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家屋・建物の相続税評価額や計算方法を解説!相続税の節税方法・注意点も

この記事でわかること

  • 家屋や建物の相続税評価額の計算方法が理解できる
  • 家屋などにかかる相続税を節税する方法がわかる
  • 家屋の評価額を算出する際の注意点がわかる

親が住んでいた実家を相続すると、土地と建物に分けて相続税が課税されます。

土地は路線価を基準とし、土地の形状などにより評価額の補正を行い、相続税評価額を算出します。

一方で、「建物の相続税評価額はどのように算出するの?」と疑問に思う人も多いでしょう。

この記事では、不動産を相続したとき、家屋部分にかかる相続税評価額の算出方法や調べ方についてご紹介します。

また、家屋にかかる相続税の節税方法も併せてご紹介していきましょう。

この記事をお読みいただくことで、家屋・建物にかかる相続税について理解を深めることができます。

家屋の相続税評価額の計算方法

家屋の相続税評価額の計算方法について、以下3つのパターン別に紹介していきます。

相続した建物に被相続人の本宅であったか、若しくは第三者に賃貸していたかで相続税評価額が変わります。

被相続人が居住用や事業用に使用していた家屋を相続したとき

被相続人が居住用や事業用に使用していた家屋の相続税評価額は、下記の計算式で算出できます。

相続税評価額=固定資産税評価額×1.0

この計算では、固定資産税評価額をそのまま使用できます。

仮に家屋の固定資産税評価額が3,000万円であれば、相続税評価額も3,000万円となります。

家屋に付属する設備の評価額算出方法

家屋には、様々付属設備(動産)があります。

これらの評価方法について、表にまとめておきます。

付属設備評価方法
家屋と構造上一体となっている設備 電気設備(ネオンサイン、投光器、スポットライト等を除く)、ガス設備、衛生設備、給排水設備、温湿度調整設備、消火設備、避雷針設備、昇降設備等家屋の評価額に含めて評価
門、塀等の設備門、塀、外井戸等 附属設備の再建築価額から、建築の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額の70%で評価
【相続税評価額=再建築価格-経過年数における減価の額×70%】
庭園設備庭木、庭石、あずまや、庭池等 課税時期の調達価額に70%を乗じた数値で評価
【相続税評価額=調達価額×70%】

(参照元:国税庁 第3章 家屋及び家屋の上に存する権利)

上記の表のうち、家屋に設置されている付属設備の評価額は家屋に含まれます。

一方で、門や庭木など家屋と独立して設置されている動産については、一定の割合を減じて評価されます。

賃貸アパートやマンションを相続したとき

被相続人が賃貸アパートなどを所有し、居室部分を第三者に貸していたときの相続税評価額は、下記の計算式で算出できます。

相続税評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

借家権割合とは、借り手側が家屋を借りて使用する権利のことで、「家屋の評価額の30%」と定められています。

つまり、所有する家屋を第三者に賃貸することで30%の評価減を受けられるということです。

これにより、賃貸アパートやマンションの所有で相続税が安くなることから、現金を不動産に換えることが相続税対策と言われる所以です。

次に賃貸割合とは、貸している部分の床面積の割合となります。

たとえば床面積300㎡の内150㎡を貸していたら、賃貸割合は50%です。

割合が大きいほど相続税評価額を下げられます。

相続税評価額の計算例

では実際に、事例をもとに計算してみましょう。

(例)以下の条件の場合、相続税評価額はどれほどになるでしょうか。

  • 固定資産税評価額1億円
  • 借家権割合が30%
  • 賃貸割合が30%

相続税評価額=100,000,000円×(1-【0.3×0.3】)=100,000,000円×(1-0.09)=91,000,000円

この場合の相続税評価額は、9,100万円と算出できます。

なお、アパートであれば丸々1棟所有しているケースが多く、評価額を最も下げることができます。

アパート経営が相続税対策と言われるのは、相続税評価額を下げられるからです。

(参照元) 国税庁 財産評価基準書路線価図・評価倍率表

第三者に貸していた一戸建てを相続したとき

被相続人が所有する一戸建てを、第三者に賃貸していたときの相続税評価額は下記の計算式で算出できます。

なお、一戸建ての賃貸では原則賃貸割合は100%、借家権割合は先述のとおりに30%です。

相続税評価額=固定資産税評価額×(1-0.3「借家権割合」)

こちらも例をもとに計算をしてみましょう。

(例)以下の条件で相続税評価額を計算してみます。

  • 固定資産税評価額3,000万円の一戸建て
  • 第三者に貸していた

相続税評価額=30,000,000円×(1-0.3)=21,000,000円

この場合の相続税評価額は、2,100万円と算出できます。

家屋の相続税評価額の調べ方

家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額とイコールです。

よって、家屋の相続税評価額を調べるには、毎年4月頃に自治体から届く固定資産税課税明細書で確認する方法があります。

固定資産税課税明細書が手元にない場合には、自治体の役所で「名寄帳」を取得する方法もあります。

名寄帳とは、個人が所有している不動産の明細を一覧で確認できる書類です。

名寄帳には、固定資産税課税証明書の内容と非課税の不動産が記載されています。

なお、名寄帳は不動産が所在する自治体の役所でのみ取得できます。

家屋にかかる相続税を節税する方法

家屋の相続税評価額を下げることは、相続税の節税に繋がります

つまり、家屋の相続税評価額を下げる方法が分かれば節税できるということです。

本章では、家屋にかかる相続税を節税する方法をご紹介していきます。

第三者に建物を貸す

家屋にかかる相続税を節税する方法のひとつは、家屋を第三者に貸すことです。

このため、使用していない家屋がある場合には、第三者に貸すのがよいでしょう。

第三者に貸すことで、以下に挙げるメリットがあります。

  • 相続税を節税できる
  • 賃料収入を得られることや固定資産税などのランニングコストに充てられる
  • ランニングコスト以上に賃料収入があれば所得となる

なお、家屋を親族などに無償で貸している場合には、家屋の相続税評価額を30%減らすことはできません

また、第三者から家賃を徴収していたとしても、相場よりも著しく安い賃料の場合にも同様です。

たとえば、2LDKの相場が10万円の地域で賃料を1万円に設定していたら、著しく安い賃料と言えるでしょう。

家屋の相続税評価額を減らしたいのであれば、相場並みの家賃を徴収することが必要です。

アパートの場合は、空室を減らす

賃貸アパートの相続税を節税するには、空室を減らしアパート全体の稼働率を上げる方法もあります。

相続発生時にアパートに空室があっても、その空室状態が一時的なものであれば賃貸割合に含められる規定があります。

一時的な空室で賃貸割合に含められる判断基準は、下記の内容に照らし合わせ、総合的に判断されます。

相続時にアパート等の一部の部屋に空室がある場合は、以下の定義に該当するかがポイントとなります。

基本的な定義は、一時的な空室が「継続的に賃貸されてきたものであり、課税時期において一時的に賃貸されていなかったと認められる」かになります。

賃貸の状態が継続的であるか、課税時期に偶然空室であったと認められるには、以下のような適用条件があります。

  1. 各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか
  2. 賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか
  3. 空室の期間、他の用途に供されていないかどうか
  4. 空室の期間が課税時期の前後のたとえば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか
  5. 課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか

(参照元) 国税庁 貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲

つまり、相続税課税前からアパート経営が継続的に行われていたのかがポイントになります。

たとえば、普通にアパート経営をしていれば退去者がでれば即時募集を行うことや、空室期間に他の用途に供さないことは一般的なことです。

なお、1ヶ月程度の空室期間とのことですが、1ヶ月以上の空室期間でも他の要件を満たすことで一時的な空室と認められるケースもあります。

あくまで総合的な判断となるので、これら基準通りに合致していたとしても、異なった結果になる可能性があることも併せて留意しておきましょう。

家屋の評価を行うときの注意点

家屋の評価を行うときには、注意点があります。

どんなものがあるか、ひとつずつ見ていきましょう。

共有名義の場合は、持ち分割合を乗じたものが相続税評価額となる

家屋が単独所有ではなく共有名義の場合には、持ち分割合を乗じたものが相続税評価額となります

共有名義の場合の相続税評価額=固定資産税評価額×被相続人の持ち分

たとえば、固定資産税2,000万円の一戸建てを、兄弟2人で1/2ずつ相続した場合、相続税評価額は1,000万円です。

相続直前に家屋の増築やリフォームを行うと評価額が加算される

相続直前に家屋の増築やリフォームを行うと、固定資産税評価額に増築やリフォームした部分の評価額が加算されます

このように、相続税評価額が上がることで相続税の負担額は増えます。

なお、家屋の評価の見直しは、3年おきに航空写真の画像などによって行われています。

航空写真では増築やリフォームしたことの判別は難しいため、これらを行ったときには役所に申請を行いましょう。

リフォームが小規模な場合は申告しなくても良い?

家屋は、経年劣化とともに補修や修理が必要です。

家屋を長持ちさせるための補修や修理であれば、役所へ申告する必要はありません

役所へ申告が必要なケースとは、増築やリフォーム(正確にはリノベーション)を行い、建物の資産価値アップにつながるような工事を行ったときです。

なお、「工事が小規模であるか」や「資産価値アップにつながる工事であるか」は、判断が難しく悩ましいところです。

そのような場合には、自治体の資産税課に尋ねてみるのがよいでしょう。

まとめ

家屋などの建物を相続した時の相続税評価額は、原則固定資産税と同額になります。

このため、固定資産税課税明細書などを確認できれば、おのずと相続税評価額もわかります。

また、家屋などを第三者に貸すことで相続税評価額を30%減らすことができます。

さらに、賃貸割合が高いほど軽減幅が大きくなるため、相続時はできるだけ賃貸物件の稼働率が高い状態が理想です。

なお、相続税評価額や相続税の節税ついてよく分からない場合には、税理士への相談がおすすめです。

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