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【誰も住まない実家】相続してはいけない理由と活用・処分方法を解説

この記事でわかること

  • 住まない実家を相続してはいけない理由がわかる
  • 住まない実家の活用方法、処分方法がわかる
  • 相続放棄するときの注意点がわかる

住む予定のない実家を相続する場合、金銭面の負担の他にも様々なトラブルの原因となる可能性があるため、注意が必要です。

誰も住まない実家には、処分または、有効活用の他相続放棄といった色々な対処方法があります。

対処方法については、親族で慎重に検討する必要があるでしょう。

本記事では、誰も住まない実家を相続してはいけない理由、活用方法や処分方法、相続放棄する際の注意点を解説します。

相続する実家がある人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

住まない実家は相続してはいけない理由7つ

住まない実家を相続してはいけないと言われる理由は、以下の7つです。

  • 相続税の負担が増える可能性がある
  • 固定資産税がかかる
  • 更地にした場合は固定資産税が増額される
  • 維持・管理の手間がかかる
  • 放置すると様々なリスクがある
  • 特定空き家に指定される可能性がある
  • 相続トラブルの原因となる可能性がある

それぞれ解説します。

相続税の負担が増える

誰も住まない実家を相続した場合は「小規模宅地等の特例」が受けることができないため、相続税の負担が増えます。

小規模宅地等の特例とは、高額な相続税の負担によって残された家族が自宅を手放さなくて済むように創設された制度です。

土地の評価額を8割まで減額できるため、相続税の負担が軽くなります。

しかし、この特例を受けるためには一定の条件を満たす必要があります。

特例を受けるための条件は以下の通りです。

  • 被相続人の配偶者や同居していた親族
  • 相続前3年以内に国内の自己や親族などの持ち家に居住したことがない

3年以上賃貸暮らしをしている親族を対象にしていることから「家なき子特例」と呼ばれています。

固定資産税がかかる

実家を相続すると誰も住んでいなくても、毎年固定資産税がかかります。

固定資産税額を算出する計算式は、以下の通りです。

固定資産税額=固定資産税評価額×1.4%(標準税率)

固定資産税評価額は、土地や建物の時価の約7割とされており、自治体の調査によって決まります。

固定資産税には減税制度がありますが、誰も住まない実家には適用されません。

減税制度が適用されない固定資産税は、高額になる可能性があるため注意が必要です。

さらに実家が都市計画区域にある場合は、都市計画税も加算されます。

誰も住んでいない実家でも、毎年1月1日時点での所有者にはこれらの税金を納める必要があります。

立地条件がよく、価値が高い実家や土地の面積が広い場合は注意しましょう。

更地にした場合は固定資産税が増額される

誰も住まない実家を放置するリスクを回避するために、更地にする方法があります。

しかし、更地にした場合は特定空き家に指定されたときと同様、固定資産税の軽減措置が受けられません。

「住宅用地の特例制度」の対象外となるため、固定資産税が6倍に増額されます。

住宅用地の特例とは、住宅を建てることによって固定資産税が更地のときと比べて6分の1に減額される制度です。

解体費用も発生するため、更地にするだけではデメリットのほうが大きいでしょう。

維持・管理の手間がかかる

誰も住まない実家でも維持・管理をする必要があります。

定期的に清掃をする場合には、電気や水が必要になるため、契約をやめることはできません。

電気代や水道代の基本料金が毎月かかる他、遠方にある場合は交通費や宿泊費がかかることもあるでしょう。

また、管理する時間がない場合や実家が遠方にある場合は、不動産会社に管理を委託することも可能です。

しかし、管理を委託する場合は毎月定額を支払う必要があるため、負担が増えることになります。

放置すると様々な危険がある

実家を管理せず放置すると、起こりうる危険は以下の通りです。

  • 倒壊の恐れがある
  • 放火・火災の危険がある
  • 犯罪が発生する可能性がある

それぞれ解説します。

倒壊の恐れがある

相続した実家は築年数がかなり経過しているものが多いため、老朽化が進んでいるでしょう。

家の外壁のひび割れや屋根の劣化によって雨漏りが発生し、木材が腐っている可能性もあります。

柱や梁などの躯体部分にダメージがある場合は、倒壊する恐れがあるため危険です。

また、相続した実家は古い建物が多いため、旧耐震基準で建てられている可能性があります。

地震によって倒壊する危険もありますので注意しましょう。

倒壊はしなくても、建物が壊れたことによって通行人や隣の家に損害を与えてしまった場合は、実家の所有者が損害賠償責任を負うことになります。

放火・火災の危険がある

実家を放置することによって、放火の可能性だけでなく、自然発火による火災の危険があるため注意が必要です。

コンセントプラグのトラッキング現象が自然発火する要因として挙げられます。

トラッキング現象とはコンセントとプラグの隙間にあるホコリが湿気を吸収することで漏電、発火する現象です。

相続した実家は、中にある家電類を把握しないまま放置されているケースが多くみられます。

防犯用にセンサーライトをつけている場合など、誰もいなくても電気を使用している家は自然発火の可能性があるため注意しましょう。

犯罪が発生する可能性がある

相続した実家を放置すると、外から見て誰も住んでいないことが判断されやすくなります。

不審者が住みつくことや、犯罪の拠点として使用される恐れがあるため、注意しましょう。

過去には振り込め詐欺の拠点とされるなど、近年誰も住んでいない実家を放置したために犯罪に使われるケースが増加しています。

社会に迷惑をかけることにつながるため、誰も住まない実家を相続した場合は早めに対処することをおすすめします。

特定空き家に指定される可能性がある

先述の通り、誰も住まない実家を放置すると様々な危険がありますが、自治体からも「特定空き家」に指定される可能性があります。

特定空き家とは、そのまま放置することが不適切である状態にあると認められる空家のことです。

特定空き家に指定され、自治体からの命令に違反した場合は50万円以下の罰金が科されます。

また、固定資産税の軽減措置も受けられなくなり、固定資産税額が最大6倍になる可能性があるため、注意が必要です。

特定空き家の指定を回避するには、適切に実家を管理し続けなければいけません。

適切に管理するには手間も費用もかかるため、早めに対処したほうがいいでしょう。

相続トラブルの原因となる可能性がある

一般的に、相続財産のうち実家の評価額が占める割合は高いため、遺族でトラブルになりやすい傾向にあります。

実家の相続人は他の相続人と比べて、多くの財産を相続することになる場合が多いでしょう。

公平な相続ができず、また「親の面倒をみていたか」などで相続争いに発展する可能性があるため、注意が必要です。

相続トラブルにならないためにも、親族で慎重に話し合う必要があるでしょう。

住まない実家の活用・処分方法

それでは、誰も住まない実家はどのように対処したらよいのでしょうか。

具体的な活用方法や処分方法を紹介します。

売却する

実家のある場所によって変わりますが、ある程度需要が見込める場合は売却しましょう。

親族で話し合い、売却することに決まった場合は、相続登記をしておくことをおすすめします。

相続登記とは、家の所有者が亡くなったときに、名義を相続人に変更する手続きのことです。

家の売却には相続登記が完了していることが不可欠なため、頭に入れておきましょう。

それでは、具体的な売却方法を紹介します。

そのまま売却する

誰も住まない実家を売却する場合で、手間と費用をかけたくない人はそのまま売却することをおすすめします。

解体費用などがかからず、面倒な打ち合わせ等もないため、すぐに売却活動が始められるメリットがあります。

注文住宅で家を建てたい人は、土地探しで苦労していることが多いです。

希望するエリアで土地がない場合は、古家付きの土地を購入、解体して注文住宅を建てることを検討します。

立地条件がよい場合など需要が見込めるエリアであれば、注文住宅を検討している人に売れる可能性があります。

また、実家の築年数が20年未満であれば、簡易的なリフォームをして中古住宅として売却することも可能です。

ただ、キッチンなどの水回りの住宅設備を交換するような大がかりなリフォームは高額になるため、おすすめしません。

更地にして売却する

実家を解体することによって更地にすることも売却方法の1つです。

先述した注文住宅の検討者で解体するのが面倒な人や急いでいる人には向いているため、そのまま売却するより早く売却できる可能性があるでしょう。

建物の構造や老朽化具合によって変わりますが、築25年以上であれば実家を解体、更地にして売却することをおすすめします。

また、先述の通り、実家を解体する時期には注意が必要です。

1月2日以降に解体し、早めに売却するようにしましょう。

不動産買取業者に売却する

実家を不動産買取業者に買取してもらうことも可能です。

手間や費用をかけずに実家を手放したい人には、おすすめの方法と言えます。

しかし、不動産買取金額の相場は市場価格の6~8割となるため、手元に残る金額が少なくなることは覚悟する必要があります。

賃貸に出す

実家に思い出があるため売却したくない場合で、立地条件や建物の状態がよければ賃貸に出して家賃収入を得られる可能性もあります。

戸建て賃貸物件は子供がいるファミリー層に人気で、一度入居が決まれば長期間住み続けることも少なくありません。

賃貸に出すためにリフォームした場合でも、充分費用の回収が見込めるでしょう。

人が住むことになると家の劣化を防ぐことができ、放置すると起こりうる様々な危険から回避することができます。

また、固定資産税などの維持・管理するための費用も軽減できるため、誰も住まない実家を管理するよりもメリットは大きいでしょう。

しかし、築年数の経過した家を維持するには、定期的なメンテナンスと修繕が必要になるため、注意が必要です。

建物を解体し有効活用する

建物を解体し、有効活用することも可能です。

具体的な活用方法は以下の通りです。

  • アパート経営
  • 戸建て賃貸経営
  • 駐車場経営
  • トランクルーム経営
  • 民泊経営

それぞれ解説します。

アパート経営

相続した実家を活用して積極的に収益をあげたい場合は、アパート経営がおすすめです。

アパート経営は複数の借主から家賃が得られるため、リスクを分散しながら運用できます。

敷地の広さにもよりますが、戸建て賃貸に比べて、毎月入る家賃も多くなるでしょう。

また、アパート経営には相続税を抑えられるメリットもあります。

実家をアパートに建て替えることで、貸家建付地の扱いとなるため土地の固定資産税評価額を抑えることができます。

貸家建付地とは、アパートなどの貸家の敷地の用に供されている宅地のことで、自宅用として使っている場合と比べて4割で評価されます。

しかし、アパート経営のデメリットとして、入居率や家賃が下落するリスクがあります。

アパート経営は、周辺の住宅供給量や入居者の需要によって大きく左右されます。

周辺の賃貸物件と比べて、立地条件や建物の仕様が劣ってきた場合には家賃を下げるなどの対応をする必要があります。

戸建て賃貸経営

実家を解体して、新しく賃貸用の戸建て住宅を建てることも可能です。

アパートに比べるとローンを組む金額も少なくなるでしょう。

実家を賃貸に出す場合と同様に、戸建て賃貸はファミリー層には一定の需要があり、長期間の入居を望むことができます。

しかし、一家族のみのため管理がしやすい反面、次の借り手が決まらない場合は無収入になるため注意しましょう。

複数の借り手がいるアパートに比べ、リスクが高いことは覚えておきましょう。

駐車場経営

駐車場経営も土地の有効活用の1つです。

立地によって、月極駐車場とコインパーキングのどちらが適しているか変わるでしょう。

駐車場経営は土地の広さや形にとらわれにくいことが魅力と言えます。

少ない初期費用でスタートでき、管理費用も安いためアパート経営と比べ、リスクは低いでしょう。

しかし、家が建っていないため固定資産税は高いままで、収益も少ないため経費とのバランスを考慮する必要があります。

トランクルーム経営

駐車場と同じく、更地にして活用する代表的な方法です。

トランクルームを設置するだけのため、比較的簡単に始めることが可能です。

将来的に別の活用をする場合も容易に転用できるでしょう。

しかし、トランクルームは利用する人が少ないことがデメリットと言えます。

居住する目的ではないため、騒音や日当たりなどは考慮する必要はありませんが、車で利用しやすく一定の需要が見込まれる立地条件が必須となります。

トランクルーム業者が一括借り上げしてくれる場合は、リスクが低くなるでしょう。

民泊経営

実家が観光地に近い場合など立地条件は限られますが、民泊経営することも可能です。

実家をそのまま使用できるため、賃貸として貸し出すよりも初期費用は少なくて済むでしょう。

しかし、民泊新法では、年間宿泊日数の上限が180日と制限されているため、収入は安定しません

外国人観光客の出入りによって近隣住民とトラブルになる可能性があるため、注意しましょう。

寄付する

なかなか売却することができない場合や土地活用できない場合は、寄付することによって実家を手放すことができます。

主な寄付先は以下の通りです。

  • 自治体
  • 個人
  • 法人

それぞれ解説します。

自治体

寄付先としては、まず自治体が挙げられます。

しかし、自治体は具体的に使用することがなければ寄付として受け取ってくれないため、注意が必要です。

自治体にとって固定資産税は重要な収入源であるため、不要な土地を受け取ることによって収入が減ることが理由となります。

個人

実家の隣地の所有者であれば、寄付に応じてくれる可能性があります。

隣地であれば有効活用しやすく、売却するときもまとめてできるため、メリットは大きいでしょう。

しかし、隣地の所有者に寄付すると贈与税がかかるため、注意が必要です。

法人

法人であれば、社宅や資材置き場などで活用してくれる可能性があります。

一般企業の他、学校などの社団法人であれば可能性が高いでしょう。

実家を相続放棄するときの注意点

実家に誰も住む予定がなく、有効に活用できない場合は、相続放棄も1つの選択肢となります。

相続放棄することにより、維持・管理する手間や費用、放置するリスクはなくなるでしょう。

しかし、相続放棄はマイナスの財産だけでなく、プラスの財産も一切相続しないため、注意が必要です。

具体的な注意点は以下の通りです。

3か月以内に手続きする

相続放棄は、家庭裁判所に相続を放棄することを申し立てる必要がありますが、被相続人が亡くなってから3か月以内に手続きしなければなりません。

原則として3か月以内に手続きしないと相続放棄できませんが、借金の存在を後から知った場合は例外として、期限を過ぎても可能になります。

期限内に間に合わなそうな場合は、裁判所に期間の延長を申し立てることは可能ですが、正当な理由を提示し認められる必要があります

相続放棄を検討している場合には、土地の活用方法などを親族で早めに話し合う必要があるでしょう。

相続財産管理人を選ぶ

相続人全員で話し合い、相続放棄することになった場合は「相続財産管理人」を選ぶ必要があります。

相続財産管理人とは、遺産を管理する人です。

しかし、相続人全員が相続放棄しても、すぐに財産管理をする必要がなくなるわけではないため、選ぶタイミングには注意が必要です。

相続財産管理人が管理を始めるまでは、最後に相続放棄した人が自己の財産と同じく相続財産の管理をしなければなりません。

実家のみの相続放棄はできない

先述の通り、相続放棄とは相続人が相続財産を放棄することです。

相続財産は、実家などの不動産の他、預貯金や有価証券、自動車などの動産も含みます。

実家を相続放棄する場合はすべての財産も放棄することになるため、慎重に判断する必要があるでしょう。

国へ返すこともできる

2023年4月27日から施行された相続土地国庫帰属制度によって、誰も住まない実家を国に返還できるようになりました。

相続土地国庫帰属制度とは、相続などによって土地を相続した人が一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡すことができる制度です。

相続土地国庫帰属制度の申請時に却下されるケースは、以下の通りです。

  • 土地に建物が建っている場合
  • 土壌汚染が確認された場合
  • 抵当権などの担保権や使用収益権が設定されている場合
  • 境界がはっきりしていない場合
  • 所有権の争いがある場合

上記の条件に該当していなければ申請可能ですが、一定の高さの崖がある場合など不承認になるケースもあるため、注意しましょう。

また、宅地では20万円(10年間分の土地管理費用)を負担する必要があり、解体費用もかかるため、相続財産を含めて相続放棄するか検討しましょう。

参考:相続土地国庫帰属制度|法務省

まとめ

現在では相続した実家が空き家となり、社会問題に発展しています。

これから実家を相続する予定がある人は、実際に相続するときまでにどうするかを考えておく必要があるでしょう。

誰も住まない実家を相続することには、様々なリスクが伴います。

しかし、立地条件や実家の建物の状態次第では、売却や土地の有効活用により金銭面でプラスの効果をもたらします。

後悔することがないように、親族で慎重に話し合いをすることをおすすめします。

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