住宅ローンの連帯債務者が死亡した場合の返済と相続はどうなる?
この記事でわかること
- 住宅ローンの連帯債務者が死亡した場合に返済や相続がどうなるのかがわかる
- 団体信用生命保険についての理解を深められる
- 住宅ローンを連帯債務にするメリットとデメリットを理解できる
住宅ローンを組む人の中には、夫婦やパートナー同士で連帯債務という形をとるケースも少なくありません。
しかし、連帯債務で住宅ローンを組んだ場合、万が一連帯債務者が死亡してしまったらその後の返済や相続はどうなるのか、不安を感じている人は多いのではないでしょうか。
本記事では、住宅ローンの連帯債務者が万が一死亡してしまった場合、その後の返済や相続はどうなるのか、分かりやすく解説していきます。
また、連帯債務者について理解する上で重要となる団体信用生命保険についても解説していくので、連帯債務に関する理解をより深めることができるでしょう。
連帯債務者がいる人や、自らが連帯債務者である人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
住宅ローンの連帯債務者とは
そもそも、住宅ローンの連帯債務者とはどのような役割を持つ人のことをいうのでしょうか。
住宅ローンの連帯債務者とは、住宅ローンの返済を契約者本人と共にしていく人のことであり、契約者と同等の返済義務を負うことになっています。
また、連帯債務者と混同しやすいものに、連帯保証人というものもあるので、違いを正しく押さえておくようにしましょう。
連帯保証人の場合は、あくまで返済を保証する役割を持つ人であるため、契約者本人の返済が滞ってしまったときに初めて返済義務を負うことになります。
これに対して連帯債務者は、契約者本人の返済状況に関わらず常に同等の返済義務を負うという点が、大きく異なるポイントです。
連帯債務者が死亡した場合の住宅ローン・相続はどうなる?
住宅ローンの返済中に連帯債務者が死亡してしまった場合、その後の住宅ローンや相続はどのように扱われることになるのでしょうか。
連帯債務者は、住宅ローンの契約者本人と返済を共にしていく相棒のような存在であるため、万が一死亡してしまったら、残された契約者が1人でその後の返済を続けていくのが厳しくなってしまうといったケースも少なくありません。
このような状況に対応するために、住宅ローンの利用者は団体信用生命保険に加入するのが一般的となっています。
団体信用生命保険に加入していれば、連帯債務者が死亡した際にローンを弁済してくれる可能性があります。
ただし、必ずしも連帯債務者の死亡時に団体信用生命保険の弁済を受けられるとは限らないので、条件などをきちんと確認しておくことが大切です。
また、連帯債務者の死亡により相続が発生した場合は、マイナス財産として残りの債務が相続人へと継承されることになるので、覚えておきましょう。
団体信用生命保険とは
連帯債務者が死亡した場合について考えるには、団体信用生命保険への理解を深めることが非常に重要であるといえます。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に死亡などによって返済不可となってしまったとき、残りのローンを弁済してくれるものです。
住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険への加入が必須事項とされていることが多く、住宅ローンの金利の中に保険料が含まれている場合と、年に一度保険料を納める場合とがあります。
連帯債務者が死亡した場合に必要な手続き
団体信用生命保険に加入し、住宅ローンの返済中に連帯債務者が死亡してしまった場合は、以下の2つの手続きが必要になります。
- 保険金の請求
- 抵当権抹消の登記
連帯債務者が死亡した際は、まず保険金の請求手続きをしなければなりません。
保険金の請求は、利用している住宅ローンの金融機関に対して行いましょう。
また、団体信用生命保険からの弁済を受けられ、残りのローンを完済した際には、抵当権の登記を抹消する手続きも必要です。
抵当権の登記は、住宅ローンの返済が完了したとしても自動で抹消されることはないため、別として法務局での手続きが必要であることを忘れないようにしましょう。
住宅ローンを連帯債務にするメリット・デメリット
住宅ローンの連帯債務には、メリットとデメリットの両方があります。
住宅ローンを連帯債務にする場合は、メリットとデメリットの両方をきちんと把握しておくことが非常に重要です。
ここでは、住宅ローンを連帯債務にするメリットとデメリットをそれぞれ2つずつ紹介していくので、詳しく見ていきましょう。
メリット1 借入可能額が高くなる
住宅ローンを連帯債務にする最も大きなメリットともいえるのが、借入可能額が高くなるという点です。
住宅ローンの借入可能額は主に契約者の収入に応じて決められますが、若いうちにローンを組む場合などは、どうしても収入が足りずに借入可能額が理想よりも低くなってしまうケースが多いでしょう。
しかし、連帯債務にすれば、契約者の収入だけでなく連帯債務者の収入も合算して借入可能額を決めてもらえます。
特に、共働きの夫婦などは、2人分の収入を合わせることで借入可能額が大きく変化するため、連帯債務にするメリットを強く感じるでしょう。
メリット2 連帯債務者も住宅ローン控除が受けられる
住宅ローンを連帯債務にすると、契約者だけでなく、連帯債務者も住宅ローン控除が受けられるというメリットもあります。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んだ人を対象に、所得税や住民税が10年間にわたって控除される制度のことです。
通常の住宅ローン契約であれば控除を受けられるのは契約者本人のみですが、連帯債務にすることで、契約者と連帯債務者の両方が控除を受けられることになるため、大きな節税効果を得られるでしょう。
デメリット1 夫婦の場合は離婚しても債務を免れない
住宅ローンを連帯債務にする場合のデメリットとして必ず押さえておくべきなのが、連帯債務者との関係が夫婦の場合、返済中に離婚しても債務を免れないという点です。
連帯債務者は、契約者と同等の返済義務を負うべきものであり、離婚してもそれぞれの返済義務には影響されません。
そのため、離婚して住宅ローンの対象である家に連帯債務者が住まない状態になったとしても、返済義務は継続して負い続けることになります。
ただし、離婚の際に住宅ローンの借り換えを行うことにより、連帯債務を解消できるケースもあるので、住宅ローンを組んでいる金融機関に相談してみるのがよいでしょう。
デメリット2 団体信用生命保険は主たる債務者しか加入できない
住宅ローンを連帯債務にするとしても、団体信用生命保険には主たる債務者しか加入できないのが一般的であるため、デメリットに感じる人は多いでしょう。
つまり、死亡による団体信用生命保険の弁済を受けられるのは、主たる債務者が死亡したときのみとなり、連帯債務者が死亡しても弁済の対象外となってしまうケースが多くなります。
しかし、中には夫婦2人とも加入することが可能なタイプもあります。
やや保険料が高くなるものの、主たる債務者だけでなく連帯債務者の死亡も弁済の対象にしてもらえる可能性があるので、不安な場合は確認しておくとよいでしょう。
住宅ローンの連帯債務者死亡時の注意点
住宅ローンの連帯債務者が死亡したときのことを考える際は、注意すべき点が2つあります。
ここで解説する2つの注意点を把握しておかなければ、実際に万が一の状況になったとき、後悔することになるかもしれません。
連帯債務で住宅ローンを組む場合は、万が一に備えて、注意点をしっかりと押さえておきましょう。
返済の滞納があると団体信用生命保険が適用されない
住宅ローンの連帯債務者が死亡したときに返済の滞納があると、団体信用生命保険が適用されない可能性があるので、注意が必要です。
団体信用生命保険は、保険料をきちんと支払っていなければ、当然ながら保険金を受け取ることができません。
団体信用生命保険の保険料は住宅ローンの金利の中に含まれていることが多いので、ローンの返済を滞納するということは保険料を滞納することにもなってしまいます。
万が一の際に団体信用生命保険が適用されずに困ってしまうことがないよう、ローンの返済は滞納しないように注意しましょう。
団体信用生命保の適用により所得税が課税されることがある
住宅ローンの主たる連帯債務者が死亡し団体信用生命保険が適用されると、場合によっては所得税が課税されることがあるので、注意が必要です。
連帯債務者の死亡により、残りのローンを団体信用生命保険が弁済してくれた場合、弁済を受けた分が一時所得として扱われる可能性があります。
団体信用生命保険の適用によって所得税が課税されると、納税の負担が予想以上に大きくなる可能性があります。
たとえ残りのローンの返済がすべてなくなったとしても、万が一のときに慌てないよう、あらかじめ理解しておいたほうがよいでしょう。
まとめ
住宅ローンの連帯債務者が死亡した場合、加入している団体信用生命保険が残りのローンを弁済してくれる可能性があります。
そのため、住宅ローンを連帯債務にする場合は、団体信用生命保険への理解を深めておくことが非常に重要であるといえるでしょう。
また、住宅ローンを連帯債務にするには、メリット・デメリットの両方を理解しておくこともとても大切なことです。
本記事で解説した、住宅ローンを連帯債務にするメリットやデメリット、押さえておくべき注意点などについても理解を深め、万が一の事態に備えておくようにしましょう。