私道に接する土地も接道義務を満たす必要がある!確認方法や注意点とは
この記事でわかること
- 道路の種類は接道義務に影響がないことを理解できる
- 私道に接する土地が接道義務を果たしているかを確認する方法がわかる
- 私道に接する土地を売買するときの注意点がわかる
すべての土地が公道に接していることはなく、なかには私道沿いに土地があるケースもあります。
一戸建ての分譲地などでは、公道から住宅地方向に私道を通し、私道沿いに住宅地を建設することが大半です。
また、私道に面する土地も接道義務を満たす必要があります。
よって、私道沿いの土地に住宅を建てるには、幅員4m以上の道路に間口2m以上接することが必要です。
しかし、すべての私道が建築基準法上における道路ではありません。
なかには、私道に面していても接道義務を満たしていないケースもあります。
本記事では、私道に接する土地の接道義務について確認する方法と、私道に接する土地を売買するときの注意点を紹介します。
さらに私道と公道の違い、建築基準法上の道路など、身近な道路についての基本的な部分も理解していきましょう。
目次
私道に接する土地も接道義務を満たす必要がある
接道義務は、道路の種類に関係なく満たす必要があります。
土地が接する道路が、公道でも私道でも関係ありません。
その道路が建築基準法上の道路(位置指定道路)になっていることが、接道義務を満たす条件です。
位置指定道路とは、特定行政庁から指定を受けた私道のことを言います。
道路の位置指定には、一定の基準があります。
位置指定道路の基準
道路の位置指定の基準は、以下に挙げたとおりです。
- ・道路の両端が建築基準法上の道路に接していること(道路の長さは問われない)
- ・行き止まりの道路でも、以下のいずれかに該当すると位置指定を受けられる
◇道路の長さが35m以下
◇道路の幅員が6m以上
◇道路の終端に一定規模の公園や広場がある
◇道路35m以内ごとに車が転回できるスペースがある
◇その他、特定行政庁が特別に許可したとき
- ・道路には、アスファルト舗装や砂利敷など雨などでぬかるみが起きないように対策が取られていること
- ・既存道路との交差部の角(内角が120度未満の場合に限る)には、隅切りを設けている
- ・道路や敷地内の排水設備を設けていること(側溝の設置など)
- ・原則、道路の勾配は12度以下且つ階段状ではないこと
接道義務とは
接道義務とは、「幅員4m以上の建築基準法上の道路に間口2m以上接する」ことです。
つまり、土地に建物を建てるには、上記接道義務を満たす必要があります。
接道義務がある目的は、幅員4mを確保すると日常的な通行がしやすく、角地は隅切りを行うことで出合い頭の衝突を防げます。
また、緊急時の避難経路の確保や消防自動車などの緊急車両を通行しやすくするなどの目的もあります。
さらに、幅員4m以上を取ることで日照や通風も取りやすく、街並み自体の閉塞感を緩和する効果も期待できます。
次に、間口を2m以上確保すると、敷地への出入りがしやすくなります。
人以外に自家用車なども、敷地内への出入りが容易にできるようになるでしょう。
また、災害時には避難通路、さらに迅速な救出救助活動もしやすくなります。
なお、間口2mとはもっとも狭いところが2m以上となるので要注意です。
土地が旗竿地の場合を例に挙げてみましょう。
道路に面する部分が2mであっても、敷地に向かう通路部分が徐々に狭まりもっとも狭い部分が1.7mだと接道義務は満たされていません。
この場合は、新たな建物が建築できない再建築不可物件となります。
建築基準法上の道路とは
建築基準法上の道路とは、以下に該当するものとなります。
(参照元:国土交通省 建築基準法道路関係規定運用指針の解説)
一般的に、公道は42条1項1号道路とされ、私道は42条1項2号道路とされます。
42条1項2号道路は開発道路ともいわれ、幅員は原則6m以上です。
開発業者が何もない土地に宅地造成する場合、何区画も家が建てられるように作られた造成地内の道路が開発道路となります。
他にも幅員4m未満の第42条2項の道路、建築基準法上の道路以外であっても43条の但し書き通路であれば、接道義務を満たす道路です。
つまり、これ以外の道路については建築基準法上の道路ではないとされます。
建築基準法上の道路に該当しないものとは
建築基準法上の道路に該当しないのは、以下に挙げるようなものとなります。
- 農道
- 林道
- 堤防道路
- 港湾道路
- 他、人が居住しないことを前提に造られた道路
現状は道路として使われていても、建築基準法上では道路として認められていないケースがあります。
このような道路は、ただの道もしくは単なる通路としての扱いです。
建築基準法上の道路とは、そこに居住する人にとって安全な通行や避難ができることを基準としています。
