3,000万円で土地を売却したときの税金はいくら?節税方法や控除・特例も解説
この記事でわかること
- 3,000万円で土地を売却したときにかかる税金がわかる
- 3,000万円で土地を売却したときの所得税・住民税を計算する流れがわかる
- 3,000万円で土地を売却したときに使える控除や特例がわかる
所有する土地の売却を検討している人にとって、売却した際にかかる税金がいくらぐらいになるのかという点は、非常に気になるポイントといえるでしょう。
特に、初めて土地を売却しようとしている場合は、課税される税金の種類を把握していないケースも多く、税金の負担に不安を感じている人も少なくないかもしれません。
本記事では、3,000万円で土地を売却した場合にかかる税金について、税額の目安や、押さえておくべき節税方法、適用可能な控除や特例などについて、徹底解説していきます。
3,000万円程度の土地の売却を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
3,000万円で土地を売却したときにかかる税金
実際に3,000万円で土地を売却した場合、負担しなければならない税金はいくらぐらいになるのでしょうか。
ここでは、3,000万円で土地を売却したときにかかる主な税金を4つ挙げ、それぞれの税額の目安などについて解説していきます。
売却時にかかる税金の種類を把握しておくことで、イメージをしっかりと掴んでおきましょう。
所得税
3,000万円で土地を売却した際にかかる税金のうち、メインとなる税金ともいえるのが、所得税です。
所得税は、土地の売却によって利益が生じた場合において、その利益分に対して課税される税金となっています。
つまり、売却価格が3,000万円であっても、そこから取得費などを差し引いた結果利益が生じていなければ、所得税は課税されません。
所得税が実際にいくらかかるのかを知るためには、売却によって得た利益分、つまり譲渡所得を計算した上で、特定の税率を掛けて算出します。
詳しい計算方法については後ほど解説するので、まずは所得税がかかるということを理解しておきましょう。
なお、土地の売却によって発生する所得税は、売却した翌年の確定申告の時期に支払います。
そのため、売却したタイミングによっては、売却してから所得税を支払うまで長い期間が空いてしまうケースもよくあるので、忘れないように注意しましょう。
住民税
3,000万円で土地を売却すると住民税もかかるのが一般的であり、所得税とセットで覚えておくべき税金といえるでしょう。
住民税は、所得税と同様、土地の売却により生じた利益に対して課税される税金です。
ただし、所得税に比べると、税額を計算する際に用いる税率が低く、実際に負担する税額も所得税よりは安くなります。
生じた利益に税率を掛けるという計算方法も所得税と似ているのですが、支払い方法及び支払いの時期が所得税とは大きく異なるポイントとなっているので、正しく把握しておくよう注意しましょう。
住民税は、売却した翌年の6月から支払うことができるようになります。
支払い方法は、会社員の場合と自営業者などの場合とで異なり、会社員の場合は給与からの天引き、給与が発生しない自営業者などの場合は自宅に届く納付書によって自分で支払い手続きを行います。
復興特別所得税
平成25年から令和19年までの期間内に3,000万円で土地を売却した場合は、復興特別所得税という税金もかかります。
復興特別所得税は、平成23年に起こった東日本大震災により被害を受けた地域のために、復興資金を集めることを目的としてできた税金です。
課税されるのは特定の期間に限られていて、税額の計算は、所得税に一律2.1%を掛けることで算出できます。
印紙税
3,000万円で土地を売却し、買主との間で売買契約書を交わすと、印紙税という税金が課税されます。
印紙税は、土地の売買契約書を作成する場合に必ず課税される税金です。
印紙税の支払いは、現金ではなく、契約書に必要な税額分の印紙を貼り付けて行います。
また、税額については、売買契約書の中に記載されている金額に応じて決められ、売買価格が3,000万円の場合は1万円の印紙税となります。
ただし、軽減税率の対象期間外となる令和6年4月以降に売却する場合は、税額が2万円となってしまうので注意が必要です。
3,000万円で土地を売却したときの所得税・住民税を計算する流れ
3,000万円で土地を売却したときにかかる税金のうち、所得税及び住民税は、税額を把握するための計算方法がやや複雑となります。
そのため、支払う税額を自分で正しく把握するためには、計算する流れをきちんと理解しておいたほうがよいでしょう。
ここでは、3,000万円で土地を売却した場合における所得税及び住民税の計算方法について、流れ別にわかりやすく解説していきます。
譲渡所得を計算
3,000万円で土地を売却した場合における所得税及び住民税を計算するためには、まず計算のもととなる譲渡所得を把握する必要があります。
譲渡所得とは、土地の売却によって得た利益分のことで、実際の売却価格から、土地を取得するために要した費用や売却する際にかかった費用を差し引くことで算出が可能です。
具体的には、土地を取得するために要した費用とは土地の購入代金や、購入時に支払った各種税金などのことをいいます。
また、売却する際にかかった費用としては、売却を依頼した不動産業者に対して支払った仲介手数料や、売却するために建物を取り壊した場合の解体工事費用などが含まれます。
