基準地価とは?公示地価・実勢価格・路線価との違いや調べ方を解説
この記事でわかること
- 基準地価と公示地価などとの違いがわかる
- 基準地価を自らで調査できるようになる
- 基準地価などの評価額を使い分けできるようになる
一般的に不動産の価値は、一物六価とも言われます。
つまり、様々な評価方法があるのが不動産です。
その中に基準地価という評価方法があります。
なんとなく聞いたことがある言葉ですが、他によく聞く公示地価や路線価との明確な違いが分かる人はどのくらいいるでしょうか?
なんとなく曖昧で使い分けの仕方がよく分からないのが、基準地価、公示地価、路線価、実勢価格ではないでしょうか。
この記事では、基準地価をメインに解説を進めていきますが、公示地価や路線価などとの違いについてもご紹介していきます。
この記事を最後までお読みいただくことで、基準地価や公示地価などの違いや調査方法などを理解できます。
目次
基準地価とは
基準地価とは、各都道府県が毎年7月1日時点の評価を9月20日頃に公表する土地の標準価格です。
基準地価は、基準地1㎡あたりの評価となり、対象となるのは全国約2万地点となります。
評価の算出方法は、公示地価とほぼ同じです。
一つの基準地に対して1人以上の不動産鑑定士が鑑定し、それぞれの鑑定結果を加味した上で評価が決定されます。
なお、基準地価は一部公示地価と同地点となっています。
そのため、1月1日時点の公示地価発表から7月1日時点の基準地価を見ることで、半年間の動向がわかります。
2022年の基準地価の動向は?
2022年の基準地価は、全国平均で+0.3%(全用途)で3年ぶりの上昇、住宅地は全国平均で+0.1%で31年ぶりの上昇となっています。
新型コロナが落ち着き、経済が回復傾向であることや、都市部やその郊外での住宅需要が活発なことが要因です。
用途別・圏域別地価動
住宅地 | 商業地 | 工業地 | |
---|---|---|---|
東京圏平均変動率 | +0.6%(2年ぶりの上昇) | +0.7%(2年ぶりの上昇) | +3.3%(9年連続の上昇) |
大阪圏平均変動率 | +0.1%(2年ぶりの上昇) | 変動なし | +2.5%(7年連続の上昇) |
名古屋圏平均変動率 | +1.0%(2年ぶりの上昇) | +1.7%(2年ぶりの上昇) | +1.6%(2年ぶりの上昇) |
地方圏四市の平均変動率 | +5.8%(9年連続の上昇) | +5.7%(9年連続の上昇) | +7.4%(9年連続の上昇) |
(参照元:地価・不動産鑑定:令和4年地価公示 – 国土交通省 )
地域別に基準地価の変動率を見ていきましょう。
住宅地については、三大都市圏と地方圏四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)も軒並み上昇です。
特に地方四市については、上昇幅は顕著となっています。
なお、四市以外の地方都市は▲0.1%の下落となりました。
これにより、都市圏や地方四市とそれ以外の都市の地価の差がさらに広がりました。
都市圏への人口集中、地方の過疎化が基準地価の変動率にも現れています。
商業地も住宅地同様に三大都市圏と地方都市四市の基準地価が上昇しているものの、その他の地域は▲0.5%と2年連速の下落です。
しかし、下落幅は縮小しています。
工業地については、全ての地域で上昇となっています。
基準地価と公示地価・実勢価格・路線価の違い
本章では、基準地価・公示地価・実勢価格・路線価の違いをご紹介していきます。
基準地価、公示地価、路線価の違い
基準地価 | 公示地価 | 路線価 | |
---|---|---|---|
調査主体 | 都道府県 | 国土交通省 | 国税庁 |
価格決定方法 | 1基準地につき不動産鑑定士1名以上による鑑定評価をもとに決定 | 1標準値につき不動産鑑定士2名以上の鑑定評価をもとに決定 | 公示地価を参考に決定する |
評価時期 | 7月1日 | 1月1日 | 1月1日 |
公表時期 | 9月下旬 | 3月下旬 | 7月1日 |
実勢価格を調査するには、レインズマーケットインフォメーションや土地総合情報システムで調査できます。
いずれも事前の登録なし、無料で利用ができる便利なサイトです。
(参照元:レインズマーケットインフォメーション)
(参照元:土地総合情報システム)
基準地価と公示地価の違い
基準地価と公示地価は、どちらも土地取引の指標とされています。
双方の主な違いは、調査を行う主体(都道府県か国土交通省か)と評価時期です。
また、公示地価は不動産取引が行われる都市計画区域内、一方で基準地価は都市計画区域外も含まれることも双方の違いと言えます。
基準地価と路線価の違い
路線価は相続税や贈与税を決める指標(相続税路線価)、もしくは固定資産税評価額を決める指標(固定資産税路線価)となります。
なお、相続税路線価は公示地価の80%、固定資産税路線価は公示地価の70%が評価の目安です。
また、評価地点が約34万カ所と基準地価に比べて圧倒的に多いことも違いとなります。
基準地価と実勢価格の違い
基準地価は、不動産鑑定士の鑑定により算出された評価額であるのに対して、実勢価格は実際に取引が行われた価格です。
土地は、それぞれの広さや形、間口や奥行、周辺環境や立地、立地周辺の環境により価格が変わります。
基準地価はあくまで取引価格の指標、実勢価格は各々の土地の個性に合わせた実際の取引価格です。
基準地価の調べ方
基準地価は、「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」で調査できます。
トップページに表示されるマップから、基準地価を調査したい都道府県をクリックするとさらに市町村マップが表示されます。
さらに調査したい市町村をクリックし、用途地域などを選択して検索すると調査地点の基準地価が表示されます。
なお、このページでは同時に公示地価も調査可能です。
その他に、各都道府県のホームページでも基準地価を調査できます。
「調査したい都道府県+基準地価」と検索することで、簡単に辿り着けるでしょう。
たとえば、埼玉県のホームページでは、各自治体の基準地価情報を閲覧できます。
さらに、基準地価以外にも調査結果の概要や各自治体の価格変動率、変動が大きかった地点なども確認できます。
(参照元:国土交通省地価公示・都道府県地価調査)
まとめ
基準地価は、公示地価と同様に土地取引の指標と用いられます。
また、路線価は相続税の計算などに用いられ、実勢価格は実際の取引価格を表しています。
なお、基準地価は公示地価の半年後に公表されるので、双方が同一地点であれば半年間の土地動向を確認できます。
基準地価は、国土交通省や都道府県のホームページで簡単に調査できるので、土地の売買を検討するならまずは参考にしてみてはいかがでしょうか。