上記で挙げた道路は、日常的に人や車の往来は可能で、国や自治体などが管理しているものの、路線認定を受けていません。
なお、建築基準法の道路に該当しない道には、人が居住することを前提にしていない道路もあります。
たとえば、「山中の登山道」や「公園内の人が歩く道」などが該当します。
私道に接する土地が接道義務を満たすか確認する方法
私道に接する土地が接道義務を果たすかは、土地が接する道路が「建築基準法上の道路」であるのかをはじめに確認します。
その後、道路の幅員や間口の広さなどを調査して最終的に接道義務を満たすかを確認するのがよいでしょう。
本章では、これら具体的な確認方法についてご紹介していきましょう。
①建築基準法上の道路であるのかを確認する
建築基準法上の道路であるのかは、自治体のホームページで確認します。
指定道路図(建築基準法道路種別図)を閲覧することで、土地が面する道路種別を調査できます。
また、役所内の道路管理課でも確認できます。
②道路の幅員を調査する
道路の幅員についても、自治体のホームページ内に道路台帳が公開されているケースが多いため、簡単に調査できます。
また、念のため現地確認でも道路幅員を確認しておいた方がよいでしょう。
③間口の長さを確認する
間口の広さは、現地で確認します。
原則、整形地であれば見た目2m以上確保できていれば問題ありません。
間口の確認で厄介なのは不整形地や旗竿地です。
不明な点は、専門家に確認しましょう。
私道に接する土地を購入・売却するときの注意点
私道に接する土地を購入、もしくは売却するときには注意点があります。
以下に、ご紹介していきましょう。
接道義務を満たしているか
先にも触れていますが、接道義務を満たしているか注意しましょう。
私道が位置指定道路となっているのか、道路の幅員が4m以上で間口が2m以上取れているのかがポイントです。
購入予定の土地が接道義務を満たしていなければ、その土地に新たな建物は建築できません。
なお、幅員が4m未満の場合には、新たな建物を建築するときにセットバックが必要です。
セットバックでは敷地が減少するため、希望する広さの建物が建築できない恐れもあるので注意しましょう。
私道の所有者が誰であるか
次に、私道の所有者が誰であるかです。
一般的に土地が面している私道については、以下のパターンが考えられます。
- ①土地と私道がセットになっているので、購入後は自らも私道の所有者となる
- ②土地と私道がセットになっているものの、私道は他の所有者との共有
- ③私道はすべて他者が所有している
①や②であれば、私道の日常的な通行などは特に問題はないでしょう。
一方で、固定資産税などの負担金は原則ないものの、道路の維持管理費の負担や日常的に掃除などを行う手間が掛かります。
③であれば維持費負担などはないものの、通行やインフラの整備等でトラブルが起きるリスクがあります。
なお、一戸建ての分譲地の場合、私道は私道に面する家の所有者が共有しているケースが多くなります。
また、その他のケースでは、分譲当時の会社や個人が共有しているなど、私道の所有形態はさまざまです。
私道を通行する根拠はあるのか
日常生活を送る上では、敷地から自由に出入りができることも重要な要素です。
私道の所有者が自分であれば、敷地への出入りは問題なくできます。
では、他人が所有する私道の場合、私道を通行する根拠は以下のような項目です。
- 建築基準法上の位置指定道路である
- 通行地役権が設定されている
まず、建築基準法上の位置指定道路であれば、他人が所有する私道でも問題なく通行できます。
次に、通行地役権です。
通行地役権とは、土地の利便性向上のために別の土地(他人の土地)を利用できる権利となります。
地役権は登記されているケースも多いため、登記の有無を全部事項証明書で確認しておきましょう。
なお、通行地役権は土地の所有者が変わってもそのまま引き継がれます。
私道に関するトラブルは起きていないか
次に、私道に関するトラブルが起きていないかです。
すでにトラブルが起きていれば、土地購入後に巻き込まれる恐れがあります。
なお、私道に関するトラブルでは主に以下のような事態が考えられます。
- ある日突然私道の通行を禁止される
- 所有者が道路を塞ぐように私物を置く
基本的には、所有者の嫌がらせのようなトラブルが多いでしょう。
突然通行を禁じられて通行料を徴取されるケースや、所有者が私道上に私物を置いて車などの通行ができなくなることが考えられます。
まとめ
私道に接する土地にも、接道義務はあります。
接道義務を満たすには、私道が建築基準法上の位置指定道路であり、幅員4m以上の道路に間口2m以上接することが条件です。
なお、私道が建築基準法上の道路であるのかは自治体のホームページなどで確認できます。
また、私道に接する土地を売買する際には、接道義務と私道の所有者、通行は問題なくできるかなどを改めて確認しておきましょう。