実際に、3,000万円で土地を売却したケースで、譲渡所得を計算してみましょう。
ここでは、土地の取得費用が2,100万円、売却時にかかった費用が500万円であったと仮定して計算していきます。
この場合の譲渡所得は、売却価格3,000万円-(取得費用2,100万円 + 売却時にかかった費用500万円)=400万円となります。
所有期間を確認
譲渡所得を把握することができたら、売却時における土地の所有期間を確認しましょう。
なぜ所有期間を確認するのかは、土地の所有期間によって所得税及び住民税の算出時に用いる税率が異なるからです。
売却時における土地の所有期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得と呼ばれ、所有期間が5年以内である場合は短期譲渡所得と呼ばれます。
なお、所有期間は売却した土地を取得した時点から、実際に売却を行った日の属する年の1月1日までとされる点に注意が必要です。
つまり、実際に売却を行った日までではないということなので、注意しましょう。
適用対象となる特例を確認
譲渡所得の把握と所有期間の確認が済んだら、実際に税額を計算する前に、適用対象となる特例があるかどうか確認しておきましょう。
3,000万円で土地を売却した場合、適用の対象となり得る特例はいくつかあります。
特例が適用可能であれば、負担すべき税額を大幅に抑えることができ、場合によっては全額非課税となるケースも少なくありません。
そのため、適用対象となる特例を確認することは、非常に重要といえます。
具体的にどのような特例が適用対象となるのかについては、後ほど詳しく紹介していくので、ここでは計算前に対象の特例を確認することが必要であるということを頭に入れておきましょう。
税率を掛けて税額を算出
適用対象となる特例があると、所得税も住民税も全額非課税となる場合も中にはあります。
しかし、そうならなかった場合は、初めに求めておいた譲渡所得に税率を掛けて、所得税及び住民税を算出していきましょう。
このとき、売却時における所有期間によって使用する税率が異なるため、2つのパターンに分けて計算方法を解説していきます。
まず、所有期間が5年超えである長期譲渡所得となる場合から見ていきましょう。
この場合に用いる税率は、所得税は15.315%、住民税は5%となっています。
そのため、3,000万円で土地を売却した譲渡所得が400万円であったときのそれぞれの税額は、次のようになります。
所得税=譲渡所得400万円×税率15.315%=61万2,600円
住民税=譲渡所得400万円×税率5%=20万円
一方、所有期間が5年以内である短期譲渡所得となる場合の税率は、所得税が30.63%、住民税が9%となっています。
つまり、長期譲渡所得の場合に比べると税率が高いため、負担する税額も高くなるということです。
では、短期譲渡所得の場合における所得税と住民税についても、計算してみましょう。
所得税=譲渡所得400万円×税率30.63%=122万5,200円
住民税=譲渡所得400万円×税率9%=36万円
このように、所有期間に応じた税率を譲渡所得に掛けることで、所得税及び住民税がいくらかかるのか、自分で計算することができます。
土地売却時にかかる税金の節税方法
土地を売却する場合、ある程度の税金を負担することは避けられませんが、可能であればできるだけ負担を押さえたいと考える人も多いでしょう。
そこで、ここでは土地売却時にかかる税金を節税する方法について、2つのポイントを押さえて解説していきます。
少しでも税金を安く抑えたいと思っている人は、これから解説する2つの方法をしっかりと頭に入れておくようにしましょう。
所有期間が5年を超えてから売却する
土地売却時にかかる税金を節税できる方法の1つ目は、土地の所有期間が5年を超えてから売却するという方法です。
前述したように、土地を売却した際に課税される税金の額は、土地の所有期間が長期譲渡所得にあたるか短期譲渡所得にあたるかによって、大きく異なります。
短期譲渡所得よりも長期譲渡所得の場合のほうが、税額の計算時に用いる税率が低くなり、結果として算出される税額も安くなります。
そのため、土地の売却を急いでいない場合であれば、所有期間が5年を超えるタイミングを待ってから売却したほうがよいでしょう。
控除や特例を活用する
土地売却時にかかる税金を節税する2つ目の方法は、控除や特例を活用するということです。
土地を売却した場合に利用できる控除や特例は複数あり、それぞれ適用条件が決められているものの、対象となる制度が見つかる可能性は大いにあります。
そのため、利用可能な控除や特例がないか、丁寧に調べて活用することは、節税するために非常に重要といえるでしょう。
中には、複数の特例を併用できるケースもあるので、細かく調べることが大切です。
控除や特例を活用することで、税金の負担を大幅に抑えられるだけでなく、そもそも負担が0円となることも珍しくないので、使える制度は積極的に活用しましょう。
3,000万円で土地を売却したときに使える控除・特例
3,000万円で土地を売却した場合、使える可能性のある控除や特例がいくつかあります。
ここでは、5つの控除や特例を挙げて、それぞれの詳しい内容や適用条件などについて解説していきます。
控除や特例が利用できると、大きな節税効果が得られる可能性が高いので、よく理解して利用を検討しましょう。
居住用財産の3,000万円特別控除
自ら居住していた住宅と共に土地を売却する場合、居住用財産の3,000万円特別控除が利用できる可能性があります。
