毎年かかる固定資産税を支払う時期と計算方法【軽減措置も解説】
この記事でわかること
- 固定資産税の支払い時期がわかる
- 固定資産税の計算方法がわかる
- 固定資産税の軽減措置内容がわかる
固定資産税は、1月1日現在の固定資産や償却資産の所有者に毎年課税されます。
毎年固定資産税は課税されるため、支払いの時期や計算方法を理解する必要があります。
また、固定資産税には減税措置があるため、減税措置がどのような条件で適用されるのかを知っておくことも大切です。
本記事では、毎年課税される固定資産税の支払い時期や固定資産税の計算方法、固定資産税の減税措置などを解説します。
記事を最後まで読み進めていただければ、固定資産税の基礎知識が得られ、自分自身で固定資産税を計算できるようになります。
固定資産税は毎年かかる
固定資産税は、不動産などの固定資産や償却資産の所有者に毎年課税されます。
課税されるのは、1月1日現在の固定資産や償却資産の所有者です。
固定資産税はそれぞれの固定資産などに課税されるため、一戸建てやマンションを所有している場合、土地だけではなく建物にも固定資産税が課税されます。
固定資産税は市町村税(東京都のみ区)であり、固定資産や償却資産がある場所を管轄する市町村へ納税しなければなりません。
また、固定資産が土地計画法の土地計画区域内にある場合、都市計画税も課税されます。
都市計画税も固定資産税と同じく毎年課税され、課税者は市町村(東京都のみ区)です。
なお、固定資産税も都市計画税も課税者が税率や納税期限を決定するため、自治体ごとに税率や納税期限が異なります。
固定資産税を支払う時期
固定資産税の納付は、年4回の分割払いと一括払いを選択でき、どちらでも納付可能です。
毎年4月頃に、固定資産税課税対象者へ固定資産税納税通知書が送付されます。
送付される固定資産税納税通知書には、分割払い用と一括払い用の支払い用紙が入っているため、自分が払いたい方法を選択して納付します。
納付用紙には納付期限が記載されており、一部の支払い方法では納付期限が過ぎた納付書では固定資産税を払えません。
たとえば、クレジットカード払いや電子マネー払いは期限が切れた納付書では納税できなくなります。
しかし、自治体や銀行の窓口であれば、期限超過3ヶ月程度までは現金で払えます。
毎年かかる固定資産税の計算方法
固定資産税は、どのくらい課税されるのか自分で計算できます。
固定資産税の計算方法は次の通りです。
土地と建物の固定資産税の計算方法は同じです。
固定資産税課税標準額とは、固定資産税額を算出するために用いられる数字です。
固定資産税課税標準額を算出するには、固定資産税評価額に固定資産税減税措置の減額割合を掛けて算出します。
減税措置を受けられない場合は、固定資産税課税標準額 = 固定資産税評価額になります。
それでは、固定資産税をどのように計算するのか、シミュレーションしていきましょう。
固定資産税の計算シミュレーション【シミュレーション条件】
- 土地の固定資産税評価額3,000万円
- 土地面積100㎡
- 土地の固定資産税減税措置割合3分の1
- 建物の固定資産税評価額1,500万円
- 建物の減税措置はなし
- 税率1.4%
【土地の固定資産税計算】
- 土地評価額3,000万円 × 1/3 = 1,000万円(土地の固定資産税課税標準額)
- 1,000万円 × 1.4% = 14万円(土地の固定資産税額)①
【建物の固定資産税計算】
- 建物評価額1,500万円 = 1,500万円(建物の固定資産税課税標準額)
- 1,500万円 × 1.4% = 21万円(建物の固定資産税)②
つまり、このシミュレーション例の場合の固定資産税額は
①14万円 +② 21万円 = 35万円 となります。
なお、固定資産税の軽減措置の内容がわからなければ、自分で固定資産税を計算するのは困難です。
減税措置の内容がわからないときには、固定資産税納税通知書を確認しましょう。
固定資産税額も固定資産税課税標準額も、固定資産税納税通知書に記載されています。
固定資産税の軽減措置
固定資産税には、建物と土地ともに減税措置があります。
本章では、建物と土地の固定資産税減税について解説します。
なお、建物の固定資産税減税措置を受けるためには、自治体への申請が必要です。
しかし、土地の固定資産税減税措置は特に申請をすることなく、自動的に減税された金額で請求されます。
建物の減税措置
新築住宅を建築すると、建物の固定資産税の減税措置を受けられます。
建物の固定資産税減税措置の内容は、次の表の通りです。
床面積要件 | 減額割合 | 減額期間 | |
---|---|---|---|
新築住宅 | 50㎡以上 280㎡以下 | 1/2 | 3年間 |
新築マンション | 1/2 | 5年間 | |
認定長期優良住宅 | 1/2 | 5年間 7年間(耐火・準耐火建築物、マンションなどの場合) |
建物の固定資産税が減税されるのは床面積120㎡までです。
床面積が120㎡を超える建物の減税額を計算するには、次の計算式を用いて計算します。
たとえば、床面積150㎡の新築住宅(固定資産税20万円)の場合として計算してみましょう。
事例床面積150㎡の新築住宅(固定資産税20万円)の場合
20万円 × 120㎡ ÷ 150㎡ ÷ 2 = 8万円(建物固定資産税の減税額)
つまり、このケースだと
20万円 – 8万円 = 12万円
が建物の固定資産税額になります。
なお、建物の減税措置は2024年3月31日までに建築された住宅にしか適用されないことには注意しましょう。
土地の減税措置
敷地に住宅が建っていると、土地の固定資産税の減税措置を受けられます。
土地の固定資産税減税措置に期限はありませんが、敷地面積によって減税割合が変わることには注意が必要です。
土地の固定資産税減税措置の内容は、次の表の通りです。
住宅の敷地面積 | 固定資産税評価額の軽減率 |
---|---|
小規模用土地(200㎡以下) | 評価額 × 1/6 |
一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 評価額 × 1/3 |
それでは、200㎡を超える敷地の場合の固定資産税がどのくらい課税されるのか計算してみましょう。
敷地面積が200㎡を超える場合、固定資産税が課税される額の計算方法は次の通りです。
1㎡あたりの固定資産税額 = 固定資産税額 ÷ 敷地面積
固定資産課税標準額 = 1㎡あたりの固定資産税額 × 200㎡ ÷ 6 + 1㎡あたりの固定資産税額 ×(敷地の総面積 – 200㎡)÷ 3
固定資産税 = 固定資産税課税標準額 × 1.4%
たとえば、住宅が建っている敷地面積300㎡、固定資産税評価額3,000万円とします。
事例敷地面積300㎡、固定資産税評価額3,000万円の場合
3,000万円 ÷ 300㎡ = 10万円(1㎡あたりの固定資産税額)
10万円 × 200㎡ ÷ 6 + 10万円 ×(300㎡ – 200㎡)÷ 3 = 約666万円(固定資産税課税標準額)
666万円 × 1.4% = 約9.3万円(固定資産税額)
このケースの土地の固定資産税は約9.3万円となります。
まとめ
固定資産税は、1月1日現在の固定資産や償却資産の所有者に毎年課税されます。
そして、土地の固定資産税については特段の手続きをすることなく減税措置が適用され、減税された税額の納税通知書が届きます。
そのため、減税されない場合どれくらいの税額になるのか、自分自身で計算し、確認しておくとよいでしょう。
あらかじめ通常の税額を計算しておけば、土地上の建物を取り壊したときに、どの程度固定資産税が上がってしまうのかがわかります。
固定資産税は毎年課税され税額も大きいため、固定資産税について正確な知識を得て、支払うようにしていきましょう。