのが大部分の不動産は、ニーズの個別性も強いうえに買主・売主の事情も絡んでくるため、公正な市場価格の把握が容易ではありません。

そこで相続税関連法令(相続税法・措置法・財産評価通達)では、不動産に関して独自の評価額算定ルールを設けています。

算定ルールに基づく不動産の相続税評価額と、取引価格との間には、大きなずれが生じています。

そしてこの「ずれ」を利用すれば、大きな節税効果が期待できます。

さらに債務控除分の活用により、さらに節税効果を大きくできるのです。

不動産の取引価格と相続税評価額のズレをよぶ3つのポイント

ではなぜ、このずれは生じるのでしょうか?そこには3つのポイントがあります。

土地・建物の評価額算定方法

土地(市街地所在)の相続税評価額は路線価に敷地面積を乗じて計算、さらに角地かそうでないか、土地の形質(傾斜地・不整形・三角地)などが加味されます。

路線価は市街地の公道(国道・県道・市道等)に沿って賽の目状に定められた1㎡当たり宅地価格であり、の各国税局が毎年1月1日の路線価を7月頃に公開します。

路線価は鑑定評価額・売買実例価格・公示地価(国土交通省)をベースに、概ね8割前後で設定されます。

建物の場合は、市町村長が計算した固定資産税評価額がベースです。

固定資産税評価額は再調達価格、すなわちもう一度建築したならいくらかかるかを積算という方法によって算定します。

固定資産税評価額は、取引価格の5-6割前後で設定されます。

つまり現金1億円で土地を買えば、相続税評価額は1億円×0.8=8000万円まで圧縮されます。

小規模宅地等の課税価格の特例

遺族にとっての生活基盤である持ち家や店舗に対しては、小規模のものに限り税負担が軽くなるよう特例が設けられています。

具体的には、被相続人(又は被相続人と生計を一にしていた親族)が事業の用(貸付事業を含む)または居住の用に供していた宅地で一定の条件をクリアするものに対しては、一定の限度面積まで課税価格の評価減が認められています。

<一定の条件>
小規模宅地等の課税価格の特例を受けるには、取得者要件・保有継続要件・事業(居住)継続要件の3つを満たさなければなりません。

宅地の区分取得者保有継続要件事業(居住)継続要件
被相続人が事業の用に
供していた宅地等
親族引き継ぎ時から申告期限までの保有引き継ぎ時から申告期限までの事業継続
生計一親族が事業の用に
供していた宅地等
生計一親族引き継ぎ時から申告期限までの保有相続開始時から申告期限までの事業継続
被相続人が居住の用に
供していた宅地等
配偶者なしなし
配偶者以外の同居親族引き継ぎ時から申告期限までの保有相続開始時から申告期限までの居住継続
別居親族(持ち家無し)引き継ぎ時から申告期限までの保有引き継ぎ時から申告期限までの居住継続
生計一親族が居住の用に
供していた宅地等
配偶者なしなし
配偶者以外の生計一親族引き継ぎ時から申告期限までの保有相続開始時から申告期限までの居住継続

<限度面積及び評価減割合>

宅地の区分限度面積評価減割合
事業用宅地(貸付事業以外)400㎡0.8
事業用宅地(貸付事業)200㎡0.5
居住用宅地330㎡0.8

賃貸オフィス・アパート・マンションの評価

賃貸物件は、所有者にとって物件の利用が制限されるため、その分は自用地・自用建物に比べて相続税評価額が抑えられています(貸地の場合も同様です)。

<貸家の評価>
自用建物としての相続税評価額×(1-借家権割合)

<貸家建付地の評価>
自用地としての相続税評価額×(1-借家権割合×借地権割合)

借家権割合は30%、借地権はエリアによって異なりますが30%から90%の間とされ国税局が路線価と共に指定します。

路線価図を見ると、路線価の横に例えば「300C」と記されていますが、このCが借地権割合で70%を意味します。

融資利用による相続税評価額圧縮

更地にアパートを建築しただけでも相続対策にはなりますが、融資を利用することにより更に相続税評価額を圧縮できます。

例えば1億円(200㎡)の更地に5000万円の借金をしてアパートを建てた場合をシミュレーションします(借地権割合は0.6とする)

A貸家建付地:10000万円×(1-0.6×0.3)=8200万円
B小規模宅地等の評価減:A×200㎡/200㎡×0.5=4100万円
C貸家:5000万円×(1-0.3)=3500万円
相続税評価額=A-B+C-債務5000万円=2600万円

まとめ

不動産の相続税評価額と取引価格のズレを活かし、かつ融資を組み入れた相続対策が効果的なのは間違いありません。

最後に、不動産を活用した相続対策のリスクについて説明します。

例えば銀行から融資を受けてアパートを建てれば確かに相続税は圧縮できますが、空き室が出たり目論見通りの家賃が設定できなかったりすれば、赤字になるだけではなく融資の返済にも支障をきたします。

立地条件・競合物件の有無・需給動向をきちんと見据えないと、痛い目に遭いかねません。

さらに、こうした賃貸物件は土地・建物の利用が制限されるので、一般的には「足が遅い」とされています。

イザというとき売るに売れず、塩漬けということにもなりかねません。

税制改正の動向にも、注意が必要です。

例えば、かつて人気のあった広大地をつかった相続対策は、税制改正により使えなくなりました。

相続対策の検討に当たっては、こうしたリスクもきちんと加味しなければならないのです。

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