居住用財産の3,000万円特別控除とは、居住を目的として使用していた土地を売却する場合に利用できる制度で、所得税や住民税の算出の際に、譲渡所得から最大で3,000万円までを控除して計算することが可能となります。
そのため、3,000万円で土地を売却した場合で考えると、譲渡所得が3,000万円を超えることはないはずなので、結果として全額控除することが可能になり、実質非課税にすることができるでしょう。
なお、適用条件は以下のように定められています。
- 自らが居住を目的として使用していた土地の売却であること
- 前年及び前々年に同様の特例を使用していないこと
- 既に退去済みの場合は退去してから3年後の12月31日までに売却していること
- 売却する相手が親族などではないこと
相続空き家の3,000万円特別控除
相続した空き家と共にその土地を売却する場合には、相続空き家の3,000万円特別控除の利用対象となります。
相続空き家の3,000万円特別控除とは、被相続人が生前居住していた空き家及びその土地を相続し、一定期間内に売却する場合に利用できる制度です。
居住用財産の3,000万円特別控除と同様、譲渡所得から最大で3,000万円までの控除が可能となります。
つまり、相続した空き家が建っていた土地を3,000万円で売却した場合は、全額控除を受けることができるので、実質非課税にすることが可能です。
主な適用条件は、以下の通りです。
なお、空き家の相続後、空き家を解体して土地のみを売却する場合でも利用可能となっているので、正しく押さえておきましょう。
- 被相続人のみが居住を目的として使用していた空き家を相続していること
- 相続が発生してから3年後の12月31日までに売却していること
- 相続が発生してから売却するまでの期間において居住や貸付・事業として使用されていないこと
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円特別控除
やや限定的な特例ですが、売却する土地が、平成21年及び平成22年に取得したものである場合、1,000万円の特別控除を受けられるという制度もあります。
これは、平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円特別控除と呼ばれ、いわゆるリーマンショックからの脱却を目指して作られた制度です。
適用条件を満たしている場合、所得税及び住民税の計算において、譲渡所得から最大で1,000万円を控除することができます。
そのため、3,000万円で土地を売却した場合で、譲渡所得が1,000万円以下であれば全額控除となり、1,000万円を超える譲渡所得があれば、超えた分のみに対して課税されるということになります。
主な適用条件は、以下のように定められています。
- 平成21年に取得した土地の場合は、平成27年以降に売却していること
- 平成22年に取得した土地の場合は、平成28年以降に売却していること
- 土地を取得した際の相手が親族や内縁関係にあたる人物ではないこと
- 相続や贈与・遺贈・交換などにより取得した土地ではないこと
- 譲渡所得に対するその他の控除を受けていないこと
取得費加算の特例
売却する土地が、相続によって手に入れたものである場合、取得費加算の特例という制度を利用することができます。
取得費加算の特例とは、土地を相続した際に支払った相続税を、譲渡所得税の計算時に譲渡所得から差し引く取得費として加算することが認められる制度のことで、これによって譲渡所得を抑えることに繋がります。
適用条件は、以下の通りです。
- 土地の相続において相続税が発生し、相続税を納付済みであること
- 相続の発生を知ってから3年10ヶ月以内に売却していること
- 相続税の申告期限から3年以内に売却していること
特定の居住用財産の買い換え特例
自らの居住を目的として使用していた土地を売却すると同時に、新たな居住用物件へと買い換える場合は、特定の居住用財産の買い換え特例の適用対象となります。
特定の居住用財産の買い換え特例とは、自らの居住用物件を買い換える場合を対象に、通常なら売却時に課税されるはずの譲渡所得税を、新たな物件を将来売却するときまで繰り延べられるという制度です。
つまり、将来的には譲渡所得税を支払わなければならないため、税金そのものが免除や控除される制度ではありませんが、売却時における税金の負担は軽くできます。
なお、この買い換え特例は、居住用財産の3,000万円特別控除などの他の特例とは併用ができません。
そのため、両方の特例の適用条件を満たしている場合は、どちらを利用したほうが得であるか、よく考えて判断するとよいでしょう。
まとめ
初めて土地を売却しようとしている人にとって、3,000万円で土地を売却した場合にどれぐらいの税金がかかるのか、イメージしにくいといったケースは多いはずです。
本記事では、3,000万円で土地を売却したときにかかる税金について、ポイントを押さえながら詳しく解説してきました。
まずは課税される税金の種類を把握し、どのような計算によって税額が決まるのか、理解を深めておくことが大切です。
また、利用可能な特例も複数あるので、それぞれの内容や適用条件を把握し、利用できる制度がないかどうか確認しておきましょう。
なお、課税される税額は、本記事で解説した方法により自分で計算することができますが、より正確に把握したい場合は、税理士などの専門家に相談することも検討してみてください。