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不動産を相続する流れ・必要書類!トラブルを避ける遺産分割方法とは?

この記事でわかること

  • 不動産を相続するときの手続きの流れや必要書類など、手続き全般を理解できる
  • 相続税の計算方法がわかる
  • 相続税以外にかかる税金について理解できる

不動産の相続には、様々な流れや必要書類があります。

また、相続時は親族間でトラブルが起きやすく、遺産分割協議など相続に向けた話し合いは慎重に行わなければなりません。

しかし、これまでの日常生活で相続が身近でなかったら、こんな悩みをお持ちではないでしょうか?

「不動産を相続する流れがいまいちわからない」「相続税っていくらかかるの?」。

このような方のために、本記事では相続の基礎である「不動産を相続する流れと必要書類」について解説します。

また、相続税の算出方法や相続税以外にかかる税金についてもご紹介していきます。

この記事をお読みいただくことで、相続全般に関すること、相続時に気を付けたいトラブルを回避する方法がおわかりいただけるでしょう。

目次

不動産相続時の手続きの流れ・必要書類

不動産相続時の手続きの流れや必要書類をご紹介していきます。

相続後にすみやかに行う手続き

不動産相続時には、相続発生後にすみやかに行う手続きがいくつかあります。

手順ごとに解説していきましょう。

①遺言書の有無を確認する

相続発生後、はじめに行うことは遺言書の確認です。

遺言書があれば原則記載の内容に従って、相続手続きが行われます。

遺言書は故人の明確な意思表示であるため、仮に遺産分割協議後に発見されても遺言書の内容が優先されます。

また、以下のような条件が該当する遺言書は、遺言書自体が無効となる場合がありますのでご注意ください。

  • 日付がない
  • 故人以外の代筆
  • 遺言者の署名や押印がない
  • 共同で書かれている

遺言書の内容が有効か否かは弁護士などに相談するのがよいでしょう。

②法定相続人を確定させる

続いて、法定相続人を確定させておきます。相続人が確定しなければ、相続自体を進めることができないためです。

誰が相続人かを調査するには、被相続人が生まれてから死亡までの戸籍謄本を取り寄せます。

遺産分割協議などを行った後に新たな相続人が見つかってしまうと、遺産分割協議をやり直さなくてはなりません。

③被相続人の財産や債務をリストアップする

相続人の確定と並行して相続財産や債務のリストアップを行い、実際に相続対象となるものを特定させます。

相続できる財産は、不動産の他に現金・有価証券・貴金属などのプラス資産の他に、住宅ローンなどマイナス資産も対象です。

なお、相続財産に不動産があるかについては、市町村から通知される固定資産税の納税通知書を確認します。

④遺産分割協議を行う(遺言書がない場合)

遺言書がみつからない、もしくはない場合には、遺産をどのように分けるかを相続人全員で話し合います。

これを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議で分割内容の合意を得られたら、不動産などの財産を誰にどう分けるかを記した遺産分割協議書を作成します。

⑤相続登記を行う

遺産のうち、不動産を相続する人が決まったら、相続登記を行います。

相続登記を行うと登記簿に新たな所有者が記載され、不動産の所有者が変更となった旨を公にできます。

なお、相続登記は現行法令では任意ですが、令和6年4月より義務化されます

義務化後は、相続人は相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行います。

よって、遺産分割協議の成立により不動産を相続することになった相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記の申請を行わなければなりません。

ちなみに正当な理由なく相続登記を怠った場合、10万円以下の過料が科せられます。

相続開始の翌日から3ヶ月以内に行う手続き

相続開始の翌日から3ヶ月以内に行う手続きには、下記があります。

相続放棄・限定承認するかを決める

相続対象の財産等を相続放棄か限定承認するかについては、相続開始の翌日から3ヶ月以内に期限を迎えます

これらを希望する場合、期限内に家庭裁判所に申述します。

なお、相続放棄とは相続人が被相続人の財産及び債務について、一切の財産や債務を受け入れないことです。

被相続人の負債がプラスの財産より多い場合に行います。

また、限定承認とはプラスの財産の範囲で負債を承継することです。

相続開始の翌日から4ヶ月以内に行う手続き

相続開始の翌日から4ヶ月以内に行う手続きには、以下のようなものが挙げられます。

所得税の準確定申告と納付を行う

個人が死亡した場合には、相続人全員が被相続人のその年の1月1日から死亡した日までの期間の所得について、確定申告(準確定申告)を行います

一般的に所得税の申告は翌年の3月15日までですが、個人が死亡した場合には、この期間までに手続きします。

相続開始の翌日から10ヶ月以内に行う手続き

相続開始の翌日から10ヶ月以内に行う手続きには、以下のようになっています。

相続税の申告と納付を行う

原則、この期限までに遺産分割協議が完了していることが望ましいです。

相続税を現金納付する場合には、この期限までに納税しなければなりません

また、やむを得ず延納や物納する場合でも、この期限までに申請書を提出します。

相続開始の翌日から1年以内に行う手続き

相続開始の翌日から1年以内に行う手続きには、下記のものがあります。

遺留分侵害額請求(相続人・受遺者・受贈者に申立てを行う)

遺留分侵害請求は、相続開始の翌日から1年以内に行います。

遺留分侵害請求とは、遺言によって遺留分未満の財産しか貰えなかった法定相続人が、異議申立てをすることです。

遺留分を侵した相手に対しては、1年以内であれば遺留分侵害請求ができます。

なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。

相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に行う手続き

相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に行う手続きには、以下のものあります。

相続税・譲渡所得税の特例の利用を税務署に申告する

「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地の特例」の適用は、相続開始の翌日から10ヶ月以内に遺産分割協議が完了していることが条件です。

しかし、中には相続人間の話し合いが難航すると、遺産分割協議が整わず適用できないケースがあります。

この場合、「申告期限後3年以内の分割見込み書」を申告期限までに提出しておきます

その後3年以内に遺産分割協議が整えば、その時に適用できた特例に従って相続税の申告内容を修正できます。

また、相続財産を譲渡した場合の譲渡所得税の計算で、相続税額を取得費加算できる特例があります

この特例が利用できるのは、相続税の申告期限(相続開始の翌日から10ヶ月後)から3年以内です。

つまり3年10ヶ月以内に譲渡が行われた場合に取得費加算の特例が受けられることとなります。

不動産を相続する方法

相続でトラブルを避けるには、相続人間で財産を隔たりなく平等に分けることが重要です。

分割の方法には以下の3種類があります。

それぞれの詳しい方法と、メリット・デメリットについて解説します。

換価分割

換価分割とは、相続財産を全て現金化して相続人間で均等に分けることです。

相続人が不動産の相続を望まない場合や、相続税の支払いに充てる場合に行います。

なお、不動産を現金化して相続税の支払いに充てる場合には、相続開始の翌日から10ヶ月以内に売却しなければなりません。

換価分割のメリット

換価分割のメリットは、不動産の全てを現金化するため均等に分割できることです。

相続人間で不平不満が出る可能性は低いでしょう。

換価分割のデメリット

換価分割のデメリットは、売却に手間が掛かることが挙げられます。

また、不動産を売却すると相続税以外にも、譲渡所得税などの税負担や仲介手数料などの経費が掛かるため、相続できる金額が少なくなります。

さらに、相続税の支払いに充てる目的で売却する場合、売却期間が限られているために売り急ぐことで、周辺相場より安価で売却となる可能性もあります。

代償分割

代償分割とは、現物で不動産を相続した相続人が、他の相続人に対し代償金を支払うことで相続人間の均等を保つ方法です。

たとえば、2人兄弟の兄が親の所有していた3000万円相当のアパートを相続した場合です。

弟の法定相続分は1/2であるので、兄は弟に代償金1,500万円を支払うことになります。

なお、当事者間の話し合いで合意がされれば、代償金の額は均等である必要はありません。

代償分割のメリット

代償分割のメリットは、分割が難しい不動産に代償金を使うことで相続人間の取り分のバランスがとりやすいことです。

代償分割のデメリット

賃貸用のアパートを相続した場合、相続人間で話し合いが難航するおそれがあります。

たとえば、「建物の評価額だけを相続の対象にするのか」「今後発生する賃料も代償金に含めるのか」などです。

また、そもそもこの方法を選ぶには、不動産を相続した人に代償金相当額の資力があることが前提です。

よって、資力が乏しい場合には代償分割が成立しないこともデメリットと言えます。

現物分割

現物分割とは、不動産を含む遺産をそのままの形で相続人間に分ける方法です。

不動産の他にも、車、貴金属、現金、有価証券など相続財産全てが対象となります。

現物分割のメリット

売却して現金化するなどの手間がなく、相続手続きが簡単なことがメリットです。

現物分割のデメリット

評価額の異なる2つの不動産を2人兄弟間で現物分割した場合、評価額が低い不動産を相続した人が不満に思う可能性があります。

現金や有価証券以外の現物は、相続人間で均等に分けることが難しいのがデメリットです。

共有名義

複数の相続人で不動産を所有する方法が、共有名義です。

共有名義の場合には、各相続人が持ち分割合を決定し、相続登記を行います。

共有名義のメリット

共有名義のメリットは、相続を希望する相続人全員で不動産を所有できることです。

アパートなどであれば、持ち分割合に応じて賃料収入を受け取ることもできます。

共有名義のデメリット

不動産を売却するとき、所有者全員の意思決定が必要です。

また、アパートの経営では誰が代表して管理を行うのか、運営に関する事項で都度話し合いが必要など面倒な部分があります。

さらに、共有名義になっている人が死亡し、その子が相続したときに、相続当時の当事者ではないため事情がわからずにトラブルが起きる可能性もあるでしょう。

これらのことを踏まえて、相続人間のトラブルを避けたいのであれば、最も平等に分割できる換価分割がよいでしょう

不動産の相続税を計算する流れ

相続時には、相続財産全体に対し相続税が課税されます。

よって、不動産の相続税のみを計算することはできません

相続税の計算方法は、大まかに以下のように進めていきます。

  • 全ての相続財産額を計算する
  • ②控除額を計算する(基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数)
  • ①から②を差し引き、③相続税の対象となる金額を計算する(この時点で③がマイナス又は0であれば相続税はかからない)
  • ③を法定相続割合で分割し、所定の税率を掛ける

不動産を評価する方法

相続税評価額を算出する方法を、土地と建物に分けてご紹介します。

土地

土地を評価する方法には、路線価方式と倍率方式があります。

路線価方式

路線価方式とは、土地が面する道路に設定されている路線価をもとに算出する方法です。

たとえば、路線価が「300D」と表示されていれば、土地1㎡あたり300千円(=30万円)となります。

※数字の後のアルファベットは借地権割合を示します

また、路線価は整形地での土地価額となるため、間口が8m未満の土地や奥行が長い土地(奥行が間口の2倍以上)、不整形地などは評価額が軽減されます。

倍率方式

倍率方式は、路線価の設定がない地域で評価額を算出するときの方法です。

倍率方式では、その土地の固定資産税評価額に設定された倍率を掛けて、相続税評価額を算出します。

なお、路線価や倍率設定は、国税庁のHPで確認できます。

(参照元)国税庁

建物

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。

毎年4月頃に自治体から送付される「固定資産税課税明細書」で評価額を確認できます。

不動産を相続したときにかかる税金・費用

不動産を相続したときにかかる税金や費用をご紹介します。

相続税

相続時には相続税の負担があります。

基礎控除分を除いて課税対象額があれば、相続税を負担します

なお、一般的に贈与税より相続税のほうが税率は低いことや、評価額を抑えられるため、税負担面で考慮すると不動産は相続する方が節税になるとされています。

一方で、生前贈与には以下のメリットがあります。

  • 贈与者の資産を減らして相続時の節税が可能になる
  • 受贈者の資産増
  • 贈与者が指定する人に資産を渡せる

詳しくは、「不動産は生前贈与、相続どちらが得?」をご覧ください。

登録免許税

登録免許税は、相続登記にて所有権移転を行うとかかり、以下の計算式で算出できます。

登録免許税=固定資産税評価額(土地・建物)×4/1000

この計算式に従って計算すると、たとえば固定資産税評価額2,000万円の土地を相続したときの登録免許税は8万円です。

さらに、司法書士に手続きを依頼する場合、司法書士報酬が加算されます。

なお、司法書士報酬は司法書士事務所により異なり、相場は5万円~10万円程度です。

固定資産税・都市計画税

固定資産税と都市計画税は、不動産所有後にかかります

それぞれ以下のような計算式で算出します。

  • 固定資産税=固定資産税評価額×1.4%(課税標準)
  • 都市計画税=固定資産税評価額×0.3%(制限税率)

不動産を相続するときの注意点

不動産を相続する時の注意点をご紹介していきます。

相続登記は義務化される

相続登記は、令和6年4月より義務化されます。

不動産を相続しても相続登記を行わなければ公に所有者とはならず、本人ではないため売却もできません。

現時点では義務ではありませんが、不動産を相続したら必ず相続登記を行いましょう。

相続税の2割増しに注意

不動産を相続により取得した人が、被相続人の一親等の血族または配偶者以外の場合、相続税が2割増しとなります。

計算方法は以下のとおりです。

「2割増し後の相続税の計算方法」‥各相続人の税額控除前の相続税額×1.2

まとめ

相続するには、相続開始の翌日から10ヶ月以内に相続税を原則現金で納付しなければなりません。

よって、法定相続人が複数名いて、なおかつ遺言書がない場合には、速やかな遺産分割協議が必要です。

短期間となるため、相続税発生の有無や現金納付が可能か否か、現金納付が難しい場合には速やかに売却に動く必要があります。

また売却するには相続登記が必要であるなど、相続の流れを事前に理解しておくことが大事です。

なお、相続でトラブルが起きないコツは、遺産を平等に分割することになります。

こういったことからも、全て現金化する換価分割を選択するのがよいでしょう。

なお、日頃から親族間のコミュニケーションを深めておくことも、トラブルが起きないコツと言えるでしょう